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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成18年度(2006年度)
- 伊方1号機の発電停止
- 通報連絡日時:2006年6月5日10時30分
- 県の公表区分A
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:外 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
6月5日(月曜日)11時02分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 6月5日(月曜日)10時30分頃、通常運転中の伊方1号機で、湿分分離加熱器1Bでの異音を保修員が確認したため、発電を停止して点検を行う。
その後、四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 10時50分から負荷降下を開始し、11時49分送電を停止した。
- 18時頃原子炉を停止する予定である。
- 本事象による環境への放射能の影響はない。
6月7日(水曜日)10時20分、四国電力株式会社から、その後の点検状況等について、第2報がありました。
- 6月5日18時37分原子炉を停止した。
- その後の目視点検により、当該湿分分離加熱器1Bの蒸気整流板溶接部に割れが確認された。
- 今後、引き続き現場での点検を行うとともに、当該箇所の割れが発生した原因調査を行う。
- 本事象による環境への放射能の影響はない。
県としては、環境放射線テレメータ装置により、周辺環境放射線等に異常のないことを確認するとともに、八幡浜保健所職員が伊方発電所に立ち入り、点検状況等を確認中です。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
- 湿分分離加熱器蒸気整流板の内部プレートは、A、B2か所で本体と溶接されているが、蒸気整流板は、運転中、蒸気の流れによる高サイクルの流体加振力が作用すること、溶接溶け込み不良により当該溶接部ののど厚が設計仕様より小さいこと、溶接部ののど厚寸法は、B部に比べA部が小さいことから、A部には疲労限を上回る高サイクルの変動応力が発生することにより、疲労が蓄積し、疲労強度を超えた時点で割れが発生・進展したものと推定される。
B部は、A部の割れの発生・進展に伴い、振動が増加し、割れが発生・進展したものと推定される。 - 溶け込み不良となる部分が発生したのは、当該溶接部の開先角度が設計仕様より狭く加工されたことから、開先先端部に未溶着部分が生じ内部に空洞が残ったものと考えられる。
- 当該溶接部の開先角度が設計仕様より狭かったのは、開先検査の記録を残すことまでは規定されていなかったことから、当該部の検査漏れが生じ、開先確認が不十分となったためと推定される。
- 運転中に確認された異常音は、割れの進展により蒸気整流板の内部プレートが振動し、割れた溶接部等がお互いに衝突することにより発生したものと推定される。
対策
- 当該蒸気整流板については、新品に取り替える。なお、取替にあたり、開先検査を実施し、設計仕様どおりの開先加工が行われていることを確認する。
- その他の蒸気整流板については、割れは認められていないが、当該溶接部の補強を行う。なお、次回定検にて新品に取り替える。
- 原子力安全や運転影響の観点から重要な機器のうち、流体加振力の影響を受ける内部構造物については、溶接事業者検査の対象外であっても開先検査等の検査を確実に実施し、その記録を維持するよう調達要求事項を明確化するとともに、これらの実施について確認することとし、品質保証活動を強化する。
- 伊方2号機の湿分分離加熱器については、1号機と同様の構造で、同様に製作されており、1号機が運転再開した後に停止し、蒸気整流板溶接部の補強を行う。2号機停止までの期間は、巡視点検を強化するとともに、異常音発生を直ちに検知できるように音響監視装置を設置して異常音の有無を連続監視し、異常音を検知した場合には1号機と同様に停止し、対応する。また、次回定検にて新品に取り替える。
- 伊方3号機の湿分分離加熱器については、構造が1、2号機と異なり蒸気整流板がないことにより、蒸気整流板に係る対応は不要。