令和6年度(2024年度) 伊方原子力発電所からの異常通報連絡伊方3号機 炉内核計装装置の不具合に伴う原子炉停止

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通報連絡日時:2024年10月2日2時19分
県の公表区分A

伊方発電所から通報連絡のあった異常について

異常の区分

管理区域該当:外 国への報告:無

異常の内容

10月2日(水曜日)2時19分、四国電力株式会社から、別紙のとおり、伊方発電所の異常に係る通報連絡がありました。その概要は、次のとおりです。

  1. 伊方発電所3号機は、定期事業者検査中において原子炉内の燃料の出力分布を測定する検査をしていたところ、炉内核計装装置が不調であったため、保修員が確認し、当該装置の詳細点検が必要と判断した。
  2. 当該装置の点検に伴い、今後の工程は遅延する見込み。
  3. なお、この事象によるプラントへの影響及び環境への放射能の影響はない。
  4. 今後、詳細を調査する。

その後の状況

四国電力株式会社から、その後の状況について、次のとおり連絡がありました。

  • 第2報:10月7日(月曜日)14時20分
    1. 原子炉内の燃料の出力分布を測定する検査のため、伊方発電所3号機は原子炉出力約8%を維持していたが、炉内計装盤の検出回路の一部に不具合があり、その対応に時間を要する見込みであることから、107145分、原子炉を一旦停止する判断をした。
    2. 準備が整い次第、原子炉の停止操作を開始する。
    3. 今後、原子炉の停止操作が完了すれば、再度連絡する。
  • 第3報:10月7日(月曜日)19時10分
    1. 10月7日18時59分、原子炉を停止した。
    2. 今後、詳細を調査する。
  • 第4報:10月11日(金曜日)14時33分
    1. 調査の結果、今回の定期事業者検査で取り替えた炉内計装盤の検出回路に使用している高電圧発生基板とその接地回路の構成が適切でなかったことを確認した。
    2. このため、検出回路の信号を正常に測定するために、当該接地回路の改修を実施し、炉内核計装装置による原子炉内の燃料の出力分布の測定方法を変更する。
    3. 今後、準備が整い次第、原子炉を起動し、原子炉内の燃料の出力分布が正常に測定できることを確認する。
  • 第5報:10月18日(金曜日)9時32分
    1. その後、10月16日に原子炉を起動し、10月18日9時15分、炉内核計装装置により原子炉内の燃料の出力分布が正常に測定できることを確認した。
    2. 今後、詳細を調査する。

県では、原子力センターの職員を伊方発電所に派遣し、現場の状況等を確認しています。

伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策について

推定原因等

炉内核計装装置については、メーカで採用していた高電圧発生基板の電子部品が製造中止となったことから、高電圧発生基板を新規に設計するに当たり、基板の電源回路を従前の絶縁方式から非絶縁方式へ変更したことで、高電圧発生基板と接地回路がつながる構成となり、検出器の出力信号が検出回路を迂回し、接地回路に流れたことで、検出器の出力信号が炉内計装盤に表示されなかったと推定した。

また、メーカにおいては、今回の取替工事において、関係する部門間の連携が十分でなかったこと等により、適切な設計管理が実施できなかったことに加え、今回の設計変更について、四国電力へ情報連携できていなかった。

四国電力においては、調達要求として「新設計・新工法の採用、設計変更、製作方法および工事方法の変更等がある場合においても当社と十分な情報交換を行う」との記載を行っているが、明確に図書を要求するような仕様書になっていなかった。

また、設計管理の面から、異なる組織間の設計境界に新設計を採用している部品については、信号の受け渡し先の設備を設計する部門も開発段階に参画し、審査/承認されている製品を採用すること、及び工場試験や発電所において設備・機器を供用する前に実施する検査は、実機の使用環境を反映した試験条件、具体的には信号の受け渡し先の設備の条件を反映し、既設備の要求仕様・回路構成を満足する試験条件により実施することの明文化が図れていなかった。

対策

  1. 出力分布測定について、炉内計装盤内の接地線を取り外すとともに、各検出回路がつながった状態では、各検出器の信号を正常に測定できないため、測定を行う系統を他の系統から切り離した状態とし、4系統(検出器4本)同時測定から1系統(検出器1本)毎の測定に運用変更した。
  2. 高電圧発生基板の電源回路の仕様を絶縁方式から非絶縁方式へ変更した際の、メーカの設計管理、品質管理が適切であったかどうか監査を実施し、設計時及び取替工事における工場試験時のプロセスに関する問題を確認した。
    また、確認された問題については、四国電力におけるメーカ監査において、再発防止が図られていることを確認した。
  3. 四国電力の標準発注仕様書に設計管理として以下の要求事項を追記した。
    • 異なる組織間の設計境界に新設計を採用している部品については、取合先の設計部門も開発段階に参画し、審査/承認されている製品であること。
    • 工場試験や発電所において設備・機器を供用する前に実施する検査は、実機の使用環境を反映した試験条件、具体的には取合先の設備の条件を反映し、既設備の要求仕様・回路構成を満足する試験条件により実施すること。
  4. 四国電力の標準発注仕様書に記載している提出書類一覧表に、設計仕様に関する図書として、新規設計又は実績のある製品からの仕様変更について整理した図書を追記した。
    四国電力は、当該図書の情報も考慮し、工場試験や発電所において設備・機器を供用する前に実施する試験において、実機の使用環境が反映された試験により、必要な機能を満足していることを確認する。
  5. 四国電力の炉内核計装装置は4系統の駆動装置を有しており、駆動装置の有効的活用の観点から、四国電力はメーカに対して、従前の4系統(検出器4本)同時測定が可能な高電圧発生基板の新規開発を要求した。
    なお、メーカはこれを受け、実装に向けた新規開発の検討を進めることとした。

県の公表

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