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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成22年度(2010年度)
- 伊方2号機充てんポンプ点検用フランジ部からの水漏れ
- 通報連絡日時:2010年8月16日12時20分
- 県の公表区分A
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:内 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
8月16日(月曜日)12時20分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 通常運転中の伊方2号機において、8月16日(月曜日)11時35分、運転員が充てんポンプ2B室内のポンプ点検用フランジ部から漏えい(1滴/20秒)があることを確認した。
- その後、当該部隔離のため充てんポンプ2Bを停止したところ、水の漏えいは停止した。
その後の状況等
四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 漏えい量は約120cc(放射能量は70Bq)で、全量紙ウエスで回収した。
- 通常、充てんポンプは、3台のうち2台を運転しており、現在、2A及び2Cが運転中。なお、充てんポンプは1台で必要な能力を有しており、運転への影響はない。
復旧状況等
8月21日(土曜日)9時00分、四国電力株式会社から、復旧状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 点検の結果、ポンプ点検用フランジ部のボルト締め付け状態は良好だったが、当該フランジで締め付けているリフト押さえとポンプケーシング部の隙間をシールするためのOリングの一部に損傷が見られた。
- また、当該フランジ部以外のポンプ点検用フランジ部(10か所)についても点検したところ、2か所でOリングに一部損傷が見られた。3このため、損傷のあったOリング(3か所)を含む全てのOリングを取り替えた後、充てんポンプ2Bの確認運転を行って、漏えいのないことを確認し、8月21日(土曜日)8時50分、通常状態に復旧した。
- 今後、詳細を調査する。
- 本事象によるプラント運転への影響及び外部への放射能の影響はない。
県としては、八幡浜保健所の職員を伊方発電所に派遣し、復旧状況等を確認しております。
また、本事象について、原子力安全・保安院に確認したところ、法律に基づく報告対象には該当しないとの判断でした。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
通常運転中の伊方2号機において、運転員が充てんポンプ2B点検用フランジ部から1次冷却材が漏えいしていることを確認した。
漏えい量は約120cc(放射能量:約70Bq)であり、全量を紙ウエスで回収した。
調査の結果、ポンプ点検用フランジ(前面側)により締め付けているリフト押さえとポンプケーシング部の接触面をシールするためのOリングの一部に損傷が認められた。
本事象は、
- 充てんポンプ内部流体圧力の周期的な変動により、Oリング表面が劣化しやすい構造であった。
- Oリングによるシール部は三角溝形状であり、Oリングは流体圧力が作用すると溝にそって外側へ押し出される方向に動く構造であった。
- ボルト締付時に座面の摩擦等の影響により、ボルト締付トルクが十分に締付力に変換されなかったことから、吐出圧力が負荷されるときに生じるリフト押さえとポンプケーシングとの間の微小な隙間が大きくなっていた可能性がある。
これらの要因が重なったことから、充てんポンプ運転時間の経過とともにOリングがはみ出し、損傷した結果、シール機能が失われ漏えいに至ったものと推定。
本事象によるプラント運転への影響及び周辺環境への放射能の影響はなかった。
対策
- 充てんポンプ2A,2B,2Cについて、当該フランジ部を含む全てのOリングの取り替えを実施し、復旧後、漏えいのないことを確認した。
- 当該事象は運転時間に起因していることから、充てんポンプ2A,2B,2Cについて、点検周期(Oリングの取替周期)を1回/3運転サイクルから、1回/1.5運転サイクルに短縮する。また、充てんポンプ2Bについては、次回の第 23回定検時にフランジ部の分解点検を行い、Oリングの状態を確認する。
- 充てんポンプ2A,2B,2Cのフランジ部(前面側)について、ボルトの締付トルクを座面の摩擦等による締付力のばらつきが生じても十分な締付力(約23.3t)が得られる345Nmとするよう作業要領書の改正を行い、当該フランジ部を345Nmで締め付けた。