- ホーム
- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 令和3年度(2021年度)
- 伊方3号機 総合排水処理装置の配管からの塩酸の漏えい
- 通報連絡日時:2021年7月18日2時16分
- 県の公表区分C
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:外 国への報告:なし 備考:今回発表
異常の内容
7月18日(日曜日)2時16分、四国電力株式会社から、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 伊方発電所3号機は定期事業者検査のため停止中のところ、7月18日(日曜日)0時51分、総合排水処理装置にて塩酸ガスの検知を示す信号が発信した。
- その後、同日1時38分、運転員がポンプ出口フランジ付近で塩酸の漏えいを確認した。
- 詳細は今後調査する。
- 本事象によるプラントへの影響及び環境への放射能の影響はない。
その後の状況等
7月18日(日曜日)6時59分、四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- その後、塩酸貯槽の出口ラインの弁を閉止することにより、7月18日(日曜日)5時40分、保修員が漏えいの停止を確認した。塩酸の漏えい量は約30Lで発電所外部への流出はない。
- 漏えいした塩酸は回収し、総合排水処理装置にて処理する。
- 今後詳細を調査する。
復旧状況等
9月7日(火曜日)11時19分、四国電力株式会社から、復旧状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 調査の結果、漏えいが生じた配管に貫通孔を確認したため、当該配管を取替えた。
また、当該塩酸注入ラインのその他の配管について調査したところ、3箇所で劣化兆候を確認したため、今後新品に取替える。 - なお、劣化兆候を確認した配管は、現状で直ちに漏えいが生じるものではないが、配管の取替えに時間を要することから、念のため仮配管にて応急復旧し、9月7日(火曜日)10時43分、通水確認を実施して漏えいのない事を確認した。
- 今後、引き続き原因について詳細を調査する。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
伊方発電所3号機において、総合排水処理装置建屋(管理区域外)内に、塩酸ガスが発生したことを示す警報が発信した。このため運転員が現場を確認したところ、塩酸注入ポンプ出口フランジ付近から塩酸が漏えいしていることを確認した。
当該配管の外面を目視にて調査したところ、貫通孔を1箇所確認した。また、塩酸注入配管の内面はライニング皮膜で塩酸から保護しているが、貫通孔近傍の配管接続部において、ライニング皮膜の裂け1箇所と膨れを確認した。さらに、ライニング皮膜をはぎ取った後の鋼管において、貫通孔近傍に塩酸が原因と推定する内面腐食を確認した。
3号機総合排水処理装置のその他の塩酸注入配管の取り外し調査したところ、配管接続部において、ライニング皮膜の若干の膨れを3箇所で確認した。
これら調査の結果、当該配管の腐食は内面から生じたものと考えられ、
- 配管接続部の締め付け力によりガスケットがライニング皮膜を押し付け、
- ライニング皮膜に膨れが発生し、
- 膨れた箇所に応力が集中することでライニング皮膜の柔軟性の低下と相まって微小な傷が生じ、ライニング皮膜が裂け、
- そこから内部流体である腐食性の高い塩酸が侵入することにより鋼管の腐食が進展し、
漏えいに至ったものと推定した。
対策
- 漏えいが生じた配管を新品に取替えて復旧した。
- 3号機総合排水処理装置の当該箇所以外の塩酸注入配管について点検を行い、ライニング皮膜に膨れが確認された3箇所について、新品に取替えた。
- 3号機総合排水処理装置の塩酸注入配管のライニング皮膜に膨れが確認されなかった箇所についても、同時期に製作・施工されたものについて、今後膨れが生じる可能性が排除できないことから、念のため新品に取替えを行う。
- 1,2号機純水装置、3号機純水装置及び3号機海水淡水化装置の塩酸注入配管については、今後配管を取り外してライニング皮膜の膨れ等の点検を行い、膨れ等の劣化兆候が確認された場合、取替えを行う。
- 塩酸注入配管(ポリエチレンライニング付きの配管用炭素鋼鋼管)のガスケット取替えを行う際には、配管接続部のポリエチレンライニング皮膜の膨れ等の異常の有無について確認することとし、その旨を作業要領書に反映する。