【質問者9】
ありがとうございます。愛南町から来ました質問者9と申します。簡単な質問ですので少なくとも4人の方にお答え願いたいと思います。短い答えですむと思いますので。プルサーマル計画に反対するグループの資料で読んだんですけれどもあの今、ウラン燃料を使っている伊方原発で万が一事故が起きた場合、死者がでる被ばくが1シーベルトの範囲が私も愛南町ですので伊方原発から60キロ以内に住んでいます。松山と同じです。その範囲の中で死者が出る可能性があると聞いております。けれどもMOX燃料になった場合非常に毒性の強いプルトニウムが中に入っておりまして今の小林先生の話だとかなりの量が入っております。そうすると1シーベルトの被ばくする範囲が倍になると聞いております。距離が倍で、面積が4倍になると聞いております。その60キロ以内、その倍になるということの信憑性について推進派のパネリストの方と反対派のパネリストの方から一人ずつお答え願いたいと思います。
それからチェルノブイリの原発事故でもありましたように一度事故が起きますと国境は関係なくなりましてあちらでも北欧の方でもいっぱい被ばくしました。もし伊方原発に事故がありました場合、今回は県の方で主催していただきましたけれどもその伊方原発から60キロ以内にも高知県が入っております。もしMOX燃料で事故が起きた場合は、かなり高知県また、九州の大分の方まで範囲に入るのではないかと思います。そこで国の方と四国電力の方にこういう公開討論会をもっともっと広い範囲で行っていたただいて国民の関心を高めていただきたいと思います。以上、質問します。よろしくお願いします。
【コーディネーター(中村)】
はい。ありがとうございました。
それではまず、プルサーマルやって事故が起きたときの推進派と慎重派と一人ずつということですがじゃあ 慎重派は小林先生がよろしいですか。お二人に聞いてもいいですけれども。じゃあ西尾さんお答えください。
【西尾】
すみません、その試算をした原子力資料情報室のいわば責任者ということになるので最初に。
【コーディネーター(中村)】
そうですね。資料が出ています。
【西尾】
私自身がやった試算ではないんですけれども、その意味で言えば私がお答えするべきであろうというふうに思います。数字をいろいろ出されていましたが、その数字自体について言えば私達がやったものにしてもあるいは国がやってるものにしてもいろんな仮定を置いているもので、なんかその数字を絶対的なものだというふうには考えないでいただきたいというのがひとつです。言い訳をしているつもりでもないんですけれども。そういうことがあります。
その上で先程からの議論、あるいは今日いただいてる資料ですと、プルサーマルを進めていいよといってる方達というのは、プルサーマルをやったからといって特別なことはありません、といってるんですけれども、実は、原発そのものがそんな大きな事故を起こさないということを言っているわけですね。原発そのものが安全なんだからプルサーマルになっても安全だというふうにいっているわけです。しかし先程、耐震の指針の話をしました。その中では現実に放射能が放出されるような事故がありうるかもしれないと考えているわけですね。そういうことが現に起きたときに、プルサーマルの炉心、それからウランの炉心とでまったく関係ありませんということになるのかどうか。プルトニウムそのものについても、先程からいわば質の悪いプルトニウムになるというお話がありましたけれども、質が悪くなるだけじゃなくて毒性としては強くなりますし、プルトニウムだけじゃなくて、そのプルトニウムからまた変わってできる別の種類の放射能も入ってくる。そういったことも含めて言うと、それがどの程度放出されるのかとか、どこまで飛んでいくのかとか、さまざまな問題があるにしても、プルサーマルになれば事故が拡大するということはきちんと申し上げたいというふうに思います。プルサーマルと地震は関係ないということではない、ということです。
【コーディネーター(中村)】
その被害の拡大について、数字については絶対値ではないというふうに西尾さんからお伺いしましたけれどもだいぶ実はこのデータというのは出回っているようでそのまま、はっきりと鵜呑みにされている方もいらっしゃるんでその被害の事については工藤さんどうですか。
【工藤】
はい。今の西尾さんのお話はチェルノブイリをモデルにしてそのまま持ち込まれた議論だと思います。そのことをはっきりはおっしゃらなかったけれども指摘しておきます。チェルノブイリ原子力発電所はいわゆる格納容器、私が前にも申しました原子炉の放射性物質を閉じ込める他の部分もありますけれども格納容器、スクリーンを出していただければと思いますが、この機能がないという仮定でそのまま原子炉が壊れたときに放出したらどうなるかというモデルですから日本の発電所に当てはまらないということは当然です。
それからもうひとつ大きな事故として小林さんもおっしゃってたスリーマイル島事故というのがありました。これは原子炉を止めるのに失敗して原子炉の中の燃料が壊れた事故で、もちろんこのときに、プルトニウムが燃料の中に含まれておりましたけれどもこの事故によって外に、プルトニウムが漏れ出したり住民に被害を与えたりということはありません。中にプルトニウムがどれだけあるから10倍あるから10倍危険だとそんな話ではなくて格納容器とか閉じ込める機能がいかにきちんと働くかということが重要でこれは私も国に対しても事業者に対しても非常にこれからも要求していきたいと思っているところです。以上です。
【小林】
ちょっと間違いがあります。
【コーディネーター(中村)】
はい。小林さんどうぞ。
【小林】
問題になっているこの試算の話ですけれども、チェルノブイリではございません。ラスムッセン報告というのがありまして、これは何かと言いますと、1975年に軽水炉、今の原発ですね、そこでどんな大きな事故が起こるかその事故が起こったときにどのような被害が、具体的に死者数等として発生するかという研究の報告です。約3年半と10億円のお金をかけて膨大な調査活動が行われたのですが、その報告で加圧水型原発、伊方のタイプですね、この型の原発に関して合計9通りの事故のシナリオを摘出したわけです。ラスムッセンはアメリカの人で、この研究はアメリカの原子力規制当局に委託されたものですけれども、試算は、そのうちのPWR2というタイプの事故を取り上げ、その被害を計算しています。この事故シナリオというのは、まず炉心の冷却に失敗いたします。そうしますと当然、炉の中の燃料の温度は上がっていってどんどん溶けていくわけですね。そうしますと、炉心の蒸気が原子炉容器から外へ出てきますが、そのときに格納容器の冷却にも失敗するというものです。格納容器の冷却ができませんので格納容器の中の圧力が高くなりすぎて格納容器が破損いたします。そこで中の放射性物質が格納容器から外に放出されるという、こういう事故のシナリオが描かれていて、これはPWRでは一番大きな被害を及ぼす事故タイプとされています。今、話題になっています試算は、このPWR2というシナリオをプルサーマルをやっている原発にあてはめ、ラスムッセンの手法にならって計算されておりました。ただそのときにひとつ大きな仮定がありましてどのような物質がどのくらい放出されるかというところで、その仮定にいろいろ選択肢があるわけですが、それが計算された方自身の判断で出されたものと聞いております。その条件で計算したら、確かにあのような結果になると思います。問題は、今の日本の原子力規制のありかたって言うのは、このような事故は起こりえないと、いわば、想定外の事故とされて考慮の対象外だとされていることです。はたして起こりえないのか、例えば、スリーマイル島の原発事故自身も、事故前は想定外の事故と言われていたわけです。今の規制の範囲は、想定する事故の大きさをある程度以下に限定し、その中で安全余裕を考えるという話になっています。したがって、事故が想定を超えて大きければ、とてもじゃないけど今の安全余裕では足らないわけです。そういう想定外の事故をどうするのかという問題に関しては、その確率が低いから無視するという一つの考えに基づいて、数値で示そうという、原子力界の動きもあるわけですけれども、この数値自体は信用できません。こういう起こる確率が少ない事故に対して数値を具体的に出そうとしても、そもそもデータがないですし、それから頻度の少ない現象に対して確率論は適用できないわけですから。確率として数字の形で表すことができない、でも実際に起こるかもしれない。現実にスリーマイル島原発事故という想定外の事態が起こっているわけですから、大きな事故の問題と言うのをやはり、規制のレベルでもきちんと考えていくべきであるし、そうなるとはたして原発自身が存在できるかどうか、非常に疑問になってきます。
【コーディネーター(中村)】
はい。ありがとうございました。伊方会場の質問者9のご質問のもう一つで、事故の影響が広範囲に広がるということを前提にしてのご質問であったのですが、これを理解活動の有り方というふうに一応捉えて、四国電力さんと国と言う風にご指名がありましたので,四国電力さんの方から、これからの理解活動、県をまたいでということも有ろうかと思いますが、その辺を含めてお考えを聞かせて下さい。
【太田 克己(四国電力株式会社 取締役副社長 原子力本部長)】
四国電力は、その名の通り四国を供給の管内にしておりますので、愛媛県に発電所があると言うことで、重点的にどうしても愛媛県ということになります。伊方町が地元でございますから、それよりも重点的に伊方町ということになりますが、それぞれの県の支店には、エネルギー問題あるいは原子力の安全性も含めた理解活動を行なえる人を配備しております。そういう方の手、あるいは四国電力のそれぞれの支店の、そういう理解活動をしている方々、そういう方々も通じてですね、今後とも粘り強くと言いますか、地道にこつこつと理解活動を進めていきたいというふうに考えております。以上です。
【コーディネーター(中村)】
ありがとうございました。国の方としてはどのようなお考えか、野口参事官に伺います。
【野口参事官】
プルサーマルを進めるにあたりましては、地元の方々はもちろんですけれども、国民の方々に原子力発電、そして核燃料サイクル、更にこのプルサーマルについてきちっとご理解をいただくということが、大変大切なことというふうに思ってございます。公開討論会をというお話もございましたけれども、現時点では他の地域で実施するという予定はございません。6月に実施をいたしましたシンポジウムにつきましては、ホームページにおきまして、当時の映像そして当時の様子をご覧いただくことができますので、是非ご覧をいただく。国としても、これからも引き続きご理解を得れるように最大限の努力をしてまいりたいと思います。
【コーディネーター(中村)】
はい。ありがとうございました。伊方に戻ります。伊方Eブロックからもう一人お伺いしたいと思いますが、カメラさんもうちょうと、右の方に振っていただいて、こちらの方初めて見ます。Eブロックの方、ちょうど手があがりました。
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