平成20年度(2008年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2009年3月25日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要

1 日時

平成21年3月25日(水曜日)13時30分~17時20分

2 場所

愛媛県水産会館 6階 大会議室

3 出席者

委員9名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1) 平成21年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について
(2) 平成21年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について
(3) 伊方発電所の耐震安全性評価について

5 報告事項

(1) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(2) 伊方3号機原子炉容器上部ふたの取替について
(3) その他

6 審議等の内容(全部公開)

(事務局)

それでは、定刻となりましたのでただいまから伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会を開催いたします。

はじめに、傍聴者の方に傍聴に際しての遵守事項を申し上げます。傍聴席にも掲示しておりますとおり会議の開催中は静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影や録音等しないこと。その他会議の秩序を乱すような行為をしないことなどとなっておりますのでご協力をよろしくお願いします。また、携帯電話等をお持ちの方はマナーモード等に設定いただきますようお願いいたします。

本日は、武岡委員、藤川委員、吉田委員は所用のため欠席されております。

(岡本環境局長)

委員の皆様におかれましては、本日は年度末の大変お忙しい中をご出席いただきましてまことにありがとうございます。また、日頃から県の原子力安全行政に対しまして格別のご協力をいただいており、心からお礼を申し上げます。

本日の議題はお手元の次第のほうに書いてありますように、毎年度行っております伊方原子力発電所周辺の環境放射線等調査。それと、伊方原子力発電所の温排水の影響調査。この2つの調査についての平成21年度の調査計画についてでございます。それから、伊方発電所の耐震安全性評価の3つの議題となっております。伊方発電所の耐震安全性の評価につきましては、これまでにこの専門部会でさまざまな角度からご審議をいただいてご意見をいただいているところでございますが、2月2日に、四国電力からこれまでの技術専門部会のご意見や国の委員会の意見を踏まえた本報告書が提出されました。ところが、その後本報告書にこの技術専門部会で委員の先生方から出されましたご意見の一部が反映されてなかったということがございまして、四国電力に追加評価の要請をしたところでございます。

本日は、その追加評価に対する四国電力の解析結果についても合わせてご審議をいただきたいと考えております。

また、伊方3号機のプルサーマル計画でございますが、フランスの核燃料製造工場で製造されましたMOX燃料が3月5日、輸送船でフランスを出発しております。5月の後半には伊方に到着する予定と聞いてございます。本日は、四国電力からこの輸送の安全性についてもご報告をいただくこととしております。いずれも、伊方発電所の安全性に係る重要な案件でございますので、委員の皆様方には引き続きまして技術的、専門的な観点からご審議をいただきますようお願いを申し上げまして、開催にあたってのごあいさつとさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

(事務局)

それでは、濱本部会長に議事進行をお願いいたします。

(濱本部会長)

それでは、議事に入らせていただきます。

まず、議題の(1)平成21年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について、それから(2)平成21年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について、ご審議いただきたいと思います。

まず事務局からご説明をお願いします。

(門野原子力安全対策推進監)

それでは、資料1伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画(案)をご覧いただきながら来年度、21年度の計画についてご説明申し上げます。

本調査につきましては、伊方発電所の環境保全を図り、公衆の安全と健康を守るために伊方1号機が運転開始する前、昭和50年度からこの調査を実施してございます。また、この調査でございますけれども、国の環境放射線モニタリング指針、これに基づいて実施をしておりますけれども、ちょうど昨年の3月27日に環境放射線モニタリング指針が改訂されてございまして、これについての改訂された内容を今回は反映をさせていただきました。主な改訂点でございますが、2点ございまして、1つは平常時の指針であった環境放射線モニタリングに関する指針と、緊急時にありました緊急時モニタリング指針。この2つの指針が1つに統合されたということになってございます。このために、この2つの指針での語句の整合というものがありまして、表現が一部変更されたということがございます。それから、第2点目はいわゆる分析とか測定方法について、指針での記載を最小限にとどめて、あとは文部科学省のマニュアルを参照するというようなことで新しい測定技術をとりやすくしたというような改訂がなされてございます。ただし、内容につきましては変更点はございません。ですので、今回の調査の計画につきましても内容は変更ないんですけれども、若干字句の修正がございます。

資料の1番目の目的のところでございますけれども、調査の目的ですが、具体的には読ませていただきますと、「周辺住民等の線量の推定及び評価」、それから2番目が「環境における放射性物質の蓄積状況の把握」、そして「原子力施設からの予期しない放射性物質又は放射線の放出の早期検出及び周辺環境への影響評価」と、最後に「異常事態又は緊急事態が発生した場合における環境放射線モニタリングの実施体制の整備」ということで、目的のところが大幅に字句を修正しておりますけれども、ご覧のとおり中身につきましては特に変更はございません。

それから、調査機関は愛媛県と四国電力でございまして、調査の期間は来年度21年4月から22年3月まで1年間でございます。調査の計画につきましては、次のページ以降に書いておりますけれども、概要でも同じように書かせていただいております。

まず、放射線の空間放射線の線量率でございますけれども、今までどおり伊方町内に県が設置しておりますモニタリングステーションやモニタリングポスト、あわせて8局ございますが、この8局で引き続き連続測定を行いたいと思っております。定点観測につきましても可搬型のスペクトロメータなどを用いまして定期的に測定をするということでございます。また、サーベイメータなどによる緊急時モニタリング候補地点、これ68点ありますけれども、この地点についても引き続き前年度と同じように年2回の頻度で調査を実施したいと思っております。また、走行測定と呼びまして、いわゆる伊方町内の主要な道路3ルートがございます。この3ルートについても同じように調査をしていくということを考えてございます。

それから、次に積算線量につきましても本体の2ページでも結構です。概要にも書いてございますけれども、引き続き30の地点で年4回、四半期ごとに調査をするということを考えてございます。

3ページ目の環境試料でございます。これについても陸上の試料、海洋試料とございますけれども、陸上試料については大気浮遊じんや河川水、土壌、あるいは地元のみかんなども試料として採取して調査をいたします。海洋試料については海水、海底土、魚類などについても継続して調査をするということで、昨年度と同じように同様の調査をさせていただきます。

本体の4ページに今度は四国電力の調査の計画が書いてございます。表の2に書いてございますが、同じように四国電力も伊方町の発電所の周辺に設置しておりますモニタリングステーションとモニタリングポスト、合わせて5局ありますけれども、ここで調査をしてございます。また、サーベイメータあるいは伊方町内の25地点の積算線量の測定。そして表の2の下をご覧いただきますと、環境試料の4ページ目の下の表は環境試料でございまして、陸上試料と海洋試料と分かれておりますが、昨年度と同じ項目を四国電力も調査をされるということでございます。

具体的な調査の地点でございます。11ページから16ページに具体的な調査の地点を書かせていただいております。11ページは発電所近辺の調査地点でございます。発電所の周りの放射線等の調査を行うということでございます。同じく環境試料のほうも12ページに調査の地点が書いてございまして、海水や海底土あるいは地元のみかん等を発電所の近辺で採取する計画でございます。13ページは、少し広く伊方町の周辺での空間放射線の測定位置が書いてございますし、14ページには同じく伊方町周辺の環境試料についての地点でございまして、昨年度と同じように来年度も同じような地点でとらせていただきます。15ページは放射線の広域で、伊方町からもう少し広域な八幡浜あるいは大洲、西予まで調査をするところでございます。最後に16ページは走行測定でございまして、伊方町内の主要な道路3ルート、(1)が瀬戸内海側、(2)が国道197号線、そして、(3)が宇和海側の道路ということで、今年もこの3ルートの調査を実施したいと考えてございます。以上が調査の地点でございます。

あと、概要のページの5番目に移らせていただきますが、調査結果の評価の方法でございます。これにつきましても、放射線、放射能濃度ともにモニタリング指針に準じて評価をいたします。また、四半期ごとに調査をして技術専門部会の先生方にお願いをしてご検討いただいた上で、その都度四半期ごとに公表します。そして、年度をとおしての評価を年報としてとりまとめ、管理委員会にご報告し、公表いたします。

次にⅡの放射性物質の放出管理状況に基づく線量評価計画でございます。評価機関は県と四国電力でございますが、これにつきましてもこの数値も安全協定に定める努力目標値が7マイクロシーベルト/年でございます。ご承知のように法令では年間1ミリシーベルトで、さらに指針では年間50マイクロシーベルトというような数値がございますけれども、愛媛県は四国電力にそれよりも低い7マイクロシーベルトでの管理をお願いしているということでございまして、来年度もこの数値での放出管理状況を確認をしてまいりたいと考えてございます。

最後にⅢですけれども、このモニタリングカーによる自然放射線量率分布調査につきましては、19年度20年度の2年間をかけて調査を実施いたしまして、無事終了いたしましたので計画書から削除します。今、調査結果はとりまとめてございますので、20年度の年報の報告とあわせてまたご報告をさせていただきたいと思います。

以上、簡単でございますが放射線等の調査計画の説明について終わらせていただきます。

(阪本水産課長)

21年度の温排水影響調査計画についてご説明させていただきます。

調査は、発電所から排出されます温排水や周辺海域の環境に与える影響の有無を判断することを目的に、愛媛県と四国電力がそれぞれ実施しているものです。概要の表は調査計画全体をとりまとめたものでございます。資料の3枚目以降が計画書(案)の本体となってございます。1ページをお開き下さい。

まず、県が実施する調査についてでございます。目的は先ほど申し上げたとおりで、調査期間は平成21年4月から翌年3月までの1年間で、愛媛大学に調査を委託する予定です。

2ページの表1をご覧下さい。1の水質調査、2の水温調査、4のプランクトン調査、5の付着動植物調査を年4回。3の流動調査と7の拡散調査は年2回実施する計画になっております。6の漁業実態調査は温排水が事業に及ぼします影響を見るために八幡浜漁協の3支所におきまして通年にわたって実施する計画にしております。7項目の調査を実施することにしておりますが、各調査の定点につきましては3ページ、4ページの図に示しておりますのでお目通し願います。

なお、県の調査分の21年度計画は前年度とまったく同じ調査内容、調査方法となっております。

それでは、次5ページをお開き願います。四国電力分の調査計画を示しております。調査期間は同様に平成21年4月から翌年3月までの1年間でございます。6ページから9ページの表2に計画内容を示しております。6ページの1の水温水平分布調査から4の流動調査まで、7ページの5の水質調査、8ページの6の底質調査から11の海藻調査までと9ページの13の魚類調査の12項目につきましては、年4回実施する計画になっております。12の藻場分布調査については年2回実施する計画としております。これらの項目につきましては、前年度と同様の調査内容、調査方法となっております。なお、10ページ以降に調査します測点や定点を示しております。9ページの14にあります取り込み影響調査につきましては前年度と変更した点がありますので、表から2枚目の横長の四角表のほうで説明させていただきますので、2枚目にお戻り下さい。上段の動・植物プランクトン調査については、21年度調査につきましても変更はなく前年度と同じ内容となっております。下段の卵・稚仔につきましては、変更前の調査方法が年4回(各季)測点13箇所となっておりまして、変更後つまり21年度の欄につきましては年4回(各季)測点11箇所と年3回(夏、秋、冬季)測点2箇所となっております。これは下の図でちょっと見づらいですので資料の一番裏の24ページをお願いいたします。図の右上に拡大図がありますが、取水口の内側のところに黒丸で示しました測点17と18の2つの点がございます。これにつきましては、1号機2号機の定期点検にともなう運転停止で春季の4月から6月までの間は海水のとりこみがないので、春季の調査は実施することが出来ないので運転中であります夏、秋、冬の3回調査をすると変更いたしております。なお、今申しました測点17と18を除いた残りの11箇所の測点につきましては、前年度と同様に年4回実施する計画といたしております。以上が平成21年度の温排水調査計画でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。それでは、この議題の(1)(2)につきましてご審議をお願いします。

これまでの測定を継続するっていうものですが、特にご意見ございませんか。それでは、環境放射線等調査計画については専門の辻本委員からご意見をいただきます。

(辻本委員)

ただいまの説明について、国の指針全般として平常時と緊急時とのモニタリングを一つにされたことについて関連事項の変更があったということですが、特に問題はございません。それから調査項目の頻度、知見等につきましても、前年度を踏襲しておられます。継続が非常に大事でございます。定期的には変更点を見直しまして内容を見る必要があるかと思いますが、全体を見まして、今、特に見直さないといけないというようなところもございませんので、原案は適当と思っております。

(濱本部会長)

ありがとうございました。ただいまのご説明よろしゅうございますでしょうか。

それでは、温排水影響調査につきましては今日ご欠席ですがご専門の武岡先生からご意見をいただいております。事務局のほうからご紹介下さい。

(阪本水産課長)

武岡委員からは、「21年度温排水影響調査計画は前年度計画を踏襲した計画となっており、適切なものと考えている」という意見をいただいておりますので、ご報告させていただきます。

(濱本部会長)

ありがとうございました。ただいまのご意見について特にご意見、先生方ございませんでしょうか。

それでは、この(1)(2)の議題につきましては特に問題ないということで、来週月曜日の安全管理委員会に、平成21年度伊方原子力発電所周辺環境放射性等調査計画及び温排水影響調査計画については、前年度の調査を基本的に継続するものであり、適切なものであると認められる、との旨ご報告したいと思います。ご了承いただけますか。

ありがとうございました。

(濱本部会長)

それでは、引き続きまして議題の(3)の伊方発電所の耐震安全性評価につきましてご審議をお願いしたいと思います。この評価につきましては、四国電力から昨年3月に国に中間報告がなされまして、その時にその技術専門部会ではご審議いただいております。それで、耐震安全性評価のこれまでの経緯につきまして、まず事務局のほうからご説明いただき、引き続いて四国電力から評価結果等についてご報告いただいて、審議を進めたいと思います。それでは事務局からお願いいたします。

(門野原子力安全対策推進監)

資料3-1-1と3-1-2を使って、伊方発電所の耐震安全性の評価の経緯をご説明させていただきます。

ご承知のとおり、平成18年9月に原子力安全委員会が耐震設計審査指針を改訂されました。これに伴い、県は翌9月20日に新耐震指針に基づいて適切かつ早急な評価及び評価結果に基づいた適切な措置を実施をしていただくこと。そして、結果については速やかに報告するとともに、県民に対して十分な説明を行うよう四国電力に要請したところでございます。

原子力安全・保安院も9月21日、既設の発電用原子力施設について新指針に基づく耐震安全性の再評価、これをいわゆる耐震のバックチェックと呼んでおりますけれども、これを実施するよう各電力会社に求めました。

その後、平成19年7月に新潟県中越沖地震が起こり、その結果なども原子力安全・保安院として12月27日に地震から得られる知見を中間的にとりまとめて、耐震安全性評価に反映するような指示などが出されたわけです。そして、昨年の3月28日に四国電力が耐震安全性の評価の中間報告を原子力安全・保安院、及び愛媛県に提出しております。それを受けまして、この技術専門部会の場で昨年の5月と10月に御審議いただいたところでございます。その後、国での審議などもずっと実施されているわけでございますけれども、今年2月2日に3号機の耐震安全性評価の本報告が、原子力安全・保安院及び愛媛県に提出されました。その際、2月末に予定しておりました1、2号機の報告を延期すると。そして3月末には主要設備の評価結果をとりまとめて、中間報告を提出するというような報告が、なされたところでございます。

愛媛県といたしましては、今までの技術専門部会での審議の内容などが、今回の2月2日の四国電力の報告に反映されているかどうかということを精査いたしましたところ、2月4日でございますけれども、一部技術専門部会の意見が反映されていない点がみられたものですから、その点について四国電力に追加評価を要請をいたしました。これが資料3-1-2でございまして、四国電力に要請をしたところでございます。

具体的には裏面に図がありますけれども、伊方発電所の前面のところにアスペリティが置いてある点が評価されていないということが判明いたしましたので、これまでの技術専門部会の審議において、不確定性の考慮として安全側に発電所に最も近い位置に、大きいほうのアスペリティがあるとしたケースの評価をしていただきたいという意見が反映されていなかったということで、追加の評価の要請をいたしたところでございます。

資料2-1-1に戻りますけれども、2月20日には原子力安全・保安院から弾性設計用地震動Sdについても検討するよう追加の指示がなされました。それらを踏まえまして3月16日に四国電力から県に追加要請した評価結果が私どもに提出されました。そして、原子力安全・保安院等に対して1、2号機の主要設備の耐震安全性確認結果の中間報告及び先ほどのSdの検討結果を3月16日に提出されました。

こういうことで、今回この追加評価の報告、Sdを含めた報告について、四国電力からご説明をいただきたいと思っている次第でございます。経緯につきましては以上でございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。それでは四国電力から、それらの結果についてご説明をお願いします。

(四国電力 石﨑原子力本部長)

皆様方には、日頃から伊方発電所の運営につきましてご理解、ご指導いただきましてこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

現在の伊方発電所の状況ですけども、1、2号機につきましては定期検査で同時に停止しております。その間を利用して中央制御盤などの取替工事を実施しております。3号機につきましては、安定に運転しております。今後とも信頼される伊方発電所を目指しまして、安全・安定運転の継続、それから情報公開の徹底に万全を期してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

お手元の資料と共に前方のスクリーンにも資料を表示しておりますので、合わせてご説明させていただきます。

まず、資料3-2-1、伊方3号機の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価結果の報告書の概要についてご説明させていただきます。

1ページは経緯について書いております。経緯については先ほどもご紹介がありましたので飛ばさせていただきますが、本年2月2日に3号機の本報告書を取りまとめまして原子力安全・保安院に提出しております。

2ページ。3号機の本報告書のポイントでございますけれども、3つございます。まず1つ目は、新潟県中越沖地震で得られた知見も含め、新耐震指針に照らして評価した結果、新たに考慮する大規模な断層はなかったということ。それから2番目に、新潟県中越沖地震で得られた知見を含め、新耐震指針に照らして不確かさを考慮して安全側に地震動評価を行った結果、2つの基準地震動としてSs-1とSs-2を策定しました。最大加速度はSs-1で570ガルとなっております。それから3番目でございますけれども、基準地震動Ss-1、Ss-2に対して、伊方発電所3号機の原子炉建屋基礎地盤や安全上重要な全ての設備の耐震安全性に問題ないことを確認しました。また、安全上重要な施設の周辺斜面は崩壊しないこと及び津波が発電所施設に影響を及ぼさないことについても確認いたしております。

3ページ。これは耐震安全性評価の流れについて書いております。これは割愛させていただきます。

4ページは地質調査の実施結果でございますが、基本的には中間報告書と同じ内容でございまして、各種地質調査データの再整理及び拡充を行いまして、ここにもありますように陸域調査、海域調査、海陸にまたがる調査、それから敷地遠方の調査等を行った結果をまとめてございます。

5ページは活断層評価の考え方のポイントでございますけれども、「新潟県中越沖地震の知見を踏まえた耐震安全性評価に反映すべき事項」というのが国から出ておりますが、それを考慮の上、安全側に評価を行いましたが新たに考慮すべき大規模な断層はございませんでした。小規模なものではございますが、下の(1)、(2)にございますように、宇和海に分布するF-21断層、それから八幡浜市の五反田断層につきましては、中間報告書と同様に敷地の耐震安全性に影響があるような断層ではないということを確認しております。それから一番下に書いてございますように、伊方発電所の位置する四国北西部は中越沖のようないわゆる「ひずみ集中帯」に位置しておらず、さらに中越沖で検討されているような「断層関連褶曲」が存在しないことを確認しております。

6ページには先ほどの断層について図面で示してございますが、赤の破線で書いてありますように、敷地に影響を与える断層としては敷地前面の断層群ということが分かりました。

7ページは基準地震動Ssの策定についてでございます。敷地に特に大きな影響を及ぼす「検討用地震」を選定しておりますが、選定のやり方といたしましては、まず敷地前面海域の断層群による地震、想定南海地震、それから想定敷地下方のプレート内地震を選定いたしております。選定した地震の地震動評価を行った結果、伊方発電所に最も影響を与える地震は、これまでと同様、敷地前面海域の断層群による地震ということが分かりました。また、敷地前面海域の断層群を含む中央構造線断層帯については、地震調査研究推進本部の評価、活動区間については130km及び360km、規模についてはマグニチュード8もしくはそれ以上を考慮した検討を行い、断層長さが長くなっても敷地への影響が変わらないことを確認しております。

8ページでございますが、これは評価した地震の応答スペクトルを書いたもので、横軸が周期、縦軸が加速度となっておりますが、ピンクの山型のものが一番大きくなっておりまして、これが敷地前面海域の断層群による地震ということになりました。

9ページ。基本震源モデルにおける地震動評価ということでございますが、ここではまず基本のケースについて評価しております。左の四角の中にも書いてありますように、新耐震指針では応答スペクトルに基づく地震動評価と、断層モデルを用いた手法による地震動評価の双方を実施するように規定されておりまして、両者の手法で地震動評価を行っております。応答スペクトルに基づく地震動評価に採用した方法は、近年原子力発電所の耐震設計で用いられている方法で、震源の面的な広がりを考慮でき、適用限界はあるものの従来の大崎スペクトルに比べ、断層近傍での適用が可能な手法とされています。下に基本ケースと書いておりますが、基本ケースといたしましては、敷地前面の長さ42km、幅13kmの断層を考えておりまして、マグニチュードは7.1、それから断層傾斜角90度のものについて書いてあります。右にスペクトル。やはり横軸が周期、縦軸が加速度で書いてございますけれども、下のほうにあります青とか緑の線が断層モデルで求めたスペクトル図、それからピンク色が応答スペクトル法によって求めたスペクトル図でございます。あと、参考のために黒の太い線で旧指針に基づく基準地震動S2を描いてございます。

10ページ。ここは不確かさを考慮した地震動評価でございます。不確かさとしては断層傾斜角について取り入れてございます。敷地前面海域の断層群は横ずれ断層でございまして、基本的には鉛直な断層面でございますが、地質境界としての中央構造線が北に傾斜していることを考慮しまして、断層面を傾斜させて地震規模を大きくするなど、評価条件に不確かさを考慮して地震動評価を行った結果、一部の周波数帯で旧指針に基づく基準地震動S2を上回っております。それから下の方が新たに追加したものでございますけれども、新潟県中越沖地震の知見を踏まえた検討でございます。検討としては2つございまして、まず1つ目でございますが震源特性に関する検討。不確かさとして、震源特性を基本ケースに対して1.5倍としたケースの検討を実施しております。その結果、本ケースに基づく敷地前面海域の断層群によってもたらされる地震動は、他の不確かさを考慮した地震動と同程度ということが分かりました。あと、地下構造特性に関する検討でございますが、過去の地震観測記録を分析する等して、地震の到来方向や地盤構造によって特異な増幅が見られるか否かの検討を実施しました。その結果、伊方発電所の敷地地盤は、観測記録の分析でも特異な増幅特性及び速度構造を有するものではないと評価されることから、新潟県中越沖地震の地震動増幅の要因とされている不整形地盤には該当しないと考えております。

11ページ。不確かさを考慮した地震動評価について左の方に図面で示しておりますが、まずは断層傾斜角を見たものは上のほうの図面で、断層傾斜角30度を見ております。長さ42kmは変わりませんで、マグニチュード7.6というもので評価しております。それから、下のほうに震源特性を1.5倍したもの、これは中越沖の反映でございますけれども、長さ42km、傾斜角90度のものについて震源特性を1.5倍したものを書いてございます。その結果が右のほうにスペクトル図として描いてございますけれども、下のほうのオレンジ色とか紫色で描いてございますスペクトル図が、震源特性を1.5倍したものでございます。それから、青とか緑の線が30度傾斜のケース、ピンクの線が応答スペクトルに基づいたものでございますが、震源特性を1.5倍したものについても、断層傾斜角を30度したものと同程度のスペクトルが得られるということが分かっております。

12ページ。以上をまとめまして、基準地震動Ssを策定しております。基準地震動Ssとしては、Ss-1とSs-2と設定しております。基準地震動Ss-1でございますが、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動で、応答スペクトルに基づく地震動及び断層モデルを用いた手法で作っております。それから、最新の知見に基づき策定した「震源を特定せず策定する地震動」。それから、旧耐震指針に基づく基準地震動S2、これは最大加速度473ガルでございますが、これらを包絡した地震動を基準地震動Ss-1、最大加速度570ガルになりますが、設定しております。それから、基準地震動Ss-2でございますが、これは先ほどの基準地震動Ss-1に加えまして、想定敷地前面海域の断層群による地震が施設に与える影響の観点から、地震動の周波数特性、位相特性等を考慮して、断層モデルを用いた手法により、基準地震動Ss-2、これは最大加速度318ガルでございますが、設定しております。こちらに赤で書いてございますように、「新潟県中越沖地震を踏まえた耐震安全性評価に反映すべき事項」を考慮しても、中間報告において策定した基準地震動Ss-1及びSs-2からの変更はございません。

参考でございますが、敷地における地震動の超過確率に照らしたところ、基準地震動Ssを超えるような地震動が発生する確率は10??/年程度と非常に小さなものとなってございます。

次のページに地震動のスペクトル図を載せております。左側は、横軸に周期、縦軸に加速度を描いたスペクトル図でございますけれども、下の方にございます青とか緑の線が断層モデルによるもの、それから、ピンクの線が応答スペクトルによって基づくもの、基準地震動のSs-1としては、旧耐震指針のS2も包絡するようにということで、赤の太い線でございますが570ガルのスペクトルを設定しております。

14ページ。以上のようにして求めたSs-1、Ss-2は、右にありますようにSs-1が黒い線、Ss-2が青い線でございますが、このスペクトルで地震動を策定しております。まず、Ss-1の基準地震動の波形でございますが、左の一番上にもございますように、このような波形になっておりまして最大加速度が570ガルとなっております。それから基準地震動のSs-2でございますが、NS(南北)、EW(東西)の方向性がありますので2本ございますけれども、各々Ss-2のNS,Ss-2のEWということで2つの地震の波が出来てございます。

15ページ。このようにして策定した基準地震動を用いまして、施設等の耐震安全性評価を行っております。今回、報告書に載せている評価といたしましては全部で5つございまして、1番目が安全上重要な建物・構築物の耐震安全性評価、それから2番目が機器・配管系の耐震安全性評価、3番目が原子炉建屋基礎地盤、周辺斜面の安定性評価、4番目が屋外重要土木構造物の耐震安全性評価、5番目が津波に対する安全性評価を実施しております。

16ページに、以上申し上げました5つのものについて、グラフ化してございます。一番上から(1)と書いてありますのが原子炉建屋、原子炉補助建屋の結果。横軸は発生値割る評価基準値ということで、これが1を割っておれば評価基準値を下回るということが言えます。それから、色分けしているグラフがございますが、オレンジ色で塗っておりますのが全体の内の地震による寄与率です。(1)番が原子炉建屋・原子炉補助建屋、それから(2)番は機器・配管系についてでございます。それから(3)番は基礎地盤、周辺斜面の安定性、(4)番が海水ピットポンプ室・海水管ダクト、(5)番が津波に対する安全性についてでございます。下のほうのグラフは色分けしてございませんが、これは地震とそれ以外に分離することが難しいことから、これらについては分離してございません。

以上について、より詳細に17ページ以降でご説明させていただきます。安全上重要な建物・構築物の耐震安全性でございます。3号機の安全上重要な設備、これは耐震重要度分類のSクラスを内包する原子炉建屋、それから原子炉補助建屋について評価を実施しております。評価に当たりましては、建屋の剛性及び振動特性等を適切に考慮した地震応答解析モデルを策定しまして、基準地震動Ssによる地震応答解析を実施し、耐震壁のせん断ひずみを評価しております。評価の結果、各建屋における耐震壁の最大応答せん断ひずみは評価基準値以下であり、耐震安全性が確保されていることを確認しております。

18ページにその結果について書いております。建屋のモデル化として、上のほうにモデルを描いてございますが、左が原子炉建屋のモデル、右が原子炉補助建屋についてのモデルでございます。下に結果について書いてございますが、まず上の行ですが原子炉建屋については、評価部位が耐震壁で、最大応答せん断ひずみが出た箇所が上の図面にもございますように外周コンクリート壁の部材10というところで最大応答せん断ひずみが出ておりまして、この値が0.63×10m3という値になっております。評価基準値は2.0×10m3でございますので、結果良ということになっております。それから、原子炉補助建屋でございますが、これについても評価部位は耐震壁でございまして、最大応答せん断ひずみは上の図にもございますように部材4というところで発生しており、その値が0.84×10m3。同じく評価基準値は2.0×10m3でございますので、結果良になっております。

19ページ。(2)番でございますけれども、安全上重要な機器・配管系の耐震安全性評価でございます。3号機の安全上重要な機能を有する全ての設備、これもやはりSクラスでございますが、について耐震安全性評価を実施しております。評価に当たりましては、内圧、自重等の通常荷重に加えまして、基準地震動Ssによる地震時荷重増分等を考慮し、工事計画認可申請時の設計手法等に基づき評価した結果、全ての設備の構造強度、これは発生応力とか荷重でございますが、及び動的機能維持、これは設備の地震時応答加速度、それから制御棒にあっては挿入時間については、評価基準値以下であり、耐震安全性が確保されていることを確認しております。

20ページにその結果をまとめております。評価設備は非常に多くございますので、この表では3号機の重要度分類Sクラスの設備のうち、原子炉を「止める」、「冷やす」、それから放射性物質を「閉じ込める」といった安全上重要な機能を有する主要な設備の評価結果を例としてあげてございます。全部で8機種について載せておりますが、一番上が炉内構造物ですが、評価部位としてはラジアルサポートキーというところで、一番大きな割合が発生しており、発生値が258に対して評価基準値が372ということで結果良。それから制御棒につきましては、力とか応力で評価するのではなくて、挿入時間ということで評価しておりますが、評価基準値としては2.5秒で制御棒が入るという基準値でございますが、評価結果によりますと2.23秒ということでございますので結果良ということになりました。あと以下、蒸気発生器、一次冷却材管、余熱除去ポンプ、余熱除去設備配管、原子炉容器、原子炉格納容器、各々について評価した結果を載せておりますが、いずれも発生値は評価基準値を下回っておりまして、結果良でございます。

21ページ。(3)として原子炉建屋基礎地盤、それから周辺斜面の安定性評価を行っております。これにつきましては、評価に当たりまして基準地震動Ssによる地震応答解析等を実施しまして、想定すべり面のすべり安全率を評価基準値と比較することによって、安定性を評価しております。下のほうに結果について書いてございますが、原子炉建屋基礎地盤につきましてはすべり安全率が2.0という結果になっております。評価基準値は1.5ということですので、1.5を上回っておるということで良。それから周辺斜面につきましてもすべり安全率が2.1という結果になっておりますが、評価基準値は1.2でございますので、これについても良ということになっております。

次は22ページでございます。(4)番目でございますが、屋外重要土木構造物の耐震安全性評価でございます。屋外重要土木構造物として、Sクラスの機器がございまして、これは具体的に言いますと、原子炉補機冷却海水系の海水ピットポンプ室の海水ポンプの基礎、それから海水管ダクトがございまして、これについて耐震安全性評価を実施しております。評価に当たりましては基準地震動Ssによる地震応答解析等を実施しまして、各発生値と評価基準値とを比較することにより、耐震安全性を評価しております。下のほうに結果を載せてございますが、海水ピットポンプ室について、曲げに対する照査、それからせん断に対する照査は発生値が評価基準値を下回っておること、それから海水管ダクトにつきましても、曲げ・せん断について発生値が評価基準値を下回っておりますので、いずれも結果は良となっております。

23ページ。(5)番目といたしまして津波に対する安全性評価を行っております。伊方発電所周辺の海域において想定される地震に伴う津波の数値シミュレーションを実施しております。その結果、上昇側、これ押し波でございますけれども、最高水位は敷地高さ以下でございまして、原子炉施設の安全性は問題ないことを確認しております。それから下降側、引き波でございますが、最低水位は、3号機の海水ポンプ設計最低水位以上であり、炉心冷却関連機能を有する原子炉補機冷却海水設備は取水可能であることから、地震時の原子炉安全性に問題ないことを確認しております。下のほうに具体的な数字を書いてございますけれども、上昇側の最高水位、押し波の場合でございますが、水位といたしましては+2.30m。T.P.というのは標高でございますが、標高に比べまして+2.30mという結果でございます。評価基準値といたしましては、敷地高さが10.0mでございますので、これよりも低いということで結果良。それから下降側、引き波でございますがこの時には-2.36mという結果になっておりますが、海水ポンプの設計最低水位は-3.57mでございますのでこれより高い水位ということで、これについても結果良ということになっております。

以上が3号機の本報告書の内容についての概要でございます。

引き続きまして、資料3-2-2。それから3-2-3の方にまいりますが、まず、3-2-2が愛媛県からの要請回答及び技術専門部会でのコメント回答についてでございます。これについては土木建築部の松﨑から説明させていただきます。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

資料3-2-2でご説明させていだきます。

まずこちら内容は2つございまして、アスペリティ正面モデルと要素地震に関する検討の2件ございます。1は、本報告書を2月2日に提出し、それを受けまして愛媛県さんのほうから要請がございました追加解析ケースに対するご報告です。

2ページ。愛媛県からの要請では、まず大きいほうのアスペリティを発電所の前面としたケースを検討しなさいということで、もともと我々の検討ケースでは、このように発電所の目の前に大きいほうのアスペリティと小さなアスペリティを東西に分けて、2個置いてました。これを目の前に置くべきではないかということで、大きいほうのアスペリティを目の前に持ってきて、さらにアスペリティの深さ方向に関しましては、もともと基本モデルではアスペリティの深さ方向等は地質調査では分かりづらいだろうということで、平均的な位置というところで真ん中の深さに置いていたのですけども、こういうのは今の全国の審査状況を考えますと調査で分かりづらいので、そのへんも考えて最も浅いところに置こうということで、上端に置いたケースを今回追加検討いたしました。

これも細かなパラメータはご説明いたしませんけども、基本的には従来の断層モデル解析と同じでございます。違ったのは、アスペリティの位置が違っただけです。上に書いておりますけども、芸予地震の余震記録を使って経験的グリーン関数法で断層モデル解析をやってございます。早速もうこれは検討結果になりますけども、3つありますが、NS方向・EW方向・アップダウン(UD)方向と3つ示してます。簡便にNSだけで説明しますけども、色が3種類ございますのは破壊開始点を3ケースやっております。破壊開始点によって、地震動の大きさに結構影響あるかなというふうに言われていますので、断層の西から壊れるケース、東から壊れるケース、真ん中から壊れるケース、その3ケースそれが3本ございますが、このように、あまり短周期側での大きさは変わらないという結果になっております。これはやっぱり目の前にドーンと大きいアスペリティがあるので、どちらから破壊が始まってもあまり関係なかったかなということです。

これはもともとの基本モデルから、アスペリティを目の前に持ってきたことによって、どれだけ地震動の大きさが変わったかをしめしています。これもオレンジがもともとの目の前になかった基本ケースですが、3本ありますのはやはり断層の破壊開始点が3ケース示しておりますので、それぞれ3ケースございます。このように目の前に断層モデル、アスペリティを置いたケースのほうが全体的に大きな傾向を示した結果になっています。

それを基準地震動Ssと比較したのがこちらの6ページの図です。今回やりました追加検討ケースがこの青の3本線です。破壊開始点の色は変えてございません。3本の線がそれぞれの破壊開始点3ケースです。まず、黒の線が基準地震動Ss-1ですが、それと比べますと全て青のケースというのは下回っています。さらに、基準地震動Ss-2のケースっていうのが赤の線ですが、それと比べてみても大体同程度かなという感じになってございますので、基準地震動の選定としてはSs-1、Ss-2ともそれぞれ問題ないかなというふうに判断してございます。

以上が愛媛県の要請にお答えする解析結果でございます。

こちらのほうは前回の技術専門部会の場で委員の先生から経験的グリーン関数法の要素地震、観測記録を使うわけですけども、その観測記録が91年の地震を使ったほうがいいんじゃないかというご指摘をいただきましたので、それに対する解析を行いましてその結果をここにご報告させていただきます。

こちらの図に示します伊方発電所で観測された大きな主要な地震がここに10個ぐらい示しています。このうちで、それの敷地でとられた応答スペクトルをこちらの図に示していますけども、経験的グリーン関数法、断層モデル解析に用いた観測記録というのはこのピンクの線です。この赤いのが芸予地震本震ですけど、その中に小さなピンク色の丸があるかと思うんですが、これが芸予地震の余震でございまして、この記録を使ってます。それに対して、短周期側で大きい黄色の地震がある。赤の地震が芸予地震の本震なんですけども、この地震はマグニチュードが6.7と大きすぎるので、波形合成法には経験的グリーン関数法には適さないので、要素地震には使ってません。それよりも大きな地震、この黄色の地震がある。この黄色の地震というのはちょっと図が小さくて申し訳ないですが、伊方の目の前で起きている。ただし、これも深さが40~50kmのスラブ内地震でございます。そっちのほうが短周期の影響が大きいので、そういうので評価したらどうかというご指摘でございました。そこで、実際やってみました。観測記録のフーリエスペクトルを描いていますけれども、こう描かせると横軸が周期になってますが、この周期でこの1.5秒ぐらいのところから横方向に上がっています。本来ならば加速度震源スペクトルというのは、右肩下がりのカーブになるのが自然です。ここでこういうふうに乗ってくるってのは長周期ノイズが乗っているものと判断されます。今回の指針改訂では、基準地震動というのは5秒まで定めなさいというのがございました。そうしますと、この地震というのを使って波形合成法、経験的グリーン関数法を適用しますと、ちょっとこの辺が評価ができないということがありましたので、これを要素地震に使いませんでした。しかし、そういうところは無視して原子力発電所で重要なのは短周期側だろうということで、ここを見るために解析してみました。S波だけ使いますので、時刻歴波形はこんな感じです。P波は除けてS波だけを合成しました。長周期側のノイズを除けるために、こういうフィルターをかけています。

対象としたケースは、基準地震動Ss-2として今採用しております不確かさケースです。長さが42kmで30度傾けたやつです。さらにアスペリティを上端に置いたケース。これが今基準地震動Ss-2に採用していますので、それで要素地震を変えたらどうなるかという検討をいたしました。

パラメータ表も全く一緒です。要素地震が変わっただけです。早速これは結果です。同じく破壊開始点を3ケース設定しておりますので3本出てます。東から壊すケースがオレンジ色になっています。東から壊すケースっていうのはちょっと小さめになっていますのは、西側に大きなアスペリティがありますので、やっぱり西から壊すケースのほうが大きな地震動を与える結果になっています。

それをもとの要素地震と比べてみました。オレンジ色の3本がもともとの芸予の余震記録を使った3ケースです。今回、91年の伊予灘の地震を使ったのが青のケースです。ご覧になりますと、短周期側も結局ほとんど変わらなかったかなという感じになっています。観測記録で見ると短周期側で大きかったですけども、やっぱりそれぞれの地震モーメントだとか、応力降下量を適切に見積もって、想定地震への補正をすればその倍率が重要でございますので、結局想定地震の見積もりがしっかりというか、まあ想定されていれば結局はあまり変わらなかったかなという結果になってます。

同じく、これも基準地震動と比べてみたところ、黒のSs-1には青の今回の追記検討ケースはおさまっています。赤と比べましてもほぼ短周期側では一緒ぐらいかなというレベルです。ただ、長周期側でもともと2秒以上の長周期地震動を含んでいますが、1秒あたりの波のパワーがございませんので、これでもって基準地震動を作っていくには適さないのかなというふうに考えてございます。

今の要素地震の検討ケースにつきましても、3号機の本報告書のほうに掲載してございます。

次に資料3-2-3をご説明します。

3の本報告書の新たに付け加わったポイントの1つとしてあげさせていただきましたが、中越沖地震の知見反映の検討結果をご報告いたします。内容は2つ。震源特性に関する検討と地下構造特性の2件でございます。

昨年9月4日に原子力安全・保安院がパラメータに断層モデル解析とかを行う際には、震源モデルのパラメータの不確かさを考慮した評価を行うという、分かりづらい表現でご指示いただいたんですけども、この意図するところは、中越沖地震の地震動っていうのは短周期の地震動が従来観測されている平均的な地震動に比べて1.5倍大きかったので、それも考慮して評価しなさいという指示でございました。そこで、短周期の地震動の大きさを1.5倍した地震動評価を行いました。地震動評価を行う際には、指針で示されておりますけれども、経験的な関係から応答スペクトルを求めて、それに基づく地震動評価と、断層モデルに基づく手法。大きく2つございます。応答スペクトルに基づく手法におきましては、よく耐専スペクトルと呼ばれる手法を用いて評価しておりますけれども、その中で内陸地震の場合は短周期の地震動が0.6掛けぐらいだとされています。もともと耐専スペクトルが海の地震を多く用いて作った回帰式でございますので、それを評価すると内陸地震に関してちょっと過大評価気味になるので、0.6掛けしてもいいよというのがあるのですが、伊方発電所の評価ではそれをしておりませんでしたので、その0.6の逆数とると大体1.5倍になりますので、すでに応答スペクトルに関する評価では、1.5倍というのは折込済みというふうに我々は考えてございます。これは先行している東京電力柏崎発電所の国における審査でもこのようなロジックで承認されてございます。結局を何をやったかというと、我々がやったのはこの断層モデルを用いた手法でもって、短周期の地震動を1.5倍した検討を実際に行いました。

それで、いろいろ不確かさ考慮の仕方に関しましては、基本モデルから1個1個不確かさをみていくもんだよという感じで、今国の審査が行われておりますので、基本モデルであります長さが42kmで断層の傾斜角が90度。我々はこれを基本モデルと考えています。基本モデルとしては、我々アスペリティの深さというのは真ん中が基本とは考えてはいるのですけども、これに関してはなかなか地質調査では分かりづらいと、事前に特定しづらいだろうということで、これに関してはちょっと上端にもってきまして、このケースで震源特性の1.5倍。具体的には応力降下量というパラメータを1.5倍しました。

要するに、ここに応力降下量って書いていますが、この応力降下量がレシピに従うと、10MPaと求まりますけれど、これを一律に1.5倍しました。第1アスペリティ、第2アスペリティも同じです。背景領域に関しましても、2.0MPaと定めていましたが3.0MPaに設定しています。これに基づき、短周期レベルもやはり1.5倍になっています。

こちらは解析結果です。応力降下量を1.5倍したケースでは、どの程度影響があるかというのを示した図です。オレンジの線が、もともとの応力降下量1.0倍のものです。対して、青の3本線が、応力降下量1.5倍です。細かなところを見てもらったらこのオレンジの線がコンマ7から大体1ぐらいに上がっておりますので、ほぼ1.5倍になっているということがこのグラフ上からも読み取れるかと思います。こんな感じで短周期の地震動が1.5倍された評価を行いました。

それをやはり同じく基準地震動と比べてみました。ちょっと今までの図と違って申し訳ないのですが、黒の細線で示していますのが、今回行いました1.5倍の3ケースです。3ケースは断層の破壊開始点3ケースです。この黒の細線は、まず基準地震動のSs-1を全て下回っています。基準地震動Ss-2と比べてもほぼ同程度のレベルかなというところです。1.5倍というのを考慮してもこの程度の評価と言いますか、まあ、問題ない結果となってございます。

1.5倍の検討は以上のとおりで、続きまして地下構造特性に対する影響です。

中越沖地震の知見として到来方向によって、地震動の大きさが違うという評価がございました。中越沖地震の海側、中越沖地震の震源というのは海側にございましたけども、あちらで起こった地震というのは、陸側、例えば中越の震源地のほうで起こった地震なんかに比べて、2倍程度地震動が大きかったという整理がされてますので、そういうような到来方向で地震動の大きかった理由というのが、地下の構造による増幅だというふうに説明されておりますので、そういうものが各サイトでないかどうか検討しなさいというのが、9月4日に原子力安全・保安院から出されています。その方法としては、地震観測記録の分析や地下構造モデルを構築することで考慮しなさいということなので、地震観測記録の分析を行ってみました。敷地における地震観測記録で、規模の大きいものと規模の小さい地震に分けて検討した結果をご説明いたします。

敷地における観測記録として、大きな地震です。マグニチュード5.5以上の地震の内陸地殻内地震。中越沖地震は内陸地殻内地震でしたので同じタイプということで内陸地殻内の地震あげてみましたけど、有名な兵庫県南部だとか、鳥取県西部だとか、福岡県西方沖とかございますが、全て遠い地震でございます。震央距離にしても200km以上。最大加速度も鳥取県西部が3ガル程度という値になっています。何をやったかと言いますと、柏崎の記録の整理の際に、平均的な地震動に比べて2倍3倍とか、2倍6倍とか言われていたんですけど、その平均的な地震動の対象とされたのが耐専スペクトル。これはマグニチュードと距離から地震動の応答スペクトルを求める回帰式ですが、その耐専スペクトルに比べてどれだけ大きいか小さいかを調べました。観測記録の応答スペクトルの予測値については、マグニチュード7.3と等価震源距離を入れまして、応答スペクトルが求まります。観測値をそれで割りました。観測値と予測値が全く一緒だったらこの1のラインに乗るはずです。観測値が大きいのであればこの上の2とか3のラインに乗るはずです。ここに内陸地殻内地震補正と書いてますが、内陸地殻内っていうのは、1よりも0.6掛けしたぐらいが平均的なレベルだよっていうので、内陸地殻内地震動の知見に沿うのであれば、この0.6のあたりに地震動がくるはずなんですが、今回やった5つの地震に関しましては、全てそれよりも小さな値になってございます。この辺は先ほども示しましたけども、最大加速度が大きいので3ガルとかそういうちょっと小さいのと、あと距離が全て200kmを超える耐専スペクトルの適用限界といいますか、もともとデータベースが200kmぐらいまでの地震しかございませんので、適用範囲を超える、データベースの範囲を超えるようなところまで無理に適用しております。本来適用してはいけないのかもしれないのですけども、ほかに地震がないためやむを得ずこのように適用したんですけども、ずいぶん小さい側にありますので、地震が少なくてはっきりしたことは言えないんですけども、今まで観測された事例から見ると、耐専スペクトルよりも大きな、平均的な地震動よりも大きな地震というのは、伊方の周辺では観測されていないということです。

次は小さい地震で適用しました。これは微小地震計でとれたデータですけども、これも内陸地殻内地震ばかり集めてます。ここに最大加速度を示していますけれども、大きいので2ガルくらい、1ガルないのばっかりですが、やってみました。到来方向がうんぬんというのが柏崎で言われてましたので、エリア分けしてみました。伊予灘側の地震を赤で、豊後水道で起こった地震を青で示しています。

さっきと全く一緒で、耐専スペクトルをベースにおきまして、それよりか大きいか小さいかで、やりましたところ、先ほどの、著名な地震だったら、このへんのコンマ1より大きいこういうところにいたんですけど、さらにこういうようなところ、つまり小さい。観測値が予測値よりも小さいというようなことになりました。これほんとに耐専スペクトルが適用できないところに無理に適用しているので仕方ないのかと思います。絶対値は見ないこととして、この平均値的に見ていただければと思うんですけども、この黒で示してますのが、20個ぐらいの地震の全部の平均です。それに対して、この赤の伊予灘で起きている地震というのは、黒の平均値から均等に分布してます。青い豊後水道のものも、ほぼ均等には分布してるかなと思います。もし到来方向によって特異な増幅とかが見られるんだったら、例えば赤のがこちらにきて、青のがそっち側に分布するとかの傾向がみられるのかもしれないですけれども、今回の結果では、みられなかったので、到来方向によって増幅特性が変わるということはないという判断をしてございます。

ここで敷地の話になりますが、三波川変成岩類の緑色片岩が広く分布する地域でございます。これは、敷地前面の海域の屈折法によります断面図です。ちょうど発電所の敷地がこのへんになります。海の測線なのでちょっと敷地まで調査できておりません。敷地はこのあたりで切れています。このへんに伊方がございまして、こっちが北側ですね、中国地方側です。で、こういう屈折を断面でもちまして、ここの三波川変成岩類っていうのはこういうふうに分布する。北にずっと下がっていく傾向が見えてます。上面のVpの速さが5.5km/sという知見をもともともっています。このへんのところから、敷地の真下のあたりでは数百mぐらいでVs、せん断波速度が3km/sぐらいに達すると、固い岩盤だということが確認されてます。これ重力測定の結果で航空法で重力異常をとりまして、そうすると低重力なところ出てきますので、こういうような重力値の観測値をモデルを組みまして再現しました。もともと鉛直にしてあって、これがこの観測記録を説明するためには、この角度がどういうのがいいかなということで。もし、敷地の真下にへんな構造が推定されるんだったら、これがこっちに曲がったりするのでしょうけど、そういうことはなくて、敷地の真下は一様に広く三波川が分布するという結果が出てございます。

まとめとしては、敷地の地下構造に関しましては、塩基性片岩が広く分布するのと、地表面が2.7km/sのせん断波速度、地下数百mでVs=3.0km/s。このような構造のところにおいては、速度構造的に急変というのは考えられないというふうに考えています。さらに、増幅特性の検討では、観測されている地震波で評価する限りにおいては、特異な増幅は見られません。そういうところから、中越沖地震では地震動の増幅要因の1つとして不整形地盤というのがあげられているのですが、伊方はそういうような地盤には該当しないと考えてございます。以上については本報告書におり込んで国へ報告させていただいております。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

引き続き、資料3-2-4の資料で御説明いたします。国の原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会合同ワーキンググループ会合での審議の概要を次の1ページ、2ページの2枚ものでまとめております。

審議の概要でございますけれども、昨年4月14日から始まりまして、今もまだ継続しておりますけれども、伊方に関しては10回以上の審議がなされております。地質・地質構造、それから基準地震動Ssの策定などについて、まずは当社から説明いたしました後、質問に対して回答するというような進め方で、今まで国で審議されてきております。内容のほうは詳しいご説明は割愛させていただきますけれども、その中で第16回というところに、スケーリングモデルによる地震動評価というのがございますが、これは比較的トピックス的な内容でございますので、次の資料を用いましてご説明を詳しくさせていただきたいと思います。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

資料3-2-5でご説明いたします。

スケーリングモデルという専門的な用語を用いまして、申し訳ございません。簡単に申しますと、地震調査研究推進本部さんにおける評価におきましては、中央構造線断層帯は四国の西のほうでは130kmっていうモデルを組んでいます。この図は分かりづらくて申し訳ないのですが、この赤で示しますのが、中央構造線断層帯のそれぞれのセグメントの地表のトレースの分布を示しています。推進本部は、四国の西側のこのあたりからここのあたりの130kmと、四国の東の130kmと、あとこの岡村断層のあたりに短いセグメント。こう3つに分けてモデル化されています。その中で、我々の伊方発電所における評価というのは、ここの130kmの区間、地震本部さんは130kmとされているのですけども、セグメントを3つに区切って地震動評価を行いました。それぞれに分けて、入倉・三宅というスケーリング則を適用してやっていますけれども、そのスケーリング則を全体に適用したらどうかというのが、スケーリング則と言ってるものです。我々全体にスケーリングを適用せずに、個別に適用した。それをカスケードモデルと我々は呼んでいますけども、個別に区切った理由といたしましては、地表の変位量っていうのをみますと、このピンクの線が堤・後藤が文献で示されています地表の変位量です。四国の東部にいきますと、横軸に5mとか何mと書いています。徳島の中央部ですと、5mぐらいとかなり大きいのに対して、東温市の川内のあたりにいきますと、4mとか3m程度。さらに伊予断層の伊予のあたりにいきますと、2m程度っていうふうに地表の変位量が小さくなってきますので、やっぱり推進本部さんがくくられてるこの130kmの区間と、ここの区間というのは、地表の変位量から見ると、ちょっと形態が違うこともありまして、全体にスケーリング則を適用するのは難ありで、地表のデータと合わないかなと思いますので、我々では分けて評価してます。

とはいうものの、念のために検討しておくほうがいいのではないかというのを国の審査の場で、委員の先生方からコメントいただきましたので、まだ研究段階で確立されたものではないけれどやってみようということでやってみました。要するにこの130kmの区間をスケーリングモデルで評価しました。こちらが我々がもともと評価していたカスケードモデルの、個別に区切った断層面です。一方、こちらが新たにスケーリングモデルとした断層面です。もともとはそれぞれのセグメントごとに断層面積が、断層全体の22%という地震本部さんのレシピの中で、2通りやり方があるのですけれども、断層面積のアスペリティの割合を22%とするやり方を我々は使っていまして、それに基づいてこのように設定しました。けれども、それをスケーリングに与えてしまうと不具合がありますので、アスペリティの比率を今回は34%にしています。何をターゲットにしたかと言いますと、短周期レベルに一致するようにアスペリティの面積を変えています。このへんのところが、やはり長い断層に地震本部のレシピを適用するには、まだ研究段階かなというふうに考えています。

細かなパラメータを示しますけれども、簡単に言いますとマグニチュードでカスケードが7.5なんですが、全体にスケーリングで適用すると地震規模が7.9という大きな地震規模が想定されます。さらに見ていただくと、アスペリティの平均すべりが全部5mぐらいになります。それに対してもともと2mとかそれぐらいだったんですけども、先ほどもちょっとご説明いたしましたけど、この第3アスペリティ。第3アスペリティっていうところも5mぐらいになります。第3アスペリティがちょうどここ伊予断層のあたりですけど、ここのアスペリティのすべりは5mとなりますけども、伊予断層が地表のやつで2mとされています。つまり地表とアスペリティの変位量は合わない。まだ明確にはされてないんですけども、少なくとも先ほどの堤・後藤の文献では、このへんの変位量が4m、2mだったのですけれども、モデルでは全部5mぐらいになっちゃうので、そういう地表の変位量の状況を説明できてないので、このモデルが本当にいいとは我々も思っていません。その上で、やってみたモデルであるというのはご承知おき下さい。

その結果がこれです。もともとのカスケードモデルがこの赤の細い線です。それにスケーリングモデル、今回マグニチュードが7.5から7.9に上がりました。やっぱり地震動が大きくなります。基準地震動と比べますと、Ss-2が緑の線で示していますが、ほぼ同じ程度の地震動かなというところで、この結果から耐震安全性にはまず問題ないレベルかなと思っております。いろいろ問題あるのですけれども、スケーリング則を考慮しても、耐震安全性には問題ないかなと考えてございます。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

次は資料3-2-6に移ります。

伊方1、2号機になりますけれども、発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針の改訂に伴う耐震安全性評価結果の中間報告書についてです。

1ページ目。これは今年3月16日に、伊方1、2号機の主要設備の耐震安全性評価について中間報告として取りまとめ、国に提出しております。ポイントとしては、基準地震動Ssにより伊方発電所1、2号機の安全上重要な機能を有する耐震Sクラスの主要な設備や原子炉建屋等の耐震解析を実施し、耐震安全性が確保されていることを確認しております。

2ページ目。基準地震動は、最初にご説明いたしました3号機の本報告書で載せておりましたSsと同じものでございまして、Ss-1とSs-2というものでございます。この図面の右のほうに応答スペクトル図を描いておりまして、黒い太線がSs-1、それから青い線2本がSs-2のNSとEWを表しておりまして、左のほうが地震動の時刻歴波形をそのまま描いてございます。これは先ほどの3号機のご説明のときに出てきたものと同じものでございます。

3ページ。行ったこととしては2つございまして、1番目が安全上重要な建物・構築物の耐震安全性評価、2番目が安全上重要な機器・配管系の耐震安全性評価を実施しております。結果といたしましては、主要な施設等について、評価結果は評価基準値以下であり、耐震安全性が確保されていることを確認しています。

4ページ目、結果をグラフで示しております。上のグラフが伊方1号機について、下のグラフが伊方2号機についてでございます。上は建屋について、それから下の8つが機器・配管系についてでございますが、これは3号機のときと同じように、地震による寄与分をオレンジ色で示してございます。あと、横軸は発生値割る評価基準値ということでございますので、これが1以下であれば基準値を満足しておるということになっておりますが、伊方1号機、2号機につきましても全て1を下回っておりまして、耐震安全上問題ないということを確認しております。

5ページ。1番目でございますが、建物・構築物の評価でございます。これについては、1、2号機の耐震Sクラスの施設を内包する原子炉建屋、それから原子炉補助建屋について、地震応答解析モデルを設定してSsによる地震応答解析を実施しております。これも3号機のときと同じように、評価に当たりましては、建屋全体の健全性を確認する観点から、耐震壁のせん断ひずみについて評価しておりまして、結果としては、せん断ひずみは評価基準値を満足しており、耐震安全性が確保されていることを確認しております。

6ページが1号機の結果、7ページが2号機です。建屋のモデル図としてはこれは原子炉建屋のものを載せておりますけども、最大のせん断ひずみが出たものが左の青い点線で囲んでおりますような部位でございますけども、外周コンクリート壁というところの部材でございまして、このときに発生するせん断ひずみというのが右のほうのグラフで示しておりますが、Ss-1によるものが赤く塗ったもの、それからSs-2によるものが赤の白抜きのものでございます。せん断ひずみといたしましては、このSs-1によるものの0.45×10m3が値として出ております。評価基準値は先ほどの3号機と同じように2.0×10m3でございますので、基準値を満足しておるという結果がでております。2号機については、やはり左のほうにモデル図を載せておりまして、最大のせん断ひずみ発生点は先ほどの1号機と同じように外周コンクリート壁の一番下の部材で、同じく右のほうにグラフにプロットしておりますが、菱形の青く塗ったものがSs-1、それから白抜きがSs-2についてのせん断ひずみでございます。最大のものとしては0.43×10m3ということで、これも同じく基準値2.0×10m3を下回っておるという結果になっております。

8ページ。今までは、原子炉建屋について書いたものですが、この表では下のほうに原子炉補助建屋の結果についても載せております。原子炉補助建屋の対象部位も同じく耐震壁でございますけれども、最大応答せん断ひずみとしては、1号機が0.30×10m3、それから2号機が0.48×10m3ということで、評価基準値2.0×10m3を満足しておりまして、1、2号機の建物・構築物についても耐震安全性の結果は良となっております。

9ページは、機器・配管系の耐震安全性評価でございます。伊方1号機の原子炉を「止める」、「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」といった安全上重要な機能を有する耐震Sクラスの主要な設備に対して安全性評価を実施しております。評価に当たりましては、内圧、自重等の通常荷重に加えまして、基準地震動Ssによる地震時荷重増分等を考慮し、工事計画認可申請時の設計手法等に基づき評価をしております。結果といたしましては、Sクラスの主要な設備の構造強度及び動的機能維持、制御棒については挿入性でございますけれども、評価基準値以下でございまして、耐震安全性が確保されていることを確認しております。

具体的な数字を書いたものを10ページに示します。上の表が伊方1号機、それから下の表が伊方2号機についてでございます。上のほうから炉内構造物、それから制御棒という順番で、主要8施設について書いてございます。2番目の制御棒でございますが、これは挿入性ということで評価基準値の2.1秒に対して発生値がどうかという。これについては秒という単位で評価しておりますが、1号機が1.82秒で、評価基準値が2.1秒ですから満足している、それから2号機についても挿入時間が1.76秒、これも評価基準値が2.1秒ですので評価基準値を満足しているという結果になっております。その他の設備につきましても、発生値は評価基準値を下回っておりまして結果は良。それから一番下の原子炉格納容器については、発生値の単位はございません。これは座屈評価というものを行っておりまして、評価基準値1に対していくつかということでございますので、単位はございませんけれども、いずれにいたしましても1号機は0.68、それから2号機は0.77ということで、座屈評価に対しても問題ないという結果を得ております。

以上が伊方1、2号機の中間報告の内容についてでございます。

それでは最後になりますけれども、資料3-2-7、伊方1、2、3号機原子炉建屋の弾性設計用地震動Sdによる確認結果の概要についてでございます。

1ページに経緯を書いてございます。今年2月18日付で原子力安全委員会より「既設原子力施設の耐震安全性確認における弾性設計用地震動評価の位置付け等について」というものが決定されておりまして、これに伴い原子力安全・保安院より「耐震設計審査指針の改訂に伴う原子力施設の耐震安全性評価における弾性設計用地震動Sdによる確認等について」という文書が発出されております。本指示を受けまして、主要な建物に対する評価として伊方発電所1、2、3号機の原子炉建屋の弾性設計用地震動Sdによる確認結果を取りまとめまして、本年3月16日に原子力安全・保安院に提出しております。この趣旨といたしましては、これまでの基準地震動Ssによる安全機能の維持に関わる確認の信頼度を高めるために行うというふうに聞いておりまして、Sdによる評価を行うことによって、施設が概ね弾性範囲内にあることを確認するというものでございます。結果としてはポイントのほうに書いてございますが、概ね弾性範囲内に留まるということを確認しております。

次のページ。Sdというのはどのようにして定めたかということについて書いてございます。原子炉建屋の弾性限界と機能維持限界の間には、一般的に概ね2倍以上の裕度があるということで、弾性設計用地震動のSdは、基準地震動Ssによる安全機能保持をより確実なものにする観点から、弾性設計用地震動Sdと基準地震動Ssの比率、Sd割るSsですけれども、これを0.5としますが、旧耐震指針における設置変更許可、これは3号機増設時の基準地震動S1で最大加速度221ガルでございますが、これを下回らないように配慮することとし、Sdは応答スペクトルに基づく手法により基準地震動Ss-1、これは最大加速度570ガルですが、これを0.6倍したものとして代表させております。ちなみにSdの年超過確率としては、10-4/年ということになっております。

3ページにスペクトル図を描いてございます。赤の細い線がSs-1を0.5倍したものでございます。それから下のほうに青や緑の線がございますが、これは断層モデルの結果のSs-2をそのまま0.5倍したものをそのまま描いてございます。赤の細い線と、黒の線、これは旧指針に基づく基準地震動S1でございますが、これを比較していただきますと、S1のほうが一部の周波数帯で、赤を上回ってるところもございますので、この赤の細い線がこのS1を上回るように係数倍するということで決めまして、その係数を0.6として決定したものがこの赤の太い線でございます。これが基準地震動Sdとして今回設定したものでございます。下のほうに時刻歴波形を載せておりますけれども、これはSsで求めた時刻歴波形Ss-1を単純に0.6倍したものとなっておりまして、最大加速度も342ガル、これは570ガルを0.6倍したものでございますが、そういうものになっております。

このSdを使いまして、原子炉建屋の評価を行っております。1、2、3号機について評価を行っておりまして、まず、1号機の原子炉建屋については、そのモデルが4ページの左のほうに描いてございますが、右のほうに結果についてプロットしてございます。方向がX方向、Y方向と直交2方向ございますので、2つ方向のグラフがございますが、上側はX方向、それから下がY方向で、横軸がせん断ひずみ、縦軸がせん断力というものをとっておりまして、こういうせん断ひずみ、せん断力のカーブのところで、Sdによる地震動でどのようなせん断ひずみが出てくるかというのを評価した結果についてプロットしたものでございます。伊方1号機の結果についてのまとめが、左上の箱に書いてございますけれども、原子炉建屋の耐震壁のせん断ひずみは、弾性範囲のせん断ひずみ、図中第一折れ点付近というのは、折れ点が2つあるグラフの、第一番目の折れ点付近より小さい値であり、弾性範囲に収まっているということが1号機について確認できております。

5ページ目に、2号機についてのモデル図を載せておりまして、右のほうにX方向、Y方向の結果についておのおの載せております。結果についてプロットしてございますけれども、これについても結果として、1号機と同じく原子炉建屋の耐震壁のせん断ひずみは第一折れ点付近よりも小さくて、弾性範囲に収まっているということを確認してございます。

最後のページは伊方3号機についてでございます。3号機は方向の呼び方が違うのですが、EW方向(東西方向)と、NS方向(南北方向)の応答結果について描いてございます。左のほうにモデル図を付けてございますけれども、同じくSdによる発生のひずみをプロットしたものでございます。3号機につきましては、原子炉建屋の耐震壁のせん断ひずみは、弾性範囲のせん断ひずみより小さいか同程度であり、概ね弾性範囲に収まっていると書いてあり、ちょっと書きぶりは違いますけれども、3号機については、一部第一折れ点をわずかに過ぎたところにあるプロット点もございますけれども、これについても概ね弾性範囲に収まっておるということを確認するということでして、建屋の全体系としては、概ね弾性範囲に収まっておると言えることが確認できました。

耐震については、以上で全ての資料の説明を終わります。ありがとうございました。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。ただいまの説明、多岐にわたっておりますけれども、説明について委員の先生方からご質問、ご意見ございましたらお願いします。

(有吉委員)

恐縮ですが、基本的なことについて2点お伺いしたいです。

それは1つは、地震動の評価の仕方ということと、それからその際適用する際に、不確かさの考慮してるわけですが、その考え方という2点についてお伺いしたい。

最初の質問ですが、手法としては応答スペクトル法と、断層モデル手法というのがございますが、その2つを一般の方にもよく分かるような具体的に説明してほしいということ。それから、あわせてその適用の範囲を教えていただきたい。

2点目の質問は、先ほども説明がございますけども不確かさとしては、断層面の傾斜であるとか、アスペリティの位置とか、震源特性とか、断層の長さとかございますが、評価の基本的な原則的には1つの不確かさを入れて評価されていると思いますが、重ね合わせて評価するというそういうことは必要ないのかどうか。要するに不確かさの考慮の方法をどう考えているのかということをお聞きしたい。以上の2点です。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

まず1つ目の手法については、先ほどご説明いたしましたように、応答スペクトルに基づく方法と、断層モデルを用いた手法による方法2つございます。新耐震指針の中ではこの応答スペクトル、断層モデル2つの双方を実施してそれぞれによる基準地震動Ssを策定するように規定されております。

この両者の評価について概略説明いたします。まず1つめ。応答スペクトルでございますけれども、応答スペクトルに基づく地震動評価というのは、過去に各地で起こった地震の記録を統計的に処理しまして、地震動を策定する経験的な方法と呼ばれております。それにより、まず応答スペクトル図、これは先ほど何回も出てきましたように横軸に周期、縦軸に加速度とか速度とかいろいろ取りますが、我々は加速度で示すことが多いのですが、そういう図を求めることができます。その後、このスペクトルに適合するような時刻歴波形というものを作るというような方法でございまして、先ほどのスペクトル図をまず作ってから地震の波形を作るというような手法でございます。

一方、断層モデルの手法でございますけれども、断層モデルを用いた手法というのは詳細な地質調査結果に基づきまして、震源断層面を設定いたします。で、ある破壊開始点、先ほども破壊開始点3点とかいう話がございましたけれども、ある破壊開始点から断層面が次第に破壊しまして、破壊された断層面から発生する地震波が重なり合うことを模擬しまして、破壊の過程を表現できるという方法でございまして、敷地における時刻歴の地震が直接まず求められ、その後、応答スペクトル図、これは横軸が周期で縦軸が加速度等ございますが、スペクトル図が得られるという方法でございます。

概略は以上でございますが、さらに詳しくご説明させていただきます。

まず、応答スペクトルに基づく地震動評価でございますけれども、応答スペクトルに基づく地震動評価というのは、距離減衰式に基づいた経験的な方法と呼ばれております。距離減衰式というのは、遠くで起こった地震は大きな地震でも揺れが小さいということで、そういうものをプロットしたような経験的なデータに基づくものでございますけれども、こういう距離減衰式というのは、少ないパラメータを用いて、平均的な地震動の強さを示す指標としては非常に有効と考えられております。例えば、伊方地点での評価をしたときに、理想的には敷地で得られた観測記録というのがたくさんあれば、それを統計分析して、距離減衰式を作成できれば一番理想的なのですけれども、統計分析が可能な十分な観測データを、単一地点で得るというのは非常に困難でございます。そのために、多くの地震により数多くの観測点で得られた記録を統計処理して得られた距離減衰式というのがございまして、それを用いて地震動評価を実施する手法でございます。 伊方発電所の基準地震動の評価に当たって用いた応答スペクトルに基づく地震動評価手法というのは、3つのパラメータを使うのですけれども、1つ目がマグニチュード、2番目が震源断層からの距離、3番目が評価地点の地盤の弾性波速度というのをパラメータとして地震動を評価するもので、震源の面的な広がりを考慮でき、基準である原子力発電所耐震設計技術指針の中で採用されている野田ほか、人名の野田ですね、野田ほかの手法というのを用いております。これ先ほど耐専とかと呼んでおりましたが、それと同じもので、野田ほかの手法を用いてございます。この野田ほかの手法というのは、まず想定した断層の気象庁マグニチュード、それからもう1つは、震源の面的を考慮した震源断層からの距離、これは等価震源距離として計算できるのですけれども、そういう震源距離を基に、各周期における速度応答スペクトルの座標点の値を求めまして、それに対して評価地点の地盤の弾性波速度による補正を行い、速度応答値を求めるものです。この野田ほかの手法では横軸に周期、縦軸に速度のスペクトル図を作るのですが、周期に応じた速度を表す点を示した表が与えられておりまして、その表を用いて震源距離とか、震源の大きさに応じて応答スペクトルの図を描くことができるようになっております。それで、想定する地震規模に応じてそういうグラフが描けるのですけれども、それを基に伊方地点での地盤の弾性波速度を補正して求めるというような手法でございます。このような手法によりまして、横軸に周期、縦軸に加速度等の応答スペクトル図が得られます。その後、この応答スペクトル図に適合するような地震波を策定するというような手法でございまして、先ほど適用範囲のご質問があったと思いますが、この応答スペクトルに基づく野田ほかの式というのは107地震について、硬質な地盤で得られたデータを基に構築されておりまして、データベースの範囲としてはマグニチュード5.5以上のもの、震源深さが60km以下、それから震源距離は200km以下というようなもののデータベースを基に構築されておりまして、今回検討する地震のマグニチュードとか、先ほどありました等価震源距離がこの手法の適用範囲かどうかというのは、表が構築されている先ほどのデータベースの範囲内にあるかどうかを、個別に見極めながら判断する必要がありますので、一概に適用範囲がマグニチュードがいくらで、距離がこうだから適用できるとかは言えないのですが、データベースは示されておりますので、その範囲内に適用される地震規模かどうかというのを見ながら判断することができるかと思っております。今回の我々の策定した地震動については、一応このデータベースの範囲内にあるということで、野田ほかの手法を使って応答スペクトルを求めております。以上が応答スペクトルに基づく手法でございます。

次は断層モデルを用いた手法についてでございまして、これについては基本的なことを言いますと、地震による地下の岩盤のずれ、破壊というのは面状に広がっていくということでございまして、この面のことを震源断層面と言います。地震をもたらす震源断層面というのは一瞬に全範囲が破壊するのではなくて、最初は狭い範囲が破壊しまして、次第に破壊の範囲が広がっていくというものでございます。このことから、大きな地震は小さな地震が次々に発生して、それが集まったものというふうに考えることができます。断層モデルを用いた手法というのは、このような破壊の過程を計算上で再現するというような手法でございまして、対象とする震源断層面について直接評価できるものとなっており、手順としては今から言いますような3つの手順になります。

1番目ですけれども、まず詳細な地質調査結果に基づき、震源断層面を設定して細かい要素面に分割、よく図でも示してありますように断層面をメッシュで区切って四角く描いてあると思いますが、ああいうメッシュに分割いたします。

2番目として、ある特定の点から破壊開始するものとして、破壊開始点を設定。これが先ほどもありましたように、東から破壊とか、真ん中から破壊、西から破壊というそういう破壊開始点を設定いたします。

3番目に、破壊開始点からの破壊が各要素面に伝播いたしまして、分割された各要素面からの地震波、これは要素地震というものを使うのですけれども、過去の小さな地震の観測波も活用するということで、これが先ほども出てきましたような経験的グリーン関数という手法でございますけれども、芸予の余震とかそういうものを使いまして、それが次々に評価地点に伝わることにより、評価地点は伊方の敷地になりますけれども、評価地点に伝わることにより、評価地点に生じる地震動を全て合算いたしまして、評価地点での地震を算定するという計算手法でございます。

断層モデルを用いた手法というのは先ほど申し上げましたように、直接敷地における地震動の波形そのものがまず出てきます。それを基に、先ほど出てきましたように横軸が周期、縦軸が加速度等なのですが、応答スペクトル図が策定されるというものです。先ほどの応答スペクトル手法とは逆の方法で出てくるというもので、大きな違いとしては応答スペクトルを用いた手法というのは、まずスペクトル図ができてそこから地震波形を作るのですけれども、断層モデルは地震波形がまず出てきてそれから応答スペクトルを作るという、順番は逆になりますが、そういう手法の違いがございます。それで、これは新指針にも書かれているのですけども、断層モデルを用いた手法というのは、地震動評価対象の断層について破壊の過程を詳細に評価することができるということで、新指針でも震源が敷地に近く、その破壊過程が地震動評価に大きな影響を与えると考えられる地震については、断層モデルを用いた手法を重視すべきというような解説もございますので、非常に精緻な方法で、ある程度の精度も得られるようなものではないかと思っております。

以上ちょっと長くなりましたが、以上が両手法についての説明でございます。

引き続きまして、不確かさの方でございますけれども、すでに今回策定した地震動を超える地震が起こる確率は、先ほど出てきましたけれども、10??/年というような値でございまして、十分低いと考えておりますので、これに加えて断層面の傾斜等の不確かさをそれぞれ加えておりますので、さらにそれに不確かさを重ね合わせる必要はないと考えております。ただし、アスペリティの深さ、アスペリティというのは先ほどの断層モデルで設定するものなのですけれども、その深さというのはやはり地質調査でも分からないところがありますので、当初真ん中の位置に置いたものもございますが、これは他社の状況等もございますので、これは上端に置くケースを加えて評価しております。現在、国においても他電力の考え方を参考に、再度不確かさの考え方については審議中ということでございます。

以上でございます。

(濱本部会長)

よろしゅうございますか。

(三島委員)

地震動Ss-2、これは断層モデルに基づく基準地震動ですが、概ねこの範囲の中に入っていたと思いますが、一部の周期のところでそれを超えている部分があったと思います。これについてはどういうふうにお考えでしょうか。この基準地震動Ss-2は、指針に照らして設定し直す必要はないのでしょうか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

断層モデルの結果は周波数に応じて凸凹しておりますので、ある結果を全てを下回るとか上回るという結果は出にくうございます。周波数特性の観点から見ますと断層モデルにつきましては、周波数帯の全域にわたって大小関係を見て判断しているということでございますので、例えばほとんどの周波数帯でSs-2を下回っているとかそういうものであれば、Ss-2の代表性に影響を与えるものではないと考えております。したがって、一部の周波数帯で超えたからといって、それをすぐさまSs-2に代わるものとして対応する必要はないと考えており、いずれにしても全体的な傾向を見ながら判断するということを考えております。

(三島委員)

多分そうだとは思うのですが、ただ、この一部の周期で超えているところで、例えば建物とか機器で共振するような周期をもつようなものはないのでしょうか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

こういう断層モデルで出来た波は確かに凸凹はございますけれども、この波を基に建屋とか機器の評価に入っていきます。例えば機器の評価でいきますと、最終的には床応答スペクトルというものを作るのですけれども、そこで周波数方向に波を拡幅するという調整を行いまして、ある程度の不確かさは機器側の評価の中でも吸収できるような評価手法を採用しておりますので、一部の周波数帯について超過するような波があったとしても、それは機器側の評価で十分カバーできるものと考えております。

(濱本部会長)

他にご質問ないですか。

(森委員)

一番最初に整理をしてから質問したいのですが、まず資料の3-2-1の16ページ。それから、資料の3-2-6の4ページ。これをご覧いただきたいと思います。要するに、今しがた1時間以上にわたって四国電力さんからご説明を受けましたが、それに対してコメント申し上げたいこととご質問したいことがありますが、その前に、基本的な質問なりコメントの立場というものをごく簡単に明らかにしておきたいと思いますが、今資料3-2-1の16ページと、それからもう一つのほうは、いわゆる主な施設等の耐震安全性評価結果というわけであります。ここのオレンジ色で示してある地震による発生値というこの横側の大きさが、まさに入力地震動であったり、あるいは応答解析であったりした結果表れているということであります。従って、これらを評価する上で、何がどういうふうに効いているのかという立場で考えることが誰にとっても必要なわけです。そして、この分厚い資料の中に、固有値解析結果というのがございます。そこで固有値解析というのは、先ほど三島先生のほうから共振というお話がありましたけれども、最も長いもので約で言いますけれども0.5秒程度。あるいは主要なもので0.2秒程度なわけです。全てそれよりも短い周期なわけです。従って、0.5秒以下の短周期、あるいはもっと言えば、0.2秒以下の短周期の地震動の応答スペクトルがいかに決まっているかというのが大事になってくるわけです。そういう観点で見ていこうと思います。

もっとも県の技術専門部会での前回の質問事項、あるいは国においてやりとりをされてるこの結果の報告が今あったわけですけども、一番は資料3-2-2のアスペリティ正面モデルという、県のほうで要請されたというこれについて少し見ていきたいと思いますが、この結果どこに出ているのかと言いますと、資料3-2-2の5ページというものに出ていまして、ここのオレンジ色の基本震源モデル。それからアスペリティ正面モデルというものが出ています。この絵は縦軸が速度になっていますけれども、実際にはこの右斜め上に上がるような軸が加速度ですので、言ってみればこれは少し右回しに回していただいて大小関係を見るといいわけです。そうやってみると、基本震源モデルに比べて、1.5倍や2倍といったようなことが今申し上げた0.5もしくは0.2秒よりも短周期側では大きくなっているということで、検討していただいたモデルというのは、安全性を考える上でどちらかというとより危ない側で検討していただいたというわけであります。従って、こうやって検討していただいて、かつその結論がその次のページの6ページにありますが、最終的にそうやって検討していただいたものが青い結果になりますけれども、その青とそれから実際にお使いになっているSs-2という赤いものは、一部で青いものは小さいですけれど、一部では赤いものを超えているところがやっぱりあるわけです。従ってこういう検討したっていうことは大変有効だというふうに思いますし、これを見て黒のSs-1というもの、これを下回っていることが確認できたので、そういう面からは、そういう点での安全性は確認されたというふうに考えられます。しかしながら、同じ資料の15ページにありますけれども、同じく要素地震を1991年にしたものというものに関してここにあるわけですけれども、これは赤よりも青のほうが大きくなっているものがあると。これもやっぱり同じような観点で0.5秒以下0.2秒以下というふうなところを見ていきますと、0.5秒以下で赤を大きく超えているものが実際にはNS成分ではあったり、あるいはEW成分でも非常に細かな話をすれば0.5秒以下では赤と競り合うというような、つまりこういう検討をすることによって、短周期成分が多いかもしれないものが結果にきいてるかもしれないという観点において、これとっても重要な検討であったわけです。しかも、黒よりも一応下回っているということで、安全性といいますか地震動の評価としては、適切な評価ができたというふうに考えられます。ところが、ここの15ページの下2行ですね、上4行は今私が申し上げたのと同じように非常に小さいというか、「非常に」と書くのはこれは四国電力さんの表現ですが、客観的に書けば小さい評価結果となったということで、その面での安全性は確認されたと。ところがその次の2行は、最終的にはハイブリッド合成法の短周期側地震動には適さないと考えると書いてありますが、ここのところの2行はぜひ削除すべきだというふうに考えます。なぜかというと、これが一応承認されたとなれば、基本的により危険側といいますか、危険になりそうな可能性を排除しないで検討するというのが、本来の原子力といったような危険な要素を一応はらんだものの安全性を検討する中で、こういうものは排除すべきではないと思いますが、適さないということで、排除しろというふうなコメントは受け入れがたいものがあるということを申し上げたいと思います。それがまず第一点ですが、その点についていかがでしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

貴重なご意見として受け賜っておきます。

(森委員)

じゃあ、今の私自身の発言は議事録に残していただけると思いますので、それはそれで結構です。

しかも、もう1つ申し上げておきますと、今度アスペリティ正面モデルというものですが、これを要約して説明してあるものが最初1枚の紙にありますね。資料3-1-2です。この資料3-1-2というもので、とても概要を載せたものなんですけれども、資料3-1-2の裏のページの最も下の絵に、いわゆるジョグと書いてある絵が描いてあります。このジョグというような文字が書いてある絵なんですけれども、伊方発電所の前にジョグがあると、特にこの紙の上のほうの2という項目にジョグが認められというふうにありますが、これ以外のジョグというのは全部直線的な横ずれ断層がジョグを挟んでずれるという、ジョグの特徴的な傾向を示しているわけですが、まさにここに書かれたものは、伊方沖において横にあまりずれない。あるいは、他の図ではまったく一直線に描いておられるようなこともあることで、そういう見方からしてここのジョグっていうふうに認識できるというふうにおっしゃってるわけですけども、これは認識することができるというふうに読めますし、それから認識すべきではないというふうな見方も否定できるものはないというふうに考えて、この正面にそういう可能性を排除できないものですから、この正面からはずすべきだというふうに設計的には考えるべきじゃないかというふうに前回申し上げた次第です。それに対して検討はしていただきまして、そういう懸念から生じます地震動は、やはり基本的なものに比べて一部、やっぱりギリギリのものも出てきていますので、こういう検討はやはり耐震安全性を考える上では有効だったというふうに考えています。従って、これはジョグとして、特に万人が認めるようなものではないというふうなことを改めて申し上げたいと思います。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

ジョグの判断はいろいろあろうかと思いますので、伊方の沖の目の前のジョグというのも我々だけが認定しているわけではなくて、例えば、産総研の吉岡さんの論文なんかでもジョグと認定されて、そこで分けられたセグメンテーションもされておりますので、そういう事実もありますということだけ言わせて下さい。

(森委員)

構わないです。要するに、学術論文の議論と耐震安全性を考えるという議論とはきちんと分けるべきだと。ですから、先ほど波が短周期地震動には適さないというような報告ありましたが、例えば、断層モデルではっきりとここ20年で分かっているところは、長周期側の地震動は断層モデルできちんと説明できる。だけど、短周期側は未だに理論的にはきちんとは説明されてなくて、従って経験的グリーン関数という経験的に、経験的にというのは、実波形を使って評価しないと、それ以外の準理論的には出来ないということを意味しているわけです。従って、その経験的なものに芸予地震でとれた波を使うのか、あるいは直下でとれたものを使うのかというのは、いかようにでもできて、そしてこうすべきだというものは特にないわけです。従って成分として短周期成分が多く含まれているものを、より積極的に取り入れた評価を原子力発電所の構造物あるいは機器ではすべきだというようなことであります。従って先ほどの2行は、今のコメントにも関係してきますが、削除すべきだというふうに申し上げましたが、意見として聞いておくということだけのコメントでしたので、設計という面からして少し残念なお答えだったなというふうに思います。それが3-2-2に関してですが、特に何かそれ以上ありますでしょうか。

(濱本部会長)

四国電力から、今の森先生のご意見に対して、先ほどのご返答からさらに踏み込んだコメントがありましたら。

(四国電力 谷川原子力部長)

この点を含めて現在、国の審査を受けておりますので、この国の審査の中でこれ以外のものについても報告書の改訂を、追加を含めて実施するようになると思います。その過程の中で先生のご意見も踏まえて、改訂の作業をやっていきたいというふうに考えております。ありがとうございました。

(濱本部会長)

森先生、それでよろしいですか。

(森委員)

はい、結構です。

(濱本部会長)

国の今審査が行われているところですので、その結果が出ましたら、その時点でこの専門部会を開いてご検討いただくことにします。

(森委員)

あと質問続けてよろしいでしょうか。

資料3-2-5について、これもおそらくは国とのやりとりでの実施なさった検討の内容だっていうふうに理解していますが、ここではカスケードを考慮されて、5ページでは22%というふうに取り扱っておられたアスペリティの面積比は34%にせざるを得ないということで、この検討は結構な検討と思いました。

質問したいことがありまして、これは7ページですけれども、7ページで130kmのパラメータ表の比較ですが、長いものを検討されてるわけですけども、この検討において、(1)のいわゆる前面海域のセグメントが、要するに長くしようが短くしようが効いてくるものなんですが、これが(1)のセグメントの中でアスペリティの位置を基本モデルに比べて、小さなメッシュ分1つだけ下に置いていますよね、。それはどういう理由でしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

このままスケーリングを適用するのも1つの不確かさと考えるんですけども、先ほども申しましたように、基本モデルに対して不確かさを1個1個見ていくというような考え方でございます。我々基本モデルというのは、アスペリティを真ん中に置くモデルを考えています。真ん中に置いてアスペリティを横のほうに伸ばしますと、隣のアスペリティとくっついてしまうような感じになりますので、下のほうに伸ばしたというのが実務的なとこでございます。

(森委員)

そうではなくて、より深い側に置いていますが、1メッシュ浅い側に置くのが基本モデルではなかったでしたっけ?

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

基本モデルは一番浅いところには、上端にはアスペリティ付けておりません。

5ページの左側にカスケードモデル載せてますけども、それの(1)が中央に配置したモデル。これが基本モデルと考えています。下方向に伸ばしたのは、本来やっぱり横方向に伸ばすとアスペリティが横方向に伸びて隣とくっついたりするようなこともありますので、ちょっと形的にもおかしいので下に伸ばしたというものです。

(森委員)

上には伸ばさなかったんですか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

基本モデルからを考えるということで、中央を基本と考えてまして、それをベースに下に伸ばしました。

(森委員)

中央を基本と考えるのであれば、アスペリティの中央位置は、つまり重心位置は下に2分の1メッシュ分だけ下側にずらす、つまり、地震動の発生ということからすると、小さめになるようになりますよね。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

面積的にはそうですけども、アスペリティに貼り付ける応力降下量が確か大きくなっていますので、例えば7ページの表に戻っていただきますと、全アスペリティの応力降下量だと9~11.4にしてますけど、スケーリングモデルだと13.3っていうように大きなものになりますので、重心自体は確かに先生のおっしゃるとおり下側になるかもしれませんけども、全体的なパワーといいますか応力降下量は、大きくする分、変わらないのかなと思っています。

(森委員)

この短時間で、入力の数値だけで議論はできませんが、ただ基本的な考え方として、ずらさないといけないという前提条件で、それを下にずらすのか上にずらすのかとしか2つしか選択肢がないんですけれども、より設計的に言えば安全側に、一般の人に分かるように言えば、より大きめの地震動が出てくるかもしれない側を考えるのが、工学的にはとるべき方向だろうと思ったんですけど、そういうふうな態度でずらされたかどうかということを確認したかったんです。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

正直、このスケーリングモデルを組むのにはすごく苦労しました。それは、やっぱり長さ100kmを越える断層に対してまだまだレシピというのは確立していないので、先生がおっしゃるような矛盾点が生じているんだと考えてます。基本的にはアスペリティは真ん中という考えでございましたので、浅いほうには考慮しませんでしたけれども、真ん中というのは基本的な考えでもって、それをもとに推本レシピに従ってモデルを組みたいとは考えているのですが、推本モデルというのは、やっぱり断層長さが20kmとか30kmとか短いものに関して円形クラックを適用して作るロジックで組まれていますので、このように130kmを超える断層に適用してくると、どうしても矛盾が生じてくる。それで、アスペリティの形状が不恰好なものになってます。そういうことで、このモデルが本当にいいモデルとはわたしも思っていません。もっときれいなモデルにしたいと思っていますが、今後の研究動向とか鑑みながら研究、勉強してより高精度な評価をしていきたいと思ってます。

(森委員)

ちょっと質問の仕方を今度変えますね。私が聞きたいのはいわゆる学術的にっていう面ではなくて、あくまで耐震安全性をどう核にするかという観点で、同じ資料の8ページありますね、同じ資料の8ページのスペクトルが結果として出てきたものですね。つまり、この図で基準地震動Ss-1やSs-2に比べて、今回検討された赤いものが迫ってるかもしくはごくわずか超えているようなところがあります。で、別のところの説明であったように、応力降下量が1.5倍になればまさに応答もほぼ1.5倍になると、それぐらい敏感に効いてくるものですから。応力降下量が大きくなる方向にずらしてらっしゃるわけですよね。そういう理解でいいですか。

そしたら応力降下量が全く変わらないんであれば、逆にあと効いてくるのは距離減衰の距離の部分ですから、距離としてはやや遠めになるということで、それは違いますか。やや遠めになると考えていいですね。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

上端に貼り付けるものよりは遠くめになると思います。そのとおりだと思います。

(森委員)

応答スペクトルを量は別にして小さめに評価をするという態度ではないかということをご指摘申し上げているわけです。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

不確かさの考慮の仕方として、基本的には基本モデルに対して1個1個考慮しています。地震の規模を考慮するとき、もともとの42kmで鉛直なモデルというのは、マグニチュードが7.1だったのが、まずカスケードモデルでマグニチュード7.5になります。さらにそれをスケーリング評価することによって7.9になります。そういうふうに地震規模の不確かさを見ているときに、それに重ね合わせてアスペリティの深さは考慮しなくてもいいだろうと。それは現在設定している基準地震動Ss-1の年超過確率が10??とかありましたけども、そういうところに鑑みながら、照らし合わせながら考えますと、そういうような不確かさの重畳はしなくてもいいというのが我々の考え方です。

(森委員)

その点については、冒頭に有吉委員さんがご質問されたように、いわゆる不確かさの重ねあわせの考えをどのようにするかという根源的な問題にきますので、もうこれ以上は入ることはやめます。工学的には確かに重ね合わせて考えるっていうのはなかなか難しい問題だとは思いますが、より安全性を確認するという意味では、そういう態度のほうがよかったのかもしれないなというふうに思ったわけです。この点については以上で結構です。

資料3-2-6の4ページ。それから資料3-2-1の16ページ。質問の冒頭で申し上げた図ですけれども、両方のページの上側の絵で、ご質問したいことがあります。

まず、資料3-2-6のほうの4ページの上から3番目。伊方1号機の上から3番目のバー。伊方2号機の上から3番目のバー。これは全てオレンジ色で描いてありますけれども、資料3-2-1の16ページのグラフについては、この原子炉容器というのが特に見当たらないですが、これについては3号機のほうにはないんでしょうか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

3号機については本報告書ということで、報告書本体には全ての評価点について表を載せておりますけれども、概要版には代表箇所を載せております。1、2号機の中間報告と代表箇所の記載が違うのは、原子炉容器とか蒸気発生器というのは、その内包する流体を閉じ込める機能が重要であろうということで、バウンダリの応力評価について代表例として出しております。原子炉容器の出口管台というのは、これは通常運転時は内圧等を受けていますので、地震がなくても力を受けています。地震時にはこのオレンジの部分だけ力を受けるということでこういうグラフになっております。

一方、中間報告の伊方1号機、2号機は、伊方3号機の中間報告の時と同じように支持構造物について載せておりますので、原子炉容器・蒸気発生器等についても支持構造物について載せております。支持構造物に係る水平方向の荷重は、地震時しか加わりませんので100%地震荷重ということになっています。3号機の原子炉容器の支持構造物については、本報告書の表には記載しております。

(森委員)

じゃあ、同じく3号機についても支持構造物というのがあって、これが評価されているということですね。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

はい。

(森委員)

それを確認した上での質問ですが、このいわゆる支持構造物・蒸気発生器の例えば支持構造物っていうのは、地震による発生値が全部を占めていて、しかも0.9を超えていると。つまり余裕代は0.1を下回っているということですね。これは何で決まっているんですか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

例えば、伊方1号機の蒸気発生器の支持構造物が0.927なんですけども、2号機でいきますと蒸気発生器の支持構造物が0.412とちょっと大きさに違いがあると思います。まずは構造の違いをご説明いたしますと、伊方1号機の蒸気発生器というのは水平方向のサポートが2カ所、中間と下部の2カ所なのですけれども、2号機は上中下と3カ所で水平方向を止めるようなサポートが付いていまして、そういう構造上の違いが出てきてます。1号機は2カ所なので、水平方向の荷重がやはり地震荷重的には厳しく、伊方1号機の支持構造物については0.9ぐらいです。具体的な部材でいきますと、水平方向を止める部材にヒンジというのがございまして、そこにヒンジに加わります荷重がこういう値になっています。一方2号機の蒸気発生器の支持構造物につきましては、最下部の水平方向に荷重を受けるパッドというのがございますが、そのパッドのせん断荷重が一番大きな割合となっています。ですから、1号機と2号機の値の違いが出ているのは、そういう構造上の違いが出ているということになります。

(森委員)

今のご説明ですと、金属製の部材の応力評価であって、許容力に対してということですか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

そうです、はい。

(森委員)

わかりました。

あと、質問の最後なのですが、資料3-2-3、震源特性に関する検討と地下構造特性による影響ということで、これいろんな検討なさっていて、特に前回の技術部会等で質問した内容が、少し表現が違った形で国でも似たような指摘がなされたというふうに聞いておりますが、そういうのを踏まえた検討で、検討結果については安全性が確認されているなと感じました。全般的にはそういうふうに感じましたが、1つお聞きしたいことがありまして、それは7ページ以降の地下構造特性による影響というところの検討であります。これについて大きく2点、この7ページ以降でなさっている検討は、増幅特性というよりは、耐専スペクトルを基準にした大きい小さいを評価なさっていると。そういう実際なさってる検討を地下構造特性による影響というふうにお書きになっていますけど、何故それを増幅というようにとらえられてるかということをご説明いただきたい。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

このへんのところは国が柏崎刈羽の審査の中で、1号で観測された地震動というのが通常の地震動とどう違うのかというか、検討されるときに耐専スペクトルというのを指標にとられて、短周期側の地震動は6倍大きいよと。その増幅要因というのが、1つは短周期の震源特性の影響が1.5倍。さらに、地下の褶曲構造の影響で地震動が集まることによって2倍大きくなった。さらに、地下深部の地盤構造の影響で2倍大きくなったというような解釈されて審議がなされていますので、それをベースに耐専スペクトルからの増幅という意味で国から指示が出たものと解釈して、このような検討をしております。

(森委員)

わかりました。耐専スペクトルに比べてどれくらい増幅しているかというふうに理解してもよろしいですね。つまり、中越沖地震は何故大きな地震動がとれたのかという理解をする上で、柏崎刈羽の発電所の周辺数kmもしくは10kmぐらいに渡るような地下構造を明らかにした上で、そういう非常に大きな埋没地形による増幅効果としてとてつもなく大きい計算をして、はじめて明らかにされて、なぜ6倍大きかったかという説明をなさるのに、増幅ということで説明ができるというふうに受け止めているわけですが、その意味からすると、耐専スペクトルよりどれくらい大きいのか小さいのかというような表現を、ここではつまりメカニズムがないので、ここではそういうふうにむしろしておいたほうがいいのではないか。つまり、現地の増幅特性を特にとらえたわけではないので、現地の増幅特性、現地の地下構造を反映したものというまとめの仕方をするのは、あまり適切ではないのかなと思います。適切というのは、つまり地下構造による増幅はないというふうにここでもし言ってしまって、皆が納得してしまったら、地下構造による特性はもう検討がすんだということに今後とられてしまいかねないので、それは誰にとってもあまり都合のいいことではない。従ってここでなさった検討は、検討内容は分かるんですけれども、耐専スペクトルより大きいか小さいかの検討したんだというような表現に改められたほうがいいのではないかなと思いますけども、いかがでしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

ご指摘ごもっともだと思います。増幅っていうような漠然とした言葉を用いてしまいましたので、やはりもっときっちりとした評価をするためには、先生のご指摘ごもっともと思います。

(四国電力 谷川原子力部長)

それと、先生のご心配の点ですが、自然現象に対して向かい合っておりますので、今後ともいろんなこと柏崎刈羽の地震以外にいろんなことが起こるだろうし、それから学術的な進歩もどんどん起こっていこうかと思っております。従いまして、今回の検討で全て終わるのではなくて、そういう新しいものに対しての真摯な取り組みは今後ともずっと続けていこうと考えておりますので、今後ともよろしくご指導お願いしたいと思っております。

(森委員)

最後に、この同じ報告書の14ページの、いわゆる敷地の地盤構造というふうに書かれたものです。この分厚い報告書を見てみますと、基盤のせん断波速度として2.7km/sとか2.6km/sとかそういう数字を使われていますが、建設時点以前のデータを使われているわけですけれども、そういうせん断波速度っていう物性値そのものもそうですし、ここの14ページで示されている、屈折法による地震探査断面図というのがありますが、ここでVpはその屈折法の地震探査で出てきたものと理解してよろしいでしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

はい、そうです。

(森委員)

その下に、上面から数100mでVs=3km/s程度に達すると考えられるというのは、何か根拠があるのでしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

これは伊方3号炉の建設時に、基礎岩盤のところでボーリング掘りまして、その中でPS検査をやっております。そのデータで深さ100mぐらいのところで、3km/sというデータも出てございますので、大まかに判断してこのような表現にしてございます。

(森委員)

これが今5.5km/sというVpが測定値であるとすれば、この5.5km/sのP波速度の速さに対して、S波速度はどれぐらいのばらつきをもって予見されるものなんでしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

すみません、そこは知識はあまり持ってないので、ばらつきに関しては持っておりません。

(森委員)

ばらつきっていうのは統計的なばらつきというよりは、むしろ分かっている数字としてはどれぐらいだと理解しておられますか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

Vp、Vsの比ですと1.7くらいが標準と思っておりますが。

(森委員)

もしそれが、いわゆる3km/sなのかあるいは3.5km/sなのかっていうことにもよりますし、それから地表面付近では2.6とか2.7とかっていうようなことがありますね。実際には柏崎刈羽のような表層が柔らかい場合には、下が確か地震基盤で3km/sっていうのが測られてっていう立場でお書きになられてますが、そうすると下が3km/sところが地表面に上がってくるとせん断波速度がどんどん小さくなってくると。つまりせん断波速度の比率が増幅率の逆数に近く関係してくるわけですからね、インピーダンス比ということで。そういう点で考えると、ここは建設地点として大変地質のいい硬質な地盤ではありますけれども、他の例えば柏崎刈羽の地下で特定されているような弾性波速度に比べて、もっと弾性波速度が高いのであれば、増幅率には比率として効いてきますので、地表面がいくら良くっていいますか、弾性波速度の値がいくら良くっても、さらにもっと良いものが下のほうにあれば、増幅する可能性っていうのはやっぱり可能性としてはあるわけでね。例えばそれが今はこれ約3km/sっていうふうに書いてありますけれども、実際測定されたものだとかなんとかで逆解析と、あるいは他の地質の探査等でこれが例えば3.3km/sになっただけでも1割増えるわけです。そういう意味で、今後この地質の評価っていうのを現時点では顕著な増幅は恐らくはないだろうといいますか、顕著な増幅に繋がるような要因はあまり見られないので、そういう意味では安心できるんですけれども、それでもやはり調査法が10年一単位として進みますし、先ほどご発言もありましたが、あくまでこのせん断波速度については推定ということですから、できるだけ推定から測定っていうことで、何と言いますか増幅はないであろうと思われるから、ないという、あるいは非常に少ない、これぐらいだと言えるというふうな定量的な評価に近づけていっていただきたいなと思います。以上です。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

今後調査をしたり、あとまた解析するなどして、より解明していきたいと思っております。

(濱本部会長)

森先生よろしいですか。では、今のお話の中で追加検討、この前県のほうから四国電力に求めた追加検討の方向だとか結果っていうのについては、妥当だと考えていただいてよろしいですね。

(森委員)

結構です。

(濱本部会長)

そこだけ確認した上で、その他の先生方他にご意見ございましょうか。

(岡村委員)

2点ばかり質問させて下さい。

最初に冒頭の資料の3-2-1の中で、主に21ページのところで周辺斜面の安定性評価というところのご説明をされているところで、報告書をずっと拝見していると、この斜面だけではなくて、斜面から海まで含めた鉛直、これ多分3号機の真下を通る鉛直断面の2次元のFEM評価をされてるというふうに思うんですけども、今日の議論の論点とは少しずれるのかもしれませんが、斜面の評価は評価でこの安全率2とか2.1というのはこれ妥当だと私も思いましたが、この原子炉建屋の直下の、建屋の端趾部の直下の地盤の要素が破壊してる要素が見られるんですが、これはどういうふうに見たらいいでしょうか。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

建屋の直下と申しますと。

(岡村委員)

原子炉建屋の直下の端趾部の地盤が部分的に破壊している要素がこの図面にあるんですけども。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

端趾部というのは建屋の縁と角と併設するようなところ、局所的なところ。

(岡村委員)

そうです。いわゆる支持力でいう端部破壊の起こるところです。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

局所的な応力集中の結果かなと思うんですが。

(岡村委員)

具体的に申しますと、この分厚い資料のこの9ですかね、9章の20ページの第4の1図という、例えば図を見ますと、この原子炉建屋の左側もそうですが、特に右側の端趾部直下の部分がこれは引っ張り破壊なんですか、ちょっと図が小さすぎて分からないんですけれども、部分的に破壊している領域がある。これはどういうふうに解釈するんでしょう。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

これは破壊領域ではないと認識しているのですが。

(岡村委員)

例でいうと、一番上の引っ張り応力が発生した要素ということですか。そうすると引っ張り応力というのは、ここは基本的には引っ張りが発生せずに、ロッキング運動を妨げるような応力が発生しないような改築をしなきゃいけないような部分ではないんでしょうか。あるいは、このジョイント要素を使っているのであれば、それが剥がれるような解析を、この支持力の安定という意味ではそういう評価をするべきなのかどうかということを教えて下さい。

(四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー)

すみませんが、そのへんのところは申し訳ございませんが、確認して後日回答させていただければと思います。

(岡村委員)

分かりました。全体的な安定性や大きな安定性っていうのはこれでいいと思うんですけども、基本的には設置時に当然そういう検討は、当然支持力の検討されてるとは思いますが、地震動も変わってることですし、いわゆる大きな円弧滑りだけではなくて、支持力でいう端趾破壊。支持力の調査という意味では端趾破壊を必ずやることになってますから、そういう端趾破壊の検討はどうなってるのかということをあわせて次回でもいつでも結構ですが、教えていただければ思います。多分これは3号機だけですけども、1、2号機でも多分同じようなことがあると思いますので、このへんも教えていただければと思います。

それからもう1つ教えていただきたいのは、一番最後の資料の3-2-7ですね。弾性設計のお話をされましたが、この位置づけが保安院からの指示の位置づけもあまり明確でないというようなお話でしたけども、私もよく分からないのが、このSdの照査をして、弾性範囲に収まってるとSsの照査の結果を信頼性を増すことにどうしてなるのかというご説明されたと思うんですよね。そこがよく分からないのと、もう1つ非常に曖昧なことをやってらっしゃるなという印象を受けるのは、このページの3ページでスペクトルの絵を描かれて、Ssの0.5倍でやってしまうと他の電力会社でやってるような0.5倍でやってしまうと、基準地震動S1若干はみ出してしまうんで、ざっくり0.6倍だというようなご説明をされたんですが、何故これ0.6倍にして曖昧に0.6という数字を使って、さらに、「概ね」という言葉を使って、概ねいいですよというそういうあやふやなことをやってるのかというのは非常に私、奇異に感じまして、このSsを決めるときには、例えば最初の資料の3-2-1の13ページですか、このSsを決めるときには、きちっとこの型で一致するようなこういう地震動を設定されてるわけですよね。それに対してなんで今度弾性波は0.6というようなざっくりとした非常に曖昧な大きめの値を使って、かつ、ちょっと出てるけどちょっとだからいいですよというような説明をされるのか。ですからこれは例えば0.5じゃなくて0.55とかよく分かりませんけども、それでやって全部弾性に入ったというような説明のほうが僕はすっきりすると思うんですよ。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

まず、弾性設計用地震動Sdの位置づけの不透明さと言いましょうか、ちょっと分かりにくいというご意見ですが、原子力安全委員会で制定されました新耐震指針のところが、今のSdの、例えば今ご覧になられている資料の2ページの下のほうにブルーで網掛けした部分がございますが、こういうことになっておりまして、我々が理解していますのは、概ね弾性というまた曖昧な表現が出てくるわけですが、いわゆる弾性設計のイメージとしては短期許容応力度設計用の地震動というイメージでよろしいかと思うんですが、それの設計に用いる外力地震力のレベルを、Ssとの関係においてある一定のレベルにおいておくことによって、いわゆるこれから設計するものっていうのが、復元力特性等でいうところの縦軸のレベルっていうのを、ある一定のレベルにまず確保することができるであろうと。それで、その次に今度今の新耐震指針でいきますと、Ssという入力でもって、施設の安全性を評価するという行為を行うわけですが、そのSsによる安全評価に対してある強度といいましょうか、弾性範囲、短期許容応力度に収まる地震動のレベルをある一定のところに置いておくことによって、Ssによる安全評価結果っていうのをある信頼性のもとの上で見ることができるというような、ちょっとうまいご説明にならないのですが、そのようなイメージを指針を作成された側が考えているのではなかろうかと、我々としては解釈しているところでございます。

(岡村委員)

限界状態設計法でいう多段階設計法のSsで照査する、あるいは確保すべき性能と、それからこの弾性設計のレベルの地震動で確保すべき性能が違うという多段階の設計法ではないということですか。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

いや、多段階の設計というほど明確には分かれてなくて、安全性を評価するSsというものに対する評価に対する1つの目安的な位置づけとして、この弾性設計用地震動Sdというものが位置づけられてるというふうな解釈を我々としてはしてるわけなんですけれども。ですから、俗に言う一次設計、二次設計っていうような明確な設計体系クライテリアというような形で、このSdといいましょうか一次設計に該当するような位置づけにはなっていないんだろうと。あくまでもSsに対する耐震安全性評価っていうのが第一義的にあって、それに付随と言ってしまうとちょっといけないのかもしれませんが、それの位置づけ的にあるのがSdというものの位置づけだと、我々は解釈しております。

もう1つその0.5でなくて0.6というお話があったかと思うんですが、我々も先生がおっしゃるように、今言ったSdという概念のもとに新耐震指針上でSsとの比率でもってSdを作りなさい。ただし、その比率というのは今のところ0.5を下回らないことが望ましい。平たく言うと0.5以上にしなさいということで、今のところ下限として0.5というような比率があることになるんですが、そこで我々が説明させていただきましたように、0.5ということでまずは問題ないと我々もまず思っているわけなんですが、当社の立場といいましょうかこれまでの経緯等々を鑑みるに、新しい指針上の位置づけからは違うんですが、昔の旧耐震指針におけるS1というものが担っていた役割の一部っていうのを今回のSdっていうのも担ってるような部分、多少の連続性みたいな部分もございまして、そういうことを踏まえた上で、昔のと言いましょうか、旧耐震指針におけるS1、これを下回らないように心がけようというふうにしたものであります。じゃあ、それを包絡させるときに、例えばぎりぎりそれぞれだと0.5いくつぐらいのケースになるはずなんですが、そこのところが今ご説明したような我々の解釈を言ったようなSdですので、例えば0.52とか0.56とかっていったような、そういう精度までを逆に言うようなものじゃないといいましょうか、っていうようなイメージをもっておりまして、0.5の次は単純にと言いましょうか、その次はコンマ1刻んで0.6というようなものを考えたというのが、実態としての我々の思考回路でございます。

(森委員)

地震動については前回もありましたので、先ほど質疑で終わったんですけども、このいわゆる安全性の評価に関しては、今日初めてですから、いくつか気になる点がありまして、話の連続性から先ほど岡村委員が指摘されたところ、同じく私も同じように思っていまして、資料の中でいくつか表現されていますけれども、何か統一的にどこまで見ているのかというのが少し疑問に思いましたので、お聞きしたいと思います。

まず、3号機のこの分厚いファイルで、第Ⅵ編の安全上重要な建物・構築物の耐震安全性評価というところ、そこのⅥの43ページというところが非常に顕著な例で、先ほどの岡村委員の質問とも関連してきますが、接地圧分布というやつです。よろしいでしょうか。

この接地圧分布を見ていますと、要するに3分の1以上浮き上がっているということですよね、この絵は。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

はい。

(森委員)

いろんなケースがありますが、例えば鉛直地震力を考慮しない場合というものでは3分の1弱ぐらいが浮き上がってるという分布になっていますね。そして、これの前半を見ていますと、これはモデルによる応答解析結果を恐らくは解釈した解釈図だというふうに理解できますが、それでよろしいでしょうか。

つまりロッキングばねだとか、あるいは鉛直ばねだとか水平ばねだとかついてると思うんですが、そのばね反力を基に作られている。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

そうですね。ロッキングばねの最大応答の転倒モーメントになりますが、そのモーメントから三角形分布を仮定してはじき出した応力分布になります。

(森委員)

そういうふうに考えますと、非常にこれは数字として大雑把な数字ですけど例えば3分の1が浮き上がっていると。つまり、もしさっきの同じことを2箇所でやっておられるんですね。それは何かって言うと、第Ⅸ編の斜面というのと、それからこれは分かるまで時間かかったんですけど、第Ⅸ編の斜面と第Ⅴ編の原子炉建屋基礎地盤の安定性評価と両方で同じモデルを使って有限要素法解析をなさっているわけです。で、先ほど岡村委員の示したのは、そのⅨ編のⅨの20ページという図で引っ張りの安全率が2を下回っているところ。そのほうは全然問題ないのですけど、2を下回っていたりあるいは引っ張り応力が発生した要素というような表現があると。先ほどのこのⅨの20ページっていうのと、それからもう1つ基礎地盤を検討していらっしゃる。Ⅴ編のほうでは、Ⅴの27ページというのに、やはりよく似たような入力地震動は同じなんだけれども結果が違うなと思って、よくよく見てみますと、着目している要するに時間が違うだけで、先ほど岡村委員が指摘されたように、原子炉建屋の基礎の海側と山側が引っ張りになったり押し込みになったりというこう状態が多分表現されているのだろうと。そういう理解はよろしいですか。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

各断面のある瞬間のショットという解釈でよろしいです。

(森委員)

そうしますと、岡村委員の指摘は要するに有限要素法で全部が付着している状態での解析ですから、引っ張りになったところを引っ張りに効く分析をそのまましていると、実際に設計でこうやって考えておられるような接地や、つまり浮き上がったような状態は考慮されていないので、もし浮き上がりを考えると、反対側の押し込み側のほうの安全率とかが少し見直しが必要になったりとかするんじゃないのかなというそういった、つまり応力の再配分といいますか、引張りっていう局所破壊による応力の再配分が起こって、その応力の再配分によっても少し変わるんだけれども、その変わるんじゃないですかというご指摘と多分、多分ですよ、それとこれも私も同じようなこと思ったんですがそういう指摘と、それからそれによる安全率の変化を確認しても安全だということを、例えばお示しになる必要がないのかというふうに思ったんですが、その点はいかがですか。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

先生おっしゃるとおりだと思います。何ぶんと言いましょうか、建屋を建築屋さんがこのような形で評価し、当然関連があるわけなんですが、地盤斜面はまた今度土木屋さんが評価してというような分担でやっております。で、建屋の評価としてとか、あるいは基礎地盤ですとか斜面の評価としては、ある一つのクローズした評価法、設計法ということでこれまでも適用されてるような範囲内でなされていることではありますが、今先生おっしゃっているように、そういったあたりの接合点と言いましょうか、連続点のあたりの整合性と言いましょうか、そういうあたりについてのご指摘だと思うんですが。先ほどの基礎地盤の話と同様に、本日この安定解析あたりの専門の担当の者が本日不在ですので、申し訳ございませんが、先ほどいただいた話とあわせて今後確認の上ご回答させていただければと思います。

(森委員)

了解しました。細かい点は了解しましたが、非常に基本的な点として、体系として浮き上がりを許容する設計になっているのですか。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

建屋としてはそうです。浮き上がってはいけないというような評価基準があるといった世界じゃございません。

(森委員)

なるほど。そうすると浮き上がりによるというなれば、先ほど岡村委員が剥離とかすべりとかをいわゆる考えた解析をしているかどうかという質問があって、それに対しては次の機会にお答えいただくとしても、その次に想起されるのは、いったん浮き上がりを許すとなると、浮き上がった後落ちてきますから、落ちてきたことによってつまり離れていたものがピシャッと叩くようになりますね。ピシャッと叩くと叩かれたときの加速度っていうのは、実はご存知のように瞬間的ではありますけども非常に高いものが例えば出てきたりします。そうすると、そういう浮き上がりを許容した場合に、浮き上がった後もういったん落ちてきたときの衝撃加速度による機器の設計というのは、どういうふうに考えておられますか。私は専門外ですので見当はずれな質問かもしれませんが。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

建屋ないし建屋内に内蔵されている機器っていうものを評価するときに、浮き上がりというものを考慮した解析モデルになっています。接地率というのを、今先生ご指摘いただいたある仮定に基づいてはじき出す接地圧分布じゃなくて、実際時々刻々の浮き上がり状態みたいなものが、回転ばねのそれこそ回転角っていうもので分かってくるわけなんですけれども、それがある範囲内であるならば、先生おっしゃったようないろいろ誘発されるような上下動ですね、例えばっていうようなものの影響はあまり考えなくてよかろうというような接地している領域の多い少ないである一つの見方の境界線がございます。技術マニュアル上ですね。それを超えてきますと、先生が今おっしゃったような観点から上下動というようなものを考えていくようになるかと思うんですが、今のところその中ででも再接地時の衝撃っていうものを、つぶさに評価すべしというような規定と言いましょうか、指針というのはまだそこまで整備されてないというのが現状でございます。

(森委員)

つまり国の安全指針にないということですか。

(四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー)

指針にはもともとそこまで細かな規定はないわけですけれども、我々事業者サイドの例えば電気協会のJEAGの中で、そういうところまでの評価方法は、一般化された形で記載されるまでは至ってないのが現状ではございます。ただそういった現象が起こり得るだろうという議論はなされているような状況でございます。

(森委員)

そうですか。分かりました。また分かれば教えて下さい。

それと、質問もう1つあります。第Ⅶ編の安全上重要な機器・配管系の耐震安全性評価という中の応答スペクトルについてですけど、ご提出いただいている資料のⅦの17ページから始まるところですが、私は今までいろんな種類の応答スペクトルを見てきていますけど、Ⅶの17とかⅦの18の応答スペクトルは、初めて見るような形です。こういう、何かふたで押さえられたような変な形をしているのは、何が原因なんでしょうか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

これは、機器側の評価をするときに床応答スペクトルというのが、建物を揺すったときに出てきます。この床応答スペクトルを用いて機器の評価をするわけですが、先生がおっしゃるとおり生の応答スペクトルはピークが立つような、鋭い棘のようなものがいっぱい出ると思うのですが、そこで周波数方向の不確かさというか解析とかの不確かさをカバーするために、周波数方向にプラスマイナス10%拡幅というものを行っていますので、出てきた波はプラス方向に10%、マイナス方向に10%平行移動したものを包絡するような線を描いてますので、こういう格好になってます。

(森委員)

はい。わかりました。

(濱本部会長)

よろしいですか。岡村先生、それから森先生、この場で次回の会までに四国電力にぜひ検討しておいて欲しいっていうことがおありでしたら、この場でお願いしたいと思います。今日は時間がかなり押し迫っておるもんですから。渡邊先生どうぞ。

(渡邊委員)

先ほど岡村先生からもありましたけども、Sdの設定に関して、2ページを見ますと弾性限界と機能維持限界には一般的に概ね2倍以上の裕度があるということで、これも非常に分かりにくい表現なんですけども、もう少し説明していただけると助かるんですが。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

Sdについては今回は鉄筋コンクリート構造物について評価したわけでございますけれども、原子炉施設の主要な建物の耐震壁なんかでございます。これの構造物の弾性限界は、第一折れ点付近です。それから機能限界、これはせん断ひずみが2×10?3ぐらいになるのですけども、一般的には地震入力レベルで2倍以上の裕度があるというのは確認されておりますので、実験等も含めてなのですけども、ここでは概ね2倍以上の裕度があるというふうな記載にさせていただいております。

(渡邊委員)

これは建物だけで、重要な設備に対しても同じように評価されるわけですか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

今お答えしたのは鉄筋コンクリート構造物ですが、例えば機器・配管系というのは低合金鋼とかステンレス鋼が発電所では多く使われてございます。それらは、鉄筋コンクリートに比べても大きな靭性とか弾性を有しています。指針上もSdっていうのは、降伏応力またはこれと同等な安全を有する応力が許容限界です。それからSsでは、構造物の相当部分が降伏し、塑性変形する場合でも過大な変形・き裂・破損等が生じ、その施設の機能に影響を及ぼすことのないことというふうにされておりまして、実際こういうふうに書かれておりますが、規格上のSsの制限値を見てみますと、弾性領域よりもわずかに大きいものに設定されてるものも多くございまして、実際にはSsで設計しておれば、ほぼ自動的にSdのほうも満足しておるというような機器もございます。実際の評価手法でいきますと、Ssの設計のときには弾塑性までの評価にはなりますが、設計上は弾性評価をいたしまして、それをSsの許容値に照らし合わすということを実際にはやっていますので、実際のSsの入力があったときに発生するひずみ量というのは非常に小さなもので、弾性限界をほんの少し超えたものになっております。ですから地震入力レベルというところで比較すれば、弾性限界とそれから実際に大きな塑性変形を受けるような間の地震力の比というのは2倍以上あるというのは大体分かっておりまして、配管などでそういう実験をしますと大体5倍以上裕度があるというのも分かっていますので、金属物についても概ね言えるのかなと思っています。

(渡邊委員)

分かりました。それともう1点あるんですけども、中間報告書の中で先ほど森先生のところにも関連してんですけども、1号炉、2号炉で蒸気発生器に関しては説明があったんですけども、原子炉容器に関しては評価基準値が1号炉と2号炉比べて2号炉が下がってますよね。これは何故ですか。評価基準値は大きくなって改善されるというのが普通じゃないかと思いますが、361から177に評価基準値が下がっているのは何故ですか。

(四国電力 高木耐震設計グループリーダー)

原子炉容器の評価基準値が、1号機が361で2号機が177というところでしょうか。これは原子炉容器の支持構造物となっているのですけれども、1号機の評価部位はレベリングスクリューというのがございまして、この部分のせん断力が支配的になっておりまして、そのレベリングスクリューの材料でのせん断に対する評価基準値が361ということになってます。一方、2号機の原子炉容器ですけれども、同じく支持構造物ではございますけれど、これはサポートブラケットという部材についてでございまして、構造の違いにより2号機には1号機のような荷重を受けるレベリングスクリューはなく、横荷重を受けるサポートブラケットというのがございます。この材料に対する評価基準値、せん断に対する評価基準値が177ということで、基準値の違いは材料の違いというのが主になってると思います。

(渡邊委員)

分かりました。

(濱本部会長)

その他、特にございませんか。

(森委員)

確認したいのですけれども、先ほどの建屋の接地率だとか、有限要素法解析、それらの結果の総合的な評価で解釈、残っている課題とそれを何かやったとしても大丈夫なんだというようなものの見方、そういった基礎地盤について安全性の評価を、基本的にはこれで安全性は確認されるとは思うんですが、そのへんの総合的にご覧になった評価をぜひ教えていただきたいなというのが1点。

今、3点あるんですが、あとの2点というのは増幅の話、前回の部会でも申し上げましたけれども、ぜひ地震観測等されていらっしゃるわけでしょうから、あまり増幅しない地盤であるっていうようなことを確認するという意味でもぜひ地震観測されたものを分析していただきたいなと思います。

それから最後に3点目は、これは時間がなかったのでご質問出来ませんでしたが、資料3-2-1の17ページに関して要望なんですけれども、いわゆる耐震安全性評価するのに、評価にあたっては建物の剛性及び振動特性等を適切に考慮した地震応答解析モデルを策定しうんぬんという文章があります。適切さの根拠という意味で、従来やってきた、もしくは他でもやっているというのは、いわゆる認知度の高いものをお使いになっているというのはよく理解していますが、同じくやっぱり地震観測されて、そういう地震観測結果に照らし合わせて、今評価にお使いになっているモデルがきちんと観測結果によって検証されているかどうかっていう検討をぜひしていただいて、お示しいただけたらありがたいなと思っています。この3点、お願いしたいと思います。

(濱本部会長)

四国電力は、先ほどの議論、それから森先生のコメントについて、次回の技術専門部会でぜひご報告いただきたいと思います。

(四国電力 谷川原子力部長)

はい。事務局のご指導を得て適切にやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

(濱本部会長)

それでは、耐震安全性の評価につきましてはこれで終わらせていただいて、来週の月曜日の安全管理委員会では、技術専門部会として追加評価の結果については妥当と考えられるが、安全性評価全体につきましては今国で審査中でありますので、その審査結果が出た時点でもう一度技術専門部会を開催して、審議したいと考えております。それでよろしゅうございますか。

(濱本部会長)

それでは、審議事項はこれで終わりまして、報告事項です。まず第一にプルサーマル計画についてですが、まず県のほうからこれまでの経緯についてご報告お願いいたします。

(門野原子力安全対策推進監)

それでは、資料の4-1を用いまして経緯をご説明いたします。MOX燃料の製造に係る手続き以降について、19年9月、国に対して四国電力が輸入燃料体の検査申請書を提出します。これは、MOXの製造開始前に申請することになっておりますので、9月10日に申請がなされたものです。その後、本部会での審議をしていただき、県からも四国電力に対して文書の要請をしたところでございます。そして、昨年の4月にMOX燃料の製造が開始されまして、5カ月後の9月にMOX燃料の製造が完了いたしました。それに伴いまして、今度は燃料の試験結果と検査の結果と品質保証の結果をまとめた輸入燃料体の検査申請の補正が国に提出されております。それを受けまして、県では、この技術専門部会の親委員会ですが、安全管理委員会を開催して補正の内容についての報告を受けたところでございます。本年になりまして、1月末に四国電力がMOX燃料の搬入計画書を安全協定に基づいて提出をいただいております。その後2月26日には、国土交通省からMOX燃料の輸送の安全性について安全を確認したとして、四国電力等に対して安全確認書が交付されたところでございます。今月に入りまして、現地時間の5日に輸送船がフランスを出港しております。その件については、日本時間の6日に四国電力が事前連絡をしてきておりまして、ここで(4)概略輸送ルートはいわゆる喜望峰/南西太平洋ルートで、(5)をご覧いただきますと、日本領海への到着が今年の5月後半ということで現在事前の連絡があったということになってございます。概略については以上です。

(濱本部会長)

ありがとうございました。

次に四国電力からプルサーマル計画の進捗状況。それから燃料輸送の安全性についてご検討いただいた結果を報告していただくのですが、実は三島先生がちょっと飛行機の時間の関係で1つ質問がおありですので、それを先に済ましてから四国電力のほうから御説明いただきたいと思います。

(三島委員)

事前に資料をお送りいただいて見せていただきました。輸送の安全性については、私としてはこのやり方で了解しています。質問は、MOXの燃料に関して、今回のMOX燃料というのはフランスで再処理されたプルトニウムをほぼ全量使われて、21体の燃料体を作られ、これを搬入するということですけれども、イギリスで再処理されていますが、そのプルトニウムについては今後どういうご予定かということです。MOX燃料についてどれくらいの量があるのか、支障なければ、お聞きしたい。

(四国電力 田内技術グループリーダー)

現在当社が英国で所有しておりますプルトニウムは、核分裂性のプルトニウム量で約0.6tございます。今回フランスで加工しました燃料体からいたしますと、燃料体で20数体相当程度になるかと考えられます。ただ、この英国のプルトニウムの加工につきましては、今後検討していく段階でございます。以上でございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。

それでは四国電力のほうから進捗状況と輸送の安全対策についてご説明お願いします。

(四国電力 田内技術グループリーダー)

資料4-2に基づきまして、伊方3号機のプルサーマル計画の進捗状況について概要をご説明させていただきます。

昨年の9月にMOX燃料が完成いたしました後、輸送の準備を進めておりまして、製造工場のメロックス工場からMOX燃料をラ・アーグのほうに搬出いたしまして、そちらの詰替施設におきまして海上輸送容器に収納いたしました。その後、輸送容器の安全性の確認、あるいは輸送船への積付、こういった一連の作業段階におきましては、当社の社員を現地に派遣いたしまして、確実に品質保証体制のもと実施されたことを確認してまいりました。具体的には後ほど添付資料でご説明いたしますが、MOX燃料を収納しました輸送容器、これは輸送物と呼びますけれども、その安全性につきまして検査を行い、国土交通省の確認を受け、2月26日に確認書を受領いたしております。また、海上輸送方法につきましても同日確認書が交付されたところでございます。

こういったMOX燃料の輸送に係る情報公開につきましては、国の通達、あるいは情報公開方針に基づきまして、核物質防護上支障ない範囲で公開をさせていただいたところでございます。

現在輸送本部を設置して、輸送管理を徹底しておるところでございまして、引き続き安全輸送に万全を期すところでございます。

伊方発電所搬入後は、MOX燃料の検査を行いますとともに、国による輸入燃料体の検査を受検いたします。

また、これにあわせまして裏のページにございますが、MOX燃料の使用に係る工事計画、保安規定の変更、使用前検査、こういった許認可手続きを実施することといたしております。今後とも輸送、取り扱い、原子炉での燃料配置・運転、こういった各段階におきましては、品質保証活動及び安全確認を着実に進めますとともに、引き続き皆様との対話、各種広報媒体を活用した理解活動を努めてまいりたいと考えております。

それでは、添付資料で輸送の安全性についてご説明いたします。右下2ページは、計画の概要でございますので、先ほどのとおりで割愛させていただきまして3ページ目の輸送容器の概要からご説明いたします。

容器の名称は右側の表にございますが、TN-12P(M)型と呼ぶもので、外径が約2.5m、全長が約6m、総重量で約107t、容器あたりのMOX燃料の収納体数は最大8体といったことで、左の図にございますとおり使用済燃料の輸送容器と同等な極めて頑丈な容器になってございます。その特徴といたしましては、容器の内部に水を含まないいわゆる 「乾式タイプ」と呼ばれるものでございます。

この容器の設計、それから製作については、その下の表にございますとおり国内の国土交通省の規則でございます危険物船舶運送及び貯蔵規則に定められる技術上の基準に適合していることを平成18年8月に、また、この設計に基づき製作されたことを平成20年6月に承認をいただいたものでございます。

4ページと5ページは、実際にMOX燃料を収納しました輸送容器の安全性について検査を行いました結果をまとめたものでございます。代表的な検査といたしまして、輸送物の表面及び表面から1mの線量当量率を検査しております。検査結果は右側にございますが、表面で≦30μSv/h、表面から1mで6μSv/hで、法令の基準値でございます表面の2000μSv/h、あるいは表面から1mの100μSv/h、また、これらを設計段階で安全解析しました値に比べ十分小さな線量率であったことを確認しております。下の放射能面密度は表面汚染ですけれども、α及びβγとも検出限界以下であったことを確認してございます。

次のページ。次の検査が輸送物の表面の温度測定でございます。測定結果は≦47.6℃で、法令基準値85℃を十分に下回るものです。この測定値は周囲の温度が38℃になった場合に補正したものになっておりますので、実際の環境温度との差をかさ上げした結果になっております。未臨界検査としましては、容器内の燃料を収納いたしますバスケットの形状等に異常がないことを確認しております。なお、参考といたしまして、実効増倍率の評価結果もあわせて記載してございます。その他の検査としたしましては、表の下にございます外観、吊上げ検査等をはじめとする10あまりの検査を実施しておりまして、いずれも検査結果は良好でございました。

次の6ページは輸送船の概要でございます。輸送船は、国交省の規則及び海査520号と呼ばれる通達に基づく専用の輸送船でございまして、その構造としては、衝突等に強い二重船殻の構造であり、またそちらにある安全設備を有したものでございます。なお、この下の図及び仕様は同じ通達に適合した使用済燃料輸送船のものでございます。

7ページは海上輸送の安全対策です。海上輸送におきましては十分余裕のある航海計画のもと、下にあります安全運航対策を実施しております。具体的には乗組員に対しては、教育訓練を徹底するあるいは海上輸送中には輸送物の温度や線量といった監視を継続で行う、そういった安全対策を講じております。それから、また輸送船ですが、このMOX輸送は日米原子力協定の要件に合致する必要がございまして、必要な核物質防護措置を講じたものになっております。

8ページは伊方発電所に到着したあとの構内輸送でございます。伊方発電所では毎年使用済燃料の輸送等行っておりますので、作業にあたりましては熟練した監督者と豊富な経験をもつメンバーで行うこととしております。具体的には、構内では輸送車両の前後に先導車等をつけ、安全な速度として5km/時以下での運行を考えております。また、本船からの輸送物の荷役作業におきましては安全管理を徹底するとともに、輸送物及び車両につきましては線量当量率等を測定し放射線管理の徹底を図ることといたしております。

最後にまとめです。今述べましたとおり、輸送容器は法令に定める技術上の基準に従い設計・製作しておりまして、輸送中はもちろんですが、衝突とか火災とかいった事故を想定した条件におきましても、未臨界性、遮へい性、密封性等十分な安全性が確保できることを確認しております。実輸送物につきましても、発送前に検査を行い、その結果が妥当であるといったことの国の確認を受けたものでございます。また、輸送船につきましても、規則及び通達に適合した安全対策の高いものでございます。徹底いたしましたこれらの安全対策のもと、事故の未然防止を図り、引き続き安全輸送に万全を期してまいりたいと考えております。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。三島先生から先ほどご質問いただきましたが、ただいまの説明について、その他に何かありましたら。

(古賀委員)

確認でお伺いしたいと思いますが、海外であろうと、日本であろうと、原子力発電所の事故事例というのは少なからずあったと思うのですけれども、MOX燃料に限らず燃料輸送において環境に影響するような、そういうふうな事故例の発生というのは今までにございましたでしょうか。

(四国電力 田内技術グループリーダー)

先ほどご説明いたしました今回のMOX燃料等の同様な燃料輸送といたしましては、伊方発電所も含めまして、日本の原子力発電所からは英国及び仏国へ、あるいは国内の再処理工場へ使用済燃料の輸送等多数行っておりますけれども、こういった輸送におきましては、安全性の高い容器、あるいは船を使用しておりまして、これまでに放射性物質が漏洩するとかそういったような事故は1件も発生してございません。

(濱本部会長)

その他、どなたかございましょうか。よろしゅうございますしょうか。

それでは、四国電力においてはMOX燃料の搬入、検査のそれぞれの段階で安全性を十分に確認してことを進めていただきたいと思います。この技術専門部会といたしましても、輸入燃料体の検査が完了した時点で改めて審査、確認を行いたいと思います。

(濱本部会長)

この件はこれで終わらせていただきまして、次に3号機の原子炉の上ふたを新しい合金で作られた上ふた取替えの計画になっているようでありますけれども、そのことについて四国電力のほうからご説明お願いします。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

資料5、伊方3号機の原子炉容器の上部ふたの取替でございますけれども、これは伊方の1、2号機と全く同じように改良型のものに取り替えようという計画でございます。取替理由のところに少し書いてございますが、最近国内外のプラントで、この原子炉容器の上部ふたの管台という部分に損傷事例が多数出てございます。これを踏まえまして、伊方1、2号機と同じように、予防保全の観点から管台材料を改良した上部ふたに取り替えようというものでございます。

主な改良点を右の絵に示してございますけれども、そこに概略図とありますが、これは断面図を示してございまして、絵の下のほうに斜線を入れた部分がございますが、この原子炉容器の上部ふたといいますのは、こういったお椀型をしてございまして半球状になってございます。その上のほうに制御棒駆動装置が何本か立っているような構造でございます。

改良点といたしましては、右のほうに4つほど書いてございますが、上のほうからまず制御棒駆動装置の上部2カ所ございますが、ここはねじ込み構造になってございます。その部分をシール溶接してございますが、ここから漏洩があるということがございまして、こういうねじ込み構造を全廃いたしまして、突合せ溶接をする構造に変更いたします。

2つ目といたしまして、ちょうど貫通した部分を管台と申しますけれども、ここの管台材料それから溶接部の材料につきまして、耐SCC性の優れました690系のニッケル基合金へ変更するというものでございます。

それに合わせまして3番目として、この管台部の溶接量を少なくしまして、残留応力を低減する対策もいたします。

それから4番目といたしまして、このお椀のところの構造体でございますけれども、鏡板とフランジを一体構造で製作いたしまして、溶接部をなくした構造とするということでございます。

左のほうに移っていただきまして、取替方法でございますけれども、この上部ふたにつきましては、定期点検ごとに取り付け・取り外しを行ってございますので、点検中にそっくり入れ替えるという形でございます。取り外しました旧の上部ふたにつきましては、遮へい機能とか密封機能を有しました、新しく作りました保管容器に収納いたしまして、これを搬出いたします。取り外しました保管容器につきましては、既設の蒸気発生器の保管庫内に貯蔵保管することにしてございます。

最後に実施時期でございますけれども、下のほうに工程表を記載してございますが、来年度に入りまして、国の許認可の手続きを行います。その後、上部ふたの製作にかかりまして、実際に取り替えますのは平成24年度の定期検査時に行う予定でございます。以上でございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。ただいまのご説明に対してコメントかなにか。

(古賀委員)

今海外にもあるということでしたけど、この損傷の事故例、もう少しお話いただければと思います。それと、それがどういう影響を与えたかという、その2点。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

お手元の資料の右のほうに絵を描いてございますけれども、海外国内の損傷事例といたしましては、右のほうの(1)と(2)の部位でございます。

(1)のところにつきましては、先ほど申しましたようにねじ込み構造となっていまして、そこのシール溶接部、ここからSCCが発生して中のほう酸水が微量漏れるという事象がございました。これ国内ではですね、海外でも結構ございますけれども国内では美浜の3号機とか川内1号機が運転中に漏れたという事象がございます。私どもでも、伊方の2号機で定期検査中に少し欠陥傷が見つかったというのがございました。これについては適切に補修してございます。

それから(2)番目のほう、これが取り替えの大きな原因でございますけれども、まずは1991年にフランスのブジェー3号機というところで初めて損傷が見つかりました。それ以降、米国も含めまして今までかなりの損傷事例が出てございます。これにつきましても、影響といいますか漏れる量といいますのは、1次系冷却水がほう酸水として出てくるということでございますけれども、滲み程度のほう酸の析出があるという程度でございまして、特に大きな影響はございません。その後、損傷事例のところについては適切に、補修技術が確立してございますので補修を行いまして、その後順次取り替えているという状況でございます。

(渡邊委員)

取り替え時期に関して、24年度に取り替えということですが、それまでに不具合が起きないのかということについて、何か説明がありますか。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

まず検査でございますけども、大飯3号機で傷が見つかって以降でございますが、国から毎定期検査、目視検査をやるという規定が出てございまして、定検ごとに保温材を外して表面の状況を確認する検査をしてございます。それと、耐圧漏洩検査もやってございます。そういったことで、毎年検査を繰り返しながらチェックしていくという状況でございます。

もう1つは、伊方3号機はもともと設計当時から原子炉容器の上部の温度低減対策というのをやっており、SCCは温度との相関がございまして、それを米国の基準で一応評価できる数式がございます。それに当てはめて計算してみますと、伊方3号機の場合は大飯3号機のレベルまで劣化するまでに、今後約10年ぐらいの余裕があるといったところで、24年度の取り替えまでに十分な余裕があると考えてございます。

(渡邉委員)

取り替えまでの安全性をどのように評価されているのか、具体的に取り替えるまでにどういう検査をして、安全をどう確認するかという点についてお願いします。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

ただいま申し上げましたように、劣化指標評価ということでいきますと、10年ほど余裕がございます。耐力的には十分問題ないと考えてございますし、定期検査ごとにチェックをしていくということで健全性を確認していきたいと思ってございます。

(古賀委員)

輸送中の安全対策についてお伺いしたいのですけれども、事業所構内の輸送におきまして、性能の優れた運搬用機器であるとか、徹底した輸送対策が行われると思いますが、その安全対策はどのように実施されて、そしてどういう点に留意されるかということをお伺いしたいと思います。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

先ほどご説明をいたしましたように、旧上部ふたにつきましては密閉された容器の中に保管いたします。そういうことで、放射性物質を閉じこめるわけでございますけれども、搬出にあたりましては表面に汚染物質がついてないということを原子炉格納容器の中で確認いたしまして、その後放射線を測定しながら蒸気発生器保管庫まで順次輸送していくという形でございます。

また、放射線の評価でございますけれども、輸送容器そのものの設計評価を行っています。敷地境界の線量目標値がございますけれども、それに対して十分にゆとりのある設計をしてございまして、安全上問題ないと評価してございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。その他ございますでしょうか。

(辻本委員)

保管庫にはまだ余裕があるのでしょうか。既にいろんなものをたくさん入れておられますが、今後大型のものが入ったりすることもあると思いますので。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

他のものの取り替えということでございましょうか。

(辻本委員)

将来を考えても、保管庫の余裕があるのかということです。

(四国電力 玉川計画グループリーダー)

今、蒸気発生器保管庫には1、2号機の蒸気発生器、それから上部ふたを保管してございますけども、3号機のものも十分入る余裕がございます。改造等の必要はございません。

今後取り替えるものについては、現在は計画してはございませんけれども、そのときには必要に応じて保管庫の増強も考えたいと思ってございます。

(濱本部会長)

その他ございますでしょうか。この問題はこれでよろしいでしょうか。

非常に優れた材料に変えられる、あるいは施工法を用いられるというようなことでありますが、工場で製作される際、あるいは取り替え工事については、四国電力には、十分に品質管理、それから作業中の安全を確保していただくようにお願いしたいと思います。今日は国からは出席が得られておりませんけれども、国のほうにもこのことに関しては厳格な安全管理をいただくようにお願いしたいと思います。

(濱本部会長)

事務局から1つ報告事項がございます。

(門野原子力安全対策推進監)

資料6について、伊方原子力発電所の安全監視センター(仮称)を県で計画してございますので、簡潔にご説明させていただきたいと思います。

現在県では、松山市内にあります衛生環境研究所で放射能の調査をやっており、また八幡浜市にあります八幡浜支局では、発電所への立入指導などを行っており、分散していたのですけれども、それらの仕事をこの安全監視センターに統合をいたしまして、より迅速な対応を図ることとしたいと思っております。建設地も八幡浜市の旧保内町に決めたところでございます。2ページ目にセンター建設地の位置図を載せています。この図で赤の星印のところ、この地点の土地を取得をしてございます。伊方発電所はもちろんのこと、伊方町役場や八幡浜市役所あるいは県の八幡浜支局にもアクセスのいい土地を取得しました。3ページ目にイメージ図を描かせていただきましたが、周辺環境と調和させるよう今後も努力をしてまいりたいと思っております。建設期間は21年度から22年度にかけて2年間かけて造っていきたいと思っております。5、6ページ目にセンターの配置図がございますが、他の県もそうですが1階部分はいわゆる環境試料を分析できるようにしてございます。2階部分では、テレメータ装置とか私どもの職員がいる事務室とか、あと大きな会議室などを配置して、作業性をよくしているということでございまして、今後、詳細設計をして、22年度の完成に向けてこれからも作業を進めていきたいと思いますので、また技術専門部会の先生方のご意見も取り入れながら建設してまいりたいと思いますので、よろしくご協力のほどお願い申し上げます。以上でございます。

(濱本部会長)

それでは、長時間にわたりましたが審議事項、報告事項全て終わりました。宿題が少し残りましたけども、長時間にわたって委員の先生方大変ありがとうございました。これで技術専門部会を終わります。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第

日時 平成21年3月25日(水曜日) 13時30分~
場所 愛媛県水産会館 6階 大会議室

1 開会

2 議題
(1) 平成21年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について
(2) 平成21年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について
(3) 伊方発電所の耐震安全性評価について

3 報告事項
(1) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(2) 伊方3号機原子炉容器上部ふたの取替について
(3) その他

4 閉会

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 資料目次

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