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- 平成18年度(2006年度)
- 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2006年9月12日開催)
伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要
1 日時
平成18年9月12日(火曜日)10時00分~11時15分
2 場所
愛媛県議会議事堂4階 農林水産・建設委員会室
3 出席者
委員10名(別紙名簿のとおり)
4 議題
(1)平成17年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2)平成17年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3)伊方3号機プルサーマル計画について
5 審議等の内容(全部公開)
(定刻になり、開会)
事務局
それでは定刻となりましたので、伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会を開催いたします。はじめに、傍聴者の方に、遵守事項を申し上げます。会議の開催中は、静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影、録音等はしないこと。その他会議の秩序を乱す等の行為をしないこと。となっておりますので、よろしくご協力をお願いいたします。また、携帯電話をお持ちの方は、マナーモード等に設定して頂ければと思います。よろしくご協力をお願いします。なお、本日は、菊池委員さんが都合により欠席されています。森委員さんは少し遅れるいうことでございます。それでは、濱本部会長さん、議事進行をよろしくお願いいたします。
濱本部会長
平成17年度の伊方原子力発電所の周辺環境放射線等調査結果について。それから、17年度の伊方発電所の温排水影響調査結果、これについてご審議頂きます。それでは、先生方のところへは事前に資料をお送りして、検討していただいていますが、事務局の方からご説明願います。
近藤原子力安全対策推進監
平成17年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果でございます。資料1をお開きください。調査結果の概要で、ご説明を申し上げます。この調査結果は、「平成17年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画」に基づきまして、平成17年4月から平成18年3月までの1年間、愛媛県及び四国電力株式会社が調査を実施したものでございます。平成17年度の調査結果につきましては、これまで四半期毎に技術専門部会でご検討・評価をいただき、その都度、委員の皆さまにご報告の上、公表をさせていただいておりますが、今回、1年間の調査結果について評価し、取りまとめたものでございます。
まず、「Ⅰの環境放射線等調査結果」につきまして、概要の1の「空間放射線レベル」から、ご説明申し上げます。(1)の「線量率」でございますが、発電所からの予期しない放射性物質の放出を監視するため、愛媛県8か所、それから四国電力5か所において、常時、空間放射線量率を測定いたしております。その測定結果は、最高が48~80nGy(ナノグレイ)、最低が11~24nGy、平均が13~26nGyの範囲でありました。この線量率につきましては、降雨による自然放射線の増加に伴い、上昇する傾向がありますことから、降雨時と降雨時以外に分けて評価を行ってございます。平成17年度、降雨時において、平常の変動幅とされる「平均値+標準偏差の3倍」を超えた測定値は、いずれも、降雨に対応して線量率の増加が発生していること。それから、発電所を中心に設置された異なる方位のモニタで同時に増加が観測されていること。また、ガンマ線スペクトルから自然放射性核種によるピークの増加がみられるが他の特異なピークは認められないことから、降雨による自然放射線の変動と判断をいたしました。また、降雨時以外おいて、平常の変動幅とされる「平均値+標準偏差の3倍」を超えた測定値につきましても、降雨時と同様の評価を行いましたが、ガンマ線スペクトルに自然放射性核種による上昇はございましたが、人工放射性核種による特異なピークは見られないことから、原子力施設の影響はなかったと判断をいたしました。これらのことから、平成17年度の線量率測定結果からは、原子力施設からの放出と考えられる線量率の変化は認められませんでした。ページをめくっていただきまして、概要(2)の「積算線量」でございますが、空間放射線による外部被ばくの状況を知るために、伊方発電所の周辺地域におきまして、県が29地点、四国電力が25地点の合計54地点で、四半期毎に積算線量を測定しております。各地点の17年度1年間の積算線量は、県測定29地点においては312~517μGy(マイクログレイ)であり、四国電力測定25地点におきましては356~508μGyとなってございます。また、各地点ごとの四半期測定値は、いずれも過去の測定の「平均値+標準偏差の3倍」を超えるものはなく、自然変動の範囲内であり、四国電力の測定値についても、同様でございました。
次に2の「環境試料の放射能レベル」についてでございます。これは、発電所周辺の河川水、土壌、植物、海産物等の放射能レベルを見るために、核種分析及び全ベータ放射能測定を実施しているものでございます。 平成17年度の測定結果は、表のとおり、昭和50年度から平成16年度までの過去の測定結果と同程度でございまして、特に高い濃度は検出されておりません。
3の「大気圏内核爆発実験等の影響」については、昭和55年以降、大気圏における核爆発実験がなく、昭和61年にチェルノブイリ原発事故の影響で、一時的に放射性降下物が増加いたしましたが、その後は減少しております。なお、松山地域につきましても、同様の傾向となっております。
続きまして3ページ目の「4 蓄積状況の把握」でございます。県が土壌3地点、海底土2地点、四国電力が土壌3地点、海底土2地点で代表的な人工放射性核種でありますセシウム-137について測定を行っております。結果、大気圏内核爆発実験等の影響によりまして、伊方発電所1号機の運転開始の昭和52年9月前から、セシウム-137が土壌中に検出されておりますが、本年度も蓄積傾向は認められませんでした。また、伊方地域の海底土についても、同様に蓄積傾向は認められてございません。
次に5の「環境調査結果に基づく線量の評価」でございますが、伊方地域における環境調査結果から推定した線量の評価結果は、積算線量を基にした年間外部被ばく線量が0.25~0.37mSv(ミリシーベルト)、農水産食品中の放射能濃度を基にした内部被ばく線量が0.00017mSvでありまして、過去の評価結果と同じ程度で問題ない値となってございます。
以上、平成17年度における環境放射線等の調査結果は、いずれの項目につきましても特異なデータはなく、問題となるものは認められませんでした。
次に、大きな2つ目、Ⅱの「放射性物質の放出管理状況に基づく線量評価結果」でございますが、発電所からの放射性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物の放出に伴います周辺公衆の線量は、年間0.034μSvで、安全協定の努力目標値、年間7μSvを大きく下回っております。
最後に、Ⅲの「放射性物質の環境挙動に関する調査研究」についてでございます。調査研究といたしまして、極低濃度レベルにおける放射能監視の可能性を検討するとともに、全国の放射能レベルの実態把握と本県の放射能レベルの評価を行うため、「サメに着目した放射能レベルの調査研究」を実施しておりまして、17年度は愛媛大学と共同でこれを行っております。放射性核種分析、それから安定同位体分析、微量元素分析等の調査を実施した結果、17年度は、シロザメはセシウム-137濃度が高く、体長の大きいものが捕獲されていることから、監視の指標生物として適していることが分かっております。当該調査研究につきましては、18年度も引き続き実施し、極低濃度レベルの放射能監視の可能性を検討をすることとしてございます。
以上で平成17年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果についての説明を終わります。
濱本部会長
ありがとうございました。続いて、水産課の方から、温排水影響調査結果をお願いします。
鶴見水産課長
平成17年度の温排水影響調査結果について、ご説明をいたします。調査の実施状況と結果については、資料2の表紙の調査結果概要表にとりまとめましたので、ご覧頂きたいと思います。本調査は、愛媛県と四国電力がそれぞれ実施しておりまして、愛媛県調査分は、従来どおり愛媛大学に調査を委託しております。調査内容は、水質調査、水温調査等を年12回、流動調査および拡散調査を年2回、付着動植物調査を年4回実施しています。また、温排水の漁業に及ぼす影響をみるために、八幡浜漁協の有寿来、町見、瀬戸の3支所で漁業実態調査を周年実施しています。なお、調査測点は、資料2の2、3ページをご覧頂きたいと思います。次に四国電力の調査内容は、水質、水温、流動、底質等の調査を年4回実施しています。これらの調査測点につきましては、資料2の6~20ページをご参照ください。
次に、水質調査結果について報告いたします。愛媛県が実施しました水質調査の結果を見ますと、表層水温は12.0~25.9℃、pHは7.9~8.5、CODは検出限界以下~1.20mg/l、塩分は32.86~34.62、透明度は6.0~16.0mの範囲で推移しています。一方、四国電力が実施しました水質調査の結果を見ますと、表層水温は12.2~25.4℃、pHは8.1~8.2、CODは0.1以下~0.4mg/l、塩分は33.05~34.33、透明度は6.0~16.0m、DOは5.8~9.0mg/l、ヘキサン抽出物質は0.5mg/l未満、全窒素は0.094~0.273mg/l、全リンは0.008~0.029mg/l、浮遊物質量は0.5未満~3.7mg/lの範囲で推移しています。これらの数値は、県の調査結果、並びに過去の調査結果と比較して、特に異常は認められませんでした。また、流動調査の結果は、愛媛県が0.00~0.77m/sec、四国電力が0.00~0.80m/secとなっており、これらについても特に異常は認められませんでした。
次に、放水口から出された温排水の拡散状況を見ますと、温排水の影響と考えられる1℃以上の水温の上昇範囲は、愛媛県の5月の調査では、最大0.05km2、10月の調査では、最大0.04km2となっています。一方、四国電力の調査では、透過堤周辺の水温上昇範囲は、5月に0.07km2、8月に0.01km2、11月に0.15km2、2月に0.07km2となっています。これらの結果から、県の調査及び四国電力の調査とも温排水による1℃以上の水温上昇が確認されましたけれども、その範囲は過去の観測値の範囲内で、放水口付近の部分的な海域にとどまっておりまして、特に異常は認められませんでした。また、四国電力が実施しました底質調査の結果ですが、これらの数値におきましても、過去の調査結果と比較して、特に異常な数値は認められませんでした。
次にプランクトン調査の結果ですが、愛媛県の調査では、プランクトン沈殿量は、海水1m3当り0.32~30.09mlとなっており、動物プランクトンの乾燥重量は、海水1m3当り6.93~365.11mg、植物プランクトンは、6.42~118.20mgとなっています。また、四国電力が実施した調査結果については、その種類などに特に異常は認められませんでした。また、付着動植物調査の結果は、昨年と同様、各調査定点ともクロメが優占種となっており、愛媛県、四国電力のいずれの調査も異常は認められませんでした。
このほか、四国電力が実施した魚類の潜水目視調査及び磯建網による捕獲調査、動植物プランクトン及び魚卵、稚仔魚の取水口への取り込み調査の結果についても、異常は認められませんでした。
最後に、漁業実態調査の結果ですが、八幡浜漁協の有寿来、町見、瀬戸の3支所からの漁獲報告では、いずれの支所の漁獲とも問題ないものと考えております。なお、詳細な調査結果につきましては、後ほど報告書をご覧頂きたいと思います。
以上が平成17年度の温排水影響調査結果の報告でございます。よろしくお願いいたします。
濱本部会長
ありがとうございました。ただいまのご説明について、どなたかご質問、ご意見ございましょうか。辻本先生、放射線調査結果について、御専門の立場からいかがですか。
辻本委員
一応、周辺環境放射線調査結果を一通り見させていただきました。そうしましたら、一応、概要に、資料1の概要で述べられましたように空間放射線のレベル、又、環境試料の放射能レベル、それから放射性物質の放出管理に基づく線量評価結果、これらのいずれをとりましても、これまでの測定結果と比較いたしまして問題になるような測定値ではございませんでした。それから、モニタリングポストによりまして連続測定しておられますが、降雨による、連続測定の結果、降雨によりまして上昇いたします。その時にもちゃんと発電所2ヶ所以上のモニタリングの結果と比較したり、それから、ガンマ線スペクトルをとられまして、自然放射線の増加であると、というようなことで人工放射線の核種の特異なピークは認められないと、いうようなことをちゃんと確認しておられます。データからもそれは確認できます。それから、降雨以外にいたしましても、少し高い、自然放射線の高いところがございましたが、それについてもガンマ線スペクトルで調べられまして、人工放射性核種による特異なピークはないということを認めておられます。このような結果から、資料1に述べられたように原子力施設の影響はないものと判断いたします。
濱本部会長
どうもありがとうございました。古賀先生、いかがでございますでしょうか。
古賀委員
原子力発電所の周辺環境放射線等の調査におきまして、よく計画、実施されまして、年報としてとりまとめられておられますけれども、それ以前にも四半期ごとの測定結果では原子力施設からの影響とされるような異常値はなかったことを確認しておりますし、それから、年報に報告されていますそれぞれの図表等で自然放射線の変動範囲の影響であることが再確認されましたので、平成17年度の調査結果は平常値で問題ないと思われます。
濱本部会長
どうもありがとうございました。藤川先生、何かご意見ございますか。
藤川委員
愛媛県さんが今までの海底土や、それから陸上土壌中のセシウム-137の推移をとりまとめていただいております。これを拝見いたしますと、人工放射性核種ですけれども、これは大気中核実験によるものとして非常に自然な減衰の傾向を示しておりまして、伊方原発からのですね影響とみられるような特異な核種も見つかっておりませんし、減衰傾向も非常に順当であります。ですから、発電所からの放出管理や放射性物質の環境中での蓄積状況については非常に良好な状態にあるのではないかと思います。
濱本部会長
どうもありがとうございました。その他、環境放射線調査結果については、ございませんですか。それでは温排水影響調査結果について、武岡先生、ご専門の立場からいかがですか。
武岡委員
データを見させていただきましたが、水質、水温調査をはじめ、各調査項目とも、過去のこれまでの調査結果と比較して特段に異常な数値は出ていないものと思います。ということで、昨年度は、特段異常な出来事は起こっていないと判断いたします。
濱本部会長
ありがとうございました。その他、特にご意見ございますでしょうか。なければ、当部会の意見として、平成17年度の環境放射線等調査結果、それから温排水影響調査結果については、これまで「過去の調査結果と同じ程度であり、特に問題となるものは認められない。」ということで、午後の安全管理委員会に報告するようにしてよろしゅうございましょうか。
(異議なし)
どうもありがとうございました。
それでは次に、議題3「伊方3号機のプルサーマル計画」についてご審議いただきたいと思います。8月10日の技術専門部会で出された質問について国等からご回答いただいて審議いただいた訳ですけれども、その時、菊池先生と、それから仲井先生、ご欠席でしたので、菊池先生からは、回答をとりまとめて菊池先生に事務局の方からお送りしまして、その回答を了承する旨のご回答を頂いておりますけれども、仲井先生、いかがでございましょうか。
仲井委員
定量的なですね、ご回答を要求していたつもりだったのですが、そういう意味で少しご回答が一部欠けているような気がするところがあります。詳しいことはまた、今ここでは、あれですね。要するにですね、腐食関係のことで、少し定量性に欠けているということで、私、もう少しご回答をいただけるものと思っています。
濱本部会長
後で論点ごとに、とりまとめていきたいと思いますので、その時に。
仲井委員
分かりました。
濱本部会長
じゃあ、どうもありがとうございました。この前、論点ごとにご審議いただきましたけれども、その時にいろんなご意見、国、県、四国電力から回答いただいて、各委員の皆さんから論点ごとにいろんなご意見を頂いて、それを私と事務局の方でとりまとめて、案を作って先生方のところに、一応、お送りして、そして修正・整備して頂いたものをまとめて、今日、資料として出してありますので、それについてご審議頂きたいと思っております。よろしくお願いします。まず、その整理したものについて、事務局の方からご説明をお願いいたします。
近藤原子力安全対策推進監
資料3に基づきましてご説明をさせて頂きます。伊方3号機プルサーマル計画の安全性についての意見(案)でございます。括弧書きで日付抜きでありますが、伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会、一番目、審議の経過でございます。
1.審議の経過、伊方3号機プルサーマル計画については、平成16年6月1日に技術専門部会を開催し、「プルサーマルの基本的な安全性は認められる。」、「個別炉としての国の安全審査を踏まえ改めて審議することが必要。」等の意見を提出した。その後、原子力安全・保安院における一次審査及び原子力安全委員会における二次審査を経て、伊方3号機のプルサーマル計画については、設置変更後の安全性は確保し得るとして、経済産業大臣から平成18年3月28日に許可された。技術専門部会としては、国の設置変更許可を踏まえ、安全性に係る審議を再開し、4月26日には第1回会議を開催し、経済産業省及び原子力安全委員会から安全審査の結果について説明を受けるとともに、燃料の健全性、原子炉の制御性、地震への対応など9項目の論点を抽出し、国の安全審査結果の検討を行った。また、6月4日の国のプルサーマルシンポジウムには7名の委員が、それから7月23日の県のプルサーマル公開討論会には8名の委員が参加し、プルサーマルに推進・慎重の立場の学識経験者の様々な議論や、会場参加者の疑問点や意見を、直接聴取した。8月10日には第2回会議を開催し、公開討論会における議論、意見等を踏まえ、引き続きプルサーマルの安全性について検討を行い、特に、伊方発電所の耐震安全性とプルサーマルとの関係等について更に審議を深めるとともに、各委員から論点毎の意見を聴取した。更に、日付け抜いておりますが、第3回会議を開催し、別添のとおり、論点毎の意見を整理するとともに、次のとおり、伊方3号機のプルサーマル計画の安全性に関しての部会意見を取りまとめた。ここで別添がでてまいりましたので、ページを2枚めくっていただきまして、別添の方の説明を若干簡単にさせていただければと思います。大きくは9つの論点ごとにそれぞれ意見がまとめられてございます。
まず1点目でございますが、燃料の健全性、1番目は燃料の溶融点についてでございます。論点と致しまして、ウラン燃料に比べて融点が低いことによる影響、これについては、モックス燃料ぺレットの融点は、ウラン燃料ペレットの融点よりも低くなるが、それを踏まえた上で、計算モデルの不確定性や燃料の製造公差、燃焼に伴う融点の低下を考慮して、余裕をみて、燃料中心温度の制限値をウラン燃料2,580℃に対しモックス燃料では2,500℃としている。これに対し定格出力時のモックスペレットの最高温度は、約1,740℃であり、また、異常時の最高温度も約2,230℃で、制限値に対して十分な余裕があることから、燃料の健全性は確保できるものと理解できる。燃料の融点や制御棒、ほう素の効きなどの問題について、安全余裕、すなわち制限値と実際の数値の差が少しでも小さくなれば、事故の危険が増大するかのような指摘があるが、実際の数値が制限値を満足していれば安全上全く問題ないものであり、安全余裕が小さくなったこと自身を原因として問題が発生するものではない。モックス燃料の特性は、これまで実験データ等により十分に把握されてきており、より安全側のデータを採用し、様々な不確定性を考慮して燃料中心温度の制限値を設定しており、保守的な考え方のもとに設計上安全余裕があることが確認されていることから、モックス燃料の健全性は確保されるものと、理解できる。という意見でございました。他に、燃料棒の内圧、それから燃料集合体の健全性、燃料棒設計コードの妥当性について意見がまとめられております。記載のとおりでございます。
続きまして、大きな2番目の設備の健全性につきましては、プルサーマルにより中性子照射量が増加することによる設備への影響、これにつきましては、中性子の照射量に関して、
○モックス燃料の被覆管の応力については、炉内での使用温度や高速中性子照射の効果を考慮しても、被覆材の耐力以下となるように設計されていること
○原子炉容器については、内面のステンレス鋼への中性子照射量は、照射誘起型応力腐食割れを起こすほどの中性子照射量の増加にはならないこと
などから、設備への影響はないものと理解できる。また、中性子照射の影響については、監視試験片等を定期的に取り出して確認されることから、その面でも十分な確認ができるものと考えられる。という意見でございます。
それから、3番目の原子炉の制御性については、大きくは3点、論点として挙がってございます。1点目の制御棒及びほう素の効きについてでは、論点1つ目として、制御棒の効きが悪くなることによる原子炉制御性への影響、これにつきましては、モックス燃料は、ウラン燃料よりも熱中性子を吸収しやすいため、その分、制御棒に吸収される中性子が少なくなり、制御棒の効きが悪くなる傾向にあるが、評価においては、制御棒1本が引き抜かれて効かない状態を想定しても、十分な停止余裕があることが確認されており、緊急時など必要な場合に原子炉を安全に停止するなどの原子炉制御能力は確保されるものと理解できる。という意見でございます。その他、ほう素の効きが悪くなることによる原子炉制御性への影響、自己制御性については、出力が急に変動した場合の原子炉制御性への影響、それから、出力分布特性につきましては、燃料間の出力の差が大きくなりやすいことの安全設計への影響、特にモックス燃料とステップ2高燃焼度燃料の混焼による燃料間の出力差の安全設計への影響につきましては、記載のとおりの意見でございます。
続きまして、大きな4番目のモックス燃料の使用実績でございます。2点、論点がございます。プルトニウム富化度、燃焼度等の実績でございますが、論点と致しまして、海外でのモックス燃料の使用実績、これにつきましては、国内外での実績については、フランスやドイツなどで、2004年12月末現在で、累積装荷体数4,894体装荷されており、モックス燃料特有の原因による燃料の損傷事例等もなく、十分安全な実績・設計の信頼性があるものと理解できる。という意見でございます。高燃焼度燃料(ステップ2燃料)とモックス燃料の併用の実績については、記載のとおりでございます。
それから、大きな5つ目、平常時の被ばくでございます。論点と致しまして、新燃料及び使用済燃料の放射線量が、ウラン燃料より高いことによる作業員の被ばくへの影響、これにつきましては、新燃料を取り扱う場合には、表面線量率が約10mSv/hのモックス新燃料を、新燃料取扱装置を使用して作業することにより、取扱場所で、作業従事者の年間の線量限度50mSvに基づき、立入頻度等を考慮して0.15mSv/h以下となることが確認されており、作業員の被ばく管理は可能と考えられる。また、新燃料及び使用済燃料については、使用済燃料ピットで、水深を確保して貯蔵・取扱されることから、放射線の遮へい措置は安全になされるものと理解できる。なお、可能な限り被ばく量が低減されるよう、適切な被ばく管理が望まれることから、実際の新燃料取扱装置の設計、仕様等については、国による適切な審査を要請する。また、実際の取扱いに当たっては、放射線管理が適切に行われるよう指導・管理を要請する。という意見でございます。
6番目の事故時の影響でございます。論点として3つ挙がっておりますが、まず、プルサーマル実施の事故時の影響についてでございます。意見と致しまして、原子炉冷却材喪失事故、それから蒸気発生器伝熱管破損事故などを想定し解析した結果、評価結果が一番厳しくなる蒸気発生器伝熱管破損事故においても、敷地境界外における実効線量については、約0.5mSvであり、周辺の公衆に対し、著しい放射線被ばくのリスクを与えるものではないと評価されており、ウラン燃料時に比べ、ほとんど変らないものと理解できる。事故時のプルトニウムの放出可能性について、及び過酷事故が発生した場合の被害については、記載のとおりでございます。
次に大きな7番目の使用済モックス燃料の貯蔵でございます。2点、論点がございます。使用済燃料の発熱量がウラン燃料より大きいことによる使用済み燃料ピット冷却能力への影響、これにつきましては、使用済モックス燃料は、使用済ウラン燃料に比べて、長時間発熱し続けるが、安全審査においては、使用済モックス燃料が貯蔵容量ほぼ一杯とする最も過酷な条件でも、使用済燃料ピットの基準水温65℃に対し、評価値が、57.9℃と下回っており、冷却能力に問題はないものと理解できる。使用済モックス燃料の処理の方針は、記載のとおりでございます。
続いて、8番目、大きな8番目、地震への対応でございます。論点と致しまして、プルサーマル実施時における地震による構造物への影響、これにつきましては、プルサーマルを導入しても、原子炉の構造に変更はなく、燃料集合体の形状や重量はウラン燃料もモックス燃料もほとんど変らないということであるから、3号機の構造物の強度や従来の耐震設計審査指針に従った耐震設計に直接影響するものではないことは理解できる。また、中性子照射量の増加ということを考慮しても、照射量の増加はわずかであり、材料の強度への影響は、ウラン燃料を装荷した場合とほとんど変らないため、構造物への影響はほとんど変らないものと理解できる。続いて、志賀2号運転差し止め判決がでたこと、耐震指針の見直し作業中であることの、プルサーマルへの影響、これについては記載のとおりでございます。3つ目の新耐震指針による評価時期、これにつきましては、耐震安全性というのは、安全性の基準をどう設定するかで変るものであるから、新耐震指針による耐震安全性評価については、モックス燃料を装荷する時期までに適切に確認する必要がある。
大きな9番目、安全審査の判断基準等についてでございます。論点として、「発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について」(1/3モックス報告書)を適用することの妥当性、これにつきましては、伊方発電所のプルサーマルについては、「1/3モックス報告書」の範囲を超えているという指摘もあるが、今回の評価において、核設計に用いられる計算コードは、ステップ2燃料について妥当性が確認されたものであり、かつ、モックス燃料を使った実験によっても検証されており、モックス燃料に対しても適用可能であると判断される。また、機械設計及び熱水力設計に用いられる高燃焼度用の燃料棒設計コードについてはモックス燃料に対しての初めての適用となっているが、実験データを踏まえてモックス燃料の特性が適切に取り入れられているということから、「1/3モックス報告書」を判断基準とすることは妥当であるものと理解できる。とういう、大きな論点、9つの論点のそれぞれの意見でございました。
最後に、その他として、国の安全審査に対する意見、それから、四国電力株式会社の安全管理体制に対する意見、それから、今後の安全性確保に対する意見をとりまとめてございます。それから、また、最初のページに返っていただきまして、以上が先ほど申し上げました別添の概要でございます。
続きまして、2の総括的な意見でございます。技術専門部会としては、伊方3号機のプルサーマル計画に係る安全性について、技術的・専門的な観点から慎重に検討した結果、国の安全審査結果は妥当であり、伊方3号機のプルサーマル計画の安全性は確保し得るとの結論を得た。また、モックス燃料の製造・輸送・取扱、原子炉の燃料配置、使用済モックス燃料の処理体系、耐震設計審査指針への対応等に関しては、国及び四国電力において、適切な対応、確認、審査等を行うとともに、県民への情報公開と十分な説明に努めることを強く要請する。なお、技術専門部会としても、伊方3号機のプルサーマル計画の各段階における安全性や、耐震設計審査指針改定を踏まえた伊方発電所の評価結果等について、十分に確認して参りたい。
以上、伊方3号機プルサーマル計画の安全性についての意見(案)の説明を終わります。
濱本部会長
どうもありがとうございました。それでは、ただ今の専門部会の案として、説明頂いた訳ですけれども、まずは、説明のあった論点ごとに、9点ございましたけれども、論点ごとに審議をして参りたいと思います。それでは、1の燃料の健全性について、何かご意見ございますでしょうか。
三島委員
燃料の健全性につきましては、ウラン燃料に比べて融点が低くなること、燃料棒の内圧の上昇に関すること、それからプルトニウムスポットによる燃料健全性への影響、などの論点が挙げられてございますが、まず、融点の低下につきましては、燃焼度による融点の低下についても考慮し、実際の実験データで得られた値よりも厳しめの値で評価して確認しているということ、それから、燃料棒の内圧の評価に関しましては、評価モデルの不確定性とか製造に伴う不確定性を考慮した値を上乗せして基準値を設定しているということ、それから、プルトニウムスポットによる燃料健全性への影響につきましては、最近のモックス燃料の製造では、この整理された意見の中にも書いてございますように、MIMAS法等が用いられておりまして、この方法によりますと、2段階の粉末混合法を採用するなどのことによって、以前より均一性の高いモックスペレットが製造できるということで、プルトニウムスポットの影響ということを小さくできるということがいわれております。それから、燃料集合体の強度に関しましては、モックス新燃料の取扱い時には、最大荷重が4G以下となるようなクレーンを使用する、というような適切な対策がとられているということで、こういった対策によりまして、燃料の健全性につきましては、ここに整理された意見は適切ではないかというふうに考えています。
濱本部会長
ありがとうございました。ただいま、ご専門の立場で三島先生からご意見いただいたのですけれども、この件について、第1号論点ですけれども、他にご意見ございましょうか。なければ、この論点1につきましては、ここに意見として述べられているのを修正することをなしにお認め頂きますでしょうか。
(異議なし)
また、あったとしたら、後で、最後にまた、ご意見いただくことにして、次の論点2に移らせていただきます。設備の健全性については、どなたかご意見ございましょうか。
有吉委員
設備の健全性ですが、論点としては、中性子照射量の増加による設備への影響ということでございますが、整理された意見としては、燃料の、燃料被覆管とか原子炉容器内面ステンレス鋼への影響というのを記述されておりますし、その上、原子炉容器本体の中性子照射の増加による影響は、十分余裕があるということですので、この取りまとめた意見でよろしいかと思います。
濱本部会長
どうもありがとうございました。この第2の論点について、他の先生方、ご意見ございましょうか。また、第1の項で申しましたように、後ほどご意見を頂く機会をつくるとして、第2の論点については、原案どおり、部会案とさせていただいてよろしいでございましょうか。
(異議なし)
では、次へ進まさせていただきます。第3に原子炉の制御性について、いかがでございますでしょうか。どなたか。三島先生。
三島委員
原子炉の制御性については、論点としましては、制御棒及びほう素の効きのこと、自己制御性、それから出力分布特性というようなことが挙げられておりますが、制御棒の効きにつきましては、この整理された意見にも書かれておりますように、制御棒が1本挿入できない場合の解析結果が示されておりまして、この解析結果では、十分な停止余裕があるということが確認されております。更にこの解析では、計算で得られた制御棒の効きを更に0.9倍、あまり効かないというようなことを想定して解析しておりまして、より厳しい評価がなされております。
次の自己制御性につきましては、制御棒飛び出し事故の解析においても、炉心の自己制御性によって出力が短時間で元に戻る、逆に出力が急激に下がるというような場合も想定して解析しておりまして、いずれの評価結果におきましても、事故時の判断基準を満足しているということが示されております。それから、出力分布につきましては、モックス燃料を装荷いたしましても、発電所の総出力には変更ありませんので、局所的な出力の制限値はウラン燃料と同等な値ということであります。具体的には燃料集合体外周部のプルトニウム含有率を下げるとか、原子炉の配置を適切に行うとかの対応がなされておりまして、ウラン炉心と同様に燃料間の出力差を十分に小さくするような対応がなされているということで、先ほど言いました発電所の総出力にも変更がないというようなことを考えますと、ここに整理されております出力分布特性の影響につきましても、評価結果は妥当なものではないかということで、整理された意見のとおりで、私としましては問題ないと考えています。
濱本部会長
ありがとうございました。他の委員の先生方、いかがでございましょうか。ただいまの三島先生のご意見でよろしいでしょうか。
(異議なし)
それでは、原案どおりとさせていただきます。
次、第4点のモックス燃料の使用実績ですが、これにつきましてどなたかご意見ございましょうか。三宅先生。
三宅委員
ここにございます、モックス燃料の使用実績についてでございますが、海外でのモックス燃料の実績と、それから、もう1つは高燃焼度燃料とモックス燃料の併用の実績、これを論点として挙げておりますが、安全性そのものについては、この海外の使用実績などで直接評価された訳ではなく、我が国においてもこれまでに得られた様々な知見に基づいて妥当性が確認された手法による解析によって確認されたものであります。しかしながら、これらの使用実績において、モックス燃料特有の理由によって、炉心管理上の問題が生じたとか、あるいは燃料棒が破損したとかいう報告はございませんので、これらの使用実績も参考とされて安全審査されていることから、整理された意見のとおりというように考えられます。
濱本部会長
ありがとうございました。ただ今、三宅先生からご意見いただきましたが、他の先生方、どなたかご意見ございましょうか。なければ、原案のようにさせて頂きたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
次、第5ですが、平常時の被ばくにつきまして、どなたかご意見いただけますでしょうか。この案につきまして。藤川先生。
藤川委員
平常時の被ばくにつきましては、特にモックスの新燃料はウラン燃料の新燃料に比べまして、表面線量率が高いということは、若干、取扱い上の問題になるように伺っております。ただし、放射線は取扱時間を短くすることと、放射線源と人との間に距離をおくこと、そして遮へいをおくことで制限できるものでありますので、伊方におきましては、新燃料取扱装置を使いまして、特に遮へいをおきまして管理をして頂くということですので、作業上の安全確保は可能であると理解しております。また、被ばく管理の実際につきましてもここに書いていただいておりますように、その都度確認していただくことから、問題は起こらないのではないかと存じます。特にまた燃料の保管に関しましては、モックス新燃料は、従来のウランの使用済み燃料に比べて線量が低いぐらいでありますので、使用済み燃料ピットでの保管について、問題は起こらないということでここに書いてある記述で結構であると存じます。
濱本部会長
ありがとうございました。ただ今、藤川先生からご意見を頂いた訳ですが、他の委員の先生方、特に何かございますでしょうか。ないようでしたら原案のとおりとさせて頂いてよろしいでしょうか。
(異議なし)
次に事故時の影響につきましてでございますが、これにつきましてご意見ございましょうか。辻本先生。
辻本委員
事故時の影響と致しまして、ここに書いてありますようにプルサーマル実施の事故時の影響について、実施の場合の、それから事故時のプルトニウムの放出可能性について、過酷事故が発生した場合の被害について、とこの3つの論点が挙げられております。プルサーマル実施の事故時の影響にいたしましては、モックス燃料もウラン燃料との、モックス燃料を装荷した炉心とウラン燃料を装荷した炉心との差は、そう大きくはございません。境目はございませんので、安全評価についても物性の範囲内であるということで、特にこの記述どおりで問題ないと思います。それから事故時のプルトニウムの放出の可能性についてでございますが、プルトニウムは気体になりにくいので、格納容器の外にでるということは、可能性はほとんどありません。だから、発電所外への放射性物質の影響は、ウラン燃料とほとんど差がないものと考えられます。それから、過酷事故が発生した場合の被害についてでございますが、一応、過酷事故が発生したと致しましても、プルトニウムの放出が少のうございます。だから、環境に対する影響がないということ。それから、過酷事故の放出される、外部に放出されることは、確率的には非常に小さいということでございます。そういうことで、この論点で、整理されておりますが、特にこの論点で整理された意見については、差し支えないと考えます。
濱本部会長
どうもありがとうございました。辻本先生から、原案どおりで差し支えないというようなご意見を頂きましたけれども、他の委員の先生、ご意見ございましょうか。
(異議なし)
なければ、この論点については原案どおりとさせていただきます。
次に7番の使用済モックス燃料の貯蔵につきまして、この件につきまして、どなたかご意見ございませんか。古賀先生。
古賀委員
使用済モックス燃料の貯蔵につきましては、ウラン燃料に比べまして発熱量が大きいことによる使用済燃料ピット冷却能力への影響、それから、使用済モックス燃料の処理方針が論点として挙げられております。前半の使用済燃料ピット冷却能力につきましては、発熱量が最大となるような貯蔵条件でピットからの放熱量0とします、放熱、崩壊熱はすべて冷却器で冷却されるとした最も厳しい条件で評価され、確認されています。後半に関しましても、使用済モックス燃料の発生量はウラン燃料に比べ少ないことから、原子力政策大綱で示されております使用済モックス燃料の処理方策の結論がでるまでの間は、伊方発電所の使用済燃料ピットで適切な貯蔵が可能であります。このことから、整理されました意見で特に問題ないと考えます。
濱本部会長
ありがとうございました。ただ今の古賀先生のご意見につきまして、どなたかご意見ございますでしょうか。
(異議なし)
なければ、原案どおりとさせていただきます。
それでは次に進ませていただきます。次、8番、地震への対応でございます。どなたかご意見ございますか。森先生、お願いします。
森委員
地震工学と耐震設計という立場から、この点について、意見を述べさせて頂きます。今現在、論点は3つ、すなわち、1つ目がプルサーマル実施時における地震による構造物への影響、第2に、志賀2号運転差し止め判決がでたこと、耐震指針の見直し作業中であることの、プルサーマルへの影響、第3に、新耐震指針による評価時期というように、3つに論点が分けられて整理されています。1つ目の論点につきましては、構造物を構成する材料の物理的な変化と、それから構造物の耐震設計という2つに分けられますが、前者につきましては、重量とそれから中性子照射量の増加による影響という2点です。前者に関しましては、ここにまとめられてあり、重量に関しては、影響がほとんどないということで、これはそのとおりであるというふうに認められます。後半については、私も専門外ですので、この点については意見を差し控えます。耐震設計につきましては、従来の耐震設計審査指針に従った耐震設計に直接影響するものではないという整理のされ方がされていて、適切に整理されていると判断しております。
それから2つ目につきまして、2つ目の論点は、これは言い換えれば建設以降、分かってきた新たな事実、或いは技術の進歩に対してどのように対処してきたか、また、それが適切であったか、というような論点に読み替えられるかと思います。その点につきましても、ご提出いただきました資料、或いは口頭でのご説明によれば、適切にその都度、問題点というか課題に対して、適切に評価、それから県への報告等がなされていて、その内容については適切だというふうに私は判断いたしました。それから、技術の進展ということで耐震設計審査指針の改定がなされる、或いは今後、それが今、なされていこうというふうな段階にあるわけですけれども、それにつきましては、今後、速やかに評価をなされるということで、これについても了解できるような内容としてまとめられています。
それから、最後の新耐震指針による評価時期ということなんですが、これも新耐震指針による耐震安全性評価については、このプルサーマル導入にかかわる最も大きなその重要な時期であろうモックス燃料を装荷する時期までに適切に確認する必要があるというふうにとりまとめられておりますので、この地震への対応に関しましては、このとりまとめは適切であると判断いたします。以上です。
濱本部会長
どうもありがとうございました。この意見につきまして、他の委員の先生方ご意見ございますでしょうか。3つの論点のうちの第1の論点の後半の点に中性子の影響ということについては、意見を差し控えるということを申されたですね。この点については、他の先生方ご意見ございましょうか。
三島委員
中性子照射量が増加するということで、評価結果を伺わせていただいたときには、材料の強度への影響というのは、多分、高速中性子による照射量が増えるのではないかというご指摘だったと思うのですけれども、評価結果では照射量の増加というのはわずかで、ウラン燃料を装荷した場合と比べてもほとんど変らないということで、構造物の影響につきましては変らないという評価結果を説明していただきました。私としましては、それで理解致しました。
濱本部会長
どうもありがとうございました。森先生、今のご説明でよろしゅうございますでしょうか。他の先生方、何かご意見ございませんでしょうか。
(異議なし)
それでは、地震への対応ということについては、原案どおりとさせていただきます。ありがとうございました。次に第9の論点、安全審査の判断基準等についてでございます。これにつきまして、どなたかご意見ございましょうか。三島先生。
三島委員
9につきましては、安全審査の判断基準ということで、この安全審査におきましては「1/3モックス報告書」を適用するということの妥当性を論点として挙げられておりますが、安全審査におきましては、当然、現行の各種指針類を基本にして審査されるわけですけれども、それに加えてこの安全審査におきましては「1/3モックス報告書」を基本としまして、さらにこれまでに得られておりますモックス燃料に関するいろんな実験データがありますが、この実験データ等を踏まえて審査されたということ。それから、こういった指針類、それから実験データ等の審査におきましては、いろんな分野の専門家が集まって最新の知見に基づいて調査・審議が行われたということで、私としましては、この整理された意見は適切ではないかというふうに考えています。
濱本部会長
ありがとうございました。ただ今の三島先生のご意見について、修正するご意見とか、ご意見ございますでしょうか。それでは、この第9の論点につきましては、原案どおりとさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
次に、その他というところ、最後のところですけども、国の安全審査に対する意見、四国電力の安全管理体制に対する意見、今後の安全性確保に対する意見、この意見につきまして、意見、一応、このようにとりまとめておりますけれども、ご意見いただければと思います。辻本先生。
辻本委員
ここの論点は、国の安全審査に対する意見、四国電力の安全管理体制に対する意見と、今後の安全性確保に対する意見、でございます。国の安全審査につきましては、非常に多重な審査がされており、厳格に実施されているということが、ここで確認されております。十分されていると、私も解釈を致しておりますので、この、これの説明でいいと思います。それから、四国電力の安全管理体制に対する意見につきましても、これまでの実績を踏まえまして、十分に安全管理体制はやられております。しかし、最後に、今後とも安全管理体制の維持に努められるよう要請しておりますし、こういう、最後もこういう要請もでているということは、このとおり妥当性があっていい意見だろうと思っております。それから、今後の安全管理確保に対する意見につきましても、国もまた四国電力も、十分、各段階で安全管理に努めるよう要請しております。だから、こういう論点で、私は十分だと思っております。
濱本部会長
どうもありがとうございました。ただ今の辻本先生のご意見について、どなたか、追加されたり、或いは、特にご意見ございませんでしょうか。
(異議なし)
それでは、この件につきましては、この3点につきまして、原案どおりとさせていただきます。
それでは、最後になりますが、一番最初に戻っていただきまして、本文であります、伊方3号機プルサーマル計画の安全性についての意見(案)につきまして、ご意見いただきたいと思います。このような形で、専門部会として意見をとりまとめるということですが、よろしいですか。
有吉委員
技術専門部会の意見について、まず、審議の経過について詳しい説明がなされております。その上で、各論点ごとの意見を踏まえて、総括的な意見として国の安全審査結果は、妥当である。それから、安全性を確保し得ると、そうしたうえで国、四国電力に適切な対応・情報公開を求めるとともに、技術専門部会としてもその責任において、安全面の確認を継続するということを述べておりますので、私としても適切でないかと思っております。
濱本部会長
どうもありがとうございました。ただ今、有吉先生からご意見頂きましたけれども、その他に、ご意見、或いは修正されることございますでしょうか。
(異議なし)
それでは、このように部会案として了承いただいたものとさせていただきます。それでは、最初に仲井先生にご質問いただいておりますが、その件について。
仲井委員
とりまとめ書にありますように、私は材料の腐食に関する細かいことに、少し定量性に欠けているのではないかということを言いましたけれども、設備の健全性という点で、2番に、定期的に試験片を取り出して確認されるということから、このとりまとめで結構だと存じます。
濱本部会長
よろしいでしょうか。特に国の方にご質問されなくてよろしいですか。
仲井委員
結構でございます。
濱本部会長
どうもありがとうございました。それでは、これで一応、プルサーマル計画についての各論点ごとの案としての意見については、先生方から修正なしでご了承いただいたように思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
それでは、部会の意見として、午後の安全管理委員会に報告させていただきます。
長時間に渡ってご審議いただきまして、大変ありがとうございました。それでは、これで技術専門部会を終わらせて頂きます。ありがとうございました。
(閉会)
伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第
日時 平成18年9月12日(火曜日)10時00分~12時00分
場所 愛媛県議会議事堂4階 農林水産・建設委員会室
1 開会
2 議題
(1) 平成17年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成17年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3) 伊方3号機のプルサーマル計画について
3 閉会