平成20年度(2008年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2008年10月22日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要

1 日時

平成20年10月22日(水曜日)9時30分~11時55分

2 場所

愛媛県医師会館2階研修室

3 出席者

委員9名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1) 部会長の選任
(2) 平成19年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(3) 平成19年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(4) 伊方発電所の耐震安全性評価に係る補足説明等について

5 報告事項

(1) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(2) その他

6 審議等の内容(全部公開)

(事務局)

それでは、定刻になりましたので、ただ今から伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会を開催いたします。

はじめに、傍聴者の方に傍聴に際しての遵守事項を申し上げます。会議の開催中は静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影、録音等はしないこと。その他会議の秩序を乱す等の行為をしないことなどとなっておりますので、ご協力をお願いいたします。また、携帯電話等をお持ちの方はマナーモード等に設定いただきますようお願いいたします。

(長野県民環境部長)

伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会の開会にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。委員の皆様方には大変お忙しい中、また当部会に出席いただきまして、誠にありがとうございます。日頃から本県の原子力安全行政に対しまして格別のご協力をいただいておりますことを厚くお礼を申し上げます。また、原子力安全・保安院の天野安全審査官には、遠路またご多忙のところをお越しいただきまして、改めてお礼を申し上げます。

本日は、平成19年度の「伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果及び温排水影響調査結果」と、「伊方発電所の耐震安全性評価に係る補足説明等」についてご審議をいただくことになっております。

なかでも伊方発電所の耐震安全性評価につきましては、先の技術専門部会におきましても各委員さんから様々なご意見をいただいております。本日は四国電力から前回の論点の回答をいただきますとともに、国におかれましては9月4日に中越沖地震を踏まえた耐震安全性評価に反映すべき事項の最終とりまとめを各電力会社に指示されておりますので、原子力安全・保安院から説明をいただきたいと考えております。

また、プルサーマル計画に関しまして、四国電力は9月24日にフランスでMOX燃料の製造が完了したとして燃料の試験検査及び品質保証活動の結果をとりまとめた輸入燃料体検査申請書の補正を国に提出しておりますので、四国電力から報告をいただくこととしております。

いずれも伊方発電所の安全性に係る重要な案件でございますので、よろしくご審議のほどをお願いいたします。どうか委員の皆様方には忌憚のないご意見をいただき、活発な部会としていただきますようお願い申し上げまして、ご挨拶といたします。

(事務局)

続きまして、当委員会は、任期満了に伴う10月1日付の委員の委嘱替えに伴いまして、会長から技術専門部会委員の指名が行われておりますので、委員の皆様のご紹介を申し上げます。50音順で紹介させていただきます。

元近畿大学原子力研究所教授の古賀委員さんです。

愛媛大学沿岸環境科学研究センター長の武岡委員さんです。

財団法人電子科学研究所専務理事の辻本委員さんです。

愛媛大学名誉教授の濱本委員さんです。

京都大学原子炉実験所准教授の藤川委員さんです。

京都大学原子炉実験所教授の三島委員さんです。

愛媛大学大学院理工学研究科准教授の森委員さんです。

新しく委員にご就任いただきました名古屋大学大学院工学研究科准教授の吉田委員さんです。

九州大学応用力学研究所准教授の渡邉委員さんです。

なお、愛媛大学名誉教授の有吉委員さん、愛媛大学大学院理工学研究科准教授の岡村委員さん、新しく委員にご就任いただいた愛媛大学大学院医学系研究科教授の望月委員さんは本日はご都合により欠席されております。

続きまして、委員の委嘱替えに伴いまして部会長の選任が必要となっております。本委員会の設置要綱第8条第2項の規定によりまして部会長は委員の互選ということになっておりますので、どなたかご推薦をいただきますようにお願いいたします。

(辻本委員)

部会長には従来どおり、濱本委員さんにお願いしたらと思いますが、皆さんいかがでしょうか。

(事務局)

部会長には濱本委員さんに引き続きお願いすることでよろしいでしょうか。

(異議なし)

ご承認いただきましたので、濱本委員さんには、部会長の席にお着き下さい。

それでは、ここからの議事の進行につきましては濱本部会長さんによろしくお願いをいたします。

(濱本部会長)

ただ今、部会長に選任いただきました濱本です。皆様方委員の先生方のお力添えを得て任務をしっかりと果たしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、設置要綱の規定に基づきまして、部会長代行を指名させていただきます。

部会長代行には、本日はご欠席ですが、引き続き有吉委員さんにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(濱本部会長)

今日は割合時間が詰んでおりますので、できるだけ円滑にできるところはスピーディーに済ませたいと思います。

早速ですが、議題の(2)平成19年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について、及び、(3)平成19年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果についてご審議いただきます。

まず事務局のほうからご説明をお願いします。

(門野 原子力安全対策推進監)

お手元の資料1、それからその下に分厚い報告書がございます。あわせてご説明申し上げます。

この調査の結果でございますが、平成19年3月に開催いたしました当委員会で審議いただき、決定しました調査計画に基づきまして、愛媛県と四国電力が調査を実施したものでございます。

資料1の要約でございますけれども、1番の(1)の線量率でございます。発電所からの予期しない放射性物質の放出などを監視するために、愛媛県では8カ所、四国電力では5カ所において常時空間放射線量率を測定しております。

測定の地点でございますけれども、お手元の分厚い報告書の2ページ、4ページ等に測定の 地点を図示させていただいておりまして、いつもと同じ地点で測定をしてございます。

測定の結果でございますが、最高が42~71ナノグレイ毎時、最低が11~25ナノグレイ毎時でございます。平均値が13~27ナノグレイ毎時の範囲の中でございました。この数値につきましては、降雨によりまして自然放射線が増加することに伴いまして上昇する傾向がございますので、今年度も降雨時と降雨時以外に分けて評価を行いました。その結果が報告書の10ページと11ページに記載をさせていただいております。10ページ、11ページでございますけれども、降雨時、いわゆる雨が降ったときにあわせて26回平均値と標準偏差の3倍の値を超えた値が観測されておりますけれども、これらにつきましては今年も例年と同じでございますが、降雨に対応して線量率の増加が発生しているということ。それから発電所を中心に設置された異なる方位でのモニターでも同時に増加が確認をされていること。ガンマ線スペクトルを調べた結果、自然放射線の核種によるピークの増加は認められますけれども、それ以外の他の特異なピークは認められなかったということから、降雨による自然放射線の変動と判断いたしました。

今私が申し上げたことが13ページ以降にございまして、例えば13ページの図をご覧いただきますと、雨がちょうど降ったときにモニタリングポスト等で線量率が増加をしているというようなことが見て取れると思います。14ページ以降も同じように降雨時にモニタリングポスト等で線量率が上昇しているというようなものが16ページまで書いてございます。17ページ以降には、異なる方位のモニターでも同時に発生している状況を記載させていただいております。

ガンマ線スペクトルは21ページに自然放射線核種のピークがあるというようなことで、降雨時は21ページに3つグラフがございますけれども、その一番上のグラフをご覧いただきますと、モニタリングステーションで雨が降ったときに自然放射線核種のピークが出ているというようなことで、特段のそれ以外の特異なものはなかったということでございました。

同じように降雨時以外につきましても、同じように確認いたしておりまして、いわゆる人工放射線核種等による特異なピークというものは認められなかったということでございます。

これらのことから、19年度の線量率測定結果からは原子力施設からの放出と考えられる変化は認められなかったと判断しております。

次に、要約の紙の裏面になりますけれども、積算線量の値でございます。これは詳細な測定結果は報告書の36ページと37ページをご参照いただければと思います。

愛媛県では、松山市内の測定地点は若干ちょっと線量が高いのでそれは外しておりまして、29地点で測っております。四国電力では25地点で測ってございまして、各々302~501、あるいは321~470マイクログレイ毎年というようなことで、いずれも過去の測定値、平均値+標準偏差の3倍を超えるものはありませんでした。いわゆる自然変動の範囲内であったということが確認できました。

それでは2番目の環境試料の放射能のレベルでございます。これは発電所の周辺の河川の水でありますとか、土壌とか農産物、あるいは海産物の放射能レベルを調べるために測定を毎年してございます。これも報告書の41ページから42ページに記載をさせていただいておりますけれども、いずれにつきましても、昭和50年~平成18年度までに測定した測定値の範囲内でございまして、特に高い濃度というものは検出されておりません。こういうことで特段の問題はなかったとそのように判断をしてございます。

3番目に大気圏内核爆発実験の影響評価を継続してやってございますけれども、近年、大気圏内の核爆発実験は行われておりませんので、昭和61年のチェルノブイリのときには若干一時的な増加が認められましたけれども、減少してきているということでございまして、この大気圏の影響評価につきましては報告書の44ページと45ページにグラフを載せさせていただいております。昭和55年の中国の核爆発実験と昭和61年のチェルノブイリの原発事故のときにはピークが立ってございますが、それ以降は特にこういった影響はないという判断をしております。

次に要約の3ページ目、4の蓄積状況ですけれども、継続的に検出しております人工放射性核種のセシウムなどですが、報告書の47~50ページに詳細を書いておりますけれども、特に経年変化のグラフを見ても蓄積の傾向は見られなかったとしてございます。

5番目に環境調査結果に基づく線量評価なんですけれども、これは外部被ばくあるいは内部被ばくの評価をしています。運転開始前(昭和50年度)の値が書いてございますが、この値と比べましても平成19年度につきましてはその値の範囲内に入ってございまして、いわゆる同じレベルであり、特段の問題はなかったというように判断をしております。

以上によりまして、19年度における環境放射線等の調査結果につきましては、いずれの項目につきましても特異なデータはなく、問題となるものは認められなかったということでございます。

Ⅱの放射性物質の放出管理状況に基づく線量評価結果ですが、県が四国電力と締結をしております安全協定におきます努力目標値、年間7マイクロシーベルトですけれども、この数値を十分下回っている年間0.034マイクロシーベルトでございました。特段、問題はございません。

最後に私ども県は、モニタリングカーで県内全域の自然放射線量の分布調査をやってございます。これは報告書の54ページをご覧ください。県内の地図で主要な国道に沿いまして放射線の走行サーベイを行っているものであります。わが県は概ね県の北部と中部で放射線の線量率が若干高くて、中南部では低くなり、また南部では若干高くなるというような結果が得られております。今年度につきましては、もう少し伊方周辺での細密な調査を実施したいと思っておりますけれども、今後こういったデータを緊急時における評価用の基礎データとして、引き続き蓄積して活用してまいりたいと考えてございます。

以上でこの環境放射線等の調査結果につきましては、19年度は特段の問題になることがなかったというご報告をさせていただいてご説明を終わらせていただきます。

(濱本部会長)

ありがとうございます。続いて温排水影響調査の結果をお願いいたします。

(阪本水産課長)

続きまして、19年度の温排水調査結果につきましてご説明させていただきます。

資料2をお願いいたします。調査の実施状況と結果につきまして、調査結果の概要の表1枚と次のページからの報告書案にとりまとめております。

それでは資料2を3枚めくっていただきまして、報告書の1ページをお開き願います。 調査は愛媛県と四国電力がそれぞれ実施いたしております。県の調査分につきましては従来どおり愛媛大学に調査を委託して実施しており、調査内容は表1の調査項目と調査方法の欄に記載しておりますように水質調査、水温調査など、6実態漁業調査を除きます6項目につきましては年2回~4回の調査、漁業実態調査につきましては詳細にわたり調査を実施いたしております。それぞれの調査測定につきましては次の2ページと3ページに示しております。

4ページをお願いいたします。四国電力が実施しております調査内容を表2に示しております。水温水平分布調査、鉛直分布調査、塩分分布調査、流動調査など14項目にわたる調査を年2回ないし4回実施しております。これらの調査測定につきましては、次の6ページの図3~20ページの図17にかけて示しております。調査結果の詳細につきましては報告書の21ページ以降に記載しておりますが、資料2の1枚目、表の調査結果の概要の表により説明いたしますので、恐れ入りますが資料2の表にお戻りください。

県が実施しました水質調査結果を表の左半分に示しております。表層水温は12.4~23.1℃、pHは8.2~8.5、CODは0.01未満~1.63mg/l、塩分は31.76~34.63、透明度は7.0~14.0mの範囲で推移しております。

一方、四国電力が実施しました水質調査の結果は、表の右半分に示しておりますけれども、表層水温は12.7~24.5℃、pHは8.1~8.2、CODは0.1未満~0.6mg/l、塩分は33.21~34.17、透明度は7.5~15.0m、DOは6.1~9.1mg/l、ヘキサン抽出物質、全窒素、全リン、浮遊物質量についてもお示ししております数値の範囲内の結果となりました。これらの数値は過去の調査結果と比較しまして特に異常は認められておりません。

次に流動調査の結果ですけれども、愛媛県の結果では0~0.59m/sec、四国電力が0~0.69m/secとなっています。これらについても特に異常は認められませんでした。

次に放水口から排出されます温排水の拡散状況を見てみますと、温排水の影響と見られる1℃以上の水温の上昇の範囲は、県の調査では6月に0.03?、10月に0.11?となっております。

一方、四国電力の調査では、5月に0.08?、8月に0.13?、11月に0.17?、2月に0.13?となっております。温排水の影響と考えられる1℃以上の水温の上昇の範囲は、県の調査、電力の調査ともに確認されましたが、その範囲は過去の観測値の範囲内であり、放水口付近の部分的な海域にとどまっております。

次に四国電力が実施しました底質の調査結果は、調査を行ったpH、強熱減量、COD、全硫化物、密度のいずれの結果につきましても、過去の調査結果と比較して特に異常な数値は認められませんでした。

次にその他の調査結果についてですけれども、県が調査しましたプランクトン沈殿量、動物プランクトン、植物プランクトンの乾重量についても、四国電力が調査しました沈殿量、出現した種類など、過去の調査結果と比べても、特に異常は認められませんでした。

次に県の付着動植物調査の結果、電力の海藻調査の結果につきましては、これまでと同様にクロメが優占種となっております。この他、四国電力が実施しました魚類の潜水目視調査及びたて網によります捕獲調査、動植物プランクトン及び魚卵、稚仔魚の取水口への取り込み調査などの結果につきましても異常は認められませんでした。

最後に漁業実態調査の結果ですが、八幡浜漁協の有寿来、町見、瀬戸の3支所の漁獲状況について、近年の傾向と変わりなく特に問題はないものと考えております。

以上、全ての調査結果につきまして19年度では特異なものはなく、特段問題はないと考えております。なお、詳細な調査結果につきましては報告書案の21ページ以降に記載しております。

以上が平成19年度温排水影響調査の結果の報告でございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。それではただ今の調査結果につきまして、委員の先生方、ご意見、ご質問、ございますでしょうか。

(辻本委員)

多項目にわたり調査されておりますが、いずれの項目をとりましてもこれまでの調査結果と比較いたしまして問題となるようなところがございませんでした。モニタリングポストにつきましてもいくつか平均値+標準偏差の3倍を超えるというようなものもございましたが、ガンマ線スペクトルを解析され、自然放射線によるものと判断されています。特に問題はないと思います。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。

(武岡委員)

温排水についても、これまでの各項目の調査結果と比較して特段の異常と判断されるようなものがなく、特に問題ないと思います。

(濱本部会長)

ありがとうございます。他にご意見ございませんでしょうか。

ないようですので、この議題(2)、(3)につきましては専門部会として「過去の調査結果と比較して同じ程度であり、問題となるものは認められない」旨、意見をとりまとめて、午後の管理委員会で報告させていただきたいと思いますが、ご了承いただけますでしょうか。

(異議なし。)

ありがとうございました。

それでは、(4)伊方発電所の耐震安全性評価に係る補足説明等についてでございますが、耐震安全性評価につきましては、四国電力が3月に国へ提出した中間報告について、この技術専門部会でも、5月2日に四国電力から内容の説明を受け、国からは審査の方針を説明いただき、第1回目の審議をしています。

その後、四国電力では、「中越沖地震を踏まえ耐震安全性評価に反映すべき事項」の国からの最終的な指示を評価に反映するため、7月末に予定していた3号機の最終報告を延期しております。その後、国では評価に反映すべき事項について、9月4日に最終とりまとめを行い、各電力会社に通知しております。

今日は、まず原子力安全・保安院から「中越沖地震を踏まえ耐震安全性評価に反映すべき事項の最終とりまとめ」の概要について御説明をお願いします。

また、前回の当部会において、各委員から国の最終とりまとめとも共通する様々な意見がございましたので、これらの論点について、四国電力から、補足説明や今後の検討方針の説明を受けて、審議いただきたいと思います。

原子力安全・保安院から、まずお願いします。

(原子力安全・保安院 天野安全審査官)

技術専門部会の委員の皆様におかれましては、日頃から保安院の原子力安全行政に対しましてご理解、ご協力をいただき、誠にありがとうございます。また、本日このようなご説明の機会をいただきまして、関係の皆様方に感謝申し上げます。

それでは資料3―1に従いまして、ご説明させていただきます。

本日ご説明させていただく内容ですけれども、伊方発電所の耐震バックチェック中間報告に係る原子力安全・保安院の対応についてということで、先程の中越沖地震の反映を含めましてご説明させていただきます。

ご説明の内容でございますけれども、まず、現在中間報告の審議を保安院のほうで実施しておりますので、保安院における審議体制及び調査ということでご説明をさせていただきます。こちらについてはこれまでのこの会合における説明と重複するところもございますので、簡単にご説明をさせていただきます。

それから2番目、新潟県中越沖地震からの知見の反映についてでございます。こちらにつきましては前回の会合におきまして中越沖地震を踏まえましてバックチェックに反映すべき事項の中間とりまとめという形でご説明させていただいておりますけれども、その後の中越沖地震の要因分析等を踏まえまして、中間とりまとめに加えて他の原子力発電所の耐震バックチェック作業に反映すべき事項をとりまとめておりますので、その内容についてご説明させていただきます。

保安院における審議体制及び調査でございます。

新耐震指針に基づく確実かつ迅速なバックチェックの実施ということで、事業者の対応としまして、昨年度末に各電力会社から中間報告書が提出されておりまして、これを受けまして保安院の対応ですけれども、現在専門家の審議による厳正な確認作業を鋭意実施しているところでございます。また、並行して中越沖地震から得られた知見について内容を整理し、柏崎刈羽原子力発電所以外の原子力発電所に反映すべき事項を事業者へ通知しております。その他の項目はこれまでのご説明と重なりますので、省略させていただきます。

次に、こちらも前回ご説明させていただいておりますけれども、現在、伊方発電所に係る審議といたしましては、ご覧のような審議体制で検討を実施しているところでございます。具体的には、地震・津波、地質・地盤の合同ワーキングの中のAサブグループでこれまで都合8回審議しております。それから、構造ワーキングのAサブグループで9回審議しておりまして、このうち伊方発電所に関する審議としては3回~5回程度の審議を行っております。

次に、こちらも前回ご説明させていただいておりますけれども、サブグループの検討につきましては合同のサブグループ、それから構造のサブグループともに審議上のポイントを抽出して集中的な審議を実施しているところでございます。

引き続きまして、新潟県中越沖地震からの知見の反映について説明させていただきます。

バックチェックに反映すべき事項ということで、まず中越沖地震で得られた知見のうち、昨年の末の時点におきまして各電力のバックチェック作業に反映すべき中越沖地震からの知見というものを中間的にとりまとめ、昨年12月27日に事業所に通知いたしております。内容については記載の通りでございまして、前回と変更はございません。その後、本年5月末に、独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)で中越沖地震によって柏崎刈羽原子力発電所で発生した地震動の分析を実施しており、その内容について審議会で検討を重ねて、大きな揺れが発生した要因を分析するとともに他の原子力発電所に反映すべき事項について検討を実施してまいりました。本日はその内容についてご説明をさせていただきます。

バックチェックに反映すべき事項のその2ということでございますけれども、通知した内容を記載しております。項目としては(1)地震・地震動の評価と(2)施設の耐震安全性評価でございますけれども、特に(1)の震源特性と2つ目の地下構造特性については、まず、震源特性ですけれども震源モデルのパラメータの不確かさを考慮した評価を行うこと。パラメータの不確かさというのは、例えば活断層であれば地質調査によっても震源として想定する活断層の長さでありますとか傾き、幅等の評価には不確かさが伴いますので、こういった不確かさを踏まえた評価が必要ということで、詳細は一番最後に参考資料として添付してございますけれども、こういった評価を実施するように求めております。

それから2番目は地下構造特性についてということで、地震の観測記録の分析とか地下構造モデルを構築することによって考慮をするように求めております。基準地震動Ssについては上記の震源特性及び地下構造特性を考慮した地震動により策定するという内容になっております。

JNESによる柏崎刈羽原子力発電所における大きな揺れの要因の分析についてですけれども、(1)として、大きな揺れの要因については、今回の地震の震源特性と、震源から発電所に続く地下構造の特性であることが判明しました。JNESでは2004年10月に発生しました新潟県の中越地震以降、柏崎刈羽原子力発電所周辺の地質構造を分析してきており、今回の分析もこれまでの分析結果をもとに実施しております。まず地震の震源の特性ですけれども、今回の要因分析の結果、今回の地震では同じ規模の地震と比べまして約1.5倍程度の大きな揺れが発生したことがわかりました。また、今回の地震については、柏崎刈羽原子力発電所の方向に大きな揺れが伝わる場所で発生しているということがわかりました。

また、2番目の地下構造特性ですけれども、柏崎刈羽原子力発電所周辺の地下構造は堆積層が厚く、褶曲した構造を持ち、この中を伝わる地震波が重なり合い、大きなパルス波になる特性を持っていることがわかりました。また、さらにこの地下構造は、地震波が、柏崎刈羽原子力発電所は1号機から7号機までございまして、1号機から4号機と、5号機から7号機の間で若干距離が離れておりますけれども、1号機側に大きく集まるような褶曲構造であることが判明いたしました。こういった要因の分析を踏まえまして、他の原子力発電所でも考慮すべき項目というのを抽出したところでございます。

次に、具体的に他サイトの地震動評価に反映すべき事項ということでとりまとめたのがこちらの内容でございます。

まず1.地震の発生場所や断層ごとに震源の特性を適切に評価するということについては、活断層から地震の大きさを想定するためには、活断層の長さや広がりだけではなく、地震により発生するエネルギーや強い地震波が発生する場所なども、観測記録や地下構造の地質調査の結果を踏まえながら評価することが重要であるという点でございます。

2番目でございますけれども、観測記録の分析を実施するということで、実際の地震の揺れの記録は、震源の特性や震源から観測地点に至るまでの地下構造の特性による影響が反映されたものでございますので、この分析をしっかり行う。特に観測記録をどの断層の評価に反映すべきかを判断するために、地震波が来た方向に十分留意することが必要だという点です。

3つ目ですけれども、地下構造の分析ということで、地下構造が、堆積層が厚く、褶曲構造である地点につきましては、地質調査や観測記録を基に十分な分析を実施する必要があるという点でございます。

今回まとめた内容については、他の原子力発電所で適切に反映されているかどうかというのを確認していきます。

まとめでございますけれども、四国電力から提出された中間報告書や今後提出される最終報告書の結果の妥当性については、当院が自ら実施する調査結果も踏まえて厳正に確認をしてまいります。また、中越沖地震により得られた知見のうち伊方発電所においても反映すべき事項については、適切に反映されていることを専門家の意見を聴きながら厳正に確認してまいります。

説明は以上です。

(濱本部会長)

続いて四国電力のほうからお願いいたします。

(四国電力(株) 石﨑原子力本部長)

四国電力の石﨑と申します。一言ごあいさつさせていただきます。

皆様方には日頃から、伊方発電所の運営に関しご指導ご鞭撻いただきまして、この場をお借りしてお礼申し上げます。

伊方発電所の現在の状況ですけれども、1、2号につきましては順調に運転を続けております。3号につきましては、9月7日から定期検査に入っておりまして、現在定期検査中です。今後とも信頼される発電所を目指しまして、安全・安定運転の継続、情報公開の徹底につきまして全力をあげて取り組みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日は、耐震安全評価に関するコメントの回答、それから3号機のプルサーマル計画の進捗状況についてご説明させていただきます。

それでは資料に基づきまして、土木建築部の松﨑副リーダーから説明させていただきます。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

資料3―2に基づきまして、5月2日の技術専門部会でいただきましたコメントに関してご説明させていただきます。

コメントといたしましては、全部で14までいただいております。これらについて、逐次ご回答申し上げます。

(1)番のご質問ですけれども、応答スペクトル評価が42kmのみとなっているが、130km、360kmは実施しないのか、というコメントですが、これは中央構造線の地震動評価におきまして活断層の長さを我々は42kmという評価と130kmと360kmという3つの長さの評価をして地震動評価を行っております。その地震動評価におきましては、応答スペクトルに基づく評価と断層モデルによる手法、2種類の手法で評価しておりますけれども、その応答スペクトルによる評価というのは42kmしか我々は行っていないのですけれども、あとの2つはやらないのかというご指摘でございました。

それはご指摘の通りでございまして、130kmと360kmの地震動評価では応答スペクトルに基づく評価はしておりません。なぜかと申しますと、応答スペクトルに基づく手法と言いますのは、従来大崎スペクトルという手法を用いておりましたけれども、これは地震のエネルギーというのを震源に集中させる方式を用いておりましたので、断層のように有限長さを有するものにつきましては、断層近傍にそういう点震源を置くのはちょっと問題があったということで、従来の旧指針のときには我々応答スペクトルの手法を用いておりませんでした。しかしながら近年、研究の進展によりまして応答スペクトル法でも断層の近傍でもできるようなことを狙った手法が開発されてきました。それで我々は42kmの断層の長さには適応したんですけれども、その応答スペクトル法というのは結局観測記録に基づく手法でございまして、震源近傍のデータが実際少のうございます。それで震源近傍のデータが少ないので130kmと360kmには用いなかったというのが事実関係なんですが、実際にではどういうデータを用いたのかというのが2ページの一番下の参考に示しておりますけれども、最近の応答スペクトル評価式の回帰分析に用いたデータはマグニチュード5.5~7.0、等価震源距離にしますと28km~202km。これだけでは少ないので、これらのデータに加えて、海外の記録等を用いてマグニチュードであれば8.1ぐらいまで、等価震源距離ですと14kmぐらいまでの近いデータを持ってきて、開発した応答スペクトルが十分適用できるということを評価して、この範囲で使っているのですが、敷地前面海域の断層分布、中央構造線は敷地から約8kmぐらいのところに位置してございますので、このデータの範囲外になるということで、また特に360kmなどと大きな長い地震動評価になりますとマグニチュード8を超えてきますので、ちょっと適用範囲外で精度の良い評価はできないと判断をいたしまして使っておりません。実際にも最近の新耐震指針におきましても震源が敷地に近く、その破壊過程が地震動評価に大きな影響を与えると考えられる地震については、断層モデルを用いた手法を重要視するべきと書かれておりますので、こういう考え方に従って評価してございます。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

次に、(2)周期0.5秒付近から長周期側で加速度が急激に小さくなっているが、長周期の施設はないか、というコメントでございます。

このページの下に応答スペクトルを書いておりますけれども、横軸が周期で縦軸が加速度で、ギザギザしたのが断層モデルによる解析結果、それから富士山のような形にしたものが応答スペクトルによるものですが、いずれにいたしましても0.5秒よりちょっと手前あたりから加速度は小さくなっております。長周期側というのはこれより右側になりますが、これより長周期側の施設はないのかというご質問でございます。

回答といたしましては、伊方発電所の主要設備については、固有周期が0.5秒を超えるような長周期の施設はありません。ということで、右の下に表がございますけれども、これは今回中間報告で報告させていただきました主要施設についての固有周期を書いたものでございます。上から原子炉容器、蒸気発生器、炉内構造物というふうに固有周期について書いてございますけれども、例えば原子炉容器の支持構造物でいきますと0.053秒、蒸気発生器の支持構造物が0.112秒、下から2番目でいきますと原子炉建屋の外周コンクリート壁は0.2秒というふうに0.5秒を超えるものはございません。これは今回の主要設備について書いたものですけれども、伊方発電所も含めて原子力発電所の設計というのは基本的に剛設計ということにしておりますので、0.5秒を超える周期というのはどちらかというと柔側の設計になりますので、発電所の設備として0.5秒を超えるような長周期の施設はないという回答になっております。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

続きまして、(3)アスペリティの位置の根拠は、というコメントでございます。アスペリティは、断層面内で普段は強く固着しておりまして、地震が発生するときには大きな滑りを出すところ、という定義をされていますけれども、そのアスペリティというものの位置の根拠について、アスペリティと申しますのはジョグとジョグの間に位置すると考えられると書いております。専門用語が出てきて申しわけないのですが、ジョグとは、これを提案された杉山先生などは断層のセグメント境界、断層がいくつか破壊するその活動区間の境界の不連続部、セグメントが途切れる部分という意味で用いられていますが、そういう位置に考えられています。図で説明したほうがよろしいかと思いますので、5ページに行っていただきますと、5ページの左上のところに杉山先生の文献から引用した図がございます。上のほうの図が縦軸にスリップと書いてありますが、断層の変位量、滑りの量が大きいところを示しておりますけれども、ピーク、その上にアスペリティと書いてあります。こういうところにアスペリティがあることを示していまして、その右側にバリアと書いてあるところがございますが、ここがジョグと同じものと思ってもらっていいのですが、下のほうに行きますと、その下は断層の分布形態を平面的に見た図でございまして、黒い太線で、ちょうどアスペリティの真下のところに黒い太い線で直線的に書かれていますのが、ここが要するに断層のセグメントになって、その右側で断層がちょっと右屈曲、直線がちょっと右に下にオフセットしていますけれども、こういうのを右屈曲といいますが、こういうところとか、あるいは断層がYの字に分かれていますけれども、こういうところがジョグだよという指摘がありまして、こういう分布形態から断層のアスペリティの部分とジョグの部分の判断をしていくという文献がございます。これに基づいて前面の中央構造線の敷地前面海域の分布形態を見ますと、ちょうど下の図で青い丸で示していますけれども、こういう青い3つのジョグが見られますので、こういうところでセグメントを区分いたしまして、このジョグのところにはアスペリティはないだろうと判断いたしまして、直線性のいい黒い線のところにアスペリティを配置いたしました。

さらには、もう1つ考え方がございまして、次の6ページを見ていただきますと、今度は中田、後藤は断層の分布形態をY字の分岐でもってセグメントバウンダリを判断するという評価をしております。そういうような評価をしますと、伊方沖にもこういうY字分岐があり、ジョグが判断されますので、伊方沖の活断層というのは串沖から伊方沖のジョグが1つ、串沖から三崎沖のジョグが1つの2つに分けることもできます。その下に、産総研の吉岡らの論文(吉岡ほか、2005)で、そこに伊予長浜沖活動セグメントと三崎沖活動セグメントと書かれていますけれども、吉岡さんたちはそういうようなジョグの判断をされて、伊方沖の断層を2つに分けられています。こういうような評価もございます。もう1回、5ページ目に戻っていただきますと、伊方沖のセグメントの右屈曲量というのは1kmぐらいと小さい。串沖とか三崎沖というのは断層の右屈曲量というのは3kmとか4kmとか大きいですので、伊方沖は他と比べてセグメント境界としてはちょっと小さいということがございまして、そういうのと、3号炉のときに我々長さを46kmと評価をしておりましたのでその辺のことも勘案いたしまして、安全側評価ということも含めて42 kmというセグメントを考えまして、しかしながらジョグのところは除いてアスペリティを置いたというものでございます。

続きまして、(4)アスペリティの分布、広さを安全側に考慮する必要があるのでは、というコメントです。この分布に関しましては先程申し上げた通りで、地質の調査結果をもとに地質学的に判断して置いております。しかしながら、アスペリティは平面的にはこういうとこに地質情報から置けるんですけれども、深さ方向には不確かさがございますので、アスペリティの深さを中間に置くものと、浅めに置くものと、そういうような不確かさは考慮しております。あと、アスペリティの広さを安全側に考慮する必要があるのではということですけれども、これは地震動予測のレシピというのがございまして、入倉先生たちが出されているものですけれども、それには断層面の全体に対して22%適用して断層モデルか特性化震源モデルを組み立てて地震動予測をする手法を示されておりますので、その手法に従って淡々とやっているものでございます。

続きまして、(5)ストレスドロップの不確かさは考慮されているのかというご質問ですけれども、ストレスドロップという言葉が出ておりますが、応力降下量、断層が破壊するときに、もともと持っていた力が解放される量、要するにエネルギーに近いものと思ってもらったらいいですけれども、基本ケースにおいてはアスペリティにおける応力降下量として10MPaを設定しております。基本ケースでは、横ずれ断層ですので90度の断層面を基本と考えて、10MPaと設定しておりますけれども、断層の傾斜角のほうで不確かさを考えまして、この一環として地質調査の結果から傾斜角が北に30度傾斜しているという結果も得られておりますので、それは不確かさの1つとして考慮することとしまして、30度とおいた場合には、応力降下量が15 MPaになりますので、そういう意味では副次的ではありますがストレスドロップの不確かさというのは考慮されております。あと、さらには先ほど国のほうのご説明がございましたけれども、本年の9月の4日に新潟県中越沖地震を踏まえた反映すべき事項ということで、指示文書をいただいておりまして、その中で我々は震源特性を考慮した評価を行うよう指示を受けておりまして、この中で先程国のほうでもご説明がありましたけれども、新潟県中越沖地震の地震動は1.5倍大きかったというような知見がございますので、こういうのも勘案いたしまして現在検討評価を進めているところでございまして、このあたりの評価結果につきましては、最終報告に反映したいと考えております。

続きまして、(6)種地震には、伊方に近い1991年の地震を用いるべきでは、というコメントについて、伊方発電所の地震動の断層モデルでもって地震動を評価する場合、経験的グリーン関数法を用いていますが、これは敷地で実際に観測された波を使います。その場合、12ページを見ていただきますとそこに地図がございますが、経験的グリーン関数法の種地震に用いたのは赤丸の芸予地震の余震の記録です。それよりも伊方発電所の真下で起きた青い地震を使うべきではないかというご指摘でございます。

下の表を見ていただくとわかりますが、どちらも深さが58kmと46kmになっており、内陸地殻内の地震ではございません。スラブ内の深い地震でございます。中央構造線で想定されるような地震ではないということです。

なぜ91年のものを使わず2001年を使ったかですけれども、まず新指針におきまして基準地震動は周期5秒のところまで設定するようになりましたので、まず周期5秒のところまで実際の信号が取れている波が望ましいということで11ページを見ていただきますと、上が91年、下が2001年の地震のフーリエスペクトルを示していますけれども、横軸が周期になっていますけれども、このフーリエスペクトル、普通の地震と言いますか何もノイズとかが入ってなければ、この長周期側が1秒以上、右側のところなんですが、右肩下がりに下がっていくべきものなんですが、91年の地震を見ますと1秒よりちょっと行ったところで水平にダラダラとなっています。これは長周期ノイズがのっているんだろうと。2001年のものでもやっぱり5秒のところから上っていますけれども、一応、新耐震指針でターゲットとしている5秒のところまでは実際の波が取れていますので、こちらのほうが精度よく地震動を評価できるだろうということで2001年の地震を使ったというものでございます。

続きまして、(7)Ss-2は南北方向と東西方向とで大きく異なっているが、地質や地盤が影響しているのか、というご質問ですけれども、Ss-2も先ほど申しましたように、これは断層モデルでつくった基準地震動でございます。それを実際に種地震といたしまして取れた記録というものを見てみますと、やっぱりEWのほうで0.2秒とか0.3秒あたりの大きなピークがございます。そういう傾向というのは伊方発電所の敷地のみならず伊方発電所の南側にKiK-netの伊方という地点がありますけれども、その記録でも同じような傾向がございますので、そういうことを考えますと地質や地盤ではなくて、もともとのその地震が持っている特性、震源特性あるいは放射特性と考えることができるかと考えられます。そういうことで地質や地盤の影響ではないというのが我々の考えているところでございます。

続きまして、(8)基準地震動を策定する際の裕度の決め方はどうか、というご質問ですが、JEAG(JEAG4601原子力発電所耐震設計技術指針)の中で、基準地震動の策定方法を規定しておりますけれども、その中では不確かさをその包絡を含めて策定しなければならないというふうに規定されているのですけれども、具体的な裕度というのは明示されておりません。それで我々はどのように不確かさというかということを考慮したかということを表にまとめてございます。

震源要素の不確かさといたしましては、マグニチュードを取り出しまして7.1と7.6というのを評価いたしました。断層の傾斜角も90度と30度、アスペリティの深さも真ん中ぐらいの深さに置くものと一番浅い上端に置くものを不確かさとして考慮いたしました。伝播特性といたしましては、断層モデルの場合は破壊の開始点とアスペリティの位置関係によってもたらされる地震動に大きな影響がありますので、破壊開始でも断層の東、真ん中、西と3カ所置いて、ディレクティビティも考慮できるようにいたしました。あと震源特性に関しましては、応答スペクトル法というのは内陸地震の場合求められたスペクトルよりも0.6がけしてもいいよと、地震動がちょっと小さいよという知見があるんですけれども、そういうのはあえて考慮せず、大きい地震のままを採用しておりますので、そのような地盤特性と言いますか内陸地震の特性というのも不確かさとして入っています。

応答スペクトル法というのは、Vs(地震波のせん断波速度)が2.2km/s相当の地盤を想定する観測記録に基づいて作成した手法ですけれども、敷地での断層モデルによる地震動評価というのは経験的グリーン関数法ですけれども、ここでとれた種地震に基づいた地震というのはVsが2.6km/sの地盤でとれた波を用いていますので、そのような地盤の違い、せん断速度の違いも考慮されております。

あと、地震の評価指標としましては、これは新指針に書かれているんですが、応答スペクトル法と断層モデルを併用して基準地震動を策定しておりますし、そういうのを各種距離減衰式と評価して行われています。あと、そのような全ての地震動評価結果を包絡するようにSs-1を設定していますので、その裕度の中にいろいろな不確かさもカバーできていると考えております。

(9)地震波作成時の位相には、断層モデルの位相を使用すべきでは、という5月2日のときに森先生のほうからご指摘いただいたんですけれども、実は同じようなご質問を国の委員会の場、先程ご説明のありました合同Aサブグループの審議の場で国の委員の先生からご指摘を受けております。これは我々のみならず一緒のグループでございます東京電力、北陸電力もご指摘を受けておりまして、各社共通のテーマとして今、審議いただいておりますので、その審議を踏まえた国の指導に従って、適切に評価したいと考えております。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

続きまして、(10)耐震評価において、機器・配管系の評価には、実際の材料強度を使用しているのか、というコメントでございます。

機器・配管系の評価に用いております材料の物性値といたしましては、例えば降伏応力、引張応力、縦弾性係数、等がございますが、今回のバックチェックでは設計に用いた値を使って評価しており、実際の構造材の材料強度は用いておりません。実際に使用されている構造材の物性値は、材料試験により採取しておりまして、材料証明書でデータは持っております。原子力発電所で用いられている各種構造材の強度などは設計に用いている値よりも良好な値を示したものを採用しているということで、例えば実力で評価しようとすれば、設計値よりもさらに裕度を持った解析結果になると考えております。

続きまして、(11)補強工事はどのような考え方で実施しているのか、というご質問です。当社では耐震性向上工事の検討に際しましては、既往評価における設備の耐震裕度、耐震に関する種々の知見及び工事の実現性、これは現場の工事の容易さとか他の工事との錯綜回避なども考慮いたしまして、対象工事の選定を行っています。

これまでも耐震性向上工事を実施してきておりますけれども、これは主に新耐震指針では重要度分類はSクラスという1つのクラスになっておりますけれども、旧指針では重要設備についても2つに分けておられましてAsクラスとAクラスの2つのクラスに分けられておりました。しかし、Asクラスのほうがさらに厳しい設計をするという設備ですけれども、今回の新指針ではAsとAをあわせましてSクラスに格上げしまして、以前AクラスだったものもAsクラスに格上げになっております。ですから、建設された当時にはAで設計したものが、基準が厳しくなっておりますので、耐震裕度は下がるということになりますので、そういうものについて耐震裕度をみまして工事をしていくということで、工事箇所の選定も行っております。ただ今、バックチェックの実施中でございますが、こういう耐震性向上工事を実施した設備についても今後策定をいたしました基準震度Ssで耐震安全性評価を行いまして裕度を示していくこととしております。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

(12)断層モデルの12ケース全てのスペクトルを図示してほしいということでございますが、これは基準地震動Ss-2には断層モデルで求めた地震動をそのまま用いておりますけれども、それをどういうふうに選んだのかということで、短周期側で一番大きな波を基準地震動Ss-2に選びましたと前回口頭ではご説明したんですが、なかなか図がないとわかりづらいということでこのような図をお示ししました。これは水平のみの図を表しておりますけれども、このように基準地震動といたしましては青線と緑の線を基準地震動のSs-2のNS方向、EW方向に選んでありますけれども、見ていただくとおわかりになりますように短周期側に重要施設がございますので、0.02秒~0.05、0.06秒あたりで一番大きなところの波を基準地震動のSs-2と選定したということでございます。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

⑬発生応力には地震以外に自重等によるものもあるので、分けて記載すべき、というコメントでございます。構造強度評価結果につきましては、構造物の自重や運転荷重、例えば配管などができますと内圧が加わっておりますけれども、これと地震荷重が複合した荷重によって発生する応力を示したものです。従いまして、そういう力も入っていますので地震荷重が2倍になったからといって構造強度評価結果が単純に2倍になるというわけではございません。

今回の中間報告で機器・配管系に用いた評価の方法としたしましては、応答倍率法というのを使っています。応答倍率法というのは、機器・配管系が設置されている建屋各層、各階の基準地震動Ssによる床応答のスペクトルというのを作りまして、機器・配管系の固有周期での加速度を設計時の評価、これは建設当時の工事認可の値なんですけれども、これで考慮した床応答スペクトルでの加速度との比を求めまして、今回設計時の評価結果に乗じるという、簡易的な方法ではございますが、この応答倍率という手法でやっております。

伊方3号機の中間報告ではそういう手法でやっておりますので、伊方3号機の建設当時の工事認可の中で出てきております計算結果が、自重や内圧プラス地震荷重の合算したものしかデータが残ってないものもございますので、それについては応答倍率法で全体の値に対して倍率をかけるというような評価手法になっておりますので、今回中間報告の中では地震と地震以外を分けることは差し控えさせていただきました。ただ、どれぐらいの程度の寄与率があるかというのはあらかた計算できますので、下のほうに表をつけておりますけれども、例えば炉内構造物でいきますと、炉心そうは中間報告時の発生値は88N/mm2になっておりますけれども、地震荷重の寄与する割合としてはこのうちの2割程度は地震荷重と考えております。あと蒸気発生器の支持構造物については100%となっておりますが、この部材は、蒸気発生器を水平方向に支える支持構造物でございますので、通常運転中には荷重は加わりません。荷重が加わるときは地震のときのみでございますので、この荷重は地震時の荷重が100%ということになっています。あと、一次冷却材管50%、それから余熱除去ポンプにつきましてはその基礎ボルトになりますが、これも地震時しか荷重が加わりませんので、これは100%、というような形で%を示させていただいております。一番下の制御棒の挿入性につきましても、地震時の寄与が10%程度ですので、例えば地震が倍になったからと言って、今中間報告値で出ております制御棒挿入時間2.03秒がそのまま倍になるということはないと言えます。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

最後の(14)新たな断層はないのに、モデルやパラメータによって評価結果が変わっており、適切な説明が必要、とのコメントでございますが、これにつきましては22ページの図でご説明させていただこうと思います。

まず、断層が変わってないというご指摘はその通りでございまして、図の1のところの基本ケースと書いてございますが、そこでまず対象となる断層というのは敷地の前の中央構造線の断層帯でございまして、長さが42km。これは以前のときは46kmという評価でしたけれども、それほど長さ的には変わるものではない。90度の断層面を設定しております。これを旧指針で評価するときには、まず断層モデルで評価しておりました。上のグラフでいきますと、青線と緑の線が断層モデルによる評価になるんですけれども、こういう評価のみを行っており、赤やピンクは応答スペクトルによる評価ですけれども、この評価はしておりませんでした。

それは先程申しましたように断層近傍に適用できる手法がなかったからでございます。以前のときはこういう断層モデルによる評価を行ってそれを包絡するようにこの黒い基準地震動S2、これは旧指針に基づくものですけれども、を設定しておりました。それが科学技術の進歩により応答スペクトルが適用できるようになりましたので、まず赤の評価をするようになりました。さらに新指針の考え方といたしまして、不確かさを考慮しましょうということになりまして、断層を地質調査の結果に基づいて30度傾けた結果、マグニチュードが7.1~7.6という大きな結果になりました。それに応答スペクトルによる手法を適用しましたところ、長周期側0.7秒から0.8秒あたりからでしょうか、長周期側では従来の基準地震動S2を超えるような評価になりました。また、断層モデルによる評価でも基準地震動S2に接するようなところも短周期側で出てきました。こういうことに勘案いたしまして図3のとおり、これら全ての結果、赤、青、ピンク、さらには従来の基準地震動S2、全てを包絡するように安全余裕も考慮いたしまして新しい基準地震動Ssというのを策定した結果、最大加速度が473ガルから570ガルに上ったものでございまして、断層の評価とかは変わってはないんですけれども、指針の考え方だとか地震の評価手法の進歩によって最大加速度が変わったというものでございます。以上です。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。前回の専門部会での質問事項に対するご検討を報告いただきました。今のご説明も含めて、国及び四国電力に対してご質問、ご意見をいただきたいと思います。どなたかございませんか。

(森委員)

ご丁寧でかつ簡略なご説明、ありがとうございました。順を追って質問していきたいと思います。まず、2番目の質問に対する回答について確認をしたいことがあります。3ページの応答スペクトルとそれぞれの固有周期等を示されて、ここで認識しておきたいのは基本的に剛設計であるというご説明がありました。施設は固有周期が0.3秒以下であると認識してよろしいでしょうか。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

そうですね、具体的な値はすぐには答えられませんけれども、0.3秒よりも剛側で設計したものがほとんどであると考えております。

(森委員)

では、0.3秒以下の地震動に関して重要であるというふうに考えてよろしいでしょうか。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

施設の評価にあたっては、そのあたりの周波数が非常に重要なものになると考えています。

(森委員)

これに関して国にお伺いしたいのですけれども、同じく(6)に関する回答で、10ページにありますが、旧耐震指針においては周期2秒まで設定していたが、その新耐震指針においては周期5秒まで設定するということが書いてありまして、先程の松﨑さんのご説明では12ページのスペクトルのご説明のときに、新耐震設計でターゲットとしている5秒というふうなご説明がございましたが、それはあくまで5秒までを想定範囲に置くというだけで、重要なのは構造物の固有周期のほうであるというふうに私自身は認識しているんですが、その0.3秒以下の固有周期が重要なのか、それとも5秒まで同じ品質で持ってなくてはいけないと認識をしていいのか、そのあたりについて国のほうのご見解をお聞かせ願いたいと思います。

(原子力安全・保安院 天野安全審査官)

申しわけございません。本日は耐震の専門家がこちらに来てご説明をさせていただくべきところ、所用の都合で来られませんでしたので、私の知りうる範囲で私的見解ということでご説明させていただきます。重要なのは剛構造で、やはり短周期側というふうに理解しておりますけれども、ここの指針の改訂で5秒まで設定したという安全委員会での議論については、申しわけございませんが、私は承知しておりません。けれども、基本的には重要な構造物は剛構造で、ここの部分が重要ということを考えております。

(森委員)

それでは、以降の議論というか質疑においては、剛構造、特に数字を出すのであれば0.3秒以下の短周期側の成分が重要であるということが四国電力と国の基本的な認識であるとして、質問していきたいと思います。

順を追ってですが、ジョグについてはアスペリティの位置については少し長くなりますので、一番最後に回したいと思います。まず、4番目の質問に対する回答でございますが、私が前回させていただいた質問は、アスペリティの分布や広さを安全側に考慮する必要があるのではないかということであります。文書としてお答えいただいていること、それから先程口頭でお答えいただいたことの内容で、面積を広くしたほうが安全側であるというようなことが書いてあるのですが、そういうことを言っているのではなくて、ここでは基本的に地震動予測のレシピに示されている22%を適用していると。それから先ほどの説明ではレシピに対して淡々と従っているとおっしゃっていました。私の質問の主旨は、22%というのは自然現象に対してある2つの相関を取ったら、ある傾きが22%、つまり、比率が22%であったというのが入倉先生のデータに対する解釈であると理解しています。つまり、レシピですから標準的な調理法とか標準的な材料を示せれば誰でも同じような料理ができるという意味でのレシピでありますが、伊方のサイトを考えて、どれが一番安全側なのか、どれが一番採用すべきなのかという観点で考えた場合に、22%という傾きは平均的な傾きでありまして、大きい方へ例えばプラス5%、小さい方へマイナス5%としてあった場合に、27%が安全側になるのか17%が安全側になるのかは検討してみないとわかりませんね。そういう意味でそういうバラツキを考慮すべきではないかというのが私の質問の主旨でしたが、その点についていかがでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

確かにバラツキを例えば面積のバラツキを22%ではなくてちょっと小さめに評価されているような電力会社もございます。そういう場合にもそこに書いてある式に従いましてアスペリティにおける応力降下量を大きめに評価することになりますので、そういうのと敷地との位置関係でもちまして地震動評価結果というのが異なる結果になります。それは先生のご指摘の通りだと思います。ではそういう評価をなぜしないかと申しますと、しないと言いますか、その辺のところは断層面のパラメータの不確かさというかパラメータにはいろんなものがございます。アスペリティの広さだけではございませんし、位置ですとか深さだとか断層全体の面積だとか、あと短周期レベルというのもございますけれども、そういうものをいろいろ評価して何を基本モデルとして考えて、何に不確かさを考慮するかというのを整理して、震源特性もちゃんと評価して、地震動を計算しなさいというのが今度9月4日に出された国の指示だと認識しておりますので、もう1回そういうところに立ち返ってどこに不確かさを考えるかというのは検討させていただきたいと思います。

(森委員)

すると、広さとか分布とかそのような断層モデルに関するパラメータを安全側に考慮する必要があるのではないでしょうかという私の質問に対して、既にここに書かれたように、考慮されていますとのお答えが口頭では最初にありましたが、今の質疑応答で考慮する必要があるのではという質問に対しては「あります」というお答えと理解してよろしいのでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

必要があるかどうかを、もう1回9月4日の文書に立ち返りまして考えたいと思いますという回答です。

(森委員)

じゃあ、国の資料で、不確かさの考慮で不確かさの取扱(1)、(2)というのがありましたが、断層の形状の中で断層の長さ、幅、傾斜、上端深さ、アスペリティの位置、数、破壊点、これらは形状的な幾何学的なものですね。(2)というのはその幾何学的なもの以外のこういう地震学でいう物理的なパラメータの不確かさを考慮する、あるいはパラメータの選択について選択にしなかったものを含め、その根拠を明確にするとありますけれども、明確にしないというお答えのように私には受け止められたのですが、いかがでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

いえ、そういうつもりはないのですが、もう1回そういうところを明確にするため、整理させていただきたいという回答でございます。

(森委員)

つまり、私の質問は、この国も示しているような方針について、考慮する必要があるのではないかというのが主旨なのですけれども、あるかないかも検討するというのが今のご回答でしたが。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

不確かさに関しましては、いろいろアスペリティの深さだとかそういうものに考慮しておりますが、さらにそれに加えて広さなども考慮すべきではないかというご質問に対しましては、今までそういう不確かさを考慮していないわけではなくて、さらにそういうような不確かさも考慮するかどうかというのは局所論ではなくてもう1回全体に立ち返って考慮すべきかどうかというのを考えさせてくださいという、回答といたしたいということでございます。

(森委員)

ありがとうございました。国の指針に従って考慮していくというようなご回答だというふうに理解させていただきました。関連して(5)の質問について、ここでも答えはストレスドロップの不確かさが考慮されているのか、ということですが、ここには先ほどの(4)の質問に対する回答として載せられている応力降下量の関係式とありますけれども、この応力降下量の関係式というのは全体の断層による動きをどうとらえるのかということと、それからアスペリティ、つまりモデル化をするときに局所的に地震動を発生させる領域と発生させない領域に分けたときにどう取り扱うかという、単に整合性を説明した式であることには違いないわけですね。(5)のストレスドロップの不確かさが考慮されているのかという質問に対するお答えとしては考慮されているとは書いているのですけれども、これはあくまでこの式の1つのパラメータを小さくしたせいで、もう片方のパラメータを掛け算の値を同じにするために大きくせざるを得ないという式でありまして、先程のたとえば22%だけを考慮するといったようなことを全く動かさないわけですから、そういう意味でストレスドロップの不確かさ、つまりデータのバラツキ、自然のバラツキ、これは考慮されているのかというのが私の質問だったのですけれども、少し副次的な考慮というようなご回答で、要するにこの式を使って値は変わっているというご説明だったわけです。値は変わっているけれども本質的には変えていませんというのがお答えだというように理解したのですが、これについても先ほどと同じように不確かさは考慮されていないけれども、今後するべき必要性を考慮していくというようなご回答と思ってよろしいでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

はい。あくまで中間報告書の内容としてはこのような10MPaと15MPaというような副次的な評価でしかございませんけれども、今後国の中越沖地震の指示の文書がございますので、その中で震源特性の1.5倍というのも評価していきます。それが森先生のおっしゃるバラツキ評価になると解釈しております。そのような評価を今後、やってまいります。

(森委員)

ありがとうございました。次に私の質問は(6)の質問で、回答書の10ページ以降にお答えいただいて、口頭でもご説明いただきましたが、伊方に近い1991年の地震を用いるべきではないかという質問に対して、12ページに実際に91年と2001年の地震を重ねてフーリエスペクトルをお示しいただきました。実際にお使いになっているのは赤い芸予地震のほうのスペクトル、これを種地震として使っていると。種地震というのは要するにこれをそれぞれの小さく分けたメッシュに1つずつ与えて、それらを足し合わせていっているということですので、これが上方向にスペクトルが増えていく、それから右方向にずれていくというような結果になるとそういうふうに大雑把には理解していいですよね。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

はい。

(森委員)

そう考えますと、このピンクとブルーを比較すればいいわけですが、マグニチュードも5.3と5.2でほとんど同じ、それから震央距離は違いますけれども、深さが深いですから、震源距離という意味では確かに違いはあるけれども大きくはない。ここで大きなことはどういうことかと言うと、フーリエスペクトルで青いほうが0.3秒以下の短周期領域では大きいということであります。この短周期領域が重要だということを電力も国も基本的な認識として持っているにもかかわらず、5秒までの長周期成分、つまり1秒とか5秒とかのやや長周期成分と呼ばれるものにノイズが含まれているという理由だけ、あるいは赤より青のほうがちょっとノイズ成分が大きいという理由だけで赤を採用しているというのが現状のわけです。それはこの設計にとっては重要でないところのことを理由にして重要な部分を安全側に考えるべきところを考えていないというのが私の質問の主旨だったわけです。これについて見方をご説明しましたので、これについて再度ご回答願えればありがたいと思います。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

はい。確かに12ページの上の図で見ますと91年のものが短周期側で2001年の地震よりも大きな地震動を与えているというのは事実でございます。ですが、この地震を、さっき先生がおっしゃったように断層面の個々のメッシュにある程度の補正をしてあてがっていくわけですが、それを補正するときにはこの短周期側のレベルというのも大きな地震に対して何倍になっているかというのも想定して、この辺も補正して合成していきます。したがって、単に種地震の短周期レベルが短周期側の地震動が大きいからといって合成結果もこのままの形状で出るというものではございません。一概にこの91年のもので計算したほうが短周期の基準地震動Ssが大きくなるというものではございません。あと、先ほど今のご説明ではなかったのですけれども、この要素地震で種地震の見積もりをする際に、地震モーメントを求めまして、それと想定する地震の地震モーメントの比でもって何個地震を重ね合わせていくかということをします。そうしますと、要素地震の地震モーメントの見積もりというのが重要になります。2001年の場合は、国の防災科学技術研究所のF-net、広帯域地震観測網というのが既に整備されておりまして、この地震の地震モーメントというのは求められております。しかしながら、91年というのはまだ阪神・淡路大震災が起こる前でございまして、F-netがございません。その当時地震モーメントを出している機関と申しますとハーバードの地震カタログがございますが、残念ながらこのハーバードの地震カタログにございませんでした。地震モーメントの見積もりというのが自分たちで、それはやろうと思えばできます。しかし、それでは手前味噌になってしまいます。そういうような不確かさもございますので、地震モーメントの見積もりは国の機関で第三者的にやられているのを採用しようと。そのほうが任意性が減りますので、合成倍率も精度が良いだろうと。そういうこともあり、2001年の地震を採用したというところもございます。その辺、説明に含めなくて申しわけありませんでしたけれども、そういう事実もございますので、その点ご認識いただきたいと思います。

(森委員)

今のご回答の内容は2点ありまして、1つは必ずしもそれは安全側にはならない。つまり足し合わせた結果を見ないと安全側とは言えないということが1つと、それからその設定については地震モーメントという地震の物理でいう最も基本的な量が片方は準公的な機関で提供されているけれども、片方は自分たちで提供する以外求めようがないというそういう理由でした。設計という観点から見た場合には、まず一番最初はより危ないかもしれないというものを考慮するべきではないかというのが、当初の私の質問の主旨でして、それに対して必ずしもそうとはならないということを実際に出していただかないと、技術専門部会に委ねられている妥当性を議論するという場にもかかわらず、判断材料を提供いただかないと私たちは判断することができないわけです。ですから、必ずしもそうはならないということが事実としてあるのでしたらそれをご提供ください。というのが私の質問のまず1点目の主旨でした。

それから2つ目について、設計という立場で考えた場合に、地震モーメントが準公的なものはないにせよ、地震モーメントは物理的に極めて明確な量でありますから設定することは恐らく松﨑さんの実力からすればできるわけで、ただその根拠は、適切なのかどうかということをできる範囲で私どもが適切性を議論するというのがこの部会の仕事だと心得ておりますので、その2点のご提示いただきました質問に対するご回答に対しては、まだ私のほうでは十分に納得できないのですが、その辺についてはいかがでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

91年の地震でもって地震動評価してみたいと思います。その結果をお示しします。

(森委員)

ありがとうございます。以上です。

(濱本部会長)

よろしゅうございますか。その他、前回ご質問をいただいておりますが、藤川先生、ご意見ございますか。

(藤川委員)

すいません。第1点は国に教えていただきたいんですが、これ中間報告が出まして、その評価をしていただきまして、それから、まだこれから最終報告に向けて書き直しをされるのですが、それについても、再度保安院と安全委員会で全て再確認をされるということでよろしいのでしょうか。いつごろ最終結果が出てくるのでしょうか。

第2点ですが、(14)で説明いただいて、結局いわゆる新事実の発見ということはなくても評価結果は変わると。それは明らかに不確かさを考慮されたということなのですね。私は地震専門でございませんので一般的に考えると、不確かさとしていろんな要因があるだろうと思うのです。1つは未知だ、unknownだということで、unknownという部分がここでいわれる不確かさで、今度、検討いただいた結果変わったのか、それともいわゆるパラメータの変動性ですね、そういう確率的と言うかそういう変動性の程度によってこういう不確かさを考慮していただいているのか、電力さんにも保安院さんにもお願いしたいのはもしunknownということを考え出すと、どんな不確かさもあり得ますし、一方パラメータの変動性ということであればある程度少なくとも工学の人間にとってはある程度の幅をぱっと浮かべます。そのあたりの思想をはっきりさせていただかないと、どのように結果を受け入れるのかいうことが難しくなるので、ぜひ、はっきりしたお考えを、近い将来のうちにいただきたいと思います。

(原子力安全・保安院 天野安全審査官)

お答えさせていただきます。1点目について、現在中間報告の評価を保安院で実施しておるわけですけれども、基本的な考え方といたしまして今回の新指針のバックチェックの作業ですけれども、この新指針の改訂については最新の地震学や耐震工学の成果などの最新の知見を取り入れて発電所の耐震安全性及びその信頼性のより一層の向上を目指すものということでございます。従来から指針への適合性はもとより最新の知見を踏まえた安全審査等を行っておりまして、現在の発電所の安全性は確保されていると考えておりますけれども、こういった最新の知見に照らして、耐震安全性を確認していくということが重要というふうに考えておりまして、新指針に照らした耐震安全性の評価を事業者に求めて現在作業を行っているところでございます。それで中間報告ではまず重要なプラントについて、こういった評価を実施するにはある程度の時間を要しますけれども、地元の住民の方々には全ての作業が終了するまでお待ちいただくよりも、ある程度部分的な評価であっても中間的に公表していくということが重要だというふうに考えておりまして、中間報告の内容については現在、先程ご紹介した国の審議会でも鋭意取りまとめを行っておりまして、速やかにその結果は公表したいと考えております。また先ほど9月4日に保安院から中越沖地震の反映ということで指示文書を各電力会社に通知しておりますけれども、その結果を反映した最終報告についても速やかに内容を確認して、その結果については公表してまいりたいと考えております。

(四国電力(株) 谷川原子力部長)

四国電力から補足させていただきます。四国電力としましては、国で検討が進んでおりますが、その中でいろいろな議論がされております。先ほど言いましたように、自然現象ですので、地下構造がunknownというか、調査をこの程度やればこの程度わかって、この程度の評価ができると、そのバランスをどこで見るかというようなことについても、いろいろな先生、意見が出ているようでございますので、その意見、また今日の森先生のご指摘、こういったものを我々として技術的に分析いたしまして、その結果でもって最終報告という形で国のご指導もいただきながら、まとめて発表していきたいと考えております。いろいろな意見の先生方がおられますので、細かい点まで全て確定してその評価の確定を待ってということでありますと、かなり時間がかかりそうなところもありますので、早く出すということが地域の方々のご安心いただけるというところもありますので、そのあたりも考えて、異論のないような内容にするということを踏まえて対処していきたいというふうに考えております。

(三島委員)

先ほどから、不確かさのことが話題になっていますが、一般的に言いますと不確かさは、データが揃っているときは比較的定量的に不確かさを評価できると思うのですけれども、データがあまり揃っていないときは、どこまでとったらいいのかというのは意見が分かれるところだろうと思います。それで、国から考慮すべき不確かさの項目があげられておりますけれども、それを1つ1つ追っても本当に皆さんが納得されるような不確かさの定量性というか、そういうことが評価できるのかどうかというのはなかなか難しい問題だろうと思います。

私は地震の専門家でないので、そのあたりはよくわからないですけれども、国も専門家を集めて、最新の知見を集めてできるだけ合理的な不確かさの評価をして、その上で耐震の評価をしていただきたいと思っております。四国電力にお伺いしたいのですが、東京電力では断層の長さを最初に提案された34kmから検討の過程でそれより長くなって、36kmになった。その結果、最大の加速度が2280ガルから2300ガルに引き上げられたということを伺っているのですが、伊方では今570ガルです。この最大加速度は不確かさの評価の結果にもよると思いますが、見通しとしては最終的にどんな感じになりそうですか。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

お答えいたします。先ほどからご説明しておりますように、伊方発電所の新指針に照らした耐震安全性評価の中間報告におきまして、先ほどからご議論がありますように、地質データ等に基づきながらある程度の不確かさを考慮して、保守的に評価していると思っております。また、記録や探査により地下構造特性も把握して、地震動は評価しているというところで、これについては先ほど国からもご説明がありましたように、専門家による審議が行われており、我々もそこで説明しているところです。9月4日に国から中越沖地震の反映すべき事項として、検討すべき事項が出されておりますので、これについては我々も基準地震動Ssへの影響について、慎重に確認をしているところではございます。我々が設定している地震動というのはある程度裕度を持ったものと思っておりますので、現在のところ、今回の9月4日の通知を踏まえたとしても、最大加速度570ガルというところは変更になることはないと、今のところは考えております。

(渡邉委員)

国にお聞きしたいのですが、先ほどから不確かさということが言われておりますけれども、これは12ページの文章を見ましても非常に、一般的な文章ですよね。例えば基本的な考え方みたいなものを、伊方に合わせたような、もう少しわかり易い形で説明してもらうということは可能なんでしょうか。

(原子力安全・保安院 天野安全審査官)

お答えいたします。こちらにつきましては、今回の柏崎刈羽原子力発電所で大きな揺れとなった原因というのがようやくわかった段階でございまして、それを速やかに現在各電力会社で実施している原子力発電所のバックチェックの作業に反映すべきことが重要ということで、こういったものを9月4日にとりまとめてご報告したものでございます。確かに各サイトごとに地下構造特性でありますとか、震源の状況も異なってまいります。そういったことについては基本的には通知文書でも書いておりますが、まずは事業者に不確かさの考え方の根拠をきちんと明確にして、今後報告書の形で提出をしていただく。その結果については国のほうで速やかに取りまとめて、その妥当性について慎重に審議して厳格に確認したいと考えておりまして、そうした確認内容については、できるだけわかり易くご説明させていただきたいと考えております。

(森委員)

今の渡邉委員のご質問に関連してなんですけれども、現在では理論的地震動を作るのに、この技術専門部会でも御説明のあった入倉レシピというのが標準的な考え方としてこの10年弱確立されてきているわけですが、入倉レシピというのは、私の理解では、あくまで地震の像を理解するための標準モデルであって、設計のための数式ではない。そのいわゆる標準的な地震の物理を理解するための標準的なモデルに対して、数字が具体的に出てきているわけですが、22%などというような数字も経験値です。国がそのバラツキの考慮の方法を示されていないので、何というか、国内で合意の得た不確かさを考慮する方法というのがないというのが1つの不確かさを入れにくい理由の1つになっているように私には思われます。国が何らかの不確かの考慮方法を、具体的に示すべきところは示す必要があると思うのですけど、そのあたりは国の審議会等で議論があるのでしょうか。

(原子力安全・保安院 天野安全審査官)

おっしゃることは非常によくわかりますけれども、現在、国では指針の改訂、それから中越沖地震を踏まえたその反映で、全国の17サイトについて一斉に現在バックチェックの作業を集中的にやっているところでございまして、いろいろなサイトによって地震の発生様式ですとか、地下構造特性とかいろいろなパラメータが考えられますので、なかなか個別1つのケースについて、国からの考え方というのはなかなかむずかしいと思っております。重要なのは、これは基本的には発電所の耐震安全性を確保するのは一義的には事業者の責任でありますし、その説明責任も事業者が負うべきところであると考えておりますので、サイトの地震動特性のパラメータについては、その時点で得られる最新の知見を十分考慮して、またそのパラメータについてどのように選択し、またどういった幅で選択するかということは十分検討した上で、きちんとその考え方なり根拠を示していただきたいと、その示していただいた内容について、専門家の先生方のご意見を伺いながらその妥当性について確認したいと、そのように考えております。

(森委員)

各地の地震のサイズだとか起こり方だとかというのはもちろん標準化できないことの1つですが、入倉レシピというのが理論地震動を作る際の標準的な考え方で、アスペリティというのをどう設定するか、あるいはその全体の地震断層に対してアスペリティの面積が何%にするかというのが地震の断層のタイプだとか地質だとかとは全く無関係に全体に対してある平均像を示しているわけですね。それに対するバラツキを考えるというのは、地震動を、特に加速度の大きさを敏感に左右するものなので、そのあたりの議論をぜひ国なり、国が依頼した専門家の会議で議論していただくように、この片田舎から要望が出ているということをお伝え願えればありがたいなと思います。

もう1つ、先程の渡邉委員のご質問に対して、実際にはこの分厚い3月28日の中間報告書のⅣ-49ページというところに「どのように不確かさを考慮するのか」ということが丁寧に実際には書いてあります。書いてありますが、先程渡邉先生がおっしゃったように、多分これを何百ページもあるような中にポソッと入れるというより、これを一度ご説明いただければいいのではないかなと思います。それから、いくらご説明いただいてもさらに定性的な考え方が書いてありますが、その後にある、例えばⅣ―51ページ以降にあるパラメータに関してはどういうふうにバラツキを考慮しているのかというのは逆に書いてないわけですね。ですから定性的には姿勢は書いてあるけれども具体的、定量的にはどうかというと書いていない。結果を左右するのはあくまで定量的なものですが、定性的な議論でしか一般の方は理解できませんから、そういう意味で、定性的な、専門家ではない人たちに向けたご説明と、それから実際の値を左右する定量的なものに対しては技術専門部会などへのコンパクトにまとめられた資料が必要になってくるのではないのかなと思います。大きな議論は、やっぱり不確かさについての話になると思いますので。この点いかがでしょうか。

(四国電力(株) 谷川原子力部長)

報告書におきまして、ある程度技術的に正確に書く。しかし全てのデータは載せられませんので、どこまで載せるかという議論になると思いますが、その点は皆さんの評価に最低必要なものは載せていきたいと考えております。それとは別に、一般の方々にご理解いただくための、いわば広報活動的なものについても、我々としては非常に重要だと思っておりますので、精力的に実施していきたいというふうに考えております。

(森委員)

私、残っていることが1つだけありますので、それだけご質問させていただきたいのですが、先程のコメント回答、資料Ⅲ―2の4ページに書いてあるアスペリティの位置の根拠は、というところに関連してなんですけれども、ジョグをどう考えるかどうのこうというようなところです。この辺少し基本的な理解をしていくために、まず順を追って聞いていきますが、この回答書の5ページの上の絵があります。ここには三崎沖、伊方沖、串沖などというような、生のデータが示されているわけですね。これは何の違いかと言うと、本当の結果とその結果を解釈した結果が、この資料の5ページに載っている。本当の生データはⅢ-105ページに載っている。ですから立脚すべきはこのⅢ-105の生データをどう解釈するかということでありまして、これを例えば42とか47kmであったり、あるいはどこかのどなたかが例えばもっと長い100kmほどぐらいというようなご意見であったりする、もとになる絵ですね。これをどう理解するかということですけれども、その次に、この資料の22ページの図1、図2というふうに、図1は断層傾斜角が90度のもの、図2は30度のものということです。確認したい1点は、設計時ではこの先程の中間報告書Ⅲ-105、先程のずらっと並んでいるもの、活断層に対して90度というふうな断層傾斜角を基本的に考えていたのか、それとも最初から30度という傾きが何かしら情報を持っていたのかというのが今お聞きしたい点です。もう1度続けて質問させてください。それが第1点です。

1つの絵にないので苦しいのですが、5ページの一連の活断層と、それをどう理解するかといったような22ページのこの断層モデル、この2つの間に要するに何があるのかということですけれども、この分厚い参考資料のⅢ―113ページというのがあります。Ⅲ―113ページというのが地下2km以上の浅いところの様子というのがエアガンの音波探査から出てきていますよと。ここにⅢ―113ページの下の絵の縦に並んでいる線、これがFと書いてあります。これがフォルトということで断層だと。これが地表面に現れているのが平面図の地表断層として描かれているわけですね。この2kmより上だけを見るとこの断層は鉛直方向にほぼ走っていると。従ってこの絵から見ると何か断層は鉛直のようにあるかもしれないという理解ができるわけです。その次、Ⅲ―124ページを開きますと、今度は地下10kmの絵が示されています。これは全部理解がわかりやすいように敷地前面のところの断面をずっと書き写して今ご説明していますが、Ⅲ―124ページは、今度は重力探査というもので大局的にどんな構造をしているかという理解です。先程の2km以下のところはこの絵だとあまり細かいところはわかりませんが、ここではっきりわかるのが横軸で13kmぐらいでは下の黒いところが地表面にあって、この黒い部分が0kmでは5kmより下に向かっている。この傾きが約30度ぐらいになっている。実際に地震が起こるのは地表2kmとかではなくてもう少し深いところですから、ここのところが重要になってくるであろうと。そうすると私の質問は最初のやつに戻りますが、こういうことを根拠に30度という傾斜角を持った右横ずれの断層を考えたのが、今日の回答書の22ページの右の絵で、それから当初の2kmより浅い部分の鉛直方向に走った断層が横ずれ断層ではないかと建設時にお考えになったのが左の絵だと、こういう理解でよろしいのでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

30度に関しましては先生のおっしゃられた通りです。このⅢ―124ページで30度の傾きがございますので、これを不確かさの考慮として30度の断層面を考えました。当初考えた90度というのは113ページの音波探査の図というよりも、まず中央構造線というのは右横ずれ断層であるというのは言われていて、あと四国の伊予から東側ずうっと鳴門のほうにかけては地表面にすごく直線性のいい活断層が現れています。ああいう地形というのを残す断層というのが果たして30度の傾きであのようにシャープな線が出るだろうかということで、普通はまず横ずれ断層というのは90度というのが考えられていますけれども、そちらのほうから90度というのは考えました。

(森委員)

了解しました。次に、3月28日の報告書のⅣ-65ページですが、今度はぐっと深くなって、地下150kmの構造が髣髴とされるようないわゆる地震観測結果なわけです。これは断面Bとか断面C、縦に4つあるうちの真中2つを見ればいいわけですけれども、これは急激に太平洋プレートが四国の下をずうっと走ってきて、ちょうどこの愛媛県と大分県の間の海域で急激にプレートがまがっていっていると。ところがそれが屈曲して、ちょうど伊予から佐田岬へかけた海岸線に、大雑把に言えば平行な面でもってプレートが落ち込んでいくという様子があるわけですね。しかし、先ほど直線性のいいものといういわゆる吉野川から四国を横方向に貫通するような直線性のいいもの、そこは右横ずれのものであると。ところがやはり地質学あるいは地震学で言われているのが、高縄半島があるちょうど重信川、松山を境に伊予に向かって大きく西へ向かっていたものが南西に折れ曲がるわけですよね。ということは明らかにそこで何か違うメカニズムがあるであろうということを想定することは容易なわけです。

ただ、どんなものかを想定するのはむずかしい。そういったところで、30度の傾斜角を持ちながらも滑り込むような、サブダクションゾーンのような地震ではなく、30度のような傾斜を持ちながらも横ずれ成分が出てきて、その結果として例えば地表面に地表断層として現れてきたという理解をすれば今の右の図のように多分解釈してモデル化をしていると思うのですが、そうすると、そういう理解というのは建設時にはあんまりなくて、ですから何が言いたいかと言いますと、先程の藤川先生のご質問と関連するのですが、地表に現れている活断層は昔からあまり変わらないのですが、それの理解の仕方として調査をすればするほど深いところの構造だとか、細かい調査を今回もしていただいたので、やや深いところの構造がだんだんわかってきたというだけであって、何でパラメータが変わるかというのは見えるものが多くなってきたから想定すべきモデルの幅が増えてきて、そのためにパラメータが変わったというふうに理解していいわけですか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

その通りだと思います。30度というのは何も情報がなかったら、不確かさは入れませんけれども、地質情報としてそういうのもあるので考慮したわけです。

(森委員)

そうですか。質問の焦点に移りますけれども、ジョグの位置についてです。ジョグの位置についてですが、今回はジョグがないとして、もう一度、資料の5ページに戻りますが、この伊方の沖にある伊方沖ジョグというのがわずか1kmだから、ここも貫通して滑るようにあるのだというように考えていらっしゃるというのは、たいへん安全側に考えているサイトで評価すべきものだと私は思いますが、アスペリティの設定においてやっぱり最悪のケースは発電所の一番近いところとか、一番都合の悪いところに2つあるうちの大き目のアスペリティがある場合だというふうに考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

(四国電力(株) 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

不確かさをどこまで見るか、どこまで見ないかその辺の位置付けがむずかしいというのが正直なところです。我々は地質の調査に基づくもので、わかるものは不確かさとしては取り入れないということで、平面的な位置は不確かさに取り入れないけれどもアスペリティの浅い、深いは地質調査ではわかりませんので、それは考慮しましたというのが我々の考え方ですが、先生のご指摘もいただきましてまた不確かさの考慮の仕方の保安院さんからの文書もございますので、もう1回考えたいと思います。

(森委員)

ありがとうございました。以上です。

(濱本部会長)

よろしゅうございますか。その他ございますか。

中間報告についてはこれまで委員の各先生から非常に綿密なご検討、それからご質問をいただいて、今日もご議論いただいたわけです。先程国から中越沖地震を踏まえ耐震安全性評価に反映すべき事項についてご説明がありましたけれど、四国電力はこれらを踏まえて、それから今日あるいは前回この専門部会で審議しました事柄も踏まえて最終報告をとりまとめていただけることと思います。技術専門部会としては四国電力からの最終報告と国の審査結果を踏まえて、部会を開催いたしまして更に議論をしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

これで今日予定しました議題は終わりました。よろしゅうございますかね。最後にMOX燃料についてですが、伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について、四国電力から今年4月からフランスのメロックス工場でMOX燃料を製造開始されたということ、そして9月24日に製造が完了したため、燃料試験検査及び品質保証活動の結果、そういうものをとりまとめて輸入燃料体検査申請書補正を国に提出しておられます。この内容について四国電力のほうからご説明お願いいたします。

(四国電力(株) 坂井企画・サイクルグループリーダー)

資料4に基づきまして、伊方3号機プルサーマル進捗状況についてご説明させていただきます。着席してお話いたします。

資料4の上8行は現在までの経緯を述べておりまして、平成18年3月28日に原子炉設置変更許可を取得いたしまして、平成18年11月28日に三菱重工業との間でMOX燃料の加工契約を締結いたしました。その後準備を進めておりましたが、昨年9月10日にご紹介いただきましたように輸入燃料体検査申請を行いました。9行目からでございますが、メロックス工場で行う当社品質保証活動に関しまして、その後具体的な社内の実施要領の策定等の準備を進めるとともに、当社品質保証活動に従事する要員に対して必要な教育、訓練を実施し、十分な力量を要した要員を確保いたしました。必要な準備が整ったことから、本年4月23日より当社MOX燃料製造を開始いたしました。製造中は当社社員が時期によって異なりますが、3名~5名現地に駐在いたしまして、ペレット、燃料棒、燃料集合体の製造工程ごとの工程監査、立会検査、現場巡視を行いまして、MOX燃料の製造に関する品質保証活動を行ってまいりました。本年9月24日にMOX燃料21体の製造が終了したことを受けまして、当社は経済産業省に対しまして電気事業法に基づき実施した検査及び品質保証活動の内容を記載いたしました輸入燃料体検査申請の補正を行ったところでございます。

この内容について添付資料で説明させていただきます。1ページ左横の目次のところをご紹介させていただきますと、この輸入燃料体検査申請の補正は、全体としてMOX燃料の試験検査の結果が2ページから、MOX燃料製造に係る品質保証活動の結果について5ページに記載しております。

2ページにMOX燃料の試験検査の結果を示してございます。内容につきましては3ページからの表1にございますように、項目といたしましてはMOXペレット、被覆管、端栓、支持格子、上・下部ノズルなどいろんな項目がございますが、立会検査かあるいは記録確認、両方で検査を行いまして全て合格としております。

4ページには、その後の項目、制御棒案内シンブル、燃料棒、燃料集合体、これらの項目について検査をいたしまして、合格としてございます。

5ページのMOX燃料の製造に係る品質保証活動の結果でございます。これは読み上げさせていただきますと、MOX燃料の製造に係る品質保証活動は、日本電気協会のJEAC(JEAC4111原子力発電所における安全のための品質保証規程)に基づいた当社の品質マネジメントシステムで全体を包括し、当社が検査、製造状況等の確認を行いつつ、メロックス工場の品質保証体制の下で製造が行われました。当社は所定の力量を有した社員がメロックス工場に駐在することにより、以下の通り品質保証活動を実施し、MOX燃料の品質に万全を期しました。なお、これら当社品質保証活動が適切に実施されていることについては、第三者監査機関でありますフランスのビューロベリタス社の確認を受けてございます。

具体的な実施内容ですが、まず(1)の監査でございます。aにはシステム監査、これはこれまでにもご報告しておりますが、三菱重工、三菱原子燃料、それからメロックス工場に対する監査を実施いたしておりまして、品質保証体制が適切に構築されていることを確認しております。次に、b工程監査は我々がメロックス工場で実施したものでございますが、メロックス工場におけるMOX燃料の製造におきましてMOXペレット、燃料棒、燃料集合体の製造工程ごとに監査を実施いたしまして、以下の点について確認いたしました。

まず、システム監査等を通じて確認した品質マネジメントシステムが現場で適切に機能している。2つ目が製造関係書類に記載された内容が現場にてきちんと遵守されていること。それから(2)ですが、当社駐在員による製造状況の確認でございますが、製造期間を通じまして社員3名~5名が駐在いたしまして、MOXペレットの燃料棒、燃料集合体の製造工程ごとに検査を行いました。これは表1に先程お示ししたものでございます。

それから2つ目に、パトロールと称しておりましたが、巡視点検を実施いたしております。これらによりまして製品品質並びにメロックス工場の製造状況、及び品質保証活動が適切に行われていることを確認いたしております。

資料4本文の最後の3行ですが、今後予定されておりますMOX燃料の輸送、取扱等の各段階におきましても品質保証活動を着実に進めますとともに、引き続き地域の皆様との対話や各種広報媒体を活用した理解活動を継続してまいりたいと思っております。以上で説明を終わらせていただきます。

(濱本部会長)

ありがとうございました。ただ今のご説明についてご質問、ございましょうか。特にございませんか。

それではこの件につきましては特に今の時点でご質問もないようですので、今後とも国及び四国電力に対してはMOX燃料の検査、輸入等各段階において確認審査を厳密にやっていただくようお願いしたいと思っております。技術専門部会としても今後燃料体、輸入燃料体の審査が終了した段階で確認をこの部会でいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

今日予定しました議題、それから報告事項はこれで全て終了することになります。今日は午後1時から環境安全管理委員会が予定されており、午前中の時間がタイトになってしまっておりますけれども、何か今日全体をふり返って、これだけはもう1つ念を押しておきたいとか、質問をしたいということがありましたら、お願いします。

(森委員)

1つだけ、お願いがあるのですけれども、新潟県の中越沖地震でも地震動の増幅ということが今日もご説明がありましたように、ちょうど四国電力さんでも敷地内で深さ方向に地震観測をなさっていらっしゃいまして、中間報告書にも書いてありますが、例えば、この機器で問題になるような0.2秒、0.3秒というようなところがやっぱり深さ方向に大きく増幅しているような図面が出されているのですけれども、その辺を、次の機会に、明示的にご説明いただいて、その中越沖で問題になったようなことをも報告書で考えられていて、そのことを考えても問題ないということを明らかにしていただくと、なお一層理解がしやすいと思いますので、その点、よろしくお願いします。

(濱本部会長)

他にございませんか。

それでは、今日の技術専門部会はこれで終了させていただきます。どうも長時間にわたってありがとうございました。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第

日時 平成20年10月22日(水曜日) 9時30分~
場所 愛媛県医師会館 2階 研修室

1 開会

2 議題
(1) 部会長の選任
(2) 平成19年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(3) 平成19年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(4) 伊方発電所の耐震安全性評価に係る補足説明等について

3 報告事項
(1) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(2) その他

4 閉会

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 資料目次

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