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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成19年度(2007年度)
- 伊方2号機湿分分離加熱器2Bの天板の割れ
- 通報連絡日時:2008年2月1日18時00分
- 県の公表区分A
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:外 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
2月1日(金曜日)18時30分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 2月1日(金曜日)18時00分頃、定期点検中の伊方2号機で、湿分分離加熱器2Bの蒸気整流板を取り付けている天板に割れがあることを保修員が確認した。
- 今後、詳細を調査する。
- 環境への放射能の影響はない。
その後、四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 2号機には4台(A、B、C、D)の湿分分離加熱器があり、1台の湿分分離加熱器に2基の蒸気整流板があるが、目視点検の結果、他の7基の天板には異常はなかった。
- 割れは、天板と仕切板の溶接部に約35cm、天板部に約8cm。
- 2号機の運転中には、異音等の異常は確認されていない。
- 通常運転中の1号機の湿分分離加熱器についても、異音等の異常はない。
調査結果等
2月4日(月曜日)15時00分、四国電力株式会社から、その後の調査結果等について、次のとおり第2報がありました。
- 他の天板当該部(湿分分離加熱器2B:1箇所、2A・2C・2D:各2箇所の計7箇所)の目視点検及び浸透探傷検査を行い、異常のないことを確認した。
- 湿分分離加熱器2Bの天板当該部を切り出し、工場に発送し、詳細を調査する。
- 同様の構造を有する1号機の湿分分離加熱器については、運転パラメータの確認、パトロールの強化及び音響監視装置(騒音計)設置により監視強化を図っている。
- 環境への放射能の影響はない。
県としては、八幡浜保健所の職員を伊方発電所に派遣し、調査結果等を確認しております。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
調査の結果、当該溶接部は、設計会社の図面に基づいて湿分分離加熱器製作会社が施工しており、その際使用された製作図面を調査した結果、当該溶接部は溶接の指示が記載されていなかったことが確認された。
今回の原因は、
- 当該部の溶接は、設計要求は「レ形開先+すみ肉溶接」であったが、製作会社の図面に溶接の指示がなかったことから、「開先なしのすみ肉溶接」が行われ、結果的にのど厚が小さい溶接が施工されたこと
- 運転中の天板には、蒸気の流れによる高サイクルの流体加振力が作用すること
の条件が重畳したことにより、当該箇所には疲労限を上回る高サイクルの変動応力が発生し、疲労が累積して、割れが発生、進展したものと推定される。
湿分分離加熱器のその他の溶接部の総点検を実施した結果、割れ等の発生はなく健全であることが確認できた。
1次系の重要な機器は、設計と製作が同じ会社であるか、または設計図面と製作図面が混在することがなく製作会社が設計会社の承認を得た図面そのもので製作を行っており、今回と同様な問題は発生しないことを確認した。
対策
- 当該天板については新品に取り替える。取り替えに当たっては、天板と仕切板との溶接部は強度を向上した溶接形状とする。また、強度を向上した溶接形状による他部位への影響は、発生しないことを確認した。なお、調査のため切断した15箇所については、同様な方法にて復旧する。
- 健全性調査の結果、対策が望ましい7つの部位については、念のため、溶接部の強度に余裕を持たせる観点から補強を実施する。
- 今回の事象の原因は、設計会社の図面で要求する溶接の指示が製作会社の図面に反映されなかったことに鑑み、四国電力の発注仕様書に設計管理における要求事項として、設計の一部でも供給者とは別の会社に実施させる場合には、設計図面からの指示を製作図面に確実に反映するなどの取り合いに関する管理方法を明確にするよう要求するとともに、その旨を調達管理内規に記載し、また、その管理状況について必要に応じ四国電力が監査等により確認することとする。
- 伊方1号機の対応
今回の事象を踏まえ、以下の対応を実施する。- 音響監視装置による監視
- 運転パラメータの監視
- 運転員による巡視点検頻度の増加
- 設備に精通している保修員による巡視点検の実施
- アコースティックエミッションによる監視
- 伊方3号機の対応
3号機の湿分分離加熱器については、設計と製作が同じ会社であり、また、2号機とは設計・製作の会社が異なること、及び順調に運転をしていることより、対策は不要。