平成19年度(2007年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会(2007年9月6日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 開催概要

1 日時

平成19年9月6日(木曜日)13時00分~16時05分

2 場所

愛媛県医師会館2階 研修室

3 出席者

委員22名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1)平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2)平成18年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3)伊方1号機高経年化技術評価及び長期保全計画について

5 報告事項

(1)中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響を踏まえた伊方発電所の対応等について
(2)伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(3)放射性固体廃棄物圧縮減容固化設備の設置について
(4)平成18年度伊方発電所異常時通報連絡状況について

6 審議等の内容(全部公開)

(定刻になり、開会)

事務局

ただいまから、伊方原子力発電所環境安全管理委員会を開催いたします。はじめに、傍聴の方に、傍聴に際しての遵守事項を申し上げます。会議の開催中は静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影、録音等はしないこと。その他会議の秩序を乱す等の行為をしないこと。等となっておりますので、御協力をお願いします。また、携帯電話等をお持ちの方は、マナーモード等に設定頂きますようお願いいたします。前回の委員会以降、委員さんの委嘱替えがありましたので、新しく御就任いただきました委員さんを御紹介させていただきます。伊方町議会議長の中村委員さんです。全国農業共同組合連合会愛媛県本部副本部長の山中委員さんですが、今日は御欠席されております。なお、本日は、上田委員さん、岡村委員さん、菊池委員さん、武岡委員さん、中田委員さん、三宅委員さんは、都合により御欠席されております。それでは、会長の吉野内副知事から、御挨拶を申し上げます。

吉野内会長

一言御挨拶を申し上げます。委員の皆様方には、御多忙の中御出席を頂き、誠にありがとうございます。また、原子力安全・保安院の前川高経年化対策室長さん、そして御田安全審査官さんをはじめ、国の関係者の皆様には、遠路、お越しいただき、感謝申し上げます。さて、本日は議題が3つありまして、ひとつは、平成18年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果、そしてもうひとつは、温排水影響調査結果の審議、3つ目が、伊方1号機の高経年化技術評価結果につきまして、御審議を頂くこととなっております。このうち、伊方1号機の高経年化対策につきましては、昨年9月28日、四国電力が国へ提出しました「高経年化技術評価等報告書」に基づいて、原子力安全・保安院により詳細な審査が行われました。8月6日に四国電力の技術評価及び追加保全等は妥当との報告をされたところです。今日は、国からこの審査結果の説明を頂きますとともに、昨日、この委員会の技術専門部会におきまして、技術的・専門的な観点から検討を頂いておりますので、その結果につきましてもご報告頂いた上で、御審議をお願いしたいと考えております。あと報告関係が4件ございますが、ご案内のとおり、7月16日に発生しました中越沖地震によりまして、原子力発電所における地震対策上の様々な課題が浮き彫りになりました。そういったことから、本日はこれらの対策状況等につきまして、国等からご報告頂くこととしております。ご審議頂く案件が、多岐にわたっておりますが、いずれも伊方の安全性に係わる重要な事項でございますので、委員の皆様には、忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げます。どうかよろしくお願いいたします。

事務局

それでは、議事の進行につきましては、委員会設置要綱の規定によりまして、会長が務めることとなっておりますので、吉野内会長、よろしくお願いいたします。

吉野内会長

それでは、議事に入らせていただきます。まず最初の議題1の平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果と議題2の温排水影響調査結果につきまして、一括して事務局から説明願います。

門野原子力安全対策推進監

本年5月に原子力安全対策推進監に着任いたしました門野でございます。よろしくお願い申し上げます。お手元の資料の1でございます。平成18年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果の概要版を使いましてご説明申し上げます。まず、環境放射線等調査結果でございますが、まず、線量率といたしまして、私ども愛媛県のモニタリングステーション等が8局、四国電力のモニタリングステーション等5局で、線量を常時測定しております。これによりますと、最高、最低、平均値を記載しておりますが、最高がモニタリングポスト大成で観測されました49ナノグレイからモニタリングポスト加周の90ナノグレイという数値が観測されております。最低につきましては、愛媛県のモニタリングポスト川永田の24、豊之浦と四国電力のモニタリングポストの3番で、11ナノグレイとなってございます。平均につきましては、川永田で26、豊之浦で13の範囲でモニタリングポスト、モニタリングステーション等の観測がされております。それらにつきまして評価しています。ご承知のように、雨が降るとその数値が上がりますことから、まずは、降雨時における測定値から求めた、平均値+標準偏差の3倍を超える測定値について評価しましたところ、これにつきましては、従来どおり降雨に対応して数値が上がっていること。それから、発電所を中心に設置された異なる位置でのモニタリングポストなどでも同時に増加が観測されていること。ガンマ線スペクトルを見ますと、自然放射性核種が顕著で、人工的な放射性核種は認められませんでした。これらのことから、今回の線量率につきましては、降雨による自然放射線の変動と判断いたしました。また、同じく降雨時以外につきましても、同様の評価を行いましたけれども、これらにつきましても、降雨時と同じように、人工放射性核種による特異なピークは見られませんでした。以上によりまして、今年度の線量率測定結果からは、伊方原発の原子力施設からの放出と考えられる線量率の変化は認められなかったと判断しております。それでは、2ページ目ですが、積算線量でございます。これにつきましても、毎年、積算線量を測っておりますが、愛媛県では29地点、四国電力では25地点で積算線量を測っています。愛媛県では、308から499マイクログレイ/年、四国電力は353から489という数値が観測されましたけれども、これは、例年の値と同レベルでございますから、自然変動の範囲内と判断しております。それから、2番目の環境試料によります放射能のレベルを評価しておりますが、セシウムの137や全ベータ放射能につきましては、この表の真ん中のところが、昭和50年度から平成17年度までの平均値ですけれども、左側の平成18年度の数値につきましては、いずれもこの50年度から平成17年度の数値の範囲内に納まっております。これらにつきましても、特に高い濃度は検出されなかったと判断いたしました。それから、大気圏内核爆発実験の影響等ですが、近年、核実験は行われておりませんけれども、昭和61年に発生したチェルノブイリの原発事故によります影響で一時的な増加が見られておりましたが、年を追うごとに減少しているという状況が確認されています。続きまして、3ページ目ですが、蓄積された放射能についてはどうなっているかということでございますが、人工放射性核種のセシウムの137は、過去の核実験やチェルノブイリ原発事故に起因するものであり、愛媛県が測定した土壌や海底土、四国電力が測定した土壌や海底土等につきまして、いずれにつきましても、蓄積傾向は認められません。それから5番目の環境調査結果に基づく線量評価でございますが、この表の中で、外部被ばく線量につきまして評価した結果、18年度は、0.25から0.37ミリシーベルト/年でございまして、これについては大きな変動はございません。それから、内部被ばくも同様に、0.00017ミリシーベルト/年でございますので、それぞれの過去の評価結果と同じ程度でした。それからⅡ番ですが、伊方原発からの放射性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物の放出に伴う周辺公衆の線量を評価をいたしました。それらにつきましても、評価した結果ですけれども、年間で0.027マイクロシーベルトでございまして、これは、県と四国電力とが結んでいます安全協定の努力目標値がありますが、この数値は7マイクロシーベルトですが、この数値を下回っており、問題ないものと考えております。以上によりまして、平成18年度における環境放射線等の調査結果につきましては、いずれも特異なデータはありませんので、問題ないものと考えております。それからⅢ番ですが、県が昨年から引き続いて、サメを対象といたしまして、私ども、伊方沖で魚類の調査をしているところですが、魚類の中でセシウム-137の濃度をどういうふうに今後調査していけばいいかというときに、いろいろな魚がいるわけですが、その中で、食物連鎖の上位に位置するサメを対象として、今後は調査をしていきたいということです。詳細につきましては、昨日の技術専門部会でもご紹介させていただきましたので、詳細は割愛させていただきますが、19年度の調査から、サメについてもセシウム-137の濃度の推移を確認してまいりたいとそのように考えております。以上で18年度の放射線等の調査結果につきましてご報告を終わります。

阪本水産課長

続きまして、18年度の温排水影響調査結果について、ご説明いたします。調査結果につきましては、資料2といたしまして調査結果概要表1枚と次のページからの報告書にとりまとめております。それでは報告書の1ページをお開き願います。調査は、愛媛県と四国電力がそれぞれ実施しております。県調査分につきましては、従来どおり愛媛大学に委託して実施しております。調査内容は、1ページの表1の調査項目の欄にお示ししてありますように、水質調査、水温調査、流動調査等7項目につきまして年2回ないし4回実施しております。調査測点につきましては、次の2ページ、3ページにお示ししております。次に四国電力が実施しております調査内容についてですが、4ページをお開き願います。記載しておりますとおり、水温水平分布調査、水温鉛直調査、塩分調査、流動調査など、14項目にわたる調査を年2回ないし4回実施しております。これらの調査定点につきましては、次の6ページから20ページにかけてお示ししております。それでは、調査の結果の詳細につきまして報告書の21ページ以降にお示ししておりますが、本日は、資料2の1枚目の調査結果の概要表によりましてご説明させていただきます。県が実施しました水質調査の結果を見ますと、表層水温は、14.1~26.4℃、pHは、8.0~8.3、CODは0.06~0.58㎎/l、塩分は、31.32~33.97、透明度は、7.0~15.0mの範囲で推移しております。一方、四国電力が実施しました水質調査の結果を見ますと、表層水温は、14.0~25.4℃、pHは、8.1~8.2、CODは、0.1未満~0.5mg/l、塩分は、32.19~34.06、透明度は、7.0~20.0m、DOは、6.1~8.6mg/lとなっております。ヘキサン抽出物質、全窒素、全リン、浮遊物質量等の水質調査結果には、お示しのとおりの範囲で推移しております。これらいずれの項目につきましても過去の調査結果の範囲内であり、異常は認められておりません。次に、流動調査の結果については、愛媛県が0.05~0.82m/sec、四国電力が0.00~0.75m/secとなっており、これらについても異常は認められておりませんでした。次に、放水口から出された温排水の拡散状況を見ますと、温排水の影響と考えられる1℃以上の水温の上昇範囲は、県の6月の調査では、最大0.04k㎡、10月の調査では、最大0.15k㎡となっております。一方、四国電力の調査では、5月に0.12k㎡、8月に0.01k㎡、11月に0.11k㎡、2月に0.17k㎡となっております。温排水による1℃以上の水温上昇は、県及び電力の調査でともに確認されておりますが、その範囲は過去の観測値の範囲内でありまして、放水口付近の部分的な海域にとどまっており、特に異常は認められませんでした。また、四国電力が実施しました底質調査の結果ですが、pH、強熱減量、COD、全硫化物、密度等の数値におきましても、過去の数値と比較して、特に異常な数値は認められませんでした。次にプランクトン調査の結果ですが、県が調査した、プランクトン沈殿量、動物プランクトン、植物プランクトンの乾燥重量についても、お示しのとおりです。また、電力が調査いたしました沈殿量、また、出現した種類なども過去のものと比べましても異常は認められておりません。次に、付着動植物調査の結果につきましては、昨年と同様、各調査定点ともクロメが優占種となっており、県、四国電力のいずれの調査も異常は認められませんでした。このほか、電力が実施した魚類の潜水目視調査及び建網による捕獲調査、動植物プランクトン及び魚卵、稚仔魚の取水口への取り込み調査の結果についても、異常は認められませんでした。最後になりますが、漁業実態調査の結果につきましては、八幡浜漁協の3支所から漁獲報告があり、例年の漁獲傾向と変わりなく、特に問題ないものと考えております。なお、詳細な調査結果につきましては、後ほど報告書をお目通し願います。以上が平成18年度の温排水影響調査結果の報告でございます。ご審議のほどをよろしくお願いいたします。

吉野内会長

ありがとうございました。この2つの調査結果につきましては、昨日開催されました技術専門部会で御検討いただいておりますので、濱本部会長さんから部会意見の御報告をお願いします。

濱本技術専門部会長

技術専門部会として、両調査結果について検討しました結果、両調査結果とも、過去の調査結果と比較して同程度であり、問題となるものは認められない旨、意見をとりまとめましたので、御報告いたします。

吉野内会長

ありがとうございました。今の御報告いただきました2つの調査結果について、何か御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。

(ありません)

吉野内会長

それでは、議題1、2の両調査結果につきましては、特に問題となるものは認められない旨、意見をとりまとめ、知事に報告させていただきたいと思いますが、御了承いただけますか。

(異議なし)

吉野内会長

ありがとうございました。それでは、続きまして、議題の3番目でございますが、伊方1号機高経年化技術評価及び長期保全計画の審議に移りたいと思います。原子力発電所については、電力会社の点検はもとより、国の定期検査や保安検査によりまして、ハード、ソフト両面から健全性や安全性が確認されていますが、国におきましては、運転開始後30年を節目として、改めて、電力会社に設備や機器の長期的・経年的な劣化事象の技術評価を行い、保全対策を徹底する高経年化対策を義務付けております。伊方1号機は、昭和52年9月30日に営業運転を開始しており、今月末で運転開始後30年を迎えます。このため、四国電力では、原子炉等規制法に基づき、昨年9月、高経年化技術評価等報告書を国へ提出し、国において厳正に審査が行われ、本年8月6日、伊方1号機の高経年化対策は妥当との審査結果を出されました。本日は、審査を行われた原子力安全・保安院の前川高経年化対策室長さんから、その審査結果の説明を受け、伊方1号機の高経年化対策を確認してまいりたいと思います。それでは、前川室長さん、よろしくお願いします。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

ただいま御紹介いただきました原子力安全・保安院前川でございます。高経年化対策室長を拝命しております。この度、伊方1号機の高経年化対策につきましては、このように県の会議の場で報告させていただけるということでありがとうございます。本日用意させていただきました資料は3種類ございます。資料3-1、3-2、3-3でございますが、資料3-1は、現在表示しているスライドと同じものでございます。それから正式な報告というものは、先ほど御紹介ありましたように8月6日に原子力安全委員会に報告させていただいたものです。正式な報告書は資料の3-3、少々分厚い資料です。それを説明するにあたりまして概要版を作っておりまして、それが、資料3-2という、この3種類を用意しております。説明は、スライドをベースに、時には、資料3-2、3-3を用いまして説明させていただきます。まず第一に、高経年化技術評価制度というものはどういうものなのかということをご紹介させていただきます。それを受けまして、伊方1号機の技術審査がどのように行われたのかということを説明していきたいと思います。この技術審査というのは実施内容の評価でございますから、それを受けまして、どのように保全していけばいいのかということで、保全計画を作っていただいております。この内容を説明し、最後に私どもの今後の方針について述べさせていただきたいと思います。

高経年化技術評価制度でございますが、現在、2007年ですが、3年後の2010年には、我が国には55基軽水炉がございますが、このうち20基は30年を超えてしまうということになります。それから、2015年には、30基も超えてしまうという状況になり、ご承知のとおり、高経年化対策ということが非常に重要な施策ということになってきています。そのために、私どもといたしましても、高経年化対策について、どのように考えてアプローチしているのかというところなのですが、高経年化ということで、緩やかな変化であっても長年かかってしまうと、どうしてもそれを評価しなければいけないような、着目すべき経年劣化事象に対して、高経年化技術評価を行い、健全なのか、今後どのように進めていくのかということを把握し、それを受けて保全対策をどのように実施し、改善すればいいのかということを策定、実施するというのが、基本的な考え方です。

スライド3ページ目の下線が引いてある3つにつきまして、着目すべき経年劣化事象ですが、右のグラフにありますように、だんだん劣化が進むのですが、そういう評価の予測から乖離していきそうなものが一番怖いわけですから、そういうものに対して、着目するということが重要だと思っております。次の高経年化技術評価については、私どもの現在のやり方は、運転開始後30年に至る前に技術評価を行い、評価の前提として、60年間の供用、つまり使用を考えまして、そういう仮定を置いた場合に、60年後どれくらい経年劣化をしているのかということを考えていくわけでございます。そのうえで、設備の健全性というものを評価して、それを受けまして、長期保全計画ということにつなげていくわけですが、ここでは、現状の保全計画に追加すべき今後10年間だけの計画になっているわけです。評価上は60年ということで仮定をしますが、あくまで現実的な保全計画という観点で見れば、10年間の計画ということになっています。スライド4ページ目ですが、これを正確に申しますと、上の欄で、事業者に対してお願いしている内容でして、下の欄で、私どもがどのようにしていくのかという内容になっております。つまり、先ほど申し上げましたように、原子炉の運転を開始した日以降30年を経過する日までに、安全上重要な機器等について経年劣化に関する技術的な評価を実施する。これを受けまして、長期保全計画を策定する。この長期保全計画というのは、法律的には、原子炉施設の保全のために実施すべき措置に関する10年間の計画という内容となっています。それで、10年後どうなるのかと申しますと、10年を超えない時期毎に、評価と長期保全計画を見直すというやり方を制度として取り入れているわけでございます。それに対しまして、保安院といたしましては、電力の評価の実施体制が適切なのかということを評価いたしますし、さらには、安全機能を有する機器・構築物に対して、技術評価の方法は適切なのか、結果は妥当なのかということを確認してまいります。これを受けまして、長期保全計画が適切に抽出されているのかということを評価していくということを私どもの中でやりまして、公開も当然やっていかなくてはいけないので、そういう意味から、審査の結果は、原子力安全委員会への報告を一般への公表の第一歩として対応しています。それで、このまま放っておくのかというわけではなくて、長期保全計画に基づいて事業者が実施している状況については、私どもの定期検査とか、その他の検査等で確認していくという形でフォローアップするという制度になっているわけでございます。

その次のページですが、伊方1号機の技術審査の経緯でございます。ご紹介ありましたように、1977年、昭和52年でございますが、9月30日に営業運転を開始してございまして、本年の9月30日が30年ということで、1年前の2006年9月28日に事業者におけます評価の報告書を受けております。これをいただきまして、約1年間という時間をかけまして、審査をしてきたわけでございますが、若干、長いのではないかという御指摘もあろうかと思います。私どもといたしましては、高経年化の充実ということにつきまして、美浜の3号の事故を受けまして、見直しをいたしました。平成17年8月に、今後どのように充実させていかなくてはいけないかという報告書を作っておりますが、これを受けまして新しい審査の方式、この内容が18年、2006年に作られまして、これを受けた最初の評価ということになり、そういう意味で、若干、審査に時間をかけたということが実態でございます。

それでは、審査の内容でございますが、まず、審査内容の一番上でございます。先ほどご紹介いたしましたが、その中のひとつといたしまして、技術的な評価に至る前に、評価を実施した体制がどうなのか、さらに評価に至る手順はどうなのか、さらには、評価すべき対象となる機器だとか構築物の抽出が適切になされているのかということを評価してございます。高経年化の評価を実施した四国電力の体制につきましては、全体とりまとめとして、本店原子力部計画グループが行っている等、ここにご覧いただいているような形で実施がなされています。

さらには、品質マネジメントシステムの中でも自ら改善していくという、PDCAサイクルを回すという観点から、内部監査をやられているということを確認しています。そういうことから、実施体制は概ね妥当であると私どもは判断いたしました。それから実施の手順につきましても、十分最新の知見を反映しているのか、運転の経験を反映しているのかということに関する点ですが、それにつきましても、適切な情報収集・管理がなされていることを確認いたしました。それから3番目でございますが、対象とすべき機器等がどうだという抽出についての問題でございます。この機器等の抽出、使用材料、環境の同定、それから、評価すべき経年劣化事象の抽出という観点で、妥当なものであると判断したわけでございます。これを受けまして個々の劣化事象に対する評価に至るわけです。

次のページでございますが、経年劣化事象ごとの評価の大きな流れです。今回私どものまとめました報告書では、これの中で、劣化事象として1~6の評価に加え、7その他の劣化事象ということで7つ紹介させていただいております。まず最初に、(1)中性子照射脆化については、原子炉容器が対象になるわけですが、原子炉内部で核反応を起こして発生した中性子が周りの材料にあたりまして、高速中性子が当たることによりまして、材料が脆くなるという性格がございますので、これに対する評価を行ってございます。(2)の応力腐食割れですが、今回の加圧水型の応力腐食割れの特徴的なところを取り上げまして、原子炉容器炉内構造物に対しまして評価をしております。それから使用していくわけですから、当然、材料は何度も何度も応力の繰り返しを受けますので、そういう観点からの疲労はどうなんだという考えています。それから、美浜3号機の事故でもありました配管の減肉というものが当然ありますので、減肉に対してどのように対処するかということでございいます。さらに、原子炉の施設を考えたときにいろいろなポンプやバルブがございます。こういうものの動力源である電気を供給するケーブル、さらには信号を伝送するためのケーブルというものが使われております。中の電線は銅線、外は樹脂ですので、当然劣化が考えられます。さらには、伊方でありました特徴的でございますコンクリートにおけます強度の問題もあります。こういうものに加えまして、その他の事象といたしまして、内部からの配管減肉だけでなく外面からの腐食だとか、特殊なポンプでございますけど、フレッティングということで、カタカタ当たることによって起こる疲労割れや、伝熱管の摩耗を考えています。こういうことで評価をしてございます。最終的には我々は適切な評価がなされているとしておりますが、詳しい内容は3-3を見ていただきたいのですが、そのうち、今回スライドの中では、例といたしまして、(1)中性子照射脆化、(3)疲労、(6)コンクリートの強度低下についてご紹介したいと思います。

次のページ(1)中性子照射脆化でございます。小さい絵ですが、スライドはお手元の資料と同じものでございますので、そちらも見ていただければと思います。なぜ、中性子照射が問題かということですが、長期間にわたって原子炉容器に中性子が照射されますと、靱性値が低下していきます。脆くなっていくということです。その性格としては2面ございまして、ひとつは、右手にございますように、遷移温度とか関連温度とか、材料が冷えていくと脆くなる温度が上がっていく、性能の劣化する温度が上がっていくということで、そもそも作られたときはマイナス何℃でそういう状態になるというものが、だんだん温度が上がってくるという傾向が出てくるということで、つまり使用条件に近い状態でも脆さが発生する可能性が出てくるという点と、もうひとつは、現在使用している領域は上部棚という領域でして、このS字カーブの上のような温度領域で使っているわけです。そこにおけます吸収エネルギー、何か力が入ったときに吸収できる能力と見ていただければ結構ですが、そういう能力が下がっていくというこの2点が問題となるわけです。

こういう評価は、これまで30年間使われてきたわけですから、この間の状況をまず把握するという現状把握が第一に行わなければいけないことだと考えております。現状把握の方針としては、監視試験片というものが原子炉の中に入っております。運転開始時には、原子炉の中に6体ございまして、そのうち3つを現在までに取り出し試験をやっております。その結果、右下の図のように、赤丸で示しております。第1回目でいいますと、通常の定格出力で運転した場合の、3年間に相当するところで取り出したもの。第2回目のものは19年目に相当するところで取り出したもの。第3回目のものは37年、それ以上というところで取り出しております。これは相当のものでございますので、原子炉は当然30年を超えておりませんけれども、監視試験片は、加速的に中性子の高いところに置きますので、こういう評価もできるということです。この結果を見ますと、予測式というものと傾向はすごく合っている。これを外れるような状況はない。特異な脆化は認められていない。いわゆる予測される脆化はあるが、それを超えるものではないことがわかります。そういうことを踏まえまして、次に脆さの評価をしております。

次のぺージですが、脆さには2つの視点がありますので、そのうちの脆性破壊に対しての厳しい条件という観点から考えますと、加圧熱衝撃というものがあります、これは、もし、冷却材喪失事故が起きたときに、原子炉の中に冷たい冷却材が注入され、温度差のある状態になりますと、急激な温度差による降伏的な力がかかるということになりますので、そういうときに、もし材料が脆ければ割れてしまう。こういうことが起こるのかということを評価したわけでございます。

結果は、このグラフでいいますと、右下のKの黒の線ですが、これが、発生するであろう力です。それに対して、材料の持つ能力は緑色の右肩上がりの曲線です。これは60年段階の評価でございます。つまり現状から60年ですから劣化していくわけですので、当然これはもっと上のほうにあったものがだんだん下がってきたんですけど、60年であっても、このようなKに対しまして十分余裕がある段階でございます。結果的に、原子炉容器の健全性は保たれることを確認いたしました。

それから、次のページをお願いします。上部棚吸収エネルギーの低下の問題ですが、これにつきましても、当然劣化がございます。例として母材の上部棚吸収エネルギーが初期値209に対しまして、運転開始後60年時点で174まで落ちているということでございますが、この評価の判断基準として使っています日本電気協会の規程に68J以上あればいいということを専門家の先生にも判断いただいておりますので、健全性は保たれると評価しています。

次の資料でございますが、疲労という問題でございます。疲労というのは、ポンプでも何でも使えば必ず応力がかかるわけで、かかる力の繰り返しが、低サイクル疲労を起こすわけで、ここでは、原子炉容器の上ぶたを容器本体と接合しておりますスタッドボルトについて評価しています。細かい表ですが、項目を見ていただきますと、通常の運転状態で起動させたり、停止させたり、出力を変化させたりということで、応力の変化により疲労が蓄積していきます。また、運転状態Ⅱですが、これは原子炉の冷却材喪失のような大きな事故ではございません、ちょっとしたトラブルといいますか、負荷の喪失や外部電源喪失があったときの変化というのを考えて、応力の60年分のサイクルの回数を数えています。その結果、左下にありますように30年目から比較しますと許容値に対して近づく方向に動くわけでございますが、それであっても許容値1.0に対して、0.25程度になっているということが判断できました。従って、60年の運転を仮定しても十分安全であるということがわかったわけでございます。このようなかたちで、60年間を仮定して想定して、その間にどのように今まで使った材料が変化しているのかどれだけの劣化しているのかということを評価し、その点での結果を踏まえて、その後の保全につなげていくということです。

次のページをお願いします。コンクリートの強度低下の問題です。これは熱や放射線照射や、中性化といいますのは、空気中にある二酸化炭素によります酸化が発生することによる影響です。また、塩分は、構築物に対して外から、海に近いところですので、海から飛んできた塩分の浸透による影響、また、振動による影響も考えてございます。加えて、アルカリ骨材反応も重要です。アルカリ骨材反応については、この中で簡単に説明できませんでしたので、報告書で後でご紹介させていただきます。

熱につきましては、許容される65℃に対しまして、62℃に抑えられておりますので健全であろうと考えております。また、放射線照射につきましても、許容されるであろう1020という値に対しては、60年間の照射を考えましても十分それを下回っていることがわかります。これは中性子線でございますので、ガンマ線についての影響も評価しています。壁の一部は劣化するであろうと考えてございますが、その深さは10~12cmであろう。全体の壁の厚さは270~280cmありますので、その10cmがまったく機能しなかったとしても、健全性には影響しないものと判断しています。

中性化につきましては、中性化がなぜ悪いのかということでございますけれども、コンクリート構造物は内部に鉄筋が入っていますけれども、鉄筋は強アルカリのコンクリートに囲まれており腐食が防がれていますが、この鉄筋まで中性化されてしまうと、鉄筋の腐食が始まってしまいます。これを避けることが重要ですが、今回の評価においてはこの鉄筋に至る深さが、

例えば外部遮へい壁であれば6cmですが、ここに至る前までは、例えば3cmとか2cmまでは、中性化することは評価ではありましたが、ここに至っても鉄筋の健全性は十分確保されているということを確認しています。このような形で、塩分や機械振動につきましても評価しています。

アルカリ骨材反応につきましては、皆様ご注目されている項目かと思います。資料3-2の6ページをご覧下さい。資料3-2は概要版ですが、ここの内容は分厚い方の資料3-3と変わりございません。6ページ目の2段落目でございますけれども、一方、ASRによるコンクリート構造物の強度低下についてはとはじまるところからですが、アルカリ骨材反応に対する私どもの評価でございます。ここでの評価は、まず、現状を把握する上で、表面にひびがある場合とない場合とで評価しております。ひび割れがない場合はアルカリ骨材反応が発生してないだろうと考えておりますけれども、これにつきましても、コア抜きをいたしまして、試験体に対します圧縮強度を評価し、設計基準強度よりも上回っていることを確認しておりますし、このコアをさらに促進膨張ということで、アルカリ骨材反応を促進させると、もっと進むのかどうかということを評価しましたところ、規定値以下であることから、十分に反応は抑えられるという判断しており、長期健全性評価上は問題ないということになります。

一方、ひびがあったところでいいますと、2ヶ所ありますが、具体的には脱気器の基礎が挙げられます。脱気器というのは2次系のタービン周りの機器でございます。タービンの仕事を終わった蒸気が、復水器で水になり、その水の中から気体分を抜き出し、気体を抜かれた水はさらに蒸気発生器に入り、熱交換して蒸気になるということですが、その復水器から出てきたところの脱気器の基礎について、まず評価しています。もう一点、皆様よくご存知のタービン架台でございます。脱気器の基礎につきまして、ここについてもコアを抜いて試験をしており、設計基準強度20.6N/mm2に対して、21.1N/mm2と支持機能に問題ないと判断いたしました。それから膨張の能力ですけど、現に、アルカリ骨材反応いたしますとコンクリートが膨張するわけですけれども、そもそも脱気器という熱がかかる機械というのは、熱によって鋼材が延びることを大前提に設計されておりますので、こういうスライドする機構のもとでは、ある程度の膨張は十分吸収できるということから、構造健全性に対しての影響はないと判断しています。それから、コアの促進膨張試験という形で、アルカリ骨材反応がこれからどれくらい進むかという判断をしたところ、別の判定基準を使ったわけでございますが、これを十分下回っていることを確認してございます。以上、現在におきましては、長期健全性評価上は問題ないということです。アルカリ骨材反応の性格といたしましては、初期に膨張が発生しますが、ある程度経過しますと、落ち着いてくるという特徴がありまして、現在においてはこのような評価になるということでございます。タービン架台についても同じような3つの視点で評価をしております。強度の問題、コアを抜いた圧縮強度は設計基準強度を上回っておりました。伸びについての膨張をいかに吸収できるかという構造上の問題もクリアしております。今後の促進膨張試験の結果につきましても、十分規定値を下回っていることが確認できました。このようなことから、健全性の評価上は問題ないとしております。これは評価でございまして、これを受けまして、今後の保全ということで考えますと、何を追加するか、基本的な健全性は確保されていると考えますが、しかし、今後も我々の予測するように推移していくかどうかわかりません。そのために、7ページの上から2つめの段落の終わりにもありますように、今後につきましても、リバウンドハンマー等の非破壊検査を追加し、強度に急激な経年変化傾向が生じていかないことを確認していくという対応をとっていくということです。更に、これだけでなく、もっと把握するための手段として、次の段落のような、テーブルデッキ部の膨張変形測定を行うこと、さらには柱の傾斜についても計測することを追加することを考えています。また、現在研究開発段階のものですが、鉄筋そのものの破断がないことの評価手法の開発も進めさせ、その結果を利用していくということを考えてございます。このような観点から、私どもといたしましては、技術評価内容はいいだろうと、それから、追加保全ということでこのような対策を取るということについても妥当であると判断しております。

それでは、スライドの続きに戻ります。耐震安全性の問題です。結果がどのように耐震の評価に影響があるのかと考えますと、例えば、機器だとかタンクの基礎ボルトが腐食することで、径が小さくなって本来の設計上の力が出ないのではないかとか、疲労によって強度が低下するのではないか、配管が減肉すれば当然肉が薄くなるわけだから強度が小さくなるだろうということが耐震上問題となってくるわけです。こういう視点でどういった配管を選ぶか評価しました。さらには60年運転を想定した経年変化を踏まえまして耐震安全性の評価を行い、その結果、追加の保全策等を策定するという方法をとったわけでございます。その一例といたしまして、炭素鋼配管、これは2次系のタービン周りで使われている配管ですが、この減肉についてどのように評価したかということを一例としてご紹介いたします。保守的に減肉をさせるということですが、そもそも設計上は内圧に耐えるために技術基準上で要求される肉厚が、1mmだとか計算上出てきます。実際は、運転上使われている配管は10mmくらいの肉厚の配管を使っているわけです。こういうものが、技術基準上要求される1mmまで、もし仮想的にすべて周方向も軸方向も減肉した状態を仮想します。これは非常に厳しい保守的な仮想評価です。こういう状態で、地震動を入力してみました。これが1番最初のスクリーニングです。こういうような形で評価した場合、これでは持たないというものがあります。それが例といたしましては、第3抽気系統配管でございます。ここについては、もう少し現実的な評価を行います。一律に周方向、軸方向すべて必要肉厚まで減らすというわけではなく、モニタリングという形で、定点を決めまして、配管の減肉の状況を把握するわけでございますが、実測データに基づくどれくらい減肉していくかという評価が出るわけですが、一番減肉した部分が必要最小肉厚まできたとしても、例えばその反対側、180°のところは、減肉を受けないということが流れ加速型の腐食の減肉の性格があろうかと思いますので、そういったところは現実にある肉厚を用いるといった評価をしてみましたところ、許容応力を発生応力が下回ると、つまり健全性は保たれるということがわかりました。つまり60年間もつというわけではなくて、技術基準で要求する必要な肉厚を確保するように管理することで、耐震安全性は確保できるんだということが判断できたということでございます。つきましては、追加保全策として、肉厚測定による減肉傾向の把握を十分やっていく、データを蓄積していくことが大事だということが判断できます。このような形で、実測データを反映した評価を行うことで、この評価を確実に安全につなげるためには、実際の追加の判断の中でも、このように傾向を評価していくことが重要であるとわかったわけです。

このような評価を受けまして、最終的に今後の長期保全計画につなげていくわけです。次のページをお願いします。ここでは一例を書いておりますが、今回、現状保全に追加すべき保全策とされたものは、31項目ございます。この内容は資料3-3の後ろのほうですが、添付2としまして、A4横書きで作成している資料がございます。この内容を紹介いたしますと、それぞれ、どの機器の、どんな劣化事象に対して、何をやらなければならないのか、どの時期までにやるのかという内容を整理してございます。この内容は基本的には四国電力で評価をしてきたものですが、それらを私どもとして審査をいたしまして、最終的に変更の申請も頂きまして、最終的な段階で、私どもとして、これでOKというかたちで、評価をしたものでございます。例えばここで書いてございますのは、中性子照射による原子炉容器の劣化でございますが、基本的には先ほど紹介しましたように60年はもつだろうと、しかしながら現状の知見でどうかということがわかったわけですから、最新の知見とか、もしかしたら今後の予測式とは違う傾向を示すかもしれません。そういうことも考えまして、最新知見による脆化予測式の評価を今後とも適宜行い、従来の予測と大幅に変わっていくようであれば、試験片につきまして、さらに使用済試験片を再装荷するということを含めて検討し、抜かりなく劣化の傾向を把握していくということをまとめています。このようなかたちで、31項目の長期保全計画が作られています。

最後のページですが、このような計画を立てて、事業者としての役割、また、当院がどのような取組で確認していくかということをまとめたものでございます。事業者の役割は、長期保全計画を着実にやっていくということですから、30年を超えた後の定期検査からは、この計画を反映していくということが大事になります。それから、現在わかっていることだけでは不確定な要素もありますので、万全の対策を講じるため、引き続き国内外プラントの運転経験とか最新の技術的知見を適切に反映させるということが大事だと考えております。

それに対しまして、私どもといたしましては、まず第一に、事業者のそういう実施状況は、定期検査とか、定期安全管理審査という形で確認をしていこうと考えております。さらには、毎定期検査ごとに計画を聞き、実施された内容については届出を受けることに現在のところなっておりますので、こういう形で、適切に長期保全計画がなされていることを確認していくという方針でございます。

以上、今回の伊方1号機に対します高経年化技術評価の結果でございます。どうもありがとうございました。

吉野内会長

ありがとうございました。本件につきましても、昨日開催しました技術専門部会において、技術的・専門的観点から審議していただいておりますので、濱本部会長さんから、技術専門部会意見の報告をお願いします。

濱本部会長

技術専門部会としては、伊方1号機の高経年化対策に関して、四国電力が昨年9月に策定した「高経年化技術評価等報告書」の送付を受け、各委員においてその内容を精査するとともに、4月26日、27日の2日間にわたり、四国電力から技術的説明を受けるとともに、伊方発電所の現地調査を実施するなど段階を踏んで、詳細な検討を行ってまいりました。

その結果を踏まえ、昨日、国から審査結果の説明を受けた上で、「高経年化技術評価の実施体制」、「経年劣化事象毎の技術評価」、「耐震安全性の評価」等について、論点ごとに分類して審議を行い、次のとおり、技術専門部会としての意見を取りまとめました。

1 「伊方1号機の高経年化技術評価及び長期保全計画」については、高経年化対策上着目すべき経年劣化事象や機器・設備が抽出された上で、最新の知見を踏まえて技術評価がなされるとともに、経年劣化事象に応じた追加保全策が策定されていることなどから、妥当なものと認められる。

2 四国電力は、長期保全計画を確実に実施するとともに、高経年化対策上新しい知見が得られた場合は、適切に健全性評価や対策を行うこと。また、高経年化対策の評価や実施状況について、県民にわかりやすく説明すること。

3 改訂された耐震設計審査指針に基づく耐震安全性評価に係る高経年化技術評価の見直しについては、改めて技術専門部会において審議する。

以上でございます。

吉野内会長

ありがとうございました。

ただ今、国及び濱本部会長から、技術的・専門的な観点から、厳格かつ詳細に検討され、妥当性を確認したとの説明がありました。

なお、高経年化対策については、耐震性についても検討されていますが、耐震安全性に関しましては、この後の報告事項の中で、国及び四国電力から詳細にご報告いただきたいと考えております。

それでは、この件に関しまして、委員の皆さんから御意見をいただきたいと思います。

佐々木委員

高経年化対策では、60年という言葉が頻出するわけですが、この60年という期間はどういう意味合いを持っているのか。今のご説明では、今後、追加保全策をとって、10年ごとの評価を行うということですが、これは、60年という意味から考えると、今後30年間は運転することはいいですよと、決定したような事項につながるわけですが、県民から見ても、今の説明を聞きますと、今後この1号機では30年間大丈夫ですよ、運転してもいいんだというように解釈を単純にするわけですが、そういう形に理解してよいのか、そのあたりについてお伺いしたい。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

保安院から説明させていただきます。

まず、60年まで私どもが運転継続を認めたという事実は、一切ございません。この60年の意味は、60年まで法的に健全性を確認し、運転継続することを認めたというものではありません。まず、あくまで60年の使用を仮定したならばどうなんだという、現在ではなく、将来を予測するわけです。将来を予測する内容で考えますと、1年後の予測もあれば、1,2年先のこともあるわけです。でも高経年化を考えるにあたりまして、実は、平成8年から私どもは高経年化の評価を始めていますが、その段階では、30年に至るものがあって、大体その倍くらいの60年を概ね予測するのは、現在の技術レベルでは無理のない範囲であろうということを、私どもとしては専門家の先生の意見を受けて、定めたものでございます。つまり、将来を予測するにあたって、どこに設定すればいいのかという観点からいうと、60年はそうおかしくないというか難しくないというか、無理のない期間が60年であったという理解をしています。そういうものを評価の目標として評価した場合、どれくらいの劣化があるのかということで決めたということです。私どもはこの制度全体の中で要求しているのは、評価ということと、もうひとつは、今後10年間何をしなくてはいけないかということでありまして、こちらのほうが、事業者に対して要求するレベルが高いと思っておりまして、そういうことで、今後10年間にこういうことを着実にやっていただくことで、高経年化していくプラントの安全性は適切に保たれていくということに私どもの施策の主眼があるわけです。ですから、60年はそれに至る評価の仮定であって、私どもの今の知見から言えば無理のない評価のできるレベルと御理解いただければと思います。

吉野内会長

よろしゅうございますか。

高橋委員

確認ですけれども、伊方1号機の定期検査はどうだったのか。新聞報道によると、定期検査期間を省略しているということだが、1号機はどうなのか確認したい。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

新聞報道がなされているのは、新たな検査制度の導入の問題だと思います。若干話が長くなりますが、現状をご紹介させていただきたいと思います。検査制度というのは、今の検査制度は本当にいいのかと考えたときに、先ほど高経年化のところで一番最初にご説明いたしましたように55基ある日本のプラントがだんだん高経年化していくわけです。そういうときに私どもが今やっている検査でいいのか、今の検査は、一律どのプラントでも同じような検査をやっているタイプがいいのか、30年間運転してきたなかで、あるものは交換し、あるものはそのまま30年間使用が続いているということを考えたときに、言い方がよいのかどうかわかりませんが、既製服の検査をやるのか、それぞれの体にあった、プラントにあったオーダーメイドの検査をやるのか、今後を考えたときにどっちを選べばいいのかということを評価してまいりました。結果としてそれぞれのプラントに、きめ細かな検査を今後始めていこうと検討してきたわけです。この検討経緯をご説明しますと、平成12年の東京電力の不正問題を受けた後、随時検討を進めておりまして、昨年9月の私どもの審議会の中で、このような方針を述べさせていただいております。これを受けて、さらに詳細なことをこの一年間で検討してきておりまして、新しい検査制度自身は、来年の4月から導入を図りたいという方向で検討を進めていたわけです。そういう中で、それぞれのプラントに応じた検査をやっていくということになりますと、そのプラント毎の、そこにある設備ごとに、どこまで健全に維持されているのかメンテナンスがされているのかということを個々に評価することを考えますと、検査のペースを1年ごとに行うということではなくて、機器を点検する中で、それぞれの機器がどんな点検間隔がいいのか技術的な評価をして、その中で最短のものが停止の期間となるという整理ができると思います。ちなみに現在は13ヶ月毎に定期検査が行われていますが、13という数字にもあまり意味はありません。変な数字です。1年は12ヶ月ですが、13になっているのは、それに加えて運用上の問題があって、国が上限として決めたものです。そういうことを考えたときに、合理的な点検期間が、きめ細かな検査制度の中で出てきたときには、もしかしたら13月でないかもしれない、こういうことが可能ではないかということが理由かと思います。そうは言っても、ものすごく長く3年、4年とか5年というのはあり得ないと思いますので、そういう中で、どこかで上限を作らないといけないという議論もございまして、いくつか新聞報道で言われるような月数が出てきているということは事実でございます。ただ、これは現在審議を進めているところです。そういう中でのこの問題でございますので、今後、定期検査が伸びることが安全をないがしろにするのではないかというところについては、一番地元の皆様が御心配されていることだろうと思いますので、しっかりと地元への説明をさせていただいた上で、審議会のほうからパブリックコメントをかけるという形をとっていきたいとは考えております。現在のところは、審議の最終段階になっておりましたので、審議を傍聴したプレスからこのような形で定期検査の延長という話題が出てきたわけです。ここから高経年化との関係なのですが、伊方1号で定期検査間隔は延びるのかという御質問だったかと思いますが、これは、適切なプラントの評価と、健全性を維持するための保全がしっかりやられていくようであれば、その可能性はあると思います。ただし、それは努力してそういうことをやっていくということになっていくと思いますので、なかなか一朝一夕にそこまでいかれるのかどうかは私どもはわかりません。制度としては、適切な運用等をやっていけば、高経年化しても、あるものは随時交換すればいいことですし、1,2年のインターバルで点検をすることと、30年とか40年で劣化していくというモードとは若干意味が違うと思いますので、そういう意味で、私ども、伊方がどうだと言われると、否定はしない。ただし、そのためには、乗り越えなければならない多くのところがあろうかと思います。当然、しっかりした保全をするということになろうかと思いますので、そういうものがしっかり着実にやられるということが証明できていったあかつきには、そういうこともあるのではないかと思います。長くなって恐縮でございますが、以上です。

高橋委員

問題は、専門家が安全、安全と言うけれども、人間だって年をとれば、ガタガタ体はなるし、若い頃と違って、しょっちゅう身体検査をしなければならない。そういう点で、皆様方が正しいということであっても、それは、地元住民にしっかりと理解してもらわないと意味がない。政治の世界でも、いくら正しい施策をやっても、国民が理解できないと意味がないのと同じと思います。古くなったものを今までよりも少なくやるという理解を、我々はしていた。だから、難しいことではなくて、もう少しやさしく、やわらかく地元住民に話していただかないと。航空機においては、何時間飛んだら、いくら新品でもパーツは取り替えるというマニュアルがある。原子力発電所も全国にたくさんあって、そういうことはできていると思うが、想定外、想定外と、突然何か起こったら想定外と言うが、想定外というのは存在しないのです。後で説明があると思いますが、柏崎の原子力発電所では、想定外が想定外ではなくなった。そういうことで、地元住民、それから近隣住民、そういった方たちによく理解をしてもらうように、今後PRをしていただかないと、我々行政としてもやりにくいということを言っておきたい。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

今後の評価につきましても、データを揃えて、厳正に確認していくということで、一歩一歩確実な前進をしていくということで、一気に定期検査間隔を延長するということは決してないと思います。ですからその状況にあわせて、検査の間隔がどうなのかについては、慎重に私どもも対応していきたいと思いますが、まずは、皆様に御理解いただくということで説明させていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

吉野内会長

そのほか、何かございませんか。

岡崎委員

30年を過ぎたものに対しても、四国電力にも、国にも、きちんと調べていただいていると思うが、地元としては、やっぱり大丈夫かなと、みんな思っているところがあると思います。あまり難しい専門用語で、こういう検査をして大丈夫と言われるよりは、もっとわかりやすく、30年経ったら、こことこことこういうところが脆くなるとか、こういうところがいけなくなると考えていると、それについてこういうふうに直しましたとか、こういう手をうっていますとか、それから、もし、部品の取り替えについても、こういうふうに安全だと思うけれども、取り替えたほうがいいので取り替えましたとか、いろんな意味でもっと情報の出し方をわかりやすく出していただければ、私たち住民も、取り替えてもらったんだなとか、考えてもらっているんだなというのはわかるのですが、こういう文章でこことこことここを検査をしましたので、大丈夫ですというのは、納得しにくいので、住民に対する説明の仕方をもう少しわかりやすくしていただきたい。

私も新聞報道で、定期検査間隔は2年間でも大丈夫というのを見たときに、あれだけ説明会をしたプルサーマルがあって、新潟の地震があってというときに、2年というのを聞いたときに、何でこのときに2年間が大丈夫だと言えるのだろうと、正直、思いました。これだけ想定外と言っているときに、2年間が大丈夫というのは、なぜこんなときに大丈夫と言えるのかと、不信感が増すと思う。だから、もう少し丁寧に説明することはできないでしょうか。地元とか心配しておりますし、私たちも農家なので、風評被害があったというのを見てたら、年に1回しか生産できないものが、ああいうふうになったら1年間私たちはどうなるのかと思いました。生活がかかってますので、そのあたりはもう少し対応をきちんとして頂きたいし、着実に出さないといけない情報は出して頂きたいし、常にそういうことを考えていただければと思っておりまして、もう少し公表のあり方とか、説明とか、そういうことについて考えていただけたらなと思います。

四国電力 谷川原子力部長

原子力部長の谷川でございます。私どもとしては地元の皆様のご理解をいただいたうえで、発電所の運営をしていきたいというのは常に思っておりますので、情報の出し方を常に工夫してまいりたいと思います。情報は透明性をもって公開していく、当然、わかりやすい絵とか、わかりやすいタイミングで、いろんな機会を捉えてしたいと思っております。一点、この定期検査の延長に関してでございますが、国のほうで検討されていることは承知しておりますが、私どもの今の考え方では、燃料の有効利用という面もございますので、大幅な定期検査の延長は考えてございません。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

情報の出し方と、なぜ今この時期にこんな情報が出るのかという御意見を頂きました。まったくおっしゃっていただいたことはそのとおりかと思います。この新検査制度につきましては先ほど説明申し上げましたようにずっと審議をしてきたところがあります。今後のことも考えますと、例えば、これまでこの1年間を考えますと、不正問題といいますか発電施設の総点検やった場合、四国電力さんについては原子力については不正はなかったという結果でございますが、ほかの電力会社さんには、いくつかありました。それに対する信頼感の喪失だとか、それから中越沖地震があったということを考えますと、時期としてよかったのかということをご指摘いただいたものと思います。ただ、発電設備の総点検については、その対策ということで原子力安全委員会に本年の6月にご紹介させていただいたときにも、原子力安全委員会の方からは、今考えている新検査制度は確実に進めていくことが大事だ、過去のことは過去のこととして、やってくださいというご指摘をいただいたということもありましたし、さらには中越沖地震も、現在プラントが止まってございます。このように長期にプラントを止めたものを、いかに今後立ち上げさせるかということを考えたときには、先ほど申しましたような、きめ細かな保全対策で何をチェックするのか、いかに特別な保安計画を作ってもらうかということが大事だと思っておりますので、そういうものを作るための制度の受け皿という観点でも、新検査制度というのは、皆様のご理解をいただいたうえでですが、政府として定着させていきたいと考えているところもありまして、審議そのものは淡々と進めてきたところもありまして、こういう月数ということが公になったというところです。とにかく地元のご理解を得るということが、ご指摘をいただいているところですが、大事だと思っておりますので、今後は皆様の御理解を賜りまして進めるよう努力したいと思っております。

吉野内会長

その他、何かございますでしょうか。

渡部委員

今回の高経年化技術評価の中で機器等についての評価がほとんどなのですが、耐震性に関して、地盤についての評価は、この中ではなされているのでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

今回の耐震性の評価は、現在ある知見の中からしてます。ですから耐震の評価は伊方の3号で使われております地震動の大きさというのをもとに評価をしております。ご承知のように耐震指針は見直しを昨年の9月にしており、それを受けました全体のプラントの再評価を今やられてるところでございます。中越沖地震もありましたので、各電力は早くするよう努力いただいているところでございますが、まだ出ておりません。従いまして、従来の伊方3号をベースに評価をしたのが今回の評価結果です。今後新たな想定の地震の大きさが出ましたら、それを受けた形で高経年化評価も見直しをしなければいけないということになります。それで見直しを頂いた内容は国の方にも報告を頂くという制度になってございますので、そういうようなことをやらないというのでなくて、今後やる予定であるということはご紹介させていただきますが、私どもの評価は伊方3号機をベースとしたものです。

四国電力 谷川原子力部長

地盤の問題は、長期の保全の問題で地盤が弱っていくという観点ではありませんが、新潟の地震で、柏崎刈羽発電所の特に埋め立てしたところの地盤が、不等沈下を起こしていた。それが、付属設備の損傷につながっているという情報がございます。従いまして私どもの埋立地の地盤につきましては、過去の埋立地のデータはすべて洗い出しておりますが、それに加えて30年間で埋立したところがどうなっているかをボーリング調査をして、現状の地盤の状況を把握したいと思ってございます。

吉野内会長

耐震性については、中越沖地震の関係もありますので、この後の時間で質問いただければと思います。山下副会長さん、地元の立場からの御意見がございましたら、お願いします。

山下委員

伊方発電所の運転開始から30年ということで地元といたしましても万感の思いがしてございます。この間、大きな事故もなく、安全管理、安全運転に取り組んでいただいていると評価をしているところでございます。

さて、この高経年化対策につきましては、伊方発電所の安全対策に係る重要な問題であると認識しております。今後も伊方発電所に対しての地域住民の安心感、さらに信頼感を醸成するためには、国及び四国電力が高経年化対策に確実に取り組まれることはもとより、その状況につきましても、今ほど各委員さんからお話がありましたように、広く地域住民に広報し、ご理解いただくことが重要であると考えておりますので、適切な対応を、私どもとしてはお願いしたいと思います。

四国電力 石崎原子力本部長

今、お話にありましたように高経年化対策、追加でやることを含め、適切に確実にやると、それをやった内容を分かりやすく説明するということを、適宜やってまいりたいと思います。

吉野内会長

それでは、この高経年化対策につきましては、技術専門部会の御意見及びこれまでの御意見を踏まえまして、当委員会として意見を取りまとめたいと思います。

伊方1号機の高経年化技術評価及び長期保全計画につきましては、高経年化対策上着目すべき経年劣化事象や機器・設備が抽出された上で、最新の知見を踏まえて技術評価がなされるとともに、経年劣化事象に応じた追加保全策が策定されていることなどから、妥当なものと認められる。四国電力は長期保全計画を確実に実施するとともに高経年化対策上新しい知見が得られた場合は、適切に健全性評価や対策を行うこと。また、高経年化対策の評価や実施状況について県民にわかりやすく説明すること、とさせて頂き、知事に報告させて頂きたいと思います。また、改訂された耐震設計審査指針に基づきまして、耐震安全性評価に係る高経年化技術評価の見直しがあれば、技術専門部会で審議をお願いします。以上のとおりとりまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

それでは御承認を頂きましたので、そのようにさせて頂きます。

本日の議事については終了しましたので、報告事項に移らせて頂きます。

7月16日の新潟県中越沖地震では、東京電力柏崎刈羽原発におきまして、建設時の設計を超える大きな地震が観測され、また、変圧器の火災や、微量ではありますが、放射性物質が放出されるなど、想定外のトラブルが多数発生いたしました。

県としましても、中越沖地震による柏崎刈羽原発への影響を重く受け止め、これまで、四国電力に対しては伊方発電所の立入調査を実施するとともに、中越沖地震を踏まえた耐震安全性の再評価の徹底と評価時期の前倒し等を指示いたしました。また、原発立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会として、柏崎刈羽原発の現地調査を実施するとともに、国に対しては耐震設計審査指針の妥当性の早急な検証等の緊急要請を行うなど、当面の対応を行ってきたところです。

本日は、国及び四国電力から、中越沖地震による柏崎刈羽原発への影響を踏まえた伊方発電所の対応等について報告をお願いします。

それでは、まず原子力安全・保安院耐震安全審査室の御田安全審査官さんから説明をお願いします。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

原子力安全・保安院原子力発電安全審査課 御田と申します。本日は新潟県中越沖地震の原子力安全・保安院の対応についてご説明させて頂きます。

スライドをお願いします。今回の新潟県中越沖地震の概要でございますが、平成19年7月16日、新潟県中越沖でマグニチュード6.8の地震が起こりました。震源の深さは17km、こういう概要でございますが、現在この地震につきましては震源断層が北西に傾斜しているのか、それとも南東に傾斜しているのか研究機関でも議論が分かれておりまして、まだ地震の全体の概要は検討中というような状況でございます。その時、柏崎刈羽原子力発電所がどういう状況であったかでございます。次のスライドですが、柏崎刈羽原発の3、4、7号機は運転中、2号機は起動中ということでございましたが、この地震の発生に伴って、設計どおり制御棒が全挿入され自動的に安全に停止したという状況でございます。次のスライドですが、その時、柏崎刈羽原子力発電所がどのように揺れたかというのがその表でございますが、これは各原子炉建屋の基礎版上に観測器がのっておりまして、観測器で観測された最大の加速度の数字をとりまとめたものでございます。最も大きかったのが1号機の東西方向、これで観測値として680ガルという数字が観測されています。右側のカッコ書きの数字がそもそも設計のときにどれくらいの数字になっていたのかと、設計とは、ここでいえば基準地震動S2という入力でございますが、このときにどのくらいの加速度であったかということでございますが、比較すると273ガルに対し680ガルという観測記録が出ています。この地震の特徴を見ていただくとわかるのですが、南北方向と東西方向の地震力を比べると、東西方向の地震力のほうが大きな数字が出ております。また、1、2、3、4号機と5、6、7号機で分けて見ていただきますと、1、2、3、4号機の方が大きな加速度が記録されています。現在、この地震でなぜこのような違いが出て来ているのかということを東京電力等が分析しておりまして、分析結果が出次第、私どもでも評価していきたいと考えております。

次のスライドですが、次に地震時に発電所で観測された揺れの大きさですが、今回の観測記録の中で最も大きな数字が出た建屋でございますけれども、3号機でございます。このスライドの右上のところに2058ガルという数字がございますけれども、これが3号機の建屋、先ほど基礎版上の数字だけをお見せしたんですが、それ以外にもこのような形の各フロアに同じように計測装置がついておりまして、それぞれにどのくらいの観測値が出たかということをお示ししているものでございます。ここにつきましても最大加速度が2058ガルという観測値に対して設計値が834ガルということで、設計値を大きく上回っていたというのが今回の地震でございます。

次のスライドですが、原子力発電所の耐震設計の基本的な考え方というものでございますが、基本的には大きな地震があっても発電所周辺に放射性物質の影響を及ぼさないということが重要なことでございます。安全上重要な止める、冷やす、閉じ込めるという機能が確保されるよう設計されているものでございます。今回の地震におきましても、柏崎刈羽原子力発電所の安全上重要な機能は確保されているものでございます。一部、変圧器等の火災がございましたけど、基本的には安全上重要な機能は確保されていたと考えてございます。

次のスライドですが、私どもが今回新潟県中越沖地震を踏まえてどのような対応をとっていったかでございます。これは基本的には耐震安全性に関するものだけを抽出したものでございます。まず7月16日、地震が起こった日でございますけれども、基準地震動を超える地震動が観測されたということで、東京電力に対しまして地震観測のデータの分析、安全上重要な設備の耐震安全性の確認と報告を指示いたしました。また7月20日、経済産業大臣から四国電力さんを含めた全電力会社に対して、新潟県中越沖地震を踏まえた対応として国民の安全を第一とした耐震安全性の確認を指示しました。今回の中越沖地震から得られる知見を耐震安全性の評価に適切に反映すること、可能な限り早期に評価を完了できるよう耐震安全性再評価の実施計画の見直しについて検討を行い1ヶ月を目途に結果を報告することという指示を行いました。それから7月31日でございますが、今回の地震についての国及び原子力事業者の今後の対応等を取りまとめるために、中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策検討委員会等を設置いたしまして、いろいろな事項を審議しているところでございます。

次のスライドですが、8月20日でございますけど、各電力会社から耐震バックチェックの実施計画の見直しを提出されたところでございます。8月24日に耐震・構造設計小委員会を開催いたしまして、観測データの分析により今回の地震の観測値が設計を上回った要因、今回の地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響の検討、同発電所の今後の耐震安全性評価に反映すべき事項の検討、想定される地震動に対する耐震安全性の確認、他の原子力発電所、伊方を含めて全原子力ですが、他の原子力発電所に反映すべき事項の検討を開始しているところでございます。

次のスライドですが、そもそも耐震安全性再評価がなぜ行われるかというと、昨年9月に耐震設計審査指針が改訂されまして、現在は、新耐震設計審査指針に基づいて審査を行っておりますが、それ以前に作られた既設の原子力発電所につきましても新耐震指針に適合しているかどうかということで、各電力会社に耐震安全性の再評価の指示を昨年9月に行ったところでございます。今般、中越沖地震があったということで、更にこの耐震安全性再評価の実施計画の見直しを指示し、可能な限り早く評価を行うよう指示したところでございます。耐震安全性再評価の実施計画の見直しについて、各電力会社がどのようなことを報告してきたかということを取りまとめてございますが、第一としまして、本年度中に中間報告を出しますということで、本年度中に地質調査、それに基づく基準地震動を新たに策定いたします。それから各プラントを対象として、安全上重要な設備についての評価を実施していくということでございます。次のスライドですが、それから2番目といたしまして、海上音波探査の追加実施ということで、ここには伊方発電所も含まれておりますけど、今回の地震を踏まえて、7つの発電所と六ヶ所再処理事業者において海上音波探査を追加実施いたします。3つめは電力会社の自主的な対応ということになりますけど、柏崎刈羽原子力発電所と同様の揺れが生じた場合の安全機能維持の確認ということで、先ほど基礎版上で地震動が観測されたと申し上げましたが、基礎版上で観測された地震動と同等の地震動を各原子力発電所に入力いたしまして、止める、冷やす、閉じ込めるという安全機能維持が確保できるかということを確認するということです。

次のスライドですが、続きまして、この検討体制ということでございますけれども、原子力安全・保安部会の下に3つの委員会がありますが、今回新しく設置されたのが、中越沖地震における原子力施設に対する調査・対策委員会でございまして、その下に運営管理・設備健全性評価WG、中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するWG、これらを設けまして検討を進めているところでございます。具体的な検討項目でございますが、中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するWGでは、今回変圧器火災が起こってうまく消火できなかったという反省を踏まえまして、自衛消防体制、事業者の情報連絡体制、災害時における初動、準備体制、自治体、国民等に対する情報提供について、先ほど情報提供の話がありましたが、情報提供がうまくできるように、この委員会の中で検討していきたいと思います。

次のスライドですが、もうひとつのWGですが、運営管理・設備健全性評価WGでは、震災直後の運転管理、設備の健全性評価ということで、今回いろいろ大きな被害が出ておりますけれども、どうやって補修していけばいいか、どうやっていけば再開できるのかということを検討してまいりたいと考えております。

次のスライドですが、耐震・構造設計小委員会の検討項目ということで、今回の地震に係る関係機関の調査・研究データ、地震動の観測データ、設計時の調査データ等をもとに各号機の原子炉建屋基礎版等において今回の地震による観測値が設計値を上回った要因についての検討、今回の地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響の検討、柏崎刈羽原子力発電所の今後の耐震安全性評価に反映すべき事項の検討等、ここに書いてあるような報告について、ご審議いただく予定でございます。

次のスライドですが、これは柏崎刈羽原子力発電所だけのことではありませんので、原子力発電所の耐震安全性確保の観点から、今回の地震から得られる知見を整理し、他の原子力発電所に反映すべき事項を検討するということで、ここで検討されるとともに検討委員会で得られる知見というのは、当然、この伊方発電所でも反映すべき事項があれば、当然、反映していただくということになると思っております。

最後のスライドですが、今後の伊方原子力発電所の耐震安全性に対する私どもの対応でございますが、四国電力が本年度中に地質調査、それからこれに基づく基準地震動の策定を概ね終了し、伊方発電所3号機に対する主要設備について、改訂された耐震指針に照らして耐震安全性を評価した結果を厳正に評価いたします。それから伊方原子力発電所全号機につきまして、これは21年の2月までにとご報告がありましたが、私どもに四国電力は耐震安全性再評価の結果を提出しますので、提出された報告書について、改訂された耐震指針に照らした耐震安全性の評価結果を厳正に評価するということでございます。先ほど地盤についてということもありましたが、新しく策定された基準地震動SSに基づき伊方発電所の地盤が安全な地盤であるかどうかということも、この中で評価することになると考えております。それから四国電力が自主的に行う柏崎刈羽原子力発電所の原子炉建屋基礎版上で観測された地震動と同様の地震動に対する安全機能維持の確認、これは1ヶ月を目途ということでございますので、おそらく9月下旬くらいまでには私どもの方に四国電力から提出があると思いますが、その中身についても確認していきたいと思ってございます。以上でございます。

吉野内会長

ありがとうございました。それでは四国電力のほうから説明をお願いします。

四国電力 石崎原子力本部長

説明に先立ちまして一言あいさつさせていただきます。皆様方には日頃から伊方発電所の運営につきまして、御理解、御指導を賜り、誠にありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。さて、中越沖地震では、柏崎刈羽原子力発電所で様々な影響が出ておりまして、現在、評価・検討が行われているところですが、伊方発電所では従来から継続的に耐震に関する知見を取り入れまして、安全性や安心感の向上対策を講じてきたところですが、今後とも柏崎刈羽に関する情報の入手に努めまして、必要な対応を行うとともに、引き続き安全・安定運転を継続し、皆様に安心していただけるよう取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくご理解のほどをお願いいたします。それでは資料に基づきまして、原子力部長の谷川から説明させていただきます。

四国電力 谷川原子力部長

国の方で、基本的な地震等についてお話いただきましたので、私からは、伊方発電所の状況を中心に報告させていただきます。資料4-2の右上にページを打っていますが、3ページをお願いします。3ページは、柏崎刈羽原発で確認された主な事象と伊方発電所の対応を整理してございます。左側が柏崎刈羽原発の事象、右側が伊方発電所の対応という形で整理させていただいています。

一番上の欄は、柏崎刈羽原発では、地震後自動停止していますが、伊方発電所におきましてもそこにある数字の地震動の揺れを検知した場合は自動的に原子炉を停止し炉心の冷却が行われるようになっています。

2つめでございますが、柏崎刈羽原発では変圧器の方はしっかりした基礎にのっておりましたが、高圧ケーブルを支える橋脚が柔らかい土の上にのっていたため、不等沈下して、結果として変圧器との接続部で、ケーブルがショートして火災が発生したということがいわれています。右側にありますように私どもの当該変圧器は、コンクリート構造物の上に変圧器とケーブルを支える架台を密接に設置しています。

一番下の欄になりますが、主排気筒から微量の放射能が出たとありますが、タービンの排風機が作動されていたためにタービンに入る蒸気に含まれていた放射能が出たということでございますが、伊方発電所のような加圧水型軽水炉では、タービンに関連する蒸気には放射能を含んでおりませんので原理的にこういった事象は起こりません。

次の4ページですが、柏崎刈羽原発の6号機原子炉建屋内で、使用済燃料プールから水がこぼれて、下側の図にあるような電線管のシール部をつたわって別の建屋に流れ込みまして排水口等を経由して海に放出されたことが確認されました。伊方発電所で調べましたらこういう水が漏れるような箇所はございませんでした。

それから柏崎刈羽原発で地盤沈下が屋外で起こって、消火用埋設配管が破れ、原子炉の建屋の下側に大量の水が漏れた事象がありました。私どもとして、先ほどお話させていただきましたように、一般的な埋立地盤がどうどうなっているかということを、ボーリング調査も含めて状況を把握するというように考えてございます。

5ページでございます。柏崎刈羽原発で地震計のデータが消失されたということでございましたが、伊方発電所では10日分のデータ容量があり、また本店へ専用回線で伝送するようになっています。

その次に燃料プール内の水中作業台が使用済燃料貯蔵ラック上に落下したということですが、伊方発電所ではプール内に水中作業台はなく、工具等についても落下防止措置を施しています。

次に6ページですが、柏崎刈羽原発で固体廃棄物貯蔵庫内で低レベル廃棄物の入ったドラム缶が転倒し、うち数十本の蓋が開いていることが確認されましたが、私ども伊方発電所の対応としましては、4段積みするドラム缶については、そこにありますように、ドラム缶を置く台がずれないように、こういった転倒防止ピンをつけるなど、転倒防止対策をとっています。

7ページは、作業員が体についている放射性物質を検査をしないで退出したということですが、伊方発電所は、できるだけ検査をして出るようにいたしますが、緊急時は作業員の安全を確保するためには、非常口から出るようなこともございますが、安全な場所に退避させた後、退出者の汚染検査を行う手順としています。

このあとは、国のほうから指示がございましたが、その伊方発電所の対応について説明いたします。10ページですが、自衛消防体制と事故の報告体制の構築についてです。表に、現状と、報告させていただいた対応方針と、8月末時点の当社の対応状況という形で表示しております。対応状況ですけれども、火災発生時の対応について、9月1日から夜間、休日の自衛消防体制を、常駐も含めて10名以上確保できる体制を構築して既に運用を開始しております。それから化学消防車がなかったということについては、1台購入することとし契約手続き中でございます。それから、消防機関への専用回線について、固定を実施しました。また、中央制御室に、消防機関への専用回線電話を追加設置いたしました。次は、迅速かつ厳格な事故報告体制に関しては、放射能分析のための要員が放射能分析に手間取ったということから、50名程度の要員を確保していますが、3名常時確保する体制を取るよう運用しております。それから緊急時連絡のため、緊急時対策所の通信機器等の固定を実施いたしました。

次は11ページ。耐震安全性評価実施計画の見直しということで、参考にありますように、伊方3号機については、平成20年7月までに報告することで考えています。1、2号機は平成21年2月までに報告したいと考えています。7月までのあいだに、平成20年3月に、伊方3号機について、伊方発電所で遭遇すると考えるべき地震の規模と3号機の主要機器の耐震安全性についての評価結果を中間報告というかたちで実施したいと考えております。

伊方の耐震設計の現状に関連する主要なものの今の現状をご紹介させていただきます。次の13ページをお開きください。これが伊方発電所周辺で活断層をどう見ているか、それに関連する地質調査が過去からどういう経緯でどのようなものでやってきたかを時系列にしているものです。赤が四国電力が独自で実施したものでございまして、その他のものは、いろいろな大学、国とか、いろんな機関が実施されたものを、私どもが結果を評価して私どもの判断に使わせていただいているものです。一番上の昭和45年から50年にかけて伊方発電所の周辺で前面海域の断層群に対する海上音波探査を含めて調査を実施して、伊方1、2号機の設置許可、いわゆる安全審査の中で評価しています。その後、赤の3段目ですが、昭和57年から59年に、今度は3号機を作るときに、さらに追加調査を実施いたしました。安全審査が終わった後、ずっといろいろな大学グループ等の調査をフォローしておりまして、それを私ども独自で評価しておりまして、ずっと続いてきておりまして、最近では平成16年に、私どもが独自に伊方発電所周辺の、敷地前面海域の断層群の海上音波探査なども実施しておりますが、ちなみにこのときの海上音波探査が、今、柏崎の前面の海域で、活断層を見落としていたかもしれないので実施する調査手法と、同等の調査です。もうひとつ、平成12年から13年に産総研他で行われた調査も最新の手法で行われております。その結果を、表の右側に書いておりますが、県環境安全管理委員会技術専門部会に、2003年3月に報告させて頂いた評価の中に取り入れております。

続きまして、15ページをお願いします。伊方発電所の北側、赤で書いている調査範囲に関連しましては、最新の調査手法で実施しておりますので、さらに追加調査する範囲はないと思っております。また、この範囲に中央構造線の断層群が含まれておりますので、これは伊方発電所の耐震設計では一番寄与の大きい地震の発生先でございますので、そういう意味では耐震設計全体に与えるような活断層の調査をさらにする必要はありませんが、黄色で書いているところに関しては、右にありますように、伊方3号機増設時に断層がないことを確認してございますが、耐震設計上必要なものではないと思いますが、最新の技術に基づく調査結果を皆さんにお示しすることで、より安心していただけるという観点から、今、調査計画を進めています。

17ページでございます。現在の伊方発電所の耐震設計をやった結果、どの程度の揺れを想定して、それぞれの設備の設計を行っているか、主要なものについて示しています。原子炉格納容器は、3600ガルというように、それぐらいの揺れが起こると考えています。

18ページですが、地震が起こった場合、機械の強度を考えるうえで、機械の強度に対して、地震の応力がどの程度の割合占めるのかというのを表記したものです。一番右側が1.0と、現在考えている許容値と同じになるように示しています。地震以外の応力は、だいたい半分くらい、それに対しまして、右下の凡例にありますように、地震により発生する応力は、この程度でして、地震力が少々大きくなっても、実質的には余裕があるというふうに考えています。以上でございます。

吉野内会長

ありがとうございました。今、国及び四国電力のほうから説明がありましたが、御質問等がございましたら、お願いします。

中村委員

3点ほどあるのですが、今の説明では、伊方発電所は安全で大丈夫という説明だったと思いますが、そのような中で、先日、友人が週刊ダイヤモンドという週刊誌を持ってきまして、その中で「原発大解剖」という特集がございました。その中で、原発耐震性危険度ランキングというのがありまして、全国の原発のなかで伊方発電所が最も危険であるとランクをされており、もちろん、この週刊誌の編集部が独自に試算をしたとなっておりますので、どの程度の信頼性があるかについては疑問でありますが、いずれにしても、このような記事を私自身を含めまして一般の方々が読まれますと多少なりとも不安になるのは事実であります。そこでお尋ねいたしますが、この記事について四国電力はどのように考えているのか。そしてまた、現在の知見では、耐震性は確保されているとする説明との矛盾について、明確に、住民、地域に説明するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

2点目といたしまして、10ページの化学消防車の配備をするということですが、車ですから、道路が寸断されたら、そこまで届かないと思うのですが、そこで、施設内に化学消防設備なるものを、固定のものを何か所か置くというわけにはいかないのでしょうか。

3点目は、15ページの赤いところ伊予灘のところで、過去に最新技術を適用しているということですが、過去に最新技術という意味がよくわからないのですが、これは阪神大震災以降地質の調査技術がより進んでいるということでございましたら、この過去というのは阪神大震災よりも手前なのか向こうなのか教えていただきたい。

池田委員

会長。関連して質問があります。

私は今年の4月まで30年県議会議員をやっていて、いろいろとこの原子力の問題については、共産党から随分と質問があったのを覚えていますが、この14ページを見ると、伊方発電所周辺及び中央構造線活断層系の主な地質調査経緯というもののなかに、あの人たちが大変問題にしておりました高知大学の教授のことは一切出ておりませんが、あれはあの人たちが独自にやったのであって、四国電力がやったものではなく、国がやったものではないから、想定外のものは問題外と、こういうふうに見ているのかちょっと気になったのでお聞かせ願いたい。

四国電力 谷川原子力部長

3点ほどございました。危険度ランキングの話ですが、先週号だったかと思いますが、週刊ダイヤモンドで、いろんなランキングがありましたが、そのうちの原発立地危険度ランキングと原発耐震性危険度ランキングが、伊方が上位にランクされていました。このランキングは、本来、文部科学省の地震調査研究推進本部というところが、一般防災用に日本全国の地域で起こる地震の強さと、震度6以上の地震に遭遇する確率、それぞれ公開されて、このデータをもって、伊方地区のデータを使って、全国同じように評価してランキングという形で掲載されているものです。この評価方法は、彼らは伊方地区の地震発生確率を持ってきているとしていますが、私どもが見ると、伊方地区ではございますが、伊方発電所が立地している地区のデータは使っておりません。いろいろ細かいデータが出ておりまして、1km範囲で出ていますが、彼らは、伊方の確率は43.6%だったと思いますが、実は伊方発電所の立地しているエリアの地震発生確率ですと11.4%、大体1/4くらいの値になっております。それから耐震性危険度ランキングは、地震調査研究推進本部は一般的な地盤での揺れを示していますが、岩盤上での揺れは一般的に小さくなります。彼らは、この評価でもそれは意識しておりまして、各プラントのデータは持っていないので、全国平均で少し割り戻しているということをしておりますが、伊方の岩盤のデータは、この計算で使った全国平均の岩盤よりもはるかにいい値を示しますので、従いまして、このランキングの結果は妥当なものではないと考えています。さらにもう一点追加させて頂きますと、文部科学省の地震調査研究推進本部が作った資料のベースになっていますのは、高知沖で発生する南海地震によって、地震の発生確率が高くなっておりますので、従って週刊ダイヤモンドを見ていただくとわかりますが、四国4県の太平洋側が非常に高い確率となっております。私どもは、この南海地震は、設計時に起こると想定している私どものデータをベースに、伊方発電所で発生する揺れをベースに今の設計はしております。それよりも中央構造線活断層系による揺れが大きいので、それをベースに設計しておりますので、従いまして、問題ないというふうに考えております。

次に、化学消防車の配備の件でございますが、化学消防車を配備しても、道路が寸断されたら、活動が難しくなるだろうというご指摘でございましたが、私どもは今のところ、もし地震がきて、発電所の中の主要な道路が使えなくなって、いろいろな活動ができなくないというくらい道路がやられるということになると、消防だけの問題では留まらなくなりますので、先ほどもご説明させていただきましたが、埋立のところがどの程度地震に強いかをボーリング調査して、必要であれば対策を取ることを考えております。

それから、過去の最新技術の適用の意味合いですが、私どもが過去にやった調査は、現時点での最新技術で調査が終わっているという意味でして、平成7年に発生した阪神淡路大震災の後、いろいろな調査が行われており、この技術を取り入れて、現時点での最新技術で調査が、この前面海域で行われているということでございます。

もう一点、化学消防車に関連して、自動消火装置、スプリンクラーのような設備という話がございましたが、柏崎で起こった変圧器の火災に関連しては、私どもは水ではございますが、スプリンクラーがついています。従いまして、自動的に消火されるものと考えています。

もう一点、高知の岡村先生の関係は別の者に説明させます。

四国電力 松崎土木建築部地盤耐震グループ副リーダー

四国電力の松崎と申します。高知大学の岡村先生の調査結果も含めまして我々は活断層の評価をしております。具体的に申しますと、13ページの表で、平成2年から3年の大学グループ、伊予灘東部海上音波探査というものがありますが、この大学グループというのが、岡村先生のことを指しています。それと平成7年の調査にも大学グループとありますが、敷地前面海域の活断層群の海上音波探査、これも岡村先生のデータです。岡村先生は過去に伊予灘の活断層を2回調査されておりまして、このデータも反映して、活断層評価を行っております。以上です。

中村委員

この週刊誌ですが、この週刊誌のデータは、文科省のデータを採用している。一方、電力の方は、経済産業省のデータを採用しているのか。電力のデータか、どこのデータか。

四国電力 谷川原子力部長

週刊誌は、文部科学省のデータをベースに、伊方発電所の岩盤の強さを無視して、自分で勝手に推計した値を使っているということで、私どもは、私どもの岩盤のデータ用いて評価しているということです。

中村委員

これは国を挙げてのことだと思うのですが、ですからそのあたりは統一していただいて、原発のことを言うのならこのデータを使うという統一した見解を持って、それを皆さんで使うというようにしていただかないと、民間で調べたものがこういう結果ならわかるが、文部科学省で調べたデータならあながち嘘ではなということになってしまいますので、そのあたりはよろしくお願いしたい。

先ほどの自動車の件は、建屋の中の話ではなくて、外の変圧器の火災というときには、自動火災報知器で消火ができないので、車が万が一行けないときはそういうものを置いていたほうがいいと思っただけの話で、道が大丈夫ということであれば、車で構わないのですけど、テレビを見てると、車が走れる状態じゃないなと思いましたものですから。

池田委員

岡村教授の分は中に包含しているのだという説明でしたが、私は30年間ずっと聞いてきた範囲では、それほど包含しているような話はせずに、岡村教授の調査は、忌み嫌って跳ね飛ばしたような話ばかり聞いてきたのですが、今の話は随分ずれがあるように思うのですが、私も高経年化でちょっとぼけたのですかね。話がずれているように思うのですが、お答えがなければそれで結構です。

四国電力 谷川原子力部長

岡村先生との関係でお答えさせていただきます。断層がどこにあるか、断層がどういう性状をしていて、どの程度の長さかということについては、岡村先生と私どもは大きな差異はございません。岡村先生と私どもの大きな差異はといいますと、その断層が動いたとした場合に、どれくらい発電所が揺れると想定すべきかという、そこのところで、私どもはいろいろな計算とか、いろいろな評価をして、この程度揺れると考えたらいいと評価していますが、岡村先生は、この大きな断層の横では、1000ガルを想定すべきだということで、そこの意見は異なっております。

池田委員

まあ、いいです。

佐藤委員

伊方というところは、原発としては、どちらかといえば大きな事故が無かったと思いますが、最近ではちょくちょくあるようですが、そういう30年というなかではそれなりに経年劣化はあるのかなと思うのですが、そういう意味で先ほど高経年化対策を検討されたということで、想定される劣化が進んだとしても安全であると、そういう説明だったと理解しているのですが、ただそれは、現時点では従来の3号機のデータでの評価だということで、そういう意味で会長さんが、新しい知見に対しては改めて審議するということだったかと思います。やはり新しい知見を取り入れる、今回柏崎でいろいろなことが起こったということを、我々は謙虚に受け止めていかなければいけない。実は、私は日本学術会議で、安全論を議論したことがあるのですが、あそこはこうだけど、うちはこうこうだから大丈夫、そういう論議が案外多いので、特に技術者、科学者も多いのですが、これは、科学者、技術者の傲慢といいますか、そういうことだと思います。やはり柏崎でも絶対あそこはそれなりに安全だとして設計されているはずですが、こういうことが起こった。想定外ということは、自然災害でもそうですが、最近案外、気楽に使っているのですが、想定外というのは、科学者、技術者にとっては大きな恥辱、恥なんです。そういう言葉を使わなければいけないというのは、そういう意識が非常に薄い。想定外のことが起こったら、技術者、科学者にとったら大変な恥であり、そこのところを考えていただきたい。そういうところで、先ほどの岩盤論ですが、固い岩盤の上に建っていれば安全なのはわかりますが、そこに我々の知らない、発見されていない、深いところに断層があって、そこに直下型の地震が絶対起こらないという保証はあるのか、そこまで検討した結果なのか、そこのところは私もよくわかりませんが、そういったところまでしていないと、だからうちは違いますと言えるのか、だから、ああいう揺れが起こったらどうなるのかという議論は必要だと思います。あるいは、止水壁やシャッターで止めるからうちは起こりませんとしていますが、ではシャッターが降りなかったらどうなるのか、シャッターを開けていると、何か縁が変形してシャッターが当たれば止まるように設計しているのがシャッターのセイフティですよね、それに対して、こちらはシャッターが降りるほうですよね。閉まらないとも限らない。だから、うちはあそこと違うから大丈夫という論議は、ちょっと止まって考え直す必要があると思います。うちでもああいうことが起こったらどうなるかという議論が、セイフティ論議では必要だと思います。今度の地震などでも、はるかに南海地震を超えるものが起こるかどうか、設計地震の2.5倍の地震が起こるかどうかは、そのことはうちは起こりませんとは言えない。もっと大きなことが起こるかもしれない。想定外のことが起こらないような検討をするのがセイフティ論議には必要になると思いますので、ひとつよろしくお願いします。

吉野内会長

よろしいですか、四国電力にはそのあたりを踏まえて対応をお願いします。

森委員

先ほど、まあいいですということで終わってしまいましたが、地震と地震動の違いは常々誤解が多くて、議論が十分かみ合わないものですが、高知大学の岡村先生がおっしゃっているのは、地震そのものを引き起こす断層の長さとか距離、動く量とかは岡村先生の説と、四国電力の見解とはそれほど大きな違いはないと私は理解しています。最も大きな違いは、電球で言えば、電球の大きさは両方とも同じであるが、電球で見れる照度、明るさの評価が双方で違うということであるが、私個人的には、少なくとも地震の大きさから揺れの大きさを推定する際の科学的な根拠という意味では、どちらかと言えば四国電力さんのほうに、科学的・合理的な根拠があると理解しています。ただ、全体の地震動を見直さないといけないという議論において、合理的・科学的と言いながら、どんな科学にも仮定がありますので、その仮定の置き方が、より安全側を考えているのか、それともそうではないのかということを十分に考えているかどうかで、前回議論させていただきましたし、今後おそらく見直しされるであろう、つまり20年の3月に中間報告して出されるであろう基準地震動の結果の議論については、十分な時間をかけた議論をすることが、ご専門ではない方の疑問に対して十分答える機会かなと思います。

今のコメントですが、一つお聞きしたいのですが、四国電力さんの資料4-2の17ページの資料です。佐藤委員の御指摘もありましたが、東電の柏崎刈羽でも、おおよそ現実的ではないと考えられる限界地震のさらに2.5倍の地震が起きた。そうした場合に、いろんな地震観測記録が、安全性を判断する上で重要な記録ですが、その重要なところが測定することができなかったということですが、例えば、17ページでお聞きしたいのですが、473ガルという地震動が仮にきた場合に安全かどうかというのは、構造物の安全性、機器・容器の安全性を判断するには、この473ガルという入力地震動があった場合に構造物や機器がどう応答するかというのは、3600ガル、3300ガルというふうになりますが、これらをきちんと測定できる体制になっているかどうかということについて、お聞きして、なっていればいいのですが、もしなっていなければ、今後どのようにお考えになるかということについてお伺いしたい。

四国電力 谷川原子力部長

今の件についてお答えします。私どもは地震計を2種類もっておりまして、ひとつは地震を感知して原子炉を止めるためのものというのは独立して持っています。それ以外に、地震があった場合にその地震を分析するための地震計、これを各所には設けています。しかしながら、それぞれの、例えば原子炉格納容器の頂部が揺れる場合、ここのところがどうかというような、それぞれの機器の強度を確認するために、それぞれの機器に応じて設けるということまではできておりません。今のところは代表的な点を観測して、全体としてそれを把握した上で、その他の点についてはそこから推定するというような形でデータを取ることにしております。森先生おっしゃられるようにそういうことのほうがより効果があるのではないかというようなことに対して、今から柏崎に関して色々検討が行われると思いますが、どういうことが効果的か良く考えてそういう点についても対応を考えていきたいと思っております。先ほどの佐藤先生のご指導等もございますが、私どもは、今、地震をどう評価するか検討しておりますが、その検討に当たって、従来の考え方に固執することなく、いわゆる設計上持つ余裕をどう考えるかということも踏まえて、適切に対応したいと思っております。

吉野内会長

よろしいですか、そのほかございますか。

宮本委員

先日の柏崎の地震のときに、まず驚いたのですけれども、火災が起こったのは変圧器ですかね、2時間燃えつづけたということをテレビの報道で見たのですが、そのときとっさに思ったのは、ソ連で原子力の事故が起こったときに、職員が逃げたとか、職員が対応できなかったとかということを聞きました。今度の変圧器の火災を、テレビで見た範囲では、大きな火災ではないにもかかわらず、2時間も放置していた、観察していたという報道を聞きました。今日、四国電力の話を聞きますと、スプリンクラーがついているということで、安心はできたのですが、防災上、原子力が事故を起こしたという場合に、動くのは人間です。まず電力自主防衛が動くのか、広域消防が動いていくのか、いろいろな防災上の機関が動いていくと思うのですが、そういった場合に完全に原子力の関係の被ばくを受けないような服はあるのかということと、できるだけ、二重にも三重にも、スプリンクラーが作動する、例えば、柏崎の水道管が寸断されて、水道がいかない、消火用の水が流れないということでしたが、セメントではなく柔軟性のある施設ができているようです。現在、下水道などでも、セメントの管ではなく、地震に強い新しいいろいろなパイプができているようです。そこらあたりも含めて、防災上、まずどういったところが動いていくのか、まず会社が動くのでしょうけど、その後広域消防が動くとか、県の防災関係、今度八幡浜に原子力課が設置されるようですが、防災上の体制の点検、話し合いが行われているのかお聞きしたいと思います。

四国電力 谷川原子力部長

消防のことについてまずお答えさせていただきます。柏崎では、自動消火装置はついていませんでした。消火栓からホースをつないで消火するという体制をとっていました。しかし、消火栓につなごうとしたら、先ほどお話がございましたように、地中の消火用の配管が傷んでいて、水が出ない、従って、延焼は防火壁で守られているので、延焼の心配はないので、発電所外の消防にお願いして出てもらおうということで、そういう決断をした。そうすると、連絡網が非常に悪くて、連絡がなかなかつかなくて、結果的に2時間程度の時間がかかったというふうに聞いております。従いまして、消火に関連しては、ひとつだけでなく、多様性のある消火が重要ではないかと考えております。私どもは、自動の消火装置、スプリンクラーを持っていますし、消火栓、その他消火用のプールも発電所内にいろいろ設置しています。消火栓が使えない場合は、そのプールから水を取って消火するという体制をとっています。それから、もちろん消防車を持っていますが、今、柏崎で検討が行われておりますので、その結果も踏まえて、必要な機器は適切に強化することもやっていきたい。それから、自衛の消防の人たちが被ばくを受けない服があるかということですが、この被ばくということにはいろいろな意味がありまして、放射性物質が飛んできて体に当たるという意味で被ばくを受けないというものはたぶんないと思います。ただ、放射性物質が体につきますと、そのついたものから放射線を受けるということになりますので、そういう放射性物質が体につかない、体に入っていかないという対策は、これは常に考えております。

吉野内会長

そのほかございますか。

岡崎委員

一点、国のほうにお聞きしたいのですが、中越沖地震における原子力施設に関する調査対策委員会が設置されているということですが、その中には電力の方は全部入っているのでしょうか。それからもう一点は、やはり私たちは、電気がないと困るというのはわかっておりますし、でも今の現状では、原子力に頼らなければいけないというのもわかっておりますし、地震とかこういうものがメディアに出ると、危険だなあと思うことも確かにリスクとしてあるのだという気もあります。それで、柏崎で起こったことは、全部、電力のほうで、細かいことでも全部一緒に共有してもらいたい。そして、そういうことが起こったときには、二度と同じことが、対応が後手に回らないように、対応していただきたいということと、自主防災で私たちも、地震がいつ来るかもしれないし、何かがあったときにはということで、住民も自分たちで自主防災組織を作って訓練をしています。やはりそういうときには、想定される中で、自分たちがどう考えておかなければいけないかということも、やはり考えていただいていれば、急に起こったときに、住んでいる人とそれから四国電力と、そういう意味では情報を交換していただいて、連絡も密にしていただいて、やっていただきたいと思います。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

先ほど御指摘のございました調査対策委員会に電力が入っているのかということでございますが、電力は入ってございませんが、この調査対策委員会にはそういう意味で申しますと、東京電力のほうから、いろいろなデータをそこで提供若しくは説明していただいて、専門家の先生方にその中身について評価をしていただいて、審議をしていくということです。そこに出てきた結論というのは、柏崎刈羽原子力発電所だけの話ではございませんので、全原子力発電所に反映していくということになります。

それから、情報提供のあり方なのですが、確かに今回情報提供がうまくいかなかったというご指摘もございました。その反省を踏まえてなのですが、先ほどの4-1の資料の12ページを見ていただきたいのですが、この調査検討委員会のなかのひとつのワーキングですが、中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するワーキングというものがございまして、一番下の(4)というところで、自治体、国民等への情報提供ということで、今回なかなかうまく、自治体の方にも、住民の皆さんへも、なかなか情報提供が、スムーズにうまくいってないのではないかという御批判がたくさんございました。従いまして、ここの検討ワーキングのなかでは、どういう形で情報提供をやったらいいのか、すごく影響力があるのはプレス報道ですが、すごい報道が出たことによって、逆に一部では風評被害というのを受けてしまうこともあるものですから、理解しやすい、わかりやすいプレスリリースのあり方というものに変更して、一般の方々にも安心感をもたらすような広報に努めていきたいということを、まさにおっしゃられたような形で、この検討委員会のなかで我々も勉強し、今後反映していきたいと考えています。

渡部委員

先ほどから、想定外、ありえないということですが、柏崎で起こったいろいろな事象、それに対応する伊方原発の対応ということが示されております。これをもとに、今回を機会に様々なことが想定されてくるだろうと思います。それへの対応を、伊方原発だけではなくて、住民も含めた対応の仕方というものをマニュアル化して、住民ぐるみで取り組んでいただきたい。

四国電力 谷川原子力部長

わかりやすいかたちで、我々情報提供に努めていきたいと思いますので、皆様に御安心いただけるよう、できるだけ工夫していきたいと思いますので、よろしく御指導いただきたいと思います。

吉野内会長

そのほかございますか。

それでは、ご意見も出尽くしたようですので、この耐震安全性については、現在、改訂された「耐震設計審査指針」に基づき、電力会社により再評価が行われているところでありますが、今回の中越沖地震の影響を踏まえ、一刻も早く適切な再評価がなされることが、地域はもとより全県民の信頼と安心の醸成につながるものと考えています。四国電力、国におかれては、早急に、かつ、適確に伊方発電所の耐震性の再評価や確認を行い、その結果については、当委員会に改めて報告頂きたいと思います。

続きまして、伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況等について、四国電力から報告をお願いします。

四国電力 谷川原子力部長

伊方3号機のプルサーマル計画につきましては、2010年度までの導入予定でございまして、このたび、燃料を製造いただくメーカーとの契約を行ないまして、それぞれの関連する会社の仕事の仕方、品質管理が満足できるかどうかを見るための品質保証システム監査を実施しましたので、その結果について、ご報告させていただきます。

具体的な監査対象になりますのは、資料5のⅠ(2)の監査対象に記載しています、主契約者でございます三菱重工業の神戸造船所と、燃料を作るフランスのメロックス社メロックス工場、被覆管等燃料部材を供給します三菱原子燃料、それぞれについて、品質管理の状況を確認いたしました。具体的な基準は、(3)にありますように3つありまして、基本的には、国際規格ISO9001を要求事項のベースとしており、これにないものは、日本の規制の要求事項JEAC4111を適用しております。それから、かつて経験いたしましたデータ改ざん問題で確認が必要なことについては、特別に実施しております。データが改ざんされないかという観点から、どうなっているかということを確認しております。監査の実施要領は、当社社員に社内資格を与えて、実施しております。監査においてはチェックシートに基づき、書類の確認、現場確認を行っています。監査の実施については、メロックス社に対する監査では、客観性の観点から第三者監査機関でありますフランスのビューロベリタス社に立ち会ってもらっています。結果は、問題ないということを確認しております。

今後とも品質管理に努めてまいります。具体的な品質システム監査結果の概要は別表に記載しております。今後のスケジュールの主な点を、資料一番最後の参考に記載していますが、成型加工契約は締結いたしまして、下側にあります輸入燃料体検査申請の申請の前段階でございます。申請いたしますと、成形加工して、輸送して、発電所で検査を受けて、使用するという流れになります。それぞれ必要な許認可を受けて進めてまいりたいと考えております。以上です。

吉野内会長

プルサーマル計画につきましては、導入の各段階において、技術専門部会で適切に確認をお願いします。

続きまして、四国電力では、「固体廃棄物の圧縮減容固化設備」を建設することとしており、すでに国の安全審査・許可を受けておりますが、その内容について、四国電力から報告をお願いします。

四国電力 谷川原子力部長

伊方発電所の放射性固体廃棄物の圧縮減容固化設備を採用するということで、安全審査を受けておりまして、4月16日付けで許可を取得しました。この計画の内容につきましてご説明させていただきます。資料6の3ページの上側の参考1をお願いします。固体廃棄物の処理の概要を示していますが、液体廃棄物はそこにありますように蒸発・濃縮してセメント等で固化処理して均質固化体として固体廃棄物貯蔵庫に保管しております。固体廃棄物の燃えるものについては、ドラム缶につめた後、焼却して灰の形で固体廃棄物貯蔵庫に持って行っております。将来、セメントで固化処理する計画を持っていますが、まだ、セメント固化はしていません。それから、燃えないものについては、ドラム缶に詰めて保管しておりましたが、それを圧縮減容して、モルタルで固形化して、青森県の下北半島にあります埋設センターで受け取ってもらえるような形にして、搬出するための準備をするというのが、今回の処理の概要です。具体的な処理の仕組みは、2ページの下の圧縮減容固化設備の概要に記載していますが、固体廃棄物貯蔵庫に置いてあるものを、圧縮しやすいように分別します。その後、分別したものを、1500トンのプレス機でプレスすることにより、だいたい3分の1くらいに減容させた後、新しいドラム缶に入れて、モルタルを充てんして固体廃棄物貯蔵庫に保管するという設備です。その上の雑固体処理建屋の設置場所ですが、こういう建屋を建てまして、下のような設備を入れるということを考えております。具体的な安全性につきましては、3ページに戻りまして、下側の図で、ドラム缶をこの建屋の中に持っていった場合の敷地境界の放射線量の増加量を評価しましたところ、敷地境界の最大評価地点を変えることはないという評価をしています。

それから次の4ページですが、ここでは、放射性物質を扱います。従いまして、換気につきましては、フィルターを通した後、上側の焼却炉建家に持っていきまして、そこで、放射線モニタで確認して、その建家の排気口から放出するという計画にしています。

工事の工程につきましては、この後、工事を開始いたしまして、平成21年度に竣工して、運用開始し、その後、計画的に搬出するという予定です。以上です。

吉野内会長

ありがとうございました。次の報告事項に移りたいと思います。「平成18年度の伊方発電所異常時通報連絡状況」について報告をさせていただきます。まず事務局から報告願います。

門野原子力安全対策推進監

それでは、資料7-1により説明させていただきます。昨年度、18年度につきましては、33件の異常通報連絡を受けております。このうち国のトラブル報告であったものが、3番の湿分分離加熱器の蒸気整流板の溶接部が割れて発電停止に至ったもの、その1件でございました。ABCごとの件数につきまして、下の表に記載していますが、Aが5件、Bが5件、Cが23件でございます。このうちのAの5件のうちの2件につきましては、若干、国の判断が遅くございまして、時間を要したため、結果として、A区分で県として公表いたしましたが、その後、B区分以下ということがわかってございます。異常の種別につきましては、下の表に記載していますが、設備故障が12件、次に多いのが系統ショックでございまして、雷等が送電線に落ちますと電圧等が瞬時変動しますので、それが件数としては、10件と多かったということです。

これらにつきまして、私ども県といたしましては同様のことが起きないよう、予断を持たずに再発防止対策に取り組むよう四国電力を指導しております。県からの報告は以上です。

吉野内会長

それでは、四国電力から、異常の原因、対策などについて、報告願います。

四国電力 谷川原子力部長

原因と対策につきましては、資料7-2の2ページ(1)に原因として、左側のように分類しております。右側にそれに対応する事象番号を示しております。それから、対策につきましては、(2)に記載しておりますが、設計、製作関係に起因するものは、同一設計・製作を行った設備について、改良、改造を実施しております。施工関係に起因するものは、同一施工要領を適用している設備について、作業要領等に反映しております。保守管理関係に起因するものは、類似事象が発生する可能性のある設備について、必要に応じて保守管理の見直しを行っております。偶発的事象については、必要に応じて予備品を常備するということで、対策をとっております。いずれにいたしましても、このような故障トラブルを少なくするよう努めてまいりたいと思います。以上です。

吉野内会長

ありがとうございました。

これら異常時通報件数については、定期検査の時期や自然現象等により増減はあるものの、今年度に入ってから、設備故障や作業員の負傷等が増加している傾向にあるようですので、四国電力においては、更に未然防止、再発防止対策を徹底すること、また、関連企業も含めまして、関係者全員が安全意識を徹底して、作業等に従事していただくことを、強くお願いをしておきます。

森委員

資料7-1について、異常時通報という観点からではないのですが、資料7-1を見せていただきますと地震が7回観測されています。そのうち7番の6月12日というのは、確か大分県中部で、愛媛県が随分揺れまして、私の家でも棚の上の箱が落ちてきたというような大きな揺れでして、申し上げたいことは、このあたりの地震観測された記録、つまり、例えばこの7番の22ガルの記録というのは、分析をきちんとして、公表していただけないかということです。なぜかというと、常に、今日もそうですけど、伊方の岩盤は、他の原子力発電所よりもさらに堅い。一般にも原子力発電所の岩盤は堅い。だから、例えば、通常の地盤の揺れよりも岩盤だと2分の1になります。さらに、よりいい岩盤なので3分の2になります。2分の1かける3分の2で、結果的に3分の1になりますと、そういう説明ができるわけです。つまり例えば、ここで約20ガルとすると、この近所では60ガル生じているはずだと、おそらく愛媛県では昔の市町で地震計がついていますから、例えば、伊方町で測られているものと、これとを合わせて分析して、報告してくださることによって、今回は3分の1でした。つまり30%でした。今回は50%でしたというような見方を常に放射線とか環境温排水とかと同じような格好で地震観測結果を毎回定例的に報告していただいて、それを技術専門部会で議論して、その結果を一般の方に報告するというスタイルをとれば、常々起こる耐震安全性に対する不安感というのがかなりのものが払拭できるのではないかと常々思っておりました。その観点から、そういったデータの分析をして、こういった場でご報告いただけるという可能性についてお伺いしたいのですが。

四国電力 谷川原子力部長

わかりました。私どもそういった観点から、細かく検討はしておりませんので、どういうデータをどういう分析すればどういう結果が出るかという検討してご報告させていただきたいと思います。

森委員

とても簡単に言えば、昨日の技術専門部会で、1か月を目途に出すと言っていたのは、例えば、基盤でのスペクトルの比較、柏崎刈羽と伊方の設計のスペクトルの比較、それで言うのであれば、設計スペクトルと、それから観測されたスペクトルの比較をすれば、それで一目瞭然です。20倍したものとそれとはどうかということをすれば、一般の人にとても分かりやすいし、あるいは専門家にでも判断ができるということで、しかもきちんと最大加速度だけはご報告されているので、おそらくほんのわずかの努力でいけると思います。

四国電力 谷川原子力部長

専門の者がやっておりますので、ちょっと間違っているかもしれませんが、大きな地震については今言ったような形で、私どもチェックしておりますので、データを持っているはずです。持っていればすぐ出てきます。

吉野内会長

可能な限り対応をお願いします。

四国電力 谷川原子力部長

わかりました。

吉野内会長

そのほかございませんか。

辻本委員

3日ほど前に、関西電力の大飯発電所で、一次冷却材が漏えいして原子炉を手動停止するトラブルが起こりましたが、それに対して、四国電力は何か対応されたのか、お聞かせいただきたいと思います。

四国電力 谷川原子力部長

関西電力の大飯発電所で、フィルターから水が漏れたということが発表されております。フィルターを取り替えた後、漏えいチェックが十分ではなかったのではないかと思っておりますが、まだ、原因は発表されておりませんので確たることは言えませんが、私どもはフィルターは取り替えるたびに、間違いなく漏えいチェックをしています。今後、原因が出てくれば、適切に対応したいと考えております。

吉野内会長

よろしいでしょうか。それでは、本日の審議していただく事項は、すべて終了いたしましたので、閉会いたします。委員の皆様には、長時間にわたり、熱心なご審議ありがとうございました。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 次第

日時 平成19年9月6日(木曜日)13時00分~
場所 愛媛県医師会館2階研修室 松山市三番町4丁目5-3

1 開会

2 議題
(1) 平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成18年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3) 伊方1号機高経年化技術評価及び長期保全計画について

3 報告事項
(1) 中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響を踏まえた伊方発電所の対応等について
(2) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(3) 放射性固体廃棄物圧縮減容固化設備の設置について
(4) 平成18年度伊方発電所異常時通報連絡状況について

4 閉会

資料目次

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