- ホーム
- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成16年度(2004年度)
- 伊方1号機原子炉容器入口管台内表面の傷
- 通報連絡日時:2004年11月14日15時00分
- 県の公表区分A
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:内 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
11月14日(日曜日)15時00分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 11月14日(日曜日)14時30分、定期検査中の伊方1号機で、原子炉容器入口管台溶接部のレーザーピーニング工事の施工前検査(液体浸透探傷検査)を実施した結果、入口管台Bと一次冷却材入口配管との溶接部付近の内表面に微小な傷(最大長さ約5mm)が2箇所で確認された。
- 運転中に一次冷却材の漏洩の兆候は認められていない。
- 今後、当該部分の金属組織調査など、詳細調査を実施することとする。
- 入口管台Aについては、施工前検査を既に実施しており、同様の事象は確認されなかった。
- 本事象による環境への放射能の影響はない。
11月22日(月曜日)13時00分、四国電力株式会社から、その後の調査状況等について、別紙のとおり第2報がありました。その概要は、次のとおりです。
- 超音波探傷検査を実施し、検出限界以下の浅い傷であることを確認した後、管台内表面からわずかずつ研削しながら調査を進めた結果、内表面から約3mmの深さまで研削した時点で傷が除去された。
- この結果、傷は管台母材(炭素鋼)の腐食防止のためのステンレス内張り内に止まり、母材部まで達しておらず、管台の健全性には全く問題のないことが確認された。
- これまでの調査において、傷は工場製作時に管台の内張り部の補修溶接を行った部位で確認されている。
- 今後、更に原因調査を進めることとしている。
- 本事象による環境への放射能の影響はない。
また、原子力安全・保安院に確認したところ、傷の深さは、配管内面のステンレス内張の表層に留まっており、配管の強度部材に達していないことから、安全上問題となるものではなく、法律に基づく報告対象には該当しないとの判断である。
県としては、八幡浜中央保健所職員が伊方発電所に立ち入り、調査結果等を確認することとしています。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
- 当該部は600系ニッケル基合金材料を用いた手直し溶接跡であると推定されたこと
- 当該部は1次冷却水と接する環境にあること
- 補修溶接方法によっては600系ニッケル基合金溶接部は一次冷却水応力腐食割れが発生する十分な引張残留応力が発生し得ること
以上から、当該部において局部的な手直し溶接に伴い高引張残留応力が発生したことで、応力腐食割れの3因子(材料・環境・応力)が重畳して一次冷却水応力腐食割れが発生し進展したものと推定される。
なお、一次冷却水応力腐食割れはステンレスクラッドへ進展しないことから、今回の傷は手直し溶接部に留まり、傷の深さは内表面から約3mm以下であったものと考えられる。
対策
- 調査のため研削した当該部については、耐応力腐食割れ性に優れた690系ニッケル基合金によるクラッド溶接を行う。また、溶接後、残留応力低減のためレーザピーニングを行う。
- 伊方2,3号機については、これまでの供用期間中検査において問題は認められておらず、また、今回の傷の状況からみても傷はステンレスクラッド内に留まっており、構造強度上の問題はない。
- 国内PWR型原子炉の600系ニッケル基合金を使用し、かつ1次冷却材に接触する箇所については、原子力安全・保安院から検査指示が出されており、伊方1,2,3号機においても、この指示に基づき、該当箇所について超音波探傷検査及びベアメタル検査による健全性確認を計画的に実施中である。