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- 伊方原子力発電所からの異常通報連絡
- 令和5年度(2023年度)
- 伊方3号機 スチームコンバータの不具合
- 通報連絡日時:2023年5月1日14時51分
- 県の公表区分C
伊方発電所から通報連絡のあった異常について
異常の区分
管理区域該当:外 国への報告:なし
異常の内容
5月1日(月曜日)14時51分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。
- 伊方発電所3号機は第16回定期事業者検査中のところ、スチームコンバータ(※1)の加熱管の非破壊検査を実施した結果、加熱管の広範囲に減肉を確認し、当該設備が必要な能力を有しないと判断した。修理には期間を要する見込みである。
- 今後詳細を調査する。
- なお、プラント補助設備で使用する補助蒸気については、補助ボイラ(※2)により供給できることから、プラントの運転に問題はない。
- 本事象による環境への放射能の影響はない。
異常の原因及び復旧状況
5月12日(金曜日)10時2分、四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。
- 今後の対応を検討した結果、スチームコンバータの修理に期間を要することから、現在の定期事業者検査後のプラント運転においては、スチームコンバータを使用せず、補助ボイラ(予備を含め2台)により、補助蒸気を供給することとした。
- 当該スチームコンバータの加熱管については、次回の定期事業者検査において取替えを計画する。
- 引き続き、詳細を調査する。
(※1)スチームコンバータ
純水を2次系の蒸気で沸騰させ、プラント補助設備(空調設備、洗濯設備、廃液蒸発装置など)を運転するための補助蒸気を供給する設備。プラント補助設備への補助蒸気の供給は、補助ボイラとスチームコンバータにて供給可能。
(※2)補助ボイラ
ボイラにより蒸気を発生させ、プラント補助設備を運転するための補助蒸気を供給する設備。
県では、原子力センターの職員を伊方発電所に派遣し、現場の状況等を確認しています。
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について
推定原因等
伊方発電機3号機は第16回定期事業者検査(3-16定検)中のところ、スチームコンバータの加熱管の非破壊検査を実施した結果、加熱管の広範囲に施栓基準を超える外面からの減肉を確認し、当該加熱管の施栓が必要となり当該設備が必要な能力を有していないと判断した。
今後の対応を検討し、スチームコンバータの修理に期間を要することから、3-16定検後のプラント運転においては、スチームコンバータを使用せず、補助ボイラ(予備を含め2台)により、補助蒸気を供給することとした。
本事象による環境への放射能の影響はなかった。
その後の詳細な調査の結果、以下のプロセスで加熱管外面が減肉したと推定した。
- スチームコンバータ上部よりスチームコンバータ内に供給された水(純水)が、加熱管の周囲に貯水され、加熱管内部を通る加熱蒸気と熱交換を行い蒸気となる。
- 供給された水には溶存酸素が含まれており、加熱管(銅)と溶存酸素が反応し銅の酸化物が生成される。
- 給水入口部に近い「#3~#4支持板間エリア」は、スチームコンバータ内に供給される水の流れにより銅の酸化物の被膜が剥離され、加熱管(銅)の外面に新たな銅の酸化物が生成される。経年使用により銅の酸化物の生成、剥離が繰り返され、加熱管外面の減肉が徐々に進展し施栓基準以上の減肉となる。
なお、加熱管の減肉を検知できる渦電流探傷検査(ECT)は第4回定期検査時(平成11年度)以降実施しておらず、この減肉の進展が把握できなかった。 - 給水入口部から離れるほど、水の流れが緩やかとなるため、銅の酸化物が剥離せず亜酸化銅が酸化銅になるまで残り、減肉が進展しない。
対策
- スチームコンバータ加熱管全数156本に施栓基準以上の外面減肉を確認したことから、次回定期事業者検査(令和6年度)にてスチームコンバータ加熱管の取替えを実施する。
なお、加熱管取替えまでの間、プラント補助設備で使用する補助蒸気については、補助ボイラにより供給することから、プラントの運転に問題はない。 - 加熱管の減肉状態を監視できるように、加熱管のECTを4定検毎に実施するよう保全計画を見直した。
なお、点検頻度は、本事象が経年使用により減肉が徐々に進展する事象であり、第4回定期検査における約5年間運転した後のECT結果で急激な減肉の進展がなかったことを踏まえ、4定検毎に設定した。 - 類似機器であるスチームコンバータドレン冷却器について、約30年間の運転で減肉は認められなかったが、今後は減肉状態を定期的に監視するために、8定検毎に計画している開放点検に合わせてECTを実施するよう保全計画を見直した。