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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成15年度(2003年度)
- 伊方1,2号機 硫酸第一鉄を含む洗浄水の雨水排水口からの排水
- 通報連絡日時:2003年9月3日11時05分
- 県の公表区分C
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:外 国への報告:なし
概要
通常運転中、1、2号機取水ピット外側の岩場において、硫酸第一鉄を含むと思われる茶褐色の水が溜まっていることを確認。
調査の結果、硫酸第一鉄注入装置の弁点検作業において使用した仮設ポンプやビニールシートの洗浄水を雨水排水口に排水したためと判明。
このため、溜まり水の回収及び排水溝の洗浄を実施。
付近の海水に異常は認められず環境への影響はなかった。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
硫酸第一鉄が含有した洗浄水が海域へ流出した原因は以下のとおりと考えられる。
- 硫酸第一鉄移送に関して発注仕様書に注意事項の記載がなく、また、要領書を作成していなかったため、残液や洗浄水の処理方法について明確にされていなかった。
- 作業管理責任者は、薬品、油脂等は雨水排水升へ直接排水してはいけないことを知っていたが、少量でも排水してはいけないことまでは認識していなかった。
- 作業管理責任者は、弁やポンプを洗った水の処理について側溝に流して良いか化学管理課の担当者に電話で確認したが、
- 洗浄水の性状や側溝についてのお互いの認識に不一致があり
- コミュニケーション不足からその不一致が修正されなかった
ため、お互いの意志が十分伝わらず、洗浄水として雨水排水升に流しても良いと思った。
その結果、仮設槽に残留した溶液の希釈水及びシートの洗浄水を雨水排水升に流してしまった。
対策
- 岩場の溜まり水を回収、拭き取りするとともに、雨水排水升以降の排水管を洗浄した。
また、付近の海水中の鉄濃度を測定し、環境への影響の無いことを確認した。 - 硫酸第一鉄溶液移送作業を確実に実施するため、作業要領書を作成した。
また、薬品等取扱上の注意事項について、発注仕様書に記載する。 - 発電所周辺の環境に十分留意し、設備の点検により薬品や油脂等を排出する際には、少量であっても所定の管理を行い、直接、外部へ流出することの無いよう、所内に周知した。
- 排水先を間違えないように、屋外の雨水用排水升を「雨水排水升」という名称に統一し、周知した。
- 構内安全統一ルールに以下の項目を記載し、所員及び全作業員に対し入所時教育や要領書の読み合わせ時等に繰り返し教育を行い周知・徹底する。
- 薬品や油脂等が含まれる排水は、管理して所定の処理をすること。少量でも雨水排水升に排水してはならない。
- 作業内容の打合せをする際には、コミュニケーションを十分に図るため、5W1Hを確認し合い、内容が不明確な場合は現場等で確認する。
- ワンポイントレッスン集に今回の事例を反映し、要領書読み合わせ時等に教育を行う。
- さらに、人的要因に起因する事象についてはこれまで、都度、再発防止対策を実施してきたが、今回の事象をふまえ以下の通り発電所全体でヒューマンエラー発生防止に向けた取組みを進めていく。
- a.次回の3号機第7回定期検査において、ヒューマンエラー撲滅キャンペーンを実施し、意識高揚を図る。
また、今後当社、元請各社毎のヒューマンエラー発生実績を所内で掲示し、発生防止を啓蒙する。 - b.これまで実施していた全作業員に対する教育とは別に、元請各社の作業責任者、協力会社の作業リーダを対象にヒューマンエラー防止に焦点を当てた品質管理に関する教育を実施する。
また、作業実施前に行う作業要領書読合せは、元請各社の作業責任者と協力会社の作業員以外に作業内容に応じて管理者も出席し、特にヒューマンエラー発生の可能性について全員で討議する。 - c.今後実施する全ての作業の要領書について、ヒューマンエラー防止に焦点を当てて、順次、手順や注意事項の見直しを実施する。
- d.コミュニケーションの活性化を図るため、復唱や声かけを中心としたコミュニケーション6則を作成し、TBM-KY時等に唱和する。
管理者は、作業担当者や作業リーダに対して作業上の重要ポイントや、安全・品質保証上のポイントについて問いかけを行い、意志疎通の強化を図る。 - e.ヒューマンエラー、ヒヤリハット、ヒューマンエラーポテンシャル事象について所内外の情報を収集し、所員及び全作業員に周知することにより発生防止を図る。
- a.次回の3号機第7回定期検査において、ヒューマンエラー撲滅キャンペーンを実施し、意識高揚を図る。