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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成19年度(2007年度)
- 伊方3号機燃料集合体グリッドの欠損
- 通報連絡日時:2007年9月15日19時20分
- 県の公表区分B
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
異常の内容
9月15日(土曜日)19時20分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 9月15日(土曜日)18時55分、定期検査中の伊方3号機で、原子炉から取り出した燃料集合体1体のグリッド(支持格子)に異常が認められた。
- 詳細は追って連絡する。
その後、四国電力株式会社から、次のとおり連絡がありました。
- 9月14日(金曜日)6時41分から燃料集合体157体を順次取り出しており、使用済燃料ピット内で水中カメラにより外観観察していたところ、燃料集合体1体の下から3段目のグリッドのベーンが欠損していた。
- 欠損したベーン(1辺約1cmの三角形状のもの)は最下段のグリッドに挟まっていた。
- 挟まっていたベーンは欠損した箇所の全てかどうかは不明である。
- 詳細は今後調査する。
- 本事象による環境への放射能の影響はない。
伊方3号機は、9月7日(金曜日)23時40分から定期検査を開始している。
調査結果
9月21日(金曜日)16時00分、四国電力株式会社から、調査結果について次のとおり第2報がありました。
- 金属破片を回収し、寸法測定したところ、当該支持格子の欠損部と寸法及び形状が一致することを確認した。
- 他の燃料集合体156体については、外観検査の結果、異常はなかった。
- 引き続き原因については、調査する。
県としては、八幡浜保健所の職員を伊方発電所に派遣し、調査結果等を確認しております。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
当該燃料は、第8回定期検査の燃料取出時に支持格子同士のかみ込みによるわずかな変形が生じたこと、また、再使用にあたって、装荷状態、運転状態における燃料健全性については検討されていたが、燃料取出・装荷時の燃料取扱いに対する検討が行われていなかったことから、次の経緯により支持格子の損傷に至ったものと推定される。
第8回定期検査の燃料取出時
当該燃料が上昇中に、隣接していた燃料(J46)と干渉して支持格子同士がかみ込み、荷重変動トリップが発生した。その対応として当該燃料の下降操作をした際に、当該燃料が水平方向に移動したことから、当該ガイドベーン部に過大な応力がかかり外側に約2.6mm変形した。
第9回定期検査の燃料装荷
当該燃料が下降中に、隣接する燃料との干渉により変形部がバッフル板に押しつけられて荷重変動トリップが発生するともに、変形部が燃料棒側に押し戻されることにより、変形部の基部に過大な応力がかかり、左端の長さ約2mmを残して外側から亀裂が発生したが、内側に幅約0.1mmの未破断部が残った。
第10回定期検査の燃料取出時
当該燃料が上昇中に、変形部がバッフル板と干渉し、内側に残っていた厚さ約0.1mmの未破断部が破断し、左側に一部を残すのみとなった。
- 燃料コンテナに当該燃料を挿入後、燃料コンテナを横倒しする際に、損傷部分の先端が燃料コンテナ壁面と干渉して支持格子から脱落し、燃料コンテナ底面の第3支持格子付近に落下した。
- 燃料コンテナを使用済燃料ピット側へ移送した後、立起こす際、損傷部分がコンテナ底面に沿って落下し、第1支持格子D面の左端にひっかかった。
対策
燃料装荷・取出作業において隣接する燃料との支持格子同士のかみ込みの可能性がある場合には、かみ込みが発生しないように次のとおり運用することを作業要領書に明記する。
- 取り扱う燃料の周囲4面のうち、1面または2面が燃料と接する場合は、隣接する燃料と干渉しないように離れた位置で燃料を取り扱うこととする。
なお、燃料装荷時に炉心底近くまで燃料を下降させた後、隣接する燃料に接するように燃料を移動(横ずらし)した時には、隣接燃料との位置関係を水中カメラ等で水平方向のズレやねじれがないことを確認したうえで、燃料を取り扱うこととする。 - 1面または2面が燃料と接する状態で横ずらしができない場合は、水平方向の燃料のねじれやズレが生じないように、ガイドアセンブリー等を使用して3面以上が接する配置としたうえで、燃料を取り扱うこととする。
なお、万一支持格子に変形が認められた場合には、燃料取出・装荷時の燃料取扱いに対する検討を行い、総合的に評価したうえで再使用可 否の判 断を行 うこと とする。ただし、支持格子のガイドベ ーンに設計上の最大隙間である2m m以上の変形が認められる場合は、再使用しないこととする。
また、当該燃料(燃料番号H06)は、一部損傷していることから再使用しないこととする。