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放射線と放射能
「放射線」を出す物質を「放射性物質」といい、放射線を出す能力を「放射能」といいます。
懐中電灯に例えると、放射線は光、放射性物質は懐中電灯本体、放射能は光を出す能力にあたります。
放射線に関する単位は、放射線を出す側の単位と受ける側の単位に分けられます。
放射線を出す側の単位には「ベクレル」があり、放射性物質にどれくらいの放射線を出す力があるかを表します。
放射線を受ける(被ばくする)側の単位には「グレイ」と「シーベルト」があります。「グレイ」は放射線により私たち人や物がどれくらいのエネルギーを受けたかを表しますが、同じグレイの放射線量であっても放射線の種類や放射線を受けた身体の部位によって影響が異なります。そこで、放射線の種類や被ばく部位を考慮して、放射線により人がどれくらいの影響を受けるかを表す単位、「シーベルト」が作られました。
一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」を基に作成
項目 | 単位 | 概念 | |
---|---|---|---|
放射能 | ベクレル (Bq) |
放射性物質がどのくらいの量あるか 原子核が1秒間に何個壊変するかを表す。 1Bq=1dps(decays(disintegrations) per second)。 |
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放射線 | 吸収線量 | グレイ (Gy) |
放射線のエネルギーがどのくらい物質に吸収されたか 1Gy=1J/kg。物理量。 環境放射線モニタリングでは、その場に空気があるとした場合の空気吸収線量が測定される。 |
実効線量 | シーベルト (Sv) |
人体にどのくらい影響があるか 被ばく部位による影響の違いに応じて重み付けし、全身被ばくの場合の相当量に換算した線量。 実効線量=∑{等価線量×組織加重係数} ※等価線量:組織・臓器が個々に受ける影響を表す 実行線量は、外部・内部、全身・局所等の被ばく条件が異なっても加算可。緊急時は1Gy=1Sv。 |
放射線の種類
放射線の種類は、主にアルファ線、ベータ線、ガンマ線があります。
アルファ線とは、陽子2個と中性子2個からなるヘリウム原子核が高速で飛び出したもの、ベータ線は原子核から飛び出した電子、ガンマ線は原子核から放出された電磁波です。
アルファ線、ベータ線、ガンマ線の順に、同じ距離を進む間に透過した物質に与えるエネルギーは、大きいですが、物質を透過する力は小さいです。
アルファ線は空気中を数cm程度しか飛ぶことができず、紙1枚で止めることができます。
ベータ線は空気中を数m飛びますが、アルミニウム等の薄い金属板で止めることができます。
ガンマ線は空気中を数10mから数100mまで飛び、透過力が強いため、厚い鉛や鉄の金属板で止める必要があります。
一般社団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」を基に作成
身の回りの放射線
放射線は、宇宙から降り注いだり、空気、食物、大地から出ており、私たちは常に放射線を受けながら生活しています。日本では、年間に一人あたり平均2.1ミリシーベルトの放射線を受けており、その内訳は、宇宙から0.3ミリシーベルト、大地から0.3ミリシーベルト、食物から1.0ミリシーベルト、呼吸によって0.5ミリシーベルトとなっています。
一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」を基に作成