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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成19年度(2007年度)
- 伊方1号機湿分分離加熱器1Bの蒸気整流板の割れ
- 通報連絡日時:2007年4月16日16時45分
- 県の公表区分A
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:外 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
4月16日(月曜日)16時45分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 4月16日(月曜日)16時20分頃、定期点検中の伊方1号機で、湿分分離加熱器1Bの蒸気整流板に割れがあることを保修員が確認した。
- 今後、1A、1C、1Dの当該部の確認をするとともに、詳細を調査する。
- 本事象によるプラント運転への影響及び環境への放射能の影響はない。
その後、四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 1号機には4台(A、B、C、D)の湿分分離加熱器があり、1台の湿分分離加熱器に2基の蒸気整流板があるが、点検の結果、他の7基の蒸気整流板には異常はなかった。
- 1号機の運転中には、異音等の異常は確認されていない。
- 通常運転中の2号機の湿分分離加熱器についても、異音等の異常はない。
県としては、八幡浜保健所の職員を伊方発電所に派遣し、現場の状況等を確認しております。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
- 昨年の復旧時に、切断した天板を溶接により復旧したが、その際、天板の溶接部の影響に関する検討が不足し、蒸気流れの直交方向にはひずみ防止治具を使用していなかったことから、溶接ひずみが生じ、当該箇所に大きな応力が発生したこと
- 運転中の蒸気整流板には、蒸気の流れによる高サイクルの流体加振力が作用すること
- 昨年の復旧時に、溶接施工場所が狭隘で作業性が悪かったため、溶接部に溶け込み不足があり、応力集中が生じる形状であったこと
これら3つの条件が重畳したことにより当該箇所には疲労限を上回る高サイクルの振動が発生し、疲労が累積して、割れが発生、進展したものと推定。
なお、蒸気整流板本体母材部及び天板の割れは、蒸気の流れによる振動により、溶接部の割れを起点として進展していったものと推定。
対策
- 当該蒸気整流板及び天板を新品に取り替える。取替えに当たっては、当該溶接部に影響を与えるような天板の溶接部を増やさないよう、天板は製作時の溶接部の範囲まで取り替える。また、当該部の天板のひずみによる影響がないようにするため、天板の溶接後に蒸気整流板を溶接する。さらに、取替の際には、溶接部の蒸気入口部の端部の内側に約100mmの廻し溶接を行うことで十分な強度は確保できるが、念のためより一層の強度向上を図る観点から、両側溶接又は当て金を使用した完全溶け込み溶接を行う。
- 湿分分離加熱器1A~1Dの当該整流板以外の7箇所については、蒸気整流板のみ取り替えることとし、同様の溶接方法で施工する。
- 溶接施工性については、実機と同じ寸法、同じ施工環境の模型を用いて溶接部を切断し、十分な溶け込みが得られていることを確認するとともに、この模型を用いて、事前に溶接士の訓練を実施する。
- 各工程毎に、開先検査、寸法検査、浸透探傷検査を実施し、問題ないことを確認する。
- 原子力安全や運転影響の観点から重要な機器に関する溶接の管理について、以下のとおり実施するとともに社内マニュアルを改訂する。
- 新たな改造を実施する場合には、溶接によるひずみの影響を小さくする工法や手順とする。
- 機器の内部等狭隘な場所で溶接作業を実施する場合は、事前に溶接士の訓練を実施する。
- 溶接作業において、高温多湿が予想される場合は、要求される品質を確保できるよう作業環境に配慮する。
- 2号機湿分分離加熱器については、第19回定期検査にて蒸気整流板を取り替えており、天板復旧溶接のない場合の疲労評価により今回と同様の割れが発生しないことを確認している。
- 3号機湿分分離加熱器については、1、2号機と異なり蒸気整流板がない構造である。