平成22年度(2010年度) 伊方原子力発電所からの異常通報連絡安全防護系シーケンス盤の制御システム停止に伴う伊方2号機の運転上の制限の逸脱

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通報連絡日時:2010年6月8日21時52分
県の公表区分B

伊方発電所から通報連絡のあった異常について

異常の区分

管理区域該当:外 国への報告:なし 備考:今回発表

異常の内容

6月8日(火曜日)21時52分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。

  1. 定期検査中の伊方1号機で、6月8日(火曜日)21時00分頃、作業員が安全防護系シーケンス盤Aのシステムが停止していることを確認した。
  2. 今後、詳細調査を行う。
  3. 本事象による環境への放射能の影響はない。

復旧状況等

6月9日(水曜日)16時15分、四国電力株式会社から、復旧状況等について、次のとおり連絡がありました。

  1. 調査の結果、安全防護系シーケンス盤Aに電源を供給する2系統の電源装置*を1系統ごとに停止して試験を行っていたが、停止していた一方の制御システムを再起動する際、制御システムの起動スイッチによる復旧をさせないまま、残りの1系統を停止したことから、制御システムが2系統とも停止状態となった。
  2. 同シーケンス盤は、1、2号機共通の中央制御室の非常用循環系換気システムを制御しており、緊急時に作動しなくなったことから、6月8日(火曜日)23時00分、運転中の2号機に係る原子炉施設保安規定に定める運転上の制限を逸脱していると判断した。
  3. その後、安全防護系シーケンス盤Aの回路状態を確認したうえで、制御システムの再起動を実施し、6月9日(水曜日)1時35分に運転上の制限の逸脱から復帰したことを確認した。
  4. 念のため、当該システムの監視を継続し、異常のないことを確認した後、6月9日(水曜日)16時10分に通常状態に復旧した。
  5. 今後、詳細を調査する。
  6. 本事象による環境への放射能の影響はない。

*2つの電源装置(1A2、1C2)から安全防護系シーケンス盤Aの2つの制御システムにそれぞれ電源を供給している。

伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について

推定原因等

定期検査中の伊方1号機において、保修員が安全防護系シーケンス盤Aのシステムが停止していることを確認した。

調査の結果、当該システムに電源を供給する計装用電源1A点検後の復旧操作において、停止していたCPU-A1を起動する際、故障リセットの操作は行ったが、制御スタートスイッチの操作をしていなかったため、CPU-A1は停止状態のままであったにもかかわらず、計装用電源装置1C点検のためにもう1系統のCPU-A2を停止したことから、当該システムが停止した。
同シーケンス盤は、1,2号機共用設備である中央制御室換気系隔離作動論理回路を有しており、同シーケンス盤Aのシステム停止により論理回路が動作不能状態となったことから、運転中の2号機に対して原子炉施設保安規定に定める運転上の制限を逸脱していると判断した。なお、もう1系統の中央制御室換気系隔離作動論理回路は健全であった。

本事象は、前回定検で新設した安全防護系シーケンス盤の復旧操作方法に係る確認が電話による確認のみで十分でなかったことから、運転員は制御スタートスイッチ操作の必要性を認識しておらず、また、故障リセット操作により同盤の故障ランプが消灯したことから、他のデジタル制御装置と同様に故障リセット操作のみで正常に復帰したと思い込み、安全防護系シーケンス盤Aの1系(CPU-A1)が正常に起動していない状態で2系(CPU-A2)の電源を停止したことで、安全防護系シーケンス盤Aの両系の出力が停止し、システムが停止したと推定。

本事象による環境への放射能の影響はなかった。

対策

  1. 計装用電源装置の復旧に係る安全防護系シーケンス盤の復旧は、運転員が安全防護系シーケンス盤の受電操作を行い、保修員が安全防護系シーケンス盤内の復旧操作を行うよう復旧操作手順書に反映する。
    その他の制御装置の復旧操作を保修員が運転員に移管する場合、保修員は操作手順を文書により運転員に説明する。
  2. 制御装置等の設備更新に伴い隔離・復旧操作手順書を新規作成または改訂する際は、文書により設備主管箇所の確認を受けるように社内規定を見直す。
  3. 設備を更新(新設、改造、撤去等)した場合、設備主管箇所は運転操作上の注意事項を文書(設備変更連絡書)により関係箇所に周知しているが、更に隔離・復旧操作時の注意点についても記載するよう様式を見直す。
  4. 原子力保安研修所に平成23年度設置予定のデジタル制御装置の保修訓練設備を用いて運転員へも設備教育を実施する。
  5. 制御システムの制御状態表示について認知性を向上させるため、制御スタートスイッチのLED表示と制御システムの制御状態を示す注意表示を当該LED部に掲示する。
  6. 安全防護系シーケンス盤の故障リセット及び制御スタートは操作を行う同盤の故障ランプ消灯及び制御スタートスイッチのLED点灯により確認できるが、運転員の認知性を更に高めるため、故障リセット操作をしても制御スタートスイッチ操作を行うまでは、安全防護系シーケンス盤故障警報を中央制御室に発信させる設計に変更する。

県の公表

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