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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 平成30年度(2018年度)
- 伊方3号機スチームコンバータの加熱蒸気2次圧力制御弁の異常
- 通報連絡日時:2019年1月7日9時49分
- 県の公表区分C
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
概要
補助蒸気を供給しているスチームコンバータの加熱蒸気2次圧力制御弁の動作がスムーズでないことから、保修員が現場で同制御弁の状況を確認したところ、動作不良となっており、スチームコンバータを停止して同制御弁を点検することを判断した。
本事象による環境への影響はない。
その後、補助ボイラを起動し、補助蒸気の供給をスチームコンバータから補助ボイラに切り替え、スチームコンバータを停止し、当該弁の点検を開始した。
当該弁を点検のために分解したところ、弁棒と弁体の接続部を固定するピンが折れていることを確認した。
調査の結果、弁棒と弁体のねじ構造の接続部が緩み、弁体が回転したことによりピンが折れ、弁体の位置が下がったため、正常な開度調整ができなくなったものと推定した。
その後、弁棒と弁体が緩まない対策を実施したうえで当該弁を復旧し、異常がないことを確認し、通常状態へ復旧した。
補助蒸気の供給は、補助ボイラからスチームコンバータに切り替え、補助ボイラは停止した。
今後、引き続き弁棒と弁体の接続部が緩んだ原因を詳細調査する。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
伊方3号機は通常運転中のところ、スチームコンバータ(以下、「S/C」という。)の加熱蒸気2次圧力制御弁(3PCV-6784)(以下、「当該弁」という。) から異音が発生し、当該弁が動作不良であることからS/Cを停止して当該弁を点検した。
当該弁を分解点検したところ、弁体と弁棒の接続部を固定するピンが折損していることを確認した。弁体と弁棒のねじ構造の接続部が緩んでピンが折損し、弁体が回転したことにより弁体の位置が下がったため、正常な開度調整ができなくなったものと推定した。
調査の結果、当該弁の弁体と弁棒の接続部が緩みピンが折損した原因について、組立時にエアブローによる異物除去を確実に実施したことを確認できなかったことを除き問題がなかったことから、工場にて弁体と弁棒を組み立てる際、異物が接続部に混入したことで微視的に接続部の緩みが内在していた初期不良の可能性が高いものと推定した。
また当該弁は、フローオーバーシート構造でバランス型の弁体を使用しており、プラント運転中は低開度で使用する場合がある。このとき、弁体には強い回転力が継続的に加わる。設計上は接続部の摩擦力にピンの強度が加わった抗回転力が弁体の回転力を上回っているが、異物が接続部に混入した場合、接続部の摩擦力は減少し、弁体の抗回転力がピンの強度に大きく依存する状態になるため、流体から弁体に加わる回転力が抗回転力を上回って接続部が緩み、弁体と弁棒を貫通しているピンは弁体の回転力によって繰り返しせん断力を受け折損に至ったと推定した。
対策
- 当該弁については、弁棒及び固定ピンの取替を行い、工場でエアブローを確実に実施した上で弁体と弁棒を組み立てたものを納入し、復旧した。
また、これまでの当該弁の使用実績に問題がなかったことから、現状の抗回転力でも十分であると考えられるが、念のため弁体と弁棒の接続部の更なる抗回転力の向上を目的として、弁棒の弁体へ挿入する部位の直径を19mmから32mmへ変更し、ピンの直径を5mmから8mmに変更したうえで所定の締め付け力で組み立てた。これにより、弁体の抗回転力は変更前の約220Nmから約4倍の約920Nmとなり、弁体はより緩みにくくなった。 - 異物混入対策として、当該弁の弁体と弁棒の組立時にエアブローを実施したことをチェックシートに記録として残した。また、今後の継続的な再発防止策として、メーカの弁体チェックシートに「エアブローの実施」を明記した。