- ホーム
- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成28年度(2016年度)
- 伊方3号機1次冷却材ポンプ3B軸封部の第3シール部の流量の増加
- 通報連絡日時:2016年7月17日9時57分
- 県の公表区分B
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:内 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
7月17日(日曜日)9時57分、四国電力株式会社から、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 伊方3号機は、定期検査中のところ、1次冷却材ポンプの調整運転において、1次冷却材ポンプ3Bの第3シールリークオフ流量が増大する事象が認められた。
- このため、ハンドターニング等、第3シールのシート状態を改善するための調整作業を行いましたが、運転状態を改善することができなかったため、7月17日(日曜日)9時20分当該シールを予備品と取り替えることとした。
- なお、1次冷却材ポンプ3Bの第1、2シールの運転状態は良好であり、また、第3シールのリークオフ水は専用の配管を通じて格納容器内のタンクに回収されている。
- 本事象による環境への放射能による影響はない。
その後の状況等
7月25日(月曜日)15時17分、四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 点検の結果、第3シールのシールリングが僅かに傾き、動きが滑らかでないことが確認された。その他の異常はなかった。
- これについては、当初のシールリングの組み込み状況に問題はなかったものの、7月12日(火曜日)に実施した原子炉格納容器の耐圧検査時に、第3シールに通常より高い圧力がかかったことにより、第3シールの構成部品であるOリングの噛み込み等が発生し、摩擦力が大きくなり、シールリングの動きが悪くなった。このため、1次冷却材ポンプ3B起動時に、シールリングが傾いた状態となりシート面に隙間ができ、シールリークオフ流量が増大したものと推定された。
- 今後、1次冷却材ポンプ3Bの第2および第3シールを予備品と取り替える。
また、他の1次冷却材ポンプも同じ構造であることから、万全を期すために3A、3Cについても第2シールおよび第3シールを予備品と取り替える。
復旧状況等
8月1日(月曜日)9時5分、四国電力株式会社から、復旧状況等について、次のとおり連絡がありました。
- その後、1次冷却材ポンプ3A~3Cのシールの取替が完了したことから、1次冷却材ポンプを運転し、本日8時30分、第3シールリークオフ流量に問題がないこと、また第1、第2シールやポンプ全体の振動等のパラメータについても異常がなく、ポンプ各部に異音もないことから、運転状態が良好であることを確認した。
- 今回の事象に対し、原子炉格納容器を加圧する検査においては第3シールに通常より高い圧力がかからないように要領書の改定を行った。
- なお、今後の工程については、検査工程等を踏まえ詳細なスケジュールを検討していくこととしており、具体的な日程が固まった段階で公表する。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
伊方発電所第3号機は、1次冷却材ポンプの調整運転を実施していたところ、1次冷却材ポンプ3Bの第3シールリークオフ流量が増加するという事象が認められた。
分解調査の結果、第3シールを構成するシールリングに傾きが確認された。また、シールリングが固着して動かない状態であることを確認した。
このことから、シールリングに接触しているOリングの噛み込み等により、摩擦が大きくなり、シールリングの動きが悪くなった可能性があり、これにより1次冷却材ポンプ3Bの起動時にシールリングが傾いた状態となりシール面に隙間ができたことから、シールオフ流量が増加したものと推定した。
シールリングに接触しているOリングの噛み込み等の原因は、原子炉格納容器全体漏えい率検査において第3シールに外部から通常より高い圧力がかかったことによるものと推定した。
対策
- 1次冷却材ポンプ3Bについては、一体型の組立品となっている第2シールと第3シールを取り替え、シール性を回復させた。
また、1次冷却材ポンプ3Cについては、分解点検の結果、3Bと同じ傾向がみられたことから、3B同様に第2シール、第3シールを取り替えた。
なお、3Aについても万全を期すため、3B、3Cと合せて第2シールと第3シールを取り替えた。
1次冷却材ポンプ3A~3Cのシールの取替完了後、1次冷却材ポンプを運転し、第3シールリークオフ流量に問題がないこと、また第1、第2シールやポンプ全体の振動等のパラメータについても異常がなく、ポンプ各部に異音もないことから、運転状態が良好であることを確認した。 - 原子炉格納容器全体漏えい率検査実施時には、第3シールに外部から高い圧力がかからない系統構成になるよう要領書を改定した。