令和5年度(2023年度) 伊方原子力発電所からの異常通報連絡伊方3号機 エタノールアミン排水処理装置の電解槽供給ポンプ出口逆止弁における異物の確認

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通報連絡日時:2023年11月28日12時16分
県の公表区分C

伊方発電所から通報連絡のあった異常について

異常の区分

管理区域該当:外 国への報告:なし

異常の内容

11月28日(火曜日)12時16分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。

  1. 伊方発電所3号機は通常運転中のところ、ETA(エタノールアミン)電解槽供給ポンプAの出口逆止弁に異物があることを保修員が確認した。
  2. このため、ETA電解槽供給ポンプAの点検が必要であると判断した。
  3. なお、この事象によるプラントへの影響及び環境への放射能の影響はない。
  4. 今後、詳細を調査する。

異常の原因及び復旧状況

四国電力株式会社から、その後の状況等について、次のとおり連絡がありました。

    • 第2報:11月28日(火曜日)17時33分
      1. その後、ETA電解槽供給ポンプAの分解点検を実施したところ、出口逆止弁にあった異物は、当該ポンプの部品の一部であることを確認した。
      2. なお、当該部品の一部がまだ見つかっていないため、今後、ETA排水処理装置の配管等を確認するなど、引き続き、当該装置の点検を実施する。
  • 第3報:11月29日(水曜日)16時31分
    1. 当該装置の配管等を確認し、当該ポンプの部品の残りの部分を回収した。
    2. 今後、当該ポンプの部品を調達し、取替えを計画する。

復旧状況

12月26日(火曜日)13時6分、四国電力株式会社から、復旧状況について、次のとおり連絡がありました。

  1. ETA電解槽供給ポンプは2台(A・B)設置しており、調査のためETA電解槽供給ポンプBの分解点検を実施したところ、ポンプAで異物となった同じ部品の取付け状態にずれ等があることを確認した。
  2. その後、当該部品が調達できたことから、ETA電解槽供給ポンプ2台(A・B)の各部品を取り替え、運転状態に問題がないことを確認し、通常状態に復帰した。
  3. 今後、詳細を調査する。

県では、原子力センターの職員を伊方発電所に派遣し、現場の状況等を確認しています。

推定原因等

伊方発電所3号機は、通常運転中のところ、エタノールアミン(ETA)排水処理装置の電解槽供給ポンプA(以下「当該ポンプ」という。)の出口逆止弁に異物があることを保修員が確認した。

このため、当該ポンプの分解点検を実施したところ、異物は当該ポンプから脱落した部品(マウスリング)の一部であることを確認し、その後の点検・調査において、脱落した部品は全て回収した。

なお、電解槽供給ポンプは2台(A、B)設置しており、調査のため電解槽供給ポンプBの分解点検を実施したところ、当該ポンプから脱落した同じ部品の取付け状態にずれ等があることを確認した。

その後、電解槽供給ポンプの各部品を取り替え、運転状態に問題がないことを確認し、通常状態に復旧した。

この事象によるプラントへの影響及び周辺環境への放射能の影響はなかった。

その後の詳細な調査の結果、ETAを含む排水を電解処理する際に発生する気体が運転中の電解槽供給ポンプ内へ混入することにより、材質がSiC(シリコンカーバイト)であったマウスリングとライナーリングの摺動面の潤滑不良が発生していた。

その状態で運転を継続することにより、マウスリングとライナーリングの摺動面に荒れが生じて摩擦抵抗が上がり、インペラユニットの回転方向に荷重(力)がかかることでマウスリングの固定部のツメが破損するとともに、インペラユニットの揺動によるスラスト方向の衝撃でマウスリングが脱落し、破損に至ったものと推定した。

マウスリングとライナーリングの摺動面の潤滑不良は、過去の不具合への対策の一環でマウスリングとライナーリングの材質がSiCに変更されていたことにより発生したものと推定した。

対策

  1. 電解槽供給ポンプのマウスリング材質について、自己潤滑性に優れる(自身の摩擦係数が小さい)充てん剤入PTFE(フッ素系樹脂)へ変更するとともに、ライナーリング(マウスリングと摺動する部品)の材質についても、過去に充てん剤入PTFEのマウスリングとの組み合わせで使用実績がある高純度アルミナセラミックスへ変更した。
  2. 電解槽供給ポンプへの気体の混入を低減するため、排水貯槽A内部の吸込管端部にある下向きL字配管を取り外した。
  3. 当面は電解槽供給ポンプを2か月運転する毎に点検を行い、マウスリングの摩耗進展状況など、運転に伴うポンプ構成部品の劣化進展状況のデータ拡充を図り、段階的に点検期間を延ばしながら適切な点検周期を設定する。
  4. 類似機器のうち構造及び構成部品の材質が電解槽供給ポンプと同じ電解液ポンプ(2台)について、念のため、マウスリングの材質を自己潤滑性に優れる充てん剤入PTFEへ変更するとともに、ライナーリングの材質を高純度アルミナセラミックスへ変更する。
  5. 製造中止や不具合に対する是正処置として機器や部品の仕様を変更する場合は、変更箇所の使用環境や系統の運転状態等を十分に考慮した影響検討を行い、仕様変更による不具合の発生を防止する旨を、ノウハウや教訓をまとめた資料に整理し、関係者へ周知した。

県の公表

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