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- 平成18年度(2006年度)
- 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2006年4月26日開催)
伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要
1 日時
平成18年4月26日(水曜日)13時30分~17時05分
2 場所
愛媛県議会議事堂4階 農林水産・建設委員会室
3 出席者
委員9名(別紙名簿のとおり)
4 議題
伊方3号機のプルサーマル計画について
(1) 伊方3号機プルサーマル計画に係る経緯について
(2) 国からの説明
- プルサーマルのエネルギー政策上の必要性等について
- 伊方発電所の原子炉設置変更許可について
- 伊方3号機のプルサーマルの安全審査結果について
(3) 論点の整理
(4) 質疑、応答
(5) 今後の進め方
5 審議等の内容(全部公開)
(定刻になり、開会)
事務局
定刻となりましたので、ただいまから伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会を開催致します。本日は、辻本委員と森委員は、所用の為、欠席されています。はじめに、傍聴者の方に、遵守事項を確認させて頂きます。会議の開催中は、厳粛に傍聴すること、写真、ビデオ等の撮影又は、録音はしないこと、その他、会議の秩序を乱す等の行為をしないこととなっておりますので、ご協力をよろしくお願い致します。また、携帯電話をお持ちの方は、マナーモードに設定していただきますよう、お願い致します。
それでは、吉野内副知事からご挨拶を申し上げます。
吉野内副知事
副知事の吉野内でございます。委員の皆様方には、今日は年度始めのご多忙の中、ご出席を頂きまして、ありがとうございました。日頃から本県の原子力安全行政につきまして、格別のご理解、ご指導を賜っておることに関しまして、深くお礼を申し上げたいと思います。本日は、原子力安全委員会の近藤原子炉安全専門審査会委員、そして、経済産業省の野口大臣官房参事官、さらには、原子力安全・保安院の鈴木統括安全審査官の方々をはじめ、関係省庁の皆様には、ご遠路、ご多忙の中を出席頂きまして本当にありがとうございました。今日の技術専門部会でございますが、ご案内のとおり、プルサーマルにつきまして、この計画を議題とし、ご審議を頂きたいと考えております。ご案内のとおり、伊方のプルサーマル計画につきましては、平成16年11月1日に、四国電力が国に原子炉設置変更許可申請書を提出し、以来、17ヶ月に及び審査が行われ、本年3月28日に経済産業大臣から原子炉設置変更許可がなされたところでございます。このため、県といたしましては、まず、原子力等の専門家である、技術専門部会の委員の皆様に国からの安全審査結果等につきまして、詳細な説明を受けて頂きまして、専門的、技術的な観点からご検討を頂きたいと考えまして、本日、この部会を開催させて頂いたわけでございます。そして、今後でございますけども、県としましては、本日の審議を元に、環境安全管理委員会、さらには、地元伊方町、また、県議会での議論など、慎重に段階を踏みながら、安全性の確保と住民理解を前提として、プルサーマル導入の是非につきまして、最終的な判断をして参りたい、さように考えております。どうか、委員の皆様には、それぞれのご専門の立場から、国の安全審査内容を十分にご確認頂きまして、忌禪のないご意見を賜りますようお願い申し上げます。簡単ではございますが、開会にあたりまして、ご挨拶をさせて頂きます。どうか、宜しくお願い致します。
事務局
副知事は公務の都合で、退席させて頂きますので、ご了承をお願い致します。
それでは、濱本部会長さん、議事進行を宜しくお願いします。
濱本部会長
それでは、議事に入らせて頂きます。本日は伊方3号機のプルサーマル計画についてご審議をお願いする事にしております。伊方3号機のプルサーマル計画については、3月28日に国からの原子炉設置変更許可がなされたということで、この技術専門部会で改めてご審議頂いて、個別炉としての安全性を確認して頂くと、いうことになっております。それでは、最初に事務局の方から3号機のプルサーマル計画のこれまでの経緯についてご説明をお願いします。
三好県民環境部長
県民環境部長の三好でございます。それでは、伊方3号機のプルサーマル計画につきまして、経緯を簡単にご説明させて頂きます。資料の1をご覧下さい。伊方3号機プルサーマル計画に係る経緯ですが、まず、平成16年5月10日、四国電力から県と伊方町に対しまして、伊方3号機へのプルサーマル導入に係る事前了解願いが提出されました。これは、プルサーマル計画が発電所の主要な施設の変更に伴う、ということから、四国電力と県、及び伊方町の3者で締結しております、安全協定の第9条に基づきまして、事前協議があったものでございます。県ではこの事前了解願いを受けまして、6月1日に、当伊方原子力発電所環境安全管理委員会の技術専門部会を開催し、プルサーマル計画の必要性あるいは安全性について、専門技術的な観点からのご審議を頂きました。さらには、6月30日に委員会の本会議を開催致しまして、プルサーマル計画の必要性や、基本的安全性が認められる事、もう一つは、伊方3号機への導入についての委員会としての最終的な意見は、国の安全審査の結果や住民理解の状況を踏まえ、改めて審議する事などの意見を頂いたところです。そして、11月1日でございますが、この伊方原子力発電所環境安全管理委員会からのご意見とか、県議会での議論、伊方町の意向等を総合的に検討いたしました結果、県としてはまず、国に対して伊方3号機の個別炉としての安全審査を、求めるべきであると判断し、四国電力に対して、国への変更許可申請を了承致しました。この結果を受けて同日、四国電力は、経済産業大臣へ原子炉設置変更許可申請書を提出致しました。この四国電力の変更許可申請を受けた国におきましては、まず、第一審査と致しまして、原子力安全保安院におきまして、約9ヶ月にわたる、安全審査が実施されました。そして、翌平成17年7月27日、変更許可申請は妥当であるとして、原子力安全委員会及び原子力委員会へ諮問をされました。そして、この両委員会では、約8ヶ月間に渡って、二次審査を行ってきたところでございますけど、原子力安全委員会からは平成18年3月16日に、原子力委員会からは3月20日に、それぞれ一次審査が妥当であるとの答申があって、答申を受けた経済産業大臣は、文部科学大臣の同意を経て、3月28日に四国電力に対して原子炉設置変更許可を行ったところでございます。以上が主な経緯ですけれども、国の許可がありましたので、平成16年6月30日の安全管理委員会でのご意見のとおり、まずは本日当専門部会を開催して、改めて伊方3号機へのプルサーマル導入の安全性等について、具体的なご審議を頂き、四国電力から提出されております、事前了解願いへの最終判断に向けた検討を開始する事とした次第でございます。なお、この間、県といたしましては、四国電力はもとより、経済産業省、原子力委員会、原子力安全委員会に対しまして、プルサーマル計画についての県民理解を促進する住民説明会を平成16年7月あるいは、11月に要請してきたところでございまして、これまでにも四国電力主催の住民説明会等に加えまして、国においても、エネルギー講演会等を開催頂いております。以上、簡単ではございますけど、経緯についての説明とさせて頂きます。
濱本部会長
続きまして、議題にありますように、プルサーマル計画のエネルギー政策上の必要性について、伊方発電所原子炉設置変更許可について、伊方3号機のプルサーマルの安全審査結果について、一括して国より説明をお願いしたいと思います。まず最初に、プルサーマル計画を中心とした、国のエネルギー政策の現状について、経済産業省の野口大臣官房参事官からご説明をお願いします。
経済産業省 野口大臣官房参事官
(資料2に基づき説明)
濱本部会長
ありがとうございました。それでは続きまして、経済産業省の原子力安全・保安院鈴木統括安全審査官から、原子炉設置変更許可の内容についてご説明をお願い致します。
原子力安全・保安院 鈴木統括安全審査官
(資料3-1に基づき説明)
濱本部会長
ありがとうございました。つづきまして、原子力安全委員会事務局審査指針課の中矢安全調査管理官から安全審査の結果についてお願いいたします。
原子力安全委員会 中矢安全調査管理官
(資料4-1に基づき説明)
濱本部会長
どうもありがとうございました。それでは、国の方からの説明は終わったわけですが、ここでしばらく休憩を取りたいと思います。
(休 憩)
濱本部会長
時間になりましたので、会議を再開いたします。国からの説明が終わりましたので、これから審議に移りたいと思います。委員の皆様には、事務局から事前に原子炉設置変更許可申請書、安全審査結果等の資料を配布、ご説明し、技術専門部会における審議のポイントをお伺いしており、各委員さんのご意見を、一応取りまとめさせて頂いております。まず、その内容につきまして、事務局から説明をお願いします。
近藤原子力安全対策推進監
(資料5に基づき説明)
濱本部会長
どうもありがとうございました。
今の論点、審議のポイントに何か付け加えて審議すべきものでございましたらどうぞおっしゃって頂けたらと思います。
ないようでしたら、ただいま整理されました項目について、順次1項目ごとに審議していきたいと思っております。まず第1番目に燃料の健全性について、溶融点という問題がございましたがいかがでしょうか。
三島委員
ウラン燃料に比べて融点が低いということで、先ほど燃料の最高温度の解析結果を示され、最高温度の解析結果が、燃料の設計基準に比べて200℃くらい余裕があったように記憶しているが、これは、解析の不確実性など、いろいろな不確定要素を考慮してもあれぐらいの余裕があると理解していいのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
ご指摘のとおりでございまして、まず制限値の方に実際の物性値に対するよりも計算上の不確かさですとかモックス燃料の製造公差などの不確定な要素がありますので、中心温度評価でどの程度効いてくるかというようなことを評価し、その中で220℃というような余裕をとって、厳しめの制限値を設定しております。それと評価値を比べまして、下回っていることを確認してございます。
濱本部会長
その他、どうぞ。
仲井委員
申し訳ございませんが、公務がありまして、ちょっと時間がないものですから的をはずれるかもしれないのですが、ここにあります照射挙動ということについてですね、お伺いしたいのですが、今までのご説明は、ややマクロに原子炉内での挙動を解析されたご説明があったと思うのですが、モックス燃料、燃料棒1本ですね、それが従来の燃料棒と違いますので、私としては、材料工学的な立場から、1本のモックス燃料棒について、質問させて頂きたいのですが、まず、プルトニウムの濃度を上げるということで、プルトニウムスポットも考慮して、ニュートロンのフラックス、それからエネルギースペクトル、それからアルファ放出体なので、ヘリウムのフラックス、それから、そういうものに伴って、ヘリウムの拡散、プルトニウムの拡散がその被覆管、いわゆるジルカロイに対して、どういう影響を与えるのかについて、ウランの時と比べて、定量評価されているのかということ。そして、もう1つは、先ほどご説明のあった燃料棒強度の件ですが、これは単にジルカロイ中のガス圧を上げた試験結果に過ぎないのではないか、つまり、実際は照射損傷を受けている、それから今言いました、プルトニウム、ヘリウム等の拡散というものを考慮した、燃料被覆管、いわゆるジルカロイの強度の算定なのかということかが大きく1つですね。それともう1つは、圧力容器の内部がステンレスでコーティングされているとお聞きしているのですが、ボロンの圧力容器内への腐食、つまり拡散も促進される、照射が入ってますのでそういうものの応力腐食割れ等に及ぼす効果を定量評価されているのかどうかをお聞きしたいのですが、この2点ですが。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
ご指摘の点は、安全審査でもいろいろと議論されたところでございまして、最初に被覆管への照射影響ということでございますけれども、ご指摘のとおりモックス燃料になることによりまして、さきほどマクロの話でもスペクトルが高速中性子の方が多くなるような話をさせていただきましたけれども、被覆管についても同じような状況でございまして、約1割程度増える可能性があるということを考えてございます。これまでのウラン燃料についても同様に高速中性子による照射影響というのは考慮してございまして、そのデータから被覆管への耐力、強さですね、それらの影響は、小さいというデータを確認しています。それが中性子線の方でございまして、アルファ線の方でございますけれども、基本的には、アルファ線の飛程というのがマイクロメータ程度ということもありまして、全体的な被覆管の強度への影響は小さいと考えてございます。また、それらの話につきましては、安全委員会の資料に美浜1号での試験照射がございましたけれども、そこからも確認をしてございます。実際、アルファ線関連で問題になるといいますと、出てくるアルファ線がヘリウムになって燃料棒内に溜まるということになりますので、それで内圧上昇があり、被覆管に応力をかけるということがありますが、それは先ほど示しました内圧評価を行いまして、問題ないと評価をしてございます。
続きまして、ボロン濃度等の原子炉容器側のお話でございますが、腐食の話ですが、その点はご指摘のとおり、原子炉容器にはステンレス鋼をコーティングしてございますので、基本的には化学的な耐性があるというものですが、当然、そこがひび割れとかして、原子炉容器の母材側にいってしまいますと、腐食を起こすという海外の事例もございまして、その点をご懸念されていることかと思います。ただ、今回のモックスにつきましても、原子炉容器のその内面のステンレス鋼への中性子照射量は、照射誘起型応力腐食割れを起こすほどの中性子量の増加にはなってございません。そのため、ご懸念の点は大丈夫かと思ってございます。
濱本部会長
よろしいでしょうか。はいどうぞ。
仲井委員
専門用語で先ほど耐力という言葉をお使いになるんですが、実際に材料の靭性評価はどうされていますか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
その点は、審査の中では、耐力だけではなく、延性、伸び等のデータも確認してございます。
仲井委員
そうですか。一番心配しているのは、金属材料というのは、組織が不均質ですから、例えば、結晶粒界と粒内では違う、拡散の状況が全然違うわけですね。そういう不均質性を考慮した実験をされておれば、安全なのかと思うんで、そこを確かめたかっただけです。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
いろいろなデータをプロットして照射量のほうでみています。
濱本部会長
よろしいですか。どうですか。
三島委員
モックス燃料を使用した場合、熱中性子が少し減って、エネルギーの高い領域の中性子が増えるということを示されましたが、それと関連して、原子炉容器内の高速中性子量が増加して、照射脆化等に影響するのではと質問しようと思ったんですが、先ほどのお答えの中で答えられたので省略します。溶融点に関して、安全審査結果の記載を読みますと、「ステップ2燃料の設計において妥当性が確認されている燃料棒設計コードにウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の物性、核的特性及び照射挙動を反映したものを使用」と記載されていますが、高燃焼度では、燃料ペレットの周辺部、外周部にいわゆるリム領域が形成され、ボイドが多いとか燃料の特性が劣化するのではないか、また、内圧の上昇に悪影響を及ぼすのではないかということが言われますが、その影響についてはどのように検討されたのか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
ご指摘のとおり、特にリム領域の話につきましては、ステップ2の伊方の平成15年でしたか、許可の際の審査において、確認させて頂いた件かと思います。基本的には、リム領域といいますのは、高燃焼度領域で、さらに温度が低いような場合、照射の損傷が溜まって、粒界が細かくなるというか、そのような状況になって、ヘリウム、FPガスの放出が多くなるのではないかという話があったものだと思ってございますが、実際にそのデータを確認してみますと、思ったほどFPガスの放出量が増えていないというようなこともあり、一部そのコードに反映していたりするわけでございますが、特段の影響はないとステップ2燃料でも考えてございます。そういうことで、モックス燃料につきましても、同様に取扱っているものでございます。
三島委員
今おっしゃったのは、燃料棒設計コードの中にそのリム領域の影響というのは取り込まれていて、それで評価することができ、ウラン燃料とMOX燃料とでは、大差がないということでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
先ほど示したところにコードが2つございました。高燃焼度FINE(ファイン),高燃焼度FPAC(エフパック)と2つございますけど、具体的にはFINEの方では、リム領域を形成するような高燃焼度領域において、ある量が、ペレット内の濃度と比例関係をもって放出するというモデルを組んでございます。ただその量といたしましては、結果としては微々たる量でございまして、それも考慮の上で、実際のFPガス放出量のデータを正確に予測できるようにフィッティングをしているというような形で解析をしているものでございます。その取り込み方というのは、ウランと変わってございません。また、高燃焼度用FPACの方は、FINEの方で微々たる量だったということもありますので、明示的には取扱っていないと。結局は、そのFINEとFPAC共に実際のデータを最適に予測できるように係数を入れているということですので、どちらも評価上は問題ないと考えてございます。
三島委員
最後におっしゃったのは、燃料設計コードの妥当性とういうのは、実験データと比較して確認したということですね。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
そのとおりです。
濱本部会長
そのほか何かございましょうか。
仲井委員
モックスになったり、例えば、あのプルサーマルスポットの領域でニュートロン、高速中性子ですね、それのフラックスっていうのは、大分増加するのですよね。先ほどの話で。フラックスです。例えば、実際に燃料被覆管の内部構造とかを見られていますか。要するに格子欠陥は溜まっていきますので、フラックスの違いはものすごい影響するんですよ。それで、従来のウランのエスティメーションで本当にいいのですかと。プルトニウムの場合は。格子欠陥蓄積量です。例えば、ボイドだとか、それがあの靭性に効いてくると思うのですよね。どういうシミュレーションなのか。実験されているんですか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
基本的には、積算値でも最大でも1割程度と考えておりますので、フラックスも同程度だと考えてございます。
仲井委員
原子力材料の立場からしますと、フラックスというのは大きく影響を与えます。フルエンスではなくて。ですから、算定して頂くときに注意して頂かないといけないと思います。例えば、透過電子顕微鏡等で、材料内部を見ますとかなり違います、格子欠陥の分布は。そこはしっかりやっていただきたいと思います。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
ご指摘の点は、理解させて頂くところですけれど、結局は、運転の仕方によって極端に出力が上がって使うような場合ですと、ご指摘のようにフラックスも上がるというようなことがあると思いますけれど、今回の申請における燃料の使い方というのは、ウランと変らないように使っておりますので、具体的には、その燃料の出力履歴というものを確認させていただきまして、モックスの方が極端に出力を上げるようなことがないということを確認しておりますので、ご懸念のようなフラックスが高くなるようなことはないと考えております。
仲井委員
エネルギースペクトルの差もあまりないのですね、ウランとプルトニウムで。例えば、エネルギーが非常に高いとか、プルトニウムから出てくる中性子とか、そういうものはないのですね。同じなのですね。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
さほど変るものではないということで、スペクトルとしましては、我々の資料でお示ししましたようなスペクトルが、モックス燃料でのスペクトルでございますので、高速中性子量の違いもあの程度と。
仲井委員
任意単位で書いていますが、少し分からないので。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
出力で、変ってくるものですから、相対値で出させていただきましたけれども、出力自体が、そう変るものではないので。
仲井委員
まあ、変わらないだろうと。
濱本部会長
三宅先生、何かございますか。
三宅委員
溶融温度の件で、燃料中心の温度は、もう200℃ほど下がるとのご説明は、よくわかったと思います。それ以外に確認させて頂きたいのは、溶融温度というのは、燃焼度がどの程度の状態について確認されているのか。燃焼度に伴う融点の低下というのを考慮しているといわれておりますけれど、どのように考慮して、どの燃焼度において、燃料中心温度が一番厳しくなっているか、一番初歩のところでございますが、大体、どのようなものでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
まず、燃焼度で、どの程度下がるかというお話しでございますが、原子力安全委員会の資料に実測データと比較したものがございましたけれども、10,000MWd/tあたり32℃低下というようなことで、実際の溶融点の低下というよりも、だいぶ保守的に下がるという評価をして、制限値を設定してございます。では、いつ問題になるのかということですけれども、結局のところは、燃料が元気なときの方が、燃料の温度も上がるということもございますので、実際に評価上は、全体を通して見てございますが、一番厳しくなったところで言いますと、燃焼の初期、特にステップ2ですと、燃料の密度が高いので、あまり縮むことがないので、本当に一番最初が厳しくなってございます。一方でステップ1燃料ですとか、モックス燃料ですと、密度で若干、ステップ2よりも緩いと、95%理論密度というところになってございまして、そうしますと、多少、最初に縮む、焼きしまりといってございますけれども、縮むときがございます。その観点から、本当の初期というよりは、ごく少し燃えたくらいが、一番厳しい状況になってございまして、それが約1,200MWd/tという本当に初期、一番最初燃やした時のちょっとしたあたりなのですけれども、その辺で評価をしてございます。
三宅委員
どうもありがとうございました。
濱本部会長
次、プルトニウムスポットについては
有吉委員
2点お伺いします。プルトニウムスポットの件と、それから製造公差の件と。まず最初のペレットに関しては、先ほど例示していただきましたけれども、所定の仕様のものが、そのペレットが造れるんだという技術的な根拠というのはあるんでしょうか。それと、もう1つは燃料棒ですが、3種類お造りになるというわけですね。核設計のところと、熱水力設計のところで、製造公差を考慮して検討していると書いてますが、その製造公差というのは、どのように決められているのか。その信頼性はどうなのか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
製造公差の件ですけれど、モックスにつきましては、これから新たに作るというまったくのスタートのものでもありませんで、先ほど安全委員会がお示ししたように、過去からだいぶ作られている燃料です。ということもありまして、過去の実績というものがだいぶありますので、それらを参考に、製造公差を決めているものでございます。プルトニウムスポットに関しましても、同様にその実績がございまして、いろいろと製法も改良されてございまして、いくつかありますが、古い製法でも実績としては400ミクロンぐらいのスポットに納まっているということです。それで、実際に考えられるMIMAS法であるとか、SBR法というものがありますが、それにつきましても、200ミクロンだとか100ミクロンですとか、その程度で製造が可能だという実績がございます。それも踏まえて、その程度であれば、問題ないという解析結果です。具体的には、安全審査は、そういう感じで見ていますが、燃料体の検査においても、その辺りの数字は確認をしますので、そこら辺りで最終的には担保を取ることにしてございます。
有吉委員
製造公差の件ですが、所要のものに対して、何パーセントとか、そのパーセンテージというのはあるのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
すみません。ちょっと細かい数字を持ちあわせてないのですが。
有吉委員
一応先ほどの設計コードの中に取り込んでいるのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
いろいろとありますが、核設計などで、制限値を設定するあたりとかに不確実性を考慮して、具体的には、その製造公差がこの程度バラついたときに、その評価する中心温度でしたら中心温度にどの程度影響するのかという解析をしまして、その温度分を差し引いて制限値を作るという形をとっています。
濱本部会長
よろしいでしょうか。その他ございませんか。どうぞ。
武岡委員
必ずしもここの内圧の話に限ったわけではないのですが、先ほどの説明の中に、内圧に関するグラフがありましたので、お聞きしたいのですが、原子力安全委員会の説明の図で、それの16番目ですか、8ページのところに燃料棒のガス発生による内圧の評価検証というのがありましたが、これで、計算値と実測値を比較されておられて、これを見ると比較的よくあっているように見えますが、実際にはこれは対数で書かれていますので、場合によっては2、3倍表価値と実測値は違うという値はありますね。でも、私の専門とする海洋現象とか気象現象のようなものでは、いわゆる自然現象、かなり確率論的な要素が多いものがありますから、そのような場合は比較的よくあっているという場合も多いのですが、こういう場合はもう少し決定論的性格の強いプロセスだと思うのですが、解析の精度としては、こういうものなのか。あるいは、ほとんど安全側に来ているから結果としては差し支えないのかもしれませんが、お聞きしいたいのは、全般的なシミュレーションか何かで評価されているのですが、そういう評価の精度というか、これに限った話ではないのですが、評価する際に、精度がある部分は、いろいろ安全側のファクターを入れて、必ずそうするようにされているのか、その全般的なことをお聞きしたい。
原子力安全委員会 近藤原子炉安全専門審査会委員
原子力安全委員会で二次審査を担当した立場からお答えします。今ご指摘がありました8ページ目の、16枚目のスライドですが、これは、実測値と書いていますのは、実際の原子炉で照射した結果です。照射した燃料を取り出して、その中からFPガスがどのくらい放出されたのかを実測したデータです。照射している原子炉自体も、例えば、ハルデンと書いているのはノルウェーの試験炉でありますし、その他、ベルギーの原子炉とか、実際の動力炉も一部入っているかと思うのですが、異なる国で異なる方法で作った燃料を異なる原子炉で試験した結果を測定したものと、その条件でシミュレーションした結果の比較ということになるので、シミュレーションに精度が悪いという以前に、実測値に非常に大きなばらつきがあって、一般に高燃焼度のデータをプロットしてきますと、この程度のばらつきというのはあり得るということが一点と、少なくとも計算値に比べてデータが上に来ているということは、評価自体は、計算の方が全般的に保守的、より厳しい側の評価をしているということが言えると思います。それからご指摘のように対数軸ですから、下の方のデータは、実際よりばらつきが大きくなっているように見えるかと思います。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
あわせて、評価の話を補足させていただきますけれど、今の図にありましたような、不確実といいますか、精度についても、定量的に取り込んでいまして、内圧の評価でいいますと、実際に、ペレットと被覆管が内圧によって剥がされるような状況にならないようにというところを、内圧の基準として設定しています。実際に解析でそれを求めるわけですが、その解析で出た数字に、この不確実さ等を差し引きまして、制限値をより保守的にしているものでございます。ここでも製造公差等も入っていますけども、制限値の方に不確実さ等々を含めて保守的な設定をして、評価をしていますので、制限値を満足すれば大丈夫という風になってございます。
濱本部会長
よろしいですか、武岡先生。それでは燃料集合体の健全性について、ご意見、ご質問ございますでしょうか。
三島委員
燃料集合体の健全性について、燃料被覆管の健全性については、先ほどご質問がありましたので、省略させていただきますけれども、この審査結果の記載を拝見しますと、「ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料集合体は、輸送中に高温となり強度が低下するが、輸送及び取扱い時の荷重を4Gに制限する」とされていますが、実際、輸送の時、トラックに乗せたり、クレーンで吊ったりとか、そういう事で荷重がかかると思いますけど、その荷重を4Gに制限するというのは、実際にはどのように担保されるのか、ご説明お願いします。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
荷重の制限で、少し表現がわかりづらいところで、よくご質問される点で、前回の環境安全管理委員会に出席させて頂いたときにもご指摘を頂いたところでございます。そのときにも多少ご説明申し上げましたが、実際に輸送や取扱い時にどれだけのGがかかるのかというところを評価してございまして、その中で実際には設備的に4Gを超えることはないという状況でございます。ただ、何もしないというのは危ないので、4G制限を明確にしたということでございます。また、その輸送におきましては、実際に何が起こるかわからないということもありますので、その場合にも4Gを超えていないことを確認するために輸送容器のところに荷重計を設けていまして、それによって4Gを超えていないことを、受け入れの時に確認するということで、間違いないようにしてございます。
濱本部会長
その他ございませんか。それでは、次、燃料棒設計コードの妥当性につきまして、何かございますか。
菊池委員
これはコードだけの問題ではないと思うのですが、実際に方々で計算の結果がたくさん出てくるわけですが、この計算は実際どこでやってらっしゃるんですか。それから、その計算は、定性的に確かにそれが妥当だと思われるものもあるでしょうし、やっぱり数値だけしか信用ならないというようなものもあると思うのですが、そういうクロスチェックのようなことは、どこで実際に行われているのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
今回の審査でいいますと、クロスチェックはやってございません。具体的に今回の高燃焼度用のコードにつきましては、ステップ2を採用する際、伊方の平成15年の際の審査において、原子力安全・保安院の中の審査の過程で、今は原子力安全基盤機構となっていますが、そちらの方で解析をして、コードの妥当性を確認しているものでございます。今回は、それを多少モックスの取り込みというところを、改良といいますか、取り入れてる微調整でございますので、クロスチェックまではしていないという状況でございます。
菊池委員
前の時には計算は、これは、原子力安全・保安院でされているのか、保安院がどこかに委託しているのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
クロスチェックですと我々というよりは、今申しました原子力安全基盤機構というところでやっています。
菊池委員
そこが計算をやっているのですか。それがさらに下請けにいっているということはないですね。
原子力安全・保安院 鈴木統括安全審査官
ただいま申しましたように、独立行政法人の原子力安全基盤機構の方でクロスチェックの実施をしてございますので、そこから、また別の機関にクロスチェックを再委託するようなことは全くございません。
菊池委員
そうすると計算自身は、独自の機構の中で、独自にやっていると、そう考えていいですか。
原子力安全・保安院 鈴木統括安全審査官
その通りでございます。
濱本部会長
よろしいでしょうか。その他どうぞ。
三島委員
燃料棒設計コードについての質問ですけれども、先ほど、リム領域については、その効果というのを取り込んでいるという説明だったと思いますが、そのほかにも例えば、燃料ペレットの一部が移動して被覆管に悪さをする、いわゆる、リロケーションとかがあると思うのですけれども、そういう影響も、燃料設計コードの中に入っているのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
こちらもですね、先ほど、リム領域と似たような状況でございまして、リロケーションについては、逆にFPACの方が、より詳細に取り入れてございます。具体的には燃焼初期にリロケーションを起こしまして、早めに被覆管に接触するというようなモデルを組んでございます。その代わり、リロケーション、燃料ペレットが多少くずれて広がるというようなものですけれども、それによって、ペレットの固さというのが弱くなるというようなモデルになってございます。一方で、FINEの方は、明示的には、取扱っていないというものでございますけれども、どちらにしましても、実測値との比較によって妥当性を確認しているというものでございます。
三島委員
そのリロケーションに関しては、モックスもウランも同じような感じなのでしょうか。先ほどの話だと、モックス燃料の方が少しやわらかいといいますか、そういった観点からは、被覆管に及ぼす機械的な影響は小さいのではないかという話があったと思うのですけれども。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
先ほどのは、ペレットが被覆管に接触したときのクリープでございまして、今のあの固いとかっていったのは、クリープではなく、いわゆるペレットの剛性のような話でございます。
三島委員
モックス燃料の方が壊れやすいというか、ペレット自身は、モックス燃料の方がつぶれやすい特性があるという話だったと理解していいのですか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
クリープに関しては、そのようなものでございます。
濱本部会長
その他、どなたかございますか。
三宅委員
プルトニウムの富化度のことなのですが、3分の1モックスというのが報告されている訳ですけれども、実際に日本の中のデータをみておりますと、海外の実績に比べてプルトニウムの富化度の設定の違いというのがあるように思うのですが、それについては、どのように理解すればよろしいのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
ご指摘の通り、日本の方が高いようになっています。ただ、燃焼度でいいますと、大体同じようなところというところで、我々も実績を見たところで、どうして違うのかというところは、検討しています。実際には、モックス燃料というよりも、ウラン燃料でも同様になってございまして、海外に比べて日本の燃料の方が、ウラン235の濃縮度が高くなっています。これは、炉の運転の仕方が、海外と違いまして、海外の方は、持っている反応度をなるべく搾り出そうとするような運転をしています。そのため、燃焼度でいきますとだいぶ上がるというものですけれども、日本の場合は、定期検査が13か月以内にやりなさいということがあったり、定格をずっと出すという運転をしているので、思いのほか燃焼度が上がらないという運転をしています。その観点から、逆に、濃縮度、プルトニウム含有率というものが、高く設定されるものですので、物性的に問題があるから海外は落としている、日本はそんなことを考えずに上げているというわけではなくて、日本の仕様で問題がないことというのは、3分の1モックス報告書ですとか、それまでの試験照射ですとか、その辺りを見ながら確認しているというものでございます。
濱本部会長
その他ございませんか。それでは先に進ませていただきます。大きな項目の2番目、設備の健全性、プルトニウム照射による中性子が増加するということで、設備にどう影響するかでございますが、何か質問ございますか。
三島委員
最初に話がそちらの方に飛んでしまいましたので、設備の健全性に及ぼす高速中性子の影響ということを質問させていただきましたので、設備に関しては、もう質問はありません。
濱本部会長
よろしければ、この項目は終わらせていただきます。先へ進みます。3つ目の大きな項目で原子炉の制御性ということでございます。その中で制御棒及びほう素の効きについてということについて、どなたか質問はございますか。
三島委員
それでは、制御性のことについて質問させて頂きます。プルトニウムの特性から考えると、先ほどのご説明にもありましたように、制御棒とかほう素の効きが悪くなるということで、ご説明では炉心設計上の工夫で、効きを同等にできるというご説明だったと思うのですが、1つは、そういう炉心の配置というのは1つの例で、運転中に炉心の配置が変わると思うのですが、その間、どういう風に制限値を満たしていることを確認しているのかということと、それから、特に制御棒の効きに関しては、反応度の停止余裕ですね、それが1つの目安になると思うのですけれども、これは運転して燃料が燃焼しますと数値が変わってくると思いますが、そのあたりの燃料の燃焼に伴う反応度変化ですか、そのあたりはどういう風に検討されたのか、また、その結果はどうだったか、ご説明願います。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
実際のその核的なものでございますが、ご指摘のとおり、その炉心が変われば、数字が変わります。安全審査においては、無数に考えられる炉心をすべてチェックするというのは不可能でございますので、安全審査においては、その平衡炉心といわれる仮想的な炉心、一般的と思われる炉心を考えて、まずは解析しています。それ以外にも今回ですとステップ2炉心、ステップ2燃料が満杯に入っているような炉心から、モックスを4分の1まで、最大40体を入れるまでの移行炉心といっていますけれども、そのような炉心、また、何か燃料トラブルがあって、取替え時に普通に抜く量より多めに取り出す予定外取り出し炉心というようなものを考慮しまして、その範囲内でも大丈夫であるというような確認をしてございます。また、モックスにつきましては、モックスの組成で、核分裂性のものの量によって、その辺りの影響が変わってきますので、我々の資料で出しましたように、低組成、代表組成、高組成と3つの組成を考えまして、それら3つを見ましても、組成変動してどの程度変わるのかというようなところもチェックしているということでございます。それでも、やはりすべてを確認するというのは、ちょっと厳しいものでございますので、それらにつきましては、安全委員会の原子炉安全専門審査会内規に取替炉心検討会報告書というのがございまして、昭和52年にまとめられているものでございますけれども、具体的には、そういうような核的なパラメータについては、その炉心が決まった時点で、再度評価をして、お示ししました安全解析使用値の中に入っていることというのを確認しなさいということになってございます。こちらの方は、結局は、定期検査のときに、その炉心が固まりますので、その際に、定期事業者検査の中でしっかりと確認をして、国としても確認していくという形にしてございます。
三島委員
今、おっしゃったのは、安全審査の段階では、典型的な炉心を想定して、それに対して基準を満たしているということを確認するということと、実際の運転中の原子炉については、定期検査で、実際構築する炉心配置というのを定めて、それに対して、その炉心による運転中は、制限値が満たせるというのを確認するということですか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
そのとおりです。
濱本部会長
その他、どなたかございますか。それでは、次に進みます。2番目、自己制御性についてですが、これについて、どなたかご質問ございますでしょうか。
三島委員
すみません。ほう素の効きについて 、話を戻して悪いのですが、先ほどのご説明で、ほう素濃度をウラン燃料炉心が3400ppmに対して、4400ppmに上げるということをご説明されたのですが、例えば、原子炉停止とか起動とかの際、使用済燃料ピットについても、ほう素濃度を高くしているように思われるのですが、そういったところのほう素濃度、例えば、運転中でもほう素濃度を変化させているという、そういう事もあると思うのですが、ウラン炉心と混合炉心とで、そういう濃度が、どれくらいの差があるのかを教えていただきたい。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
基本的なところで言いますと、まず、炉心ですが、運転時は濃度は変わっていません。これは燃料配置のところでご説明しましたように、バーナブルポイズンですとか、ガドリニアですとか、そういう中性子吸収体を入れることによりまして、ほう素の量は変えずに、運転できるようにしています。これは1サイクルで出す出力というのは当然決まっていますので、その観点から、ほう素濃度というのは変わるものではないという形でございます。それ以外につきましては、燃料取替用水タンクの濃度を変えていますので、それに付随して、蓄圧タンクの濃度ですとか、ピットの濃度も変わってくるということですが、その辺りは、必要性があるというものではございませんで、燃料取替用水タンクの濃度を上げたことによるものです。ピットの未臨界性につきましては、先ほど原子力安全委員会の方でお示しされたように、純水で解析をして、問題ないことを確認しているというものです。
三島委員
先ほどのご説明で、使用済燃料ピットの未臨界性の解析では、純水にしても実効増倍率が0.98だったと思いますが、その値は、もしも実際に入れているほう素濃度で解析すると、どの程度になるのでしょうか。かなり小さい値になると思うのですが参考までに。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
すいません。安全審査の中では、そこは確認していませんので、もし事業者でやっておられたら。
四国電力 坂井燃料設備グループリーダー
詳細なそういう評価をやっていませんけども、大体、1ppmあたり5pcm程度の反応度価値がございますので、4400ppmですと、4400×5倍のpcm程度という答えになります。ですので、0.22程度下がることになります。これは数字自身は正確な数字ではございませんが、オーダー的にはこの程度だと思います。
濱本部会長
よろしいでしょうか。では、次、自己制御性ということについて、どなたかございませんか。
三島委員
自己制御性については、先ほど、出力が急上昇する解析を示されて、その場合は、ドップラー効果などのフィードバック効果で、すぐに下がると、むしろそのモックス燃料の方が、自己制御性の作用が強くて、早めに下がるということだったのですが、逆に出力が下がるような事象の場合は、今度は逆に出力を上げようとする作用が働いて、それが大き過ぎるとかえって危ない方向に行くのではないかという懸念があるのですが、その辺りはどうでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
動特性につきましては、そういう事も考えまして、増えるときの条件だけではなくて、具体的にはスライド番号の16ですが、10%のステップ上の負荷変化として、増える場合と下がる場合、具体的には、90%から100%の出力に上がる場合と、100%から90%に下がる場合というような解析をしています。また、ランプ上の負荷変化といいまして、1分間に5%ずつ上がっていくような場合、逆に下がっていくような場合というようなこと、また、負荷が変動する事によって、急に、出力を下げないといけないというような、急激な負荷減少というような、5つのケースを考えて解析をしています。その中でも制御性については問題ないと、基本的にはウラン炉心と比べて大きく変わるものではないというものを確認しています。
濱本部会長
その他ございませんか。次に、出力分布特性につきまして、どなたかございますか。
三島委員
先ほどの、制御棒の効きと同じような質問ですが、出力分布特性に関して、ステップ2燃料とモックス燃料を混在させた炉心というのは、やはり、炉心装荷パターンによっては、いわゆる核的ピーキングが大きくなって、一部の燃料で発熱が特に強くなるということが考えられ、また、その核的ピーキング係数は、燃料の燃焼によっても変化すると思いますが、先ほどお示しになった最大線出力密度が、通常の運転中に基準以下に保たれているというのは、どう担保されるのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
最大線出力密度についても、先ほどの取替炉心ごとというような話と同じで、代表的なところで確認させて頂いて、具体的な個々の炉心については、定期検査時に最終的には確認する、制限値を満足していることを確認するということですが、実際にステップ2とモックスを入れたときにどうなるかという話について申し上げますと、今回、審査した中でも、幾つか評価値を、我々のスライドの12ページに載せていますけど、その中の下の2つめ3つめのところに最大線出力密度の評価値、また、ピーキングで水平方向のピーキングであります、FXYNというような数字を載せてございます。これで見ますと、ウラン燃料と大きく変動するようなものではございませんで、これは具体的には、炉心の配置というのは、工夫をしていると言ってしまえばおしまいなんですけど、それぞれの燃料を、炉心全体に散りばめていますので、局所的にモックスを固めているとか、ステップ2の一番新しい元気なものを集めているとかというようなことはありませんので、全体的に見ますと、ピーキングは抑えられているということになるかと思います。ステップ2については、初期の反応度が高いので、ピーキングが立ちやすいというような傾向もございますが、それについては、当然ステップ2の安全審査において確認して、このFXYNという数字を1.52で抑えるということで、安全解析をして妥当性を確認しているというものでございますので、その点については、モックス採用についても変わらないということでございます。
濱本部会長
それでは、4番目のモックス燃料の使用実績ということについて、プルトニウムの富化度、燃焼度の実績についてのご質問をどうぞ。
藤川委員
こちらに書いて頂いていますように、モックスとステップ2燃料を混在させて、伊方で今考えられておられるような、混焼モードの炉が海外にあるということを元に審査も行われているというふうにお聞きしてます。それでこれらの先行例について、出力、それから燃料集合体の数、モックス燃料やウラン燃料などの燃料体数や、取出回数の実績、燃焼度の許可値と実績、それと、炉心の状況が、モックスとステップ2と両方使う事で、何か違いが、普通のウランだけの燃料を使うのと違いがあったかどうかについて、ご説明して頂きたいと思います。また、伊方で今考えられているようなのと、似た炉で、こちらベルギーやフランスと書いておられますけでも、日本でも、ふげんなどが、ちょっと混焼モードとは少し違いますが、かなりモックスも使っておられるので、そういうところで、実際にモックス燃料を使って運転することで、周辺環境の放射線、放射能のレベルに何か違いが出たかどうかも教えて頂きたいと思います。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
まず、海外の実績でございますが、これは、原子炉安全専門審査会といいまして、原子力安全委員会の審議の中で、実績はどうなのかとご質問を頂いて、資料提示をしてございます。その中でお示ししておりますのは、今お話がありましたように、フランス、ベルギーで同じPWRにおいて、似たような使用実績があるということでございます。具体的にそのベルギーの許可の数字で言いますと、ウランの燃料でいいますと、55,000、伊方と同じ55,000MWd/tという許可になっています。その同時に燃やすモックスですが、そちらの方は、伊方よりも多少高めの50,000MWd/tというものが許可されています。実績につきましても、ベルギーにおいてモックスの燃焼度として、49,000というところまで燃えた実績があり、同じようにウランの燃料でいいましても、54,000まで燃えております。委員ご指摘のありましたような、その細かな数字につきましては、海外の炉ですので、なかなかその情報収集ができないところもございまして、実際、今のベルギーの実績につきましても、四国電力において、色々と情報収集をして、集めた数字でございまして、あまり公開されているものでもございませんので、詳細には申し上げられないということでございます。また、実績として、何か周りに問題が無かったかという話でございますけど、被覆管の損傷も含めまして、ウランと特段変わったことは報告はされていません。
原子力安全委員会 近藤原子炉安全専門審査会委員
関連して一言だけ補足させて頂きますと、モックス燃料を使うということで、二つ気にしないといけないことがあろうかと思います。すなわち、それによって、燃料棒が予期しない形で破損することはなかったかということ、あるいは、原子炉の制御が非常に不安定になって運転上の問題が生じることはなかったかという、そういう事例があったかどうかということです。ご存知の通り、原子力発電所でこういった重要なトラブル等が起こった場合には、国際原子力安全機関に報告するというシステムがありまして、こういったモックス燃料のトラブルについては、特にヨーロッパでの発電所の使用経験などにおいては、今のところ、全く報告されておりませんので、そういった問題はなかったであろうと考えております。以上です。
藤川委員
周辺環境への影響も全く認められなかったと理解してよろしいのでしょうか。つまり、放射線の測定結果にほとんど差は無かったと、理解してよろしいのですね。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
特段の報告はございませんので、厳密に比較をしたデータというのを確認しているわけではございませんけれども、問題ないものと思っています。
古賀委員
現在までにモックス燃料の使用実績というのは、認められているわけですけれども、ステップ2燃料とモックス燃料の併用というのは、国内で初めてであるということになります。それで、原子力安全委員会であるとか、原子炉安全専門審査会で審議を行われたわけですけれども、そういう審査の内容というのを、具体的に前の原子炉と比べてどう異なっているのかということと、それから、何を重点的に審議されたのかということについて、お聞かせ願えればと思います。
原子力安全委員会 近藤原子炉安全専門審査会委員
安全審査会の方を担当しました立場から説明させていただきます。基本的に安全審査のやり方ですけれども、モックス燃料を入れるからといって特別なやり方があるというものではありませんで、行政庁である原子力安全・保安院のほうが一次審査を行ったその安全審査書、あるいは、設置者からの申請書、それから、審査の内容、結果、そういったものを行政庁から説明を受けて、それについて調査・審議を行うというやり方です。審査に使う指針についても、原子力安全委員会で定めた安全審査指針類、あるいは、3分の1モックス報告書を使ってやるというやり方は変わりません。今回の伊方におけるステップ2燃料とモックス燃料の併用という日本で初めてのケースにつきましては、一番近い先行の例として、関西電力の高浜発電所の3,4号炉がございます。ステップ1燃料にモックス燃料を追加したもので、先行例としてあります。高浜の場合はステップ1燃料ですから、最高燃焼度が48,000。伊方の場合はステップ2燃料ですので、55,000というその違いがあります。そこで、審査で重点的に行ったポイントは、こういった先行例を参考にした上で、それと今回の変更によって、どういった違いが出るかということでありまして、その具体的な内容は、審査の概要で説明のあった、特に燃料の健全性、原子炉の動特性にどういう影響があるのかというところが中心でありました。また、特に原子力安全委員会のほうで注目したのは、高浜の審査が平成10年、11年頃に終わっているわけですが、それ以降の新しいデータなり、知見なり、そういったものを踏まえた上で、現在でも妥当かどうか、特に燃料設計コードなどに新しい知見が取り入れられているかどうか、その辺りを中心にしたというのが1点目と、それから、先ほど三島先生からのご質問にあった点がもう1点ございまして、現在の伊方3号炉の中にはステップ1燃料がまだ残っているわけです。最終的にモックス燃料を入れていく過程では、いろんな炉心の装荷パターンのバリエーションがあって、そういったものの代表的なものが、きちんと評価されていて、実際にそういった燃料の取り替えが行われるときに、原子力安全・保安院がきちんとそれを確認するという仕組みができているということを確認させていただいたということがございます。それから、もう1点、安全評価についてですが、すなわち運転時の異常な過渡変化及び事故の解析、そこにおきましては、ステップ2燃料と、モックス燃料と、それぞれパラメータや条件が違いますが、それらをより厳しい側に包絡するような安全解析の条件やパラメータが設定されているということを重点的に確認したということです。
濱本部会長
それでは次に、平常時の被ばく、事故時の影響の2点につきまして、何かございませんか。
三島委員
平常時の被ばくについて、先ほどのご説明で、モックスの新燃料はウラン燃料に比べて表面線量率が大きくなるというご説明があったのですが、実際取り扱おうとすると線量がどの程度かということが問題になり、それによって取り扱いが変わってくると思うのですが、実際の表面線量率はどの程度になるのでしょうか。ものによって違うとは思いますが、どの程度でしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
実際取り扱うときにつきましては、先ほどお示ししましたように、取り扱いの場所で、0.15mSv/hを超えないように、新燃料取扱装置というものを使って安全に取り扱いできるようにしているというものでございますが、もとの新燃料の表面線量率でいいますと、約10mSv/h程度となっています。それを新燃料取扱装置で遮へいをすることで、そこまで抑えているというものです。
濱本部会長
その他ございませんか。事故時の影響も含めてどうでしょうか。
三島委員
事故時の影響について質問させていただきたいのですが、これは安全審査の対象外だとは思いますが、過酷事故が発生した場合、慎重派の人々といいますか一般の人たちの一部では、プルトニウムが環境に飛散して、大きな被害を及ぼすのではないかというご意見があると思います。そういったご意見に対して、原子力安全委員会や、原子力安全・保安院はどういった見解をお持ちなのでしょうか。これは、安全審査の対象外であることは承知しているのですが、ご説明お願いします。
原子力安全委員会 中矢安全調査管理官
まず、プルトニウムが実際に飛散するかどうかということに関しては、実際にプルトニウムが飛散するような事故というのは、技術的には考えられないだろうということがあります。ただし、実際にプルトニウムが格納容器の中に放出されたという条件で評価した例が先ほど最後のほうで説明しましたように「プルトニウムめやす線量の適用方法について」という中で検討が行われています。そこでは、プルトニウムが格納容器の中へ希ガスとかよう素と一緒に放出されると仮定しまして、それが、どのくらい周辺環境に影響を与えるかということで評価が行われています。その評価を行った際は、よう素を比較対照として、よう素とプルトニウムのそれぞれの被ばく線量、いわゆる等価線量ですが、どのくらいの影響を与えるかという割合を比較評価したわけです。もし、評価結果としてプルトニウムの影響度合いが、よう素に対する影響度合いよりも、低いという結果が常に得られるならば、よう素の評価線量を見てよう素の線量限度以下に収まっているならば、明らかにプルトニウムによる被ばく線量はプルトニウムの線量限度以下に収まるのではないかという論理のもとで放出量の比較から評価を行ったわけです。当時存在した軽水炉に3分の1までモックス燃料を装荷するという前提で対象とする原子炉全てについてひとつひとつ確認していったわけです。そういたしますと、いずれの軽水炉におきましても、よう素の被ばく線量の被ばく線量限度に対する比率よりも、プルトニウムの被ばく線量の被ばく線量限度に対する比率の方が低いということが判ったわけです。そうしますと、よう素だけを見ておけば、ある程度プルトニウムの影響は、予想がつくということで、そういう評価結果が、報告書としてまとめられています。
三島委員
今のご説明で、まだよくわからなかったのは、プルトニウムが飛散すると仮定して、やられたわけですね。実際の場合、例えば、アメリカのスリーマイル島事故のような事故が3分の1モックス炉心で起こった場合にどうなるのかということは、解析はしてないのかもしれませんが、スリーマイル島事故のデータ等から考えて、どういうことが起こりそうかということは何かわかりますでしょうか。
原子力安全委員会 中矢安全調査管理官
スリーマイル島の事故というのは非常に大きな事故で、炉心の内部において、燃料が溶けて下に落下しているという、被覆管の閉じ込め機能などは一切ないというような状況になったわけです。その中で、格納容器の中に希ガスとかそういういろんなものが放出されたわけですけども、実際に環境中でどういうものが検出されたかというそのデータがあります。希ガスとかよう素というものは環境中でも検出されています。ただし、プルトニウムよりもはるかに外に出やすいと考えられるセシウム、ルテニウムそういったものは検出されていません。そういったことを考えますと、当然あそこは、モックス燃料という形では使っていませんでしたけど、プルトニウムは必ず運転していますので燃料中に存在しています。そういったものが外では検出されていないということを考えますと、ああいう事故が起こったとしても、想像ですが、外に放出されるようなことは考え難いのではないかと考えています。
原子力安全委員会 近藤原子炉安全専門審査会委員
一言だけ補足させていただきます。これは、あくまで安全審査で、こういったいわゆるシビアアクシデントを議論したというわけではないのですが、一般的な話として述べさせていただきます。まずプルトニウムの性質ですが、原子炉の中の放射性物質に、例えばよう素があり、希ガスがあり、プルトニウムがあると、事故が起こると、存在するものは全部出て行くのではないかということを考えがちです。実際は、そういった放射性物質というのは、物質ごとに、動きやすさに大きな差があります。希ガスというのはガスですから、隙間があれば自由に出て行けるわけです。それから注目しておりますよう素というのは、人体に対しての影響も大きいというのもありますが、よう素自体は高いがあって、それから水に溶けやすいという性質もありますから、出てきやすいものなのです。一方、プルトニウムというのは、酸化物ですと、融点が評価上は2,500℃と高く固体状態で水にもほとんど溶けないわけです。そこで、動くためには、例えばそれが蒸発するとどうなるかということになると、沸点は3,600℃とかそういう高い温度です。いくら原子炉の中で、シビアアクシデントというようなことを考えて、スリーマイル島の事故というのがありましたが、燃料が溶けたとしても、それは液体としてそこにあるわけで、大量に蒸発して出て行けるような物理的な状態になっているわけではありません。結果として何も検出されなかったということは、そういうことであろうと思います。ですから、原子炉の中に物質があるということと、それが、動きやすくて外に出て行きやすいものかどうかというものとは、少し区別して考えなければいけないと思います。
有吉委員
保護系のことで少しお聞きしたいのですが、1,2号機に関しては、保護系が2out of 4で変わるということで、審査されていますが、3号機の場合は保護系はどうなっているのか、その安全性はどうなのかという点は、何も書いていないのでお聞きしたい。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
変更許可ですので、変更があったものについて書いてあるということです。具体的に3号ですと、1,2号と同じように、2out of 4を基本として、信号の内容につきましても、1,2号で変更になった形のものです。それをベースに安全解析をしています。
濱本部会長
次に使用済モックス燃料の貯蔵について、何かございますでしょうか。
古賀委員
モックス燃料の使用済燃料についてですが、実際にステップ2燃料及びモックス燃料というかたちで、使用済みになった燃料について再処理をするという基本方針が検討されていることになるわけですが、モックス燃料は、ウラン燃料と比べて、長時間熱を出し続けるとか、使用済燃料ピットの中に貯蔵される期間が相当長いことが考えられます。このモックス燃料の今後の処分の見通しというものが、どうなっているのかということと、もう1点は、再処理について、東海村の再処理工場であるとか、フランスであるとか、既に実績が積み重ねられていると思いますが、その実績状況と、それらについて、技術的には確立されているかということについてどうなっているのか、お伺いしたい。
経済産業省 野口大臣官房参事官
使用済のモックス燃料の再処理の実績ですが、今お話がございましたように、フランス、それから日本でも実績があります。実際、把握している範囲で、フランスで約22トンぐらい過去に実績がありますし、日本でも24トンくらい実績があります。その意味では、技術的には再処理をすることが可能であると理解しています。実際、この使用済みのモックス燃料の処分についてどうかということでございますが、今お話がございましたように、私の最初の説明でも触れましたように、原子力委員会で、原子力政策大綱というものがまとまったというお話をさせていただきましたが、その中でも、この使用済みのモックス燃料についての検討方法についてまとめておりまして、現在、青森県の六ヶ所村で、再処理工場を建設して、最終的な試験を行っているという状況ですが、これらの運転の実績なども十分に勘案した上で、2010年頃から、処理の方策について検討を行っていくという予定にしています。
三島委員
今の政策に関連してですが、先ほどプルトニウムを確実に利用していくということで、プルサーマルが必要だというご説明が一番最初にあったかと思いますが、もし、プルサーマルをやらなければ、政策上どうなるのかということについて、ご説明をお願いします。
経済産業省 野口大臣官房参事官
既にご存知のように海外に再処理委託していまして、プルトニウムを回収しているという状況です。さらには、国内におきましても、現在、六ヶ所村で再処理工場の、最終的なアクティブ試験を行っているという状況です。仮に再処理だけが進んで、プルサーマルが行われないということになると、プルトニウムが貯まり続けるという状況になっていくということです。
三島委員
それで、プルトニウムが貯まり続けると、どういう不都合が生じるのでしょうか。
経済産業省 野口大臣官房参事官
プルトニウム自体、我が国は平和利用に徹してやっているわけですし、その管理も十分に行っているということは、国際的にも認められているところですが、国際的にはやはり、平和利用以外の目的に使われるという疑念が生じる可能性がありますので、そういったことが生じないように、我が国としては、原子力委員会のほうでも、利用目的のないプルトニウムは所有していかないということで、きちんとした利用計画を内外ともに発表しながら、そういった疑念が生じないように、きちんと進めていくということにしています。
濱本部会長
今のは基幹に関する問題だと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、この問題は、最後に触れていただくかもしれませんが、次に進みます。地震への対応というところに入ります。地震についてどうでしょうか。
藤川委員
原子力発電所の耐震設計について、国でこの間のいろんな動きを受けまして、見直しを進められておられると聞いていますが、具体的には、直下地震でマグニチュード6.5を考慮して耐震設計するものを、より厳しい条件に、つまり想定される最大規模の地震を考えなさいという風に変えられると伺っておりますが、伊方では、このように国の方針に変更があったとして、実際にマグニチュード6.5直下型より大きな地震があり得るのかということと、もし、それが、あるのだとすれば、今の耐震設計で、より大きな地震に耐えられるようになっているのかについて四国電力に教えていただきたい。
四国電力 石﨑常務取締役
マグニチュード6.5、ガルで言いますと、350、370ガルぐらいです。伊方の場合は、473ガルが最大ということで、中央構造線の動きをベースに473ガルで耐震安全性を確認しているので、その範囲内は十分耐震安全性は確認しているということです。
濱本部会長
はいどうぞ。
三島委員
今のご質問に関連して、耐震設計については、新しい知見を反映して、最近、地震調査研究推進本部のほうでいろいろ調査されて、新しい活断層が見つかったという話を伺っていますが、先ほどの説明の中で、前面海域の活断層や中央構造線の影響も考慮しているということですけども、そのような新しい知見を反映して設計震度を決めたということなのでしょうか。
四国電力 石﨑常務取締役
設計震度は、設置許可申請のときに、設計震度をこうしますというものがありますので、それをベースにしていますけど、その後、新しい調査結果が出たことに対しては、その都度耐震性が大丈夫かというのを見直してチェックをして、安全上問題ないことを確認しています。具体的には、S1地震については、申請書上では221ガルですけれども、平成9年に、S1、350ガルということで、見直し、チェックをしています。平成15年には地震調査研究推進本部で中央構造線が四国から紀伊半島まで360kmぐらい動く可能性も否定できないという話がありましたので、それに対しても評価をしなおして、今の設計のベースに入っているかどうか、耐震上問題がないかということを、その都度、予防保全的に、自主的に評価をして、問題ないことを確認してきたという状況でございます。
有吉委員
国のほうにお聞きしますが、この前の志賀2号機の運転差し止め判決に関してですが、新聞等情報によりますと、判決内容では、邑知潟断層の影響を考えてないということ、それは志賀2号固有の指摘以外に先ほどちょっと出ましたS2の評価対象としているマグニチュード6.5は小さいということと、もうひとつ、原発敷地内の地震動を想定する手法である大崎の手法というのは、実際の観測結果と整合性がない、妥当性がないという指摘があったようですが、そういう耐震設計審査指針そのものに対する問題点が指摘されているわけですが、そのあたりどのように考えているか、原子力安全・保安院と原子力安全委員会の両方からお話いただければと思います。
原子力安全委員会 中矢管理官
原子力安全委員会におきましては、耐震設計につきましては、実際に指針ができてから随分時間が経っておりますので、そのことを十分承知しておりまして、見直す必要があるということで、平成13年から耐震設計審査指針を見直してきているわけです。このほど、ほぼ終盤に近づきつつありまして、それができました段階におきましては、直下の地震の考え方とか、そういった最大の地震力の考え方とかも、設計の仕方が見直されていますので、志賀判決で言われたような点については、ほぼ解消されているのではないかということで期待しています。
有吉委員
いつ頃までを予定しているのですか。
原子力安全委員会 中矢管理官
原子力安全委員会として、いつまでにということは、とにかく早くやってほしいということを願っているわけですが、これは、専門の先生方にご納得いただかない限りまとまりませんので、言明はできないですが、ほぼ終盤に差し掛かりつつあると考えています。
武岡委員
その都度確認しているということですが、具体的にはどんなことをされているのか。その都度補強してということではなくて、最初から473ガルをクリアしていたということなのでしょうか。
四国電力 石﨑常務取締役
両方ありまして、その都度、今まで3回ほど再確認しているのですが、その都度評価をしなおして、設備が大丈夫かを見ている。それで、設備に余裕がちょっと乏しいなというものは、その設備を取り替える時に、一緒に、補強といいますか、余裕を持たせる工事をしています。具体的にどういうことをしたかといいますと、平成7年の時ですけども、そのときは、1、2号について、その3号の設計基準動でもつか、もたないかというのを評価して、安全上問題なかったと見ています。平成9年のS1地震について、10万年よりも速く動いている可能性が敷地前面の海域の断層の分ですけれども、可能性も否定できないということで、それを踏まえて、S1地震を見直そうということで、221ガルから350ガルということで、見直した状態で、1、2、3号全部評価した結果耐震安全上は問題なかった。3番目が、360km全体が動いた時の評価を行なって、そのときの地震動でも1、2、3号の安全性はどうなのかという評価をして、問題ないということを確認したわけでございます。
武岡委員
もともと計算するときに最低ラインをクリアするかどうかだけチェックされていたのか。つまり、もともと最初の設計でも220が350でもクリアしていたということか。
四国電力
そういうことです。余裕があるということを確認しています。
武岡委員
400いくらとかも最初の設計ではクリアしていたということか。
四国電力 石﨑常務取締役
そういうことです。評価そのもののやり方も進歩していますから、昔のやり方ではなく、今は、非常に細かい評価をやっています。
濱本部会長
よろしいですか。地震の問題。
三島委員
耐震安全性については、耐震設計上は重要度分類でAsとかA、B、Cとかに分類されていて、例えば、使用済燃料ピットというのはAsで、その使用済燃料ピットの冷却設備というのはBクラスというふうになっていると思います。それで、もし、Asクラスの地震が来た場合に、Bクラスの冷却設備は壊れ冷却機能がなくなる恐れがある。先ほどの話だと、モックス燃料は、しばらくたつと、ウラン燃料に比べて、発熱が大きくなるという話があったのですが、仮にそういう地震が来たとしても、その使用済燃料の健全性については、特に問題は起こらないのでしょうか。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
重要度分類の考え方になるかと思いますが、使用済燃料の貯蔵に関して何が重要かといいますと、未臨界性になりますので、未臨界が担保されていれば、出力が出ませんので、冷却としては、だいぶ楽なものとなります。ということで、水が貯まっていれば基本的には問題ないということです。もしそれが長時間になると、温度が高くなりすぎて水が蒸発するという話になりますので、その点については、補給水系を用意しています。そちらで蒸発した分の水を追加することで、未臨界性を担保しているということでございますので、その点では、その冷却系についてはBクラスでよいという形になってございます。
濱本部会長
その他ございませんでしょうか。次の安全審査の判断基準というところは、これまでの設備だとか燃料の健全性、安全性というところで、ご議論いただいたと思いますが、特にございませんでしょうか。その他、はいどうぞ。
三島委員
少し細かな質問になりますが、今、部会長がおっしゃったように大体議論は出たと思いますが、ステップ2燃料とモックス燃料という特性が違う燃料を混在する炉心の解析、特に核計算などの解析は予測精度が悪くなると思いますが、例えば核的ピーキングとか制御棒の反応度価値とか、そういったものの予測精度とか、計算結果の妥当性というのは、どういう風に確認されたのか説明をお願いします。
原子力安全・保安院 古作安全審査官
当然、制限値等決めるときに、その精度というものは、十分認識をして、それを考えても大丈夫なように設定されてございます。その観点でモックス燃料が入ったことによって精度がどうなのかということでございますが、結論から言いますと、実際にそのモックス燃料を入れた体系を考えまして実験をしたりとか、実際の炉心での実績を見たりということで、評価をしてウラン炉心と変わらないということを確認してございます。
藤川委員
今回の計画につきましては、地域の住民の皆様といろいろ、説明をして対話をしていたことがあると思うのですが、それにつきまして、国などが説明会をしていただけるんだと理解していますが、その実施時期や、場所などのご予定をわかっていれば教えていただきたいということと、今日の審議事項にしましても十分技術的に難しいことを話しておりますが、それをわかりやすく伝えることとか、いろんな立場の方と幅広く対話するために、どういう工夫を考えておられるかについてもお聞かせ願いたいと思います。
経済産業省 野口参事官
プルサーマルを実施していくということのためには、安全確保というのは大事ですし、それから住民の方々にも十分にご理解をいただくということが、大変大事なことだと考えてございます。そのためには、プルサーマルの必要性、それから今日の議論の大部分を占めてございました安全性につきまして、きちんと住民の方々にもご説明をし、また、住民の方々のご疑問にもお答えをしていくということが大切だろうと思っておりますので、これは、愛媛県、それから地元の伊方町ともよくご相談をしながらできるだけ早く、そういった機会を設けるように国の方としても考えていきたいし、これから調整を進めていきたいというふうに考えてございます。その際には、今お話がございましたように、お聞きになるのは一般の住民の方々でございますので、できるだけわかりやすく、専門用語もなるべく使わないような形で、ご説明できればと思いますけれども、特に安全性につきましては、なかなか難しいところもございますが、できる限りわかりやすくご説明をし、またお答えもしていきたいと考えてございます。
濱本部会長
県の方としては、特にお考えでしょうか。公開討論会等については。
近藤原子力安全対策推進監
先ほど、国から我々にも相談を頂いて国としての公開討論会を実施の方向で検討いただけるということでございますので、以前から申し上げておりましたように、国の開催状況を踏まえて、我々としても実施する方向で検討させていただきたいと考えてございます。
原子力安全・保安院 鈴木統括安全審査官
原子力安全・保安院から一言補足させていただきます。今日の説明でございますが、極めて専門的な言葉を早口でご説明させていただきまして、非常にわかりにくかったと思うところは反省しているところでございます。また、今日は技術専門部会ということで、若干、技術的なところをご説明しながら、安全性を先生方にご審議いただきたいということでございましたので、このようになってしまったわけでございます。原子力安全・保安院では、規制における一層の透明性の向上ですとか、あるいは説明責任を果たすということを最重要課題として取り組んできております。県民の皆様の前で、またご説明をする機会があると思っているところでございますが、先ほど資源エネルギー庁のほうからも話がございましたように、できるだけわかりやすい、専門用語を、極力、噛み砕いた形でご説明するという広報の仕方を心がけて参りたいと思います。
濱本部会長
ありがとうございました。四国電力としては、住民理解というか、みなさんの理解を深める努力は何かされてますか。
四国電力 石﨑常務取締役
もちろん我々事業者としても、これを進めるにあたりましては、住民の方々にご理解いただくということが最重要課題でございます。安全を最優先にして、なおかつ内容について、具体的には訪問対話活動というか、各家庭を回って説明をしていく、あるいは20ある市町に説明をしていく、あるいは愛媛県内の77万戸の各家庭に許可をいただいたという話を入れております。そういう色々な機会を通じて、今後、ご理解いただけるように進めていきたいと考えております。
濱本部会長
どうもありがとうございました。それでは、大変時間も遅くなっていて予定時刻を過ぎておりますが、このあたりで今日ポイントになることは整理して、一応ご審議いただいたと思っておりますが、まだ足りないところもあろうかと思います。今日はこれで終わらせていただきたいと思いますが、今後、この技術専門部会を進めることについて、どういう方向で進めていくか、ご意見があればお願いします。
有吉委員
本日の会では、プルサーマル計画の重要な論点について、審議してきたわけですが、一日の審議だけでは不十分な点があると思いますので、各委員のほうで、更に安全審査結果を検討していただいて、その検討結果を踏まえて再度その審議、確認作業を進めたらいかがかと思います。
濱本部会長
ありがとうございます。三島先生ございますか。もうよろしいですか。大体、今後の審議の進め方というのは、今、有吉先生が言われたような方向で進めていければと思います。では、今後更に各委員において、安全審査結果の検討等を行うとともに、国、県、四国電力の住民理解活動等も踏まえて、伊方3号機のプルサーマル計画の安全性について、審議・確認作業を進めることにしたいと思います。また、委員の皆様方には、本日の資料等をお持ち帰りになって、更にご検討いただいて、疑問点等ありましたら事務局までご連絡をいただくようにお願いいたします。委員の皆様からいただいたご意見、ご質問については、本日の会議の議論を含めて事務局でとりまとめて、国と関係機関に照会して、次回の会議で報告させていただきたいと思っております。こういうことで今後よろしいでしょうか。それでは、そのような方向で進めたいと思います。また、本日ご出席の国、四国電力、県に対しては、この際、次のように併せてお願いしておきたいと思います。国においては、今後、公開討論会を開催する計画とのことですが、本日の会議の論点等も参考にしていただいて、わかりやすい説明に努められ、立地地域住民や県民の理解促進に努めていただきたい。四国電力においても地域における説明会を開催するなど住民理解活動を実施して進めていただきたい。それから、県においては、国の公開討論会の開催結果等を踏まえ、県独自の公開討論会も検討していただきたい。以上、今日のとりまとめということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
それでは、これで本日の技術専門部会を終了いたします。次回の会議につきましては、今申しましたように、公開討論会であるとか説明会というものが、これから行われていくと思いますので、そういうものの成り行きも踏まえまして、できるだけ早い機会に次の技術専門部会を開いて、今日尽くせなかった論点であるとか、その問題点、国から回答いただいたようなことがあれば、その次の会で審議をしていきたいと思います。長時間の会議となってしまいましたけど、熱心なご討議ありがとうございました。
(閉会)
伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第
日時 平成18年4月26日(水曜日)13時30分~
場所 愛媛県議会議事堂4階 農林水産・建設委員会室
1 開会
2 議題
伊方3号機のプルサーマル計画について
(1)伊方3号機プルサーマル計画に係る経緯について
(2)国からの説明
- プルサーマルのエネルギー政策上の必要性等について
- 伊方発電所の原子炉設置変更許可について
- 伊方3号機のプルサーマルの安全審査結果について
(3)論点の整理
(4)質疑、応答
(5)今後の進め方
3 閉会
資料目次
- 1 伊方3号機プルサーマル計画に係る経緯について
- 2 プルサーマルのエネルギー政策上の必要性等について(経済産業省資源エネルギー庁)
- 3-1 伊方発電所の原子炉設置変更許可について(経済産業省原子力安全・保安院)
- 3-2 四国電力株式会社伊方発電所の原子炉の設置変更(1号、2号及び3号原子炉の変更)に係る安全性について(経済産業省)
- 4-1 伊方3号機のプルサーマルの安全審査結果について(原子力安全委員会)
- 4-2 四国電力株式会社伊方発電所の原子炉の設置変更(1号、2号及び3号原子炉施設の変更)について(答申) (原子力安全委員会)
- 4-3 「四国電力株式会社伊方発電所の原子炉の設置変更(1号、2号及び3号原子炉の変更)に係る安全性について(平成17年7月経済産業省)」に関する意見について(原子力安全委員会)
- 5 伊方3号機プルサーマル計画に関する審議のポイント(論点)
- 6 伊方原子力発電所環境安全管理委員会委員名簿
- 7 伊方原子力発電所環境安全管理委員会設置要綱
- 8 伊方原子力発電所環境安全管理委員会傍聴要領